@金は人を狂わせる。ましてや生活費がカツカツであれば尚更。人間の欲を抑え切れない脆さ、弱さが異様な行動を起こさせるのだ。それにお金は家族を幸福になると勘違いし家族内が疎遠関係となる。やはり、人は貪欲に成ると恐ろしさも忘れ、何でもできると勘違いしてしまうのだ。また、お金は家族の絆にも変化が起こることは予期しておくことだ。
『万策尽きたと思うな。自ら断崖絶壁の淵にたて。その時はじめて新たなる風は必ず吹く』松下幸之助 -
『終わりなき負債』C.S. フォレスター
「概略」生活に追われる銀行員マーブル氏はある日、海外での事業に成功した甥の訪問を受ける。彼の財産に惑わされ、甥の金を詐取したマーブル氏は、その金で自分の理想とする生活を築き上げようとする。
・マーブル家の家計は火の海で銀行の口座にはごく僅かしか現金がない、借金まみれの生活を強いられていた。そこに海外で成功した甥の大金の入った財布を見た瞬間、その大金を奪い、甥を殺害し庭に埋める。やがて、大家から借家の更新を迫られる。
・引っ越しをして庭から死体を発見されるのを恐れ、なんとか大金を稼ごうと、為替相場で稼ごうと友人を誘うとたまたま大儲けをする。すると他の投資会社から予想以上の報酬での誘いがあり、銀行をやめることにする。
・一瞬にして大金と新たな会社での報酬を手にしたマーブルは、借家を買取、豪華な買い物をし出した。だが、家からは仕事以外離れず閉じこもり、酒だけの泥酔生活となる。そして二人の子供にも贅沢をさせようとより良い学校に入学させ、息子にはオートバイを買い与えた。だが、妻は貧相な暮らしに慣れていたせいもあり贅沢品は疎か生活を一気に変える事もできずじまい、すると夫の態度にも次第に愛のない生活が始まる。
・ある日、夫は家族に長期の休暇で贅沢なホテルで過ごそうと提案するが本人は家から離れないと言い張り家に篭る。すると、近所の金の亡者の女性が近寄り、肉体関係を持つようになる。そこに休暇の途中戻ってきた息子が見てはいけない二人の姿を見て逃げるように去る。勢いよくスピードを出したことで事故を起こし呆気なく亡くなってしまう。
・仕事をクビにされた夫の二人だけの生活が始まり、侘しく会話もなく、やがて妻が病気で倒れると夫は看病を一人ですることを医者に主張する。すると妻は夫の恋仲の女性からの手紙で妻への愛情がないことを悟り自殺を図る。それは明らかに夫が殺害容疑者として十分な証拠が残されていた。