悲しいことに、昨年4月の障害者自立支援法施行以降、通所してくる利用者を金勘定するようになってしまっているのに気がつきます。利用者はお金(報酬)を運んでくるサービスの消費者、というわけです。
すると、私たちサービスを提供する事業者には、いかに苦労少なくより多くの収益を上げるかという、効率性を求める心理が微妙に働き始めます。そのうちの一つが、いわゆるムダをなくそう、ムダを省こうという心理です。そのこと自体は結構なことなのですが、それが高じると、現場ではもたもたしている利用者は排除され、誰からも相手にされなくなるのです。
企業や世間が、「安全・安心が第一」と言っているうちはいいのですが、声高に「効率性」を言い始めると危険です。福祉の世界でそれを言い始めると、危ない。特に知的障害者の世界では危ない。そこに彼らの生きる場はありません。
知的障害者には時間こそが友達なのです。そして障害者自立支援法にはそういう思想がないのです。