@いつの時代でも手出しができない壁というものがある。この小説では町奉行は旗本の武士をお咎めすることができないという法があった。この時代の解決方法は、武士が武士を罰する、果し合いをしたと言う。現代ではどうだろうか。民主主義の世界では多数決、圧倒的に数が優ることが政治界・世間の法である。一般の会社組織では直属の上司を超えて社長に訴えること、あるいは内部告発のような場合でも、その後は往往にして「干され、自滅の道を選ぶ」ことにもなる。日本の企業の場合は、年功序列、経験者・成功者優遇(一つでも成功し、会社に貢献した者)が第一であり、「スピード感を持って改革・改善をする必要があると誰もが言う」が、間違ったことを進言、新たな事を提案しても直ぐには訂正、変化はない(あまりにも保守的)。それどころか自滅(退職を余儀なくされる)する場合すらあり、要注意だ。だが、このような状態の会社は長続きしない世の中になりつつある。(企業の新規開発・導入・改善等について、欧米の企業と比べると日本企業の危機感覚は8対2、世界と相当ずれていると言う。)組織の中堅は上からも下からも言われる立場で、責任重大な役である。であれば部下の意見・提案を吟味・精査して会社の発展に貢献すべきチャンスの時代(挑戦)に入っていると思う。日本企業は保守的(一般的に)であればこそ、打って出る戦略が必要だ。(出る杭は打たれる。だが出すぎた杭はなかなか打ち負かされない)
重複した本 『剣客春秋 縁の剣』鳥羽亮
- 馬喰町の両替商に窃盗が入り、番頭を刺殺し、大金を奪った強盗梟党。番頭を検視した千坂道場主の千坂藤兵衞は一味に人間業とは思えない突きを操る剣客がいることを察知する。折しも彦四郎の生家である料理屋・華村を買収しようとする謎の武家が出現。2つの事件のつながった時、千坂一家は未曾有の窮地に立たされる
- 強盗の仲間は町人が2名で武士・浪人が3名。その一人は旗本御家人の武士がおり、町奉行では手出しできない。あとの2名は元道場主と門弟の浪人
- 「華村」の買収(いやがらせ)で乗っ取りを計るが華村の女将由江が拒否、千坂に保護を頼み追い払う
- 武力で乗っ取りをするが藤兵衞・彦四郎等に邪魔され、終盤、千坂一家と「華村」の家族を殺す計画を立てる
- 藤兵衞は武士・浪人との決着を道場同士の権力争いとして計画し、町人は町奉行に捕縛させた
- 藤兵衞は鍛錬し腕を磨き、一人の武士の凄腕「霞突き」を討ち破る
- 彦四郎は料理屋「華村」の一粒種、里美は千坂道場の一人娘。家と血筋が重要視された江戸時代において双方の立場が思うようにならなかったが、最後には彦四郎と里美は夫婦になり千坂道場を継承、「華村」の女将と里美の父親、千坂藤兵衞が夫婦になり「華村」を切り盛りすることになる。