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武士の生きがいと現代の差『鉢の木』山本周五郎(名作から思う事)

2020-05-10 07:55:38 | 歴史から学ぶ
武士としての生き様、武士としての最後は合戦で戦死を夢見た一人の侍の最後は「これで侍として生まれてきた甲斐があった」を最後に合戦に向かう。 妹に対して「女の勤も命がけだぞ」と武家社会のシキタリ(掟)を知らしめる。主君の為、家系の為の厳しさを改めて知ると、現代は「義理・人情」ですら軽薄に見える。人は人、他人は他人で個人主義が横行して行くのは寂しい。
『山本周五郎作品集21』山本周五郎
時代小説の名手、山本周五郎が描いた時代小説、人情話の傑作集。貧しさや虐げられた者たちが愛、悲しみ、怒り、慈しみ、恨み、嫉妬、義理などさまざまな感情を抱え、必死で生きていく姿に思わず胸が熱くなる。人生の喜怒哀楽を知り尽くした作家が描く武士や庶民の生活。「避けぬ三左」「孫七とずんど」「鉢の木」の三本を収録
「鉢の木」元徳川家鳥居彦右衛門の家臣、一式四郎兵衛は君主の意にかなわぬことで勘当され妹と2人で貧窮な生活を余儀なくしていた。それはいつか戦の時にはお呼びがかかると待ち焦がれていた。時は石田三成が決起し関ヶ原の合戦となる時期、心待ちにしていた合戦への加勢の声がかからなかった。実は鳥居彦右衛門と松平主殿助は1800名を伏見城にて、石田治部の軍勢約4万に対し籠城し討死覚悟だった。四郎兵衛は、君主が全滅と決まっている合戦に勘当の家来など呼ぶはずがないと納得、武士としての死場所を求めていた四郎兵衛は急遽、妹を嫁に欲しいとせがまれ喧嘩、果し合いまで取り次いだ男から持参された鎧兜等を纏い、勇しく伏見城へ駆け着けた。別れ際に言った言葉は「これで侍として生まれてきた甲斐があった」。それに今まで男の嫁に妹を託すのを渋っていたが、妹には「心を込めてお仕え申せ、女の勤めもまた命がけだぞ、忘れるな」と嫁ぐことを許し妹に別れの言葉を残し去った。


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