タテ約30cm、ヨコ幅約22、3cmほどのたくさんの小窓が並んでいる。私はその中の1つの小窓から、少し遠くで横一列に並び、こちらに向かって手を振る7、8人ほどの人たちに向かって、左手の手の平をやさしく振り続ける。その人たちが見えなくなるまで振り続ける。
しばらくすると、今度は敷地と道路の間のゲートのそばに立って、こちらに向かって敬礼する人が見える。こちらに向かって敬礼しているその人は、その敬礼の姿勢を崩さない。私はその人に向かっても、左手の手の平をやさしく振り続ける。
すると、たくさんの小窓の中に、自分に向かって手を振る人がいることに気が付いたのか、何とその人は敬礼の姿勢を解いて、その右手をこちらに向かって振り始めた。私たちはお互いが見えなくなるまで手を振り続けた。
こちらから手を振っていたのは私だけではないだろう。しかし、その人が敬礼を解いて、こちらに向かって手を振って応えてくれたことが、私には思いもかけぬことで心底うれしかった。
日頃、私たちが人に手を振る時は「さよなら」をする時が多い。しかし、私たちが手を振るのはそんな時だけじゃない。「ありがとうございます」や「お世話になりました」の感謝の気持ちを伝える時も、私たちは手を振るものだ。言葉が届かない時はなおさらだろう。
久しぶりに飛行機に乗った。
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