分科会に思うこと

2017年04月25日 | 日記・エッセイ・コラム

 先週、県外で開催された1泊2日のある会議に参加しました。参加者約270名。
 初日の日程は、参加者が大いに関心を持っている国の障害福祉政策や制度や各関係団体などの情勢報告と分科会と情報交換会です。分科会は6分科会で、私もある分科会に参加しました。
 分科会の予定時間は午後2時35分から午後5時までの2時間25分。しかし、次第に時間が押してしまっており、正味はおよそ2時間15分あるかないかでした。
 そんな中で始まった分科会。事例発表が3つ予定されており、それぞれが30分から40分の持ち時間の約束だったらしい。
 司会者のあいさつで始まりましたが、あいさつやいくつかの確認事項の説明などをしていると、5分の時間なんかはすぐに経ってしまっています。3つの事例発表が終わったところで、残り時間は20分弱になっていました。
 司会者の「では、ただいまの3つの事例発表についてご質問、あるいはご意見のある方はご発言をお願いします」の声に、やおら1人が反応し、質問をしました。質問された発表者がそれに答えます。続けて、「ほかにご質問はありませんか」の司会者の問いかけに、今度は私が反応し、質問をしました。質問された発表者が答えます。
「ほかには」の問いかけに、3人目の人が反応し、質問します。質問された発表者が何とか答えました。
 すると、司会者が「では、予定された時間になりましたので、以上でこの分科会を終了させていただきます。本日はご参加いただき、誠にありがとうございました」というような主旨の発言をし、分科会はあっけなく終了したのです。
 私は唖然としてしまいました。
 一つは、その分科会での質疑の時間の短さに。そして、もう一つは質問の数の少なさに。
 何か月も前から事例発表を依頼された施設・事業所の職員は、きっと一生懸命に準備をしたはず。30分から40分の与えられた時間内にどんなことを、どのように伝えればよいか。資料はどうするか。パワーポイントはどうするか。上司や先輩に相談し、同僚に相談し……。事実や数字を確認し、表現や時間配分に気を遣い……。そんな中で当日を迎えたはずです。
 なのに、約80人の参加者からの質問は私を含めてたったの3人。資料が当日配布だから内容を確認することが短時間では難しかったのでしょうか。しかし、分科会のテーマは事前の開催案内で知らせてあるのです。
 そして、司会者の締めの言葉―。
「みなさま、本日はご苦労様でした」
 ご苦労様でした? 誰が? と、心でつぶやく私。
 事例発表者はご苦労様だったかも知れないけれど、参加していた人たちのいったい誰がご苦労様だったの?
 もったいない。本当にもったいない。
 3つの事例発表を依頼されたそれぞれの職員は、どれだけの時間と労力と問題意識を持って発表内容の取りまとめをしたのだろうか。もったいない。本当にもったいない、と思います。
 分科会に参加した人たちは説明を耳で聞き、目で資料の文字や写真を追っていく。そこで何を思い、何を感じ、何を得たのか。何が分かったのか。何が分からなかったのか。何が疑問として残ったのか。それを披露してほしい。それを参加者のお互いが言葉にし合うことが大事ではないでしょうか。
 参加者と事例発表者の間での質疑のやり取りや意見の交換が活発になされるように、その会場にいるみんなで、そう、みんなで努力しなければ、お互いが結構な時間をかけて各地から参加しに来た甲斐がない。また、およそ2時間30分を約80人で共有した甲斐がない、とういうものです
 様々な研修会や分科会、研究会、講座や講演会などが、日々、各地で開かれているだろうと思いますが、その中で、参加者が自分が参加した分科会や研修会を自らが努力して盛り上げようとしたのがどれほどあるだろうか。参加した会場で発表者の報告や説明を聞いて、メモをする。だけど、他の参加者の思いも考えも知ることもなく、時間が来たら「お疲れ様」と言いながら帰っていくだけで、いったい何が得られるのでしょう。
 私たちは今一度、分科会や研修会の持ち方や参加の仕方をちゃんと考え直した方がいい。
 参加した後に、お互いがお互いに感謝の気持ちを込めて「ご苦労様でした」と、心から言い合えるように。


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前回のなぞなぞの答えです

2017年04月19日 | 日記・エッセイ・コラム

 さて、前回のなぞなぞの答えを申し上げます。
「その人たちは認知症だった!!」という○○さんの答えもなかなかのものでしたが……。
 どうして息子さんは「前でリヤカーを引いているのは、あなたのお父さんですね」と聞かれて、「とんでもない」と答えたのでしょうか。
 それは、前でリヤカーを引いていたのは彼のお母さんだったからです。
 いかがですか。リヤカーを引くのはたいがい男の人だ、というイメージがありますから、リヤカーを知っている人はかえってひっかかりやすいかもしれませんね。
 あー、なるほど……。
 あー、なーんだ……。
 なぞなぞ、面白いですね。
 お昼休みの、○○さんとのなぞなぞの出し合いっこは当分続きそうです。
 では、またいつか、なぞなぞします! お楽しみに!!


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リヤカー? 認知症!

2017年04月12日 | 日記・エッセイ・コラム

 昼食を済ませた昼休みに、○○さんが園長室に顔をのぞかせました。
「今、いいですか」
「どうぞ!」
「園長さん、こんにちは。何か、なぞなぞありますか?」
 そうです。やって来たのはなぞなぞ好きの○○さんです。私も○○さんに刺激されて、ここ1~2年の間になぞなぞに少しばかり関心を持つようになっています。
「おー、そうかね。んじゃー、なぞなぞ出しちゃろうかのー」と、私。
「はい、お願いします」
「じゃー、ええかねー。よー考えんさいよ」
「はい!」
「リヤカーでたくさんの荷物を運んでいる人がいます。その人に、『後ろでリヤカーを押しているのはあなたの息子さんですか?』とたずねたら、『はい、そうですよ』と答えました。そこで、後ろでリヤカーを押している人に『前でリヤカーを引いている人はあなたのお父さんですね』って言ったら、その人は『とんでもない!』と答えたそうです。この2人はどんな関係なんでしょうか?」
 と言って、私は最近仕入れたなぞなぞを、にこにこしながら立っている○○さんに出しました。すると、○○さんからは何ともびっくりの言葉が返って来たのです。
「園長さん、リヤカーって何ですか?」
 ギャフン!!
 何と、まだ21歳の○○さんはリヤカーを知らなかったのです。
 私はコピーの反故紙の裏に、鉛筆で下手なリヤカーの絵を描きました。私の描きようが下手だからなのか、それとも上手に描いたとしても同じなのか、その絵(?)を見ても○○さんはキョトンとするばかりです。
「そういえば、最近、リヤカーを見んなー。なぞなぞも出す相手を考えて出さんといけんなー」と心の中で独り言の私。
 それはともかく、私は下手な絵を頼りに何とかリヤカーの説明をして、○○さんになぞなぞに挑戦してもらいました。
 しかしその努力も空しく、○○さんの答えは痛烈でした。
「その人たちは、認知症だった!」
 ギャフン!! もう私は言うこと無しです。
 おとといの昼休みの、利用者との楽しいひとときのことです。


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衛生検査

2017年04月04日 | 日記・エッセイ・コラム

 新年度を迎えました。
 ところが、明日は利用者が楽しみにしている園の花見の予定だというのに、園のそばを流れる屋代川の土手の桜は、今年はまだチラホラと数えるほどしか咲いていません。花見に行く柳井の桜の咲き具合はどうでしょうか。
 さて、年度が替わって、昨日は新年度最初で4月最初の通所日でしたので、利用者朝礼をしました。
 さつき園では毎月その月の最初の通所日に利用者朝礼をしています。
 午前10時過ぎに、利用者の朝の迎えに行っていた送迎便が5方向から園に戻ってきます。利用者はマイクロバスなどから降りて来ると、靴を履き替えて、更衣室のロッカーに荷物を収めます。そして、昨日は全員、作業室に集まりました。そこで担当する職員別に1列に並んで、園長も職員も参加しての利用者朝礼をします。
 その週の当番の利用者の号令で「おはようございます!」と、みんなであいさつを交わして、当番の利用者がその月の目標を読み上げます。今月、4月の目標は『みんなとなかよくしよう』です。
 4月の行事のことや、特に注意することなどについての私の話しが一通り終わると、衛生検査です。それぞれ担当の職員が担当する利用者の列に入っていって、ハンカチ、ティッシュ、爪、入浴、洗顔、歯みがき、朝食、服装などついて、利用者一人ひとりに聞きながら確認し、記録していきます。
 昨日のその時のことでしたー。
 私からの話しが終わって、衛生検査になりました。担当職員が利用者に「ハンカチは持ってますか?」「ティッシュはありますか?」「顔は洗いましたか?」……など、順番に聞いていきます。私は、今日の利用者の返事はどんなだろうか、とその様子を見やりながら聞き耳を立てていました。
 すると思わぬ質問が職員の口から飛び出したのです。私は、思わず「えっ!?」っと小さく驚いていました。

「入れ歯、洗うた?」

 職員はいきなり、○○さんにそう聞いたのです。
 そう聞かれて、○○さん、驚くこともなく、いやな顔をすることもなく、真顔で、
「はい」と答えています。
 私は、もちろんさつき園の利用者の高齢化については承知していましたし、入れ歯の利用者が数人いることも知っていました。しかし、衛生検査で、「入れ歯、洗うた?」と職員が○○さんに聞くのを目の当たりにして、図らずも利用者も年取ったんだなーと、しみじみ彼らの高齢化を思い知らされていたのです。
 昭和62年4月開設のさつき園は、この4月で開設丸30年を迎えています。
 健康に注意して、この1年、またみんなで頑張るぞ!! と、私は人知れず気合を入れ直しました。


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