返事は「はい!」

2008年10月29日 | 日記・エッセイ・コラム

概して精神的に幼い利用者はうなずくときには、あごを上げて「ウン」と言いがちです。

「○○さん、お母さんは元気かね?」「ウン」

「時間がとれたら保護者会に来てくれるとうれしいんじゃがなー」「ウン」

「忙しいんじゃろうのうー」「ウン」

「こりゃ!何でもかんでも返事は『ウン』かい!」「ウン」

これを「もう子供じゃないんじゃから、返事は『はい』と言わんかい」と、ちょっと乱暴に教えました。しかし、○○さん、なかなか直りません。油断していると、つい「うん」と言ってしまっています。

私が「『うん』じゃない、『はい!』」と言うと、ニヤッと笑って「はい!」と言い直します。

言葉づかいは意外に大事で、見事に精神状態を表します。言い回しをよく聞いていると、何を思っているのか、どう感じているのかがよく分かります。それは保護者でも職員でも同じです。

ふだんは結構くだけた話し方をしてしまっていますが、親しき仲にも礼儀ありで、利用者に対して丁寧な表現で話しかけ続けると、きっと利用者は今よりももっと大人びた言動を身につけると思いますが、いかがでしょうか?頭ではよくないと思っていても、無意識の内に利用者を子供扱いしてしまっている、と反省します。

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1死2塁と福祉サービス第三者評価(その4)

2008年10月22日 | 日記・エッセイ・コラム

 今回の「1死2塁でレフト前ヒット」の場面では、私たちが選択するだろうと思われるプレイは2つありましたが、その時私たちは勝つための正解、つまりその場面でのベストの選択であるセオリーを実践しなければなりません。監督以下チーム全員がその正解の実践に向かって行動しなくてはなりません。直接の当事者であるランナー、バッター、コーチはもちろん、ベンチにいる者も含めたチーム全員が、です。その中の一人でもそれを怠ると、点を取りに行くためのチームプレイ、勝つためのチームプレイはバラバラに崩れてしまいます。そんなことではとてもチームの勝利は覚束ないのです。

 福祉の世界でも<それ>ができて当たり前であり、<それ>ができなければ卑しくもプロとは言えないという抽象的なものではない具体的な<それ>(セオリー)を、組織全体でチームプレイのレベルで実践できるよう、みんなが身につけておかねばなりません。そして、場合によっては実践していく中でセオリーの見直しをし、その精度を上げていくのです。

 こうした、常にベストの支援を心がける取り組み、ベストの支援の実践こそが、利用者からも、そして社会からも期待されているのです。

 福祉サービス第三者評価はそれらの期待に応えようとする高い志と使命感を持った事業者にとって、明確な座標軸となるものと思います。

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1死2塁と福祉サービス第三者評価(その3)

2008年10月20日 | 日記・エッセイ・コラム

10月14日の問題の正解は「本塁突入を指示する」でした。

では、なぜそれが正解なのでしょうか?

それは、たとえランナーが本塁でタッチアウトで2アウトになっても、ボールがレフトからキャッチャーへ渡りクロスプレイになる間に、打ったバッターが2塁をおとし入れることができれば、次の3番打者のバットに期待できるチャンスが残るからです。もちろん本塁がセーフなら、同点となり、しかもランナー1塁か2塁で打順が3番に回ることになり、言うことはありません。いずれにしても回も終盤ですし、ここはチームとして一か八かの賭けに出なくてはならない場面なのです。

勝ちにいくためのチームプレイは、攻守にわたるこういった様々な場面でのセオリーをチームの全員に周知し、徹底的に理解させ、かつ試合で実践できるように反復練習することから始まります。そして選手一人ひとりは、自らの心身を鍛え、自分のプレイに磨きをかけねばなりません。

福祉サービス第三者評価も同じことです。福祉サービス第三者評価の真髄は、様々な経験や研究の蓄積からその福祉サービスの質を追求したものであり、事業者が提供する福祉サービスの質をより高めることにあります。それは各施設・事業所において、より質の高い福祉サービス提供の目指すところを組織内に周知、理解させ、組織全体のチームワークを軸とした全職員のチームプレイで実践し、実現に向けて取り組むことを期待したものです。そこでは職員一人ひとりの努力と組織全体の努力、そして高い志が求められます。

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秋の日の土曜通所

2008年10月18日 | 日記・エッセイ・コラム

秋のやわらかな日差しがさつき園にひろがる土曜日。今日は今月ただ一度の土曜通所の日です。園の運営を考えて、已むに已まれず、それまではなかった土曜通所を始めて丸二年が経ちました。利用者も保護者も職員もよくついてきてくれたと、胸が熱くなります。

今日は秋晴れの身も心も伸び伸びする土曜日です。いつものおよそ半数の利用者が通所してくれました。そして、いつものように作業室や作業棟で作業をしています。でも、いつもとは違ってどこかゆったり、なにかのんびりした空気に包まれています。私は思わず足を止めて作業場の雰囲気に浸ります。

「園長さん、音楽が流れとるんよー。聞こえるじゃろ」「おー、気持ちがええのー」

園祭り(11月1日・土に開催)が近いので、職員が園内の音響設備の状態を確認するために、やわらかな演奏の曲を流しているのです。土曜日は電話も鳴らず、お客さんもなく、すべての時が通所した利用者と職員のペースで流れます。

障害者自立支援法の推し進める工賃倍増も大事かもしれませんが、人生には今日のような、敢えて言えば赤の他人同士だけど、縁あって一緒にのんきな時間を過ごすことも必要なのです。

「今日はお昼からは作業をやめて、園祭りの準備をしましょう!」

それでいいのです。

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1死2塁と福祉サービス第三者評価(その2)

2008年10月17日 | 日記・エッセイ・コラム

さて、先日の問題に対するみなさんの答えはどうでしょうか

1)1対0の1点差で負けており、しかも回も終盤なので、ここは2番打者のレフ  

 ト前ヒットで本塁突入を指示する。

2)1対0の1点差で負けてはいるが、2塁ランナーは3塁で止めて、ランナー

 1,3塁とし、次の3番4番に期待する。

答えは、この2つのいずれかになりましょう。

この場面で考えるポイントはいくつもあります。回が終盤でしかも1対0であるということ、1アウトということ、打順が3番4番に回るということ、加えて先日の問題文だけでは判りませんが、左翼手の肩、捕球した位置、ランナーの走力、等々……。それらの状況を総合的に、しかも瞬時に判断し、走ってくるランナーに指示しなくてはならない状況でした。

では、正解をお知らせします。人によっては、「こういう問題に正解があるのか?」と首を傾げられる方もあるかと思います。が、こういう問題にも正解、つまりベストの選択はあるのです。

正解は、3塁コーチのあなたは全身でしっかりとランナーに本塁突入を指示する、です。

この正解であるベストの選択をプロ野球ではセオリーといいます。セオリーとは、長年の経験や研究の蓄積から導き出された、ゲームを勝ちにつなげるためのプレイの質の高さを追求したものです。

実際のゲームでは自然条件や人的条件、そして偶然などの様々な要因が絡まって、とても確かな正解などはあり得ないようにも思われますが、そこには、基本と呼ばれる考え方やプレイ(正解)があるのです。プロなら、種々の場面場面でのたくさんの正解を、しっかり自分自身にたたき込んでいなくてはなりません。

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1死2塁と福祉サービス第三者評価(その1)

2008年10月14日 | 日記・エッセイ・コラム

問題です。時間があればお考えください。

今、プロ野球の試合が行われています。回は終盤、あなたのチームは1対0で負けています。1アウトでランナー2塁の場面です。打順は2番打者に回ってきました。で、今、その2番打者が三遊間をゴロで抜けるレフト前ヒットを打ったとします。このときあなたが3塁コーチなら走ってくる2塁ランナーにどういう指示を出しますか?ホームに突入させますか?それとも3塁で止めますか?

さあ、3塁コーチャーズボックスにいるあなたにこの試合の命運がかかっています。あなたならどうする!?果たして、こういう場面でプロはどう判断し、どういう指示をするのでしょうか。

この問題を考えることで福祉サービス第三者評価について考えてみたいと思うのです。

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愛すべきこだわり

2008年10月03日 | 日記・エッセイ・コラム

9月28日の日曜日、岡山市の「桃太郎アリーナ」を主会場にして「第48回中国地区知的障害関係施設親善球技大会」が開かれました。立場上、私も当日は大会に出かけてきました。ソフトボール、フットベースボール、バドミントン、卓球、フライングディスク、そしてボウリングの、全部で6つの競技(競技によっては男女別、あるいは年齢別も行われます)に中国5県の各県から代表選手221名が参加しました。監督や引率者も含めると総勢281名の参加です。

そのとき、たまたまソフトボール会場で目にした光景が忘れられません。

あるチームのライトを守る選手。彼は、自分の守備範囲にフライやゴロが飛んできても全く動こうとしないのです。ただただグラブを持って立っているだけで、ボールの行方には我関せずで、手や足はもとより顔も動かしません。だから「あー、人数が足りないので、仕方なく数あわせで出ているんだな」と、私は独り決めして試合を観戦していました。

ところが、その選手の真正面にゴロが転がったときのことです。「あー、また立ったままか」と思った瞬間、なんと!さっとグラブを差し出してすばやくゴロをすくうと、何のちゅうちょもなく一塁手へ送球したのです。判定はセーフでしたが、もう、びっくりしました。しかも、送球した後はもう何事もなかったように突っ立ってしまっているのです。それを見て、私は二度ビックリしてしまいました。

センターを守る選手は大変です。ライトのその選手の真正面以外に飛んでいくフライやゴロの打球は自分が処理をしないといけないのですから。しかし、見ていると当たり前のようにそうした守備を行っています。不満そうな素振りなど全く見せません。

愛すべきこだわり!

愛すべきチームプレイ!

観戦後、さつき園でもソフトボールをやってみたくなっていた私の心は、その日一日、久しぶりにほぐれっぱなしでした。

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