さつきえんたいひょう「お別れのことば」

2017年08月24日 | 日記・エッセイ・コラム

 8月13日付のこの欄でご紹介した、8月10日に突然亡くなってしまったさつき園利用者の〇〇さんを悼んで、古くからの友だちだった利用者の□□さんがこんなお別れのことばを私宛てに寄せてくれました。原文のままご紹介します。

〇〇さん
   いないく なたのて
  さみしく なりましたね

 わたしにさいこのときは
     手をにきてくれて
    ありとうねえ ほとうにかなしいね
   さようなら〇〇さん お母さん
       さつきえんたいひょう
         □□□□

「わたしにさいこのときは 手をにきてくれて」
 これは今となっては、〇〇さんの最後の通所となった8月8日(火)の利用者終礼が終わって、「さよなら」する時のことです。利用者はお互い同士、あるいは職員と思い思いに握手したり、ハイタッチしたりして帰って行くのですが、□□さんに訊くとその時のことだということです。
「さようなら〇〇さん お母さん」
 これは〇〇さんが亡くなった翌日、前々から具合の悪かった〇〇さんのお母さんも亡くなられてしまったことを悼んでのことばです。お母さんも娘の〇〇さんの後を追うように亡くなられたと聞いて、私たちもびっくりしました。
「さつきえんたいひょう」
 □□さんはさつき園を代表する思いで、このお別れのことばを書いてくれたのだと思います。

 今日、保護者会に出席するために来所された□□さんのお母さんにこの手紙をお見せしたら、一瞬絶句されて、目頭を熱くされていました。


 このたび社会福祉法人さつき会のホームページを開設しました。皆様に親しまれるホームページ作りに努力いたしますので、是非、ご意見ご感想をお寄せください。ホームページへのアクセスは下記へお願いいたします。
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その発言に疑義があります

2017年08月19日 | 日記・エッセイ・コラム

「なぜ、40人以上もの人が、わずか1時間足らずで傷つけられたのか。施設によって確保される安全もあると思うが、GH(=グループホーム)でばらばらに暮らしていれば、いっぺんに襲われることはなかったはずです」

 日本中に衝撃が走ったと思われる、昨年7月の神奈川県立障害者支援施設「津久井やまゆり園」での入所者殺傷事件。だらしのないことに、私はこんな発言が事件発生から1ヵ月後にあったことをつい最近まで知りませんでした。これは、かつて国の障害者福祉行政に深く関わっていた人の発言です。
 今、私はこの発言の全体も、前後の発言も不承知ですので、突っ込んだ物言いは出来ません。けれど、発言の全体を知らないこともあってか、また、この事件に関する発言で死傷者の数に関して言及した発言を他に知らない私は、この発言に疑義を抱いてしまいました。どうしてこんなことを言うのだろうか………。
 例えば、津久井やまゆり園(定員150人、うち短期入所定員10人)のような、定員が100人以上で大勢の知的障害者が一緒に生活する大きな施設などではなく、定員が10人以下のグループホームのようなところに分散して生活していたなら、死傷者の数はこれほどの数にはならなかっただろう。だからこうした事件の時に一度に多くの死傷者を出さないためにも、地域の中でグループホームのようなところに、あちこち分散して生活するのが安全なのだ、ということなのでしょうか? しかし、だとしても、それでは誰かが殺傷されることは避けれらません。
 私にはこの事件を語る時に、死者の数や負傷者の数の多寡を問題にするということの意味、意図が分かりません。ひょっとして、この事件の本質はそこにあるということなのでしょうか。それとも、その人独特の気まぐれ発言なのでしょうか。ここで問題なのは、いかに死傷者を少なくするか、ということではなく、二度とこのような事件を起こさぬようにするにはどうすればよいのか、ということです。
 同程度の規模の施設に建て替えるか、地域に分散した形で住まいを考えるかで、関係者の間で様々に議論され、各所で様々な意見が飛び交っていた津久井やまゆり園の建て替え問題は、ここに来てどうにか大枠は決まって来たようです。が、しかしまだそれは関係者の間でのことで、しかも机上でのことです。個々の入所者の思いや願いは現実の地域社会の中でどう実現されていくのか。いまだ不透明のままなのです。

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突然の訃報

2017年08月13日 | 日記・エッセイ・コラム

 それはあまりに突然に、私のもとに届きました。
「園長、先ほど○○さんの妹さんから、○○さんが亡くなられたと電話がありました」
「えっ? 何? 亡くなった? 誰が? ○○さんがや! えっー!?」
 その時、私は職員からのその知らせに、思わず声を荒げて聞き直していました。

「園長、お早うございます」
「おー、お早う」
「園長、今日も暑いねぇー」
「そうじゃのー、今日も暑うなるでー」
「あのね園長。明日ね、妹たちとお母ちゃんに会いに行って来るけー」
「そうか。お母さんは元気かいのー」
「うん、元気よー」
「返事は、『はい』じゃ」
「はい」
 私は、こんな会話を毎朝のように○○さんと繰り返していました。
 また、ときには
「○○さんは何ぼになったんかいのー」
「園長。女の人に齢を聞いちゃーいけんじゃー」
「おー、そうじゃったの」
「あのね、もうちょっとでわたしゃー70歳ですよ。園長は?」
「わしかー。わしゃー、今、66よ。ほうかぁ、あんたー、はーもうすぐ70になるんか。はー、あんたーお婆さんじゃのー」
「わー、園長はまたそげなこと言うてから。何言いよるんかね。私がお婆さんなら、園長も、はーお爺さんじゃないかね」
「おー、そりゃそうじゃのー」
 そんな冗談を言っては二人で大笑いをしていたのです。
 お父さんを亡くし、お母さんが高齢者の施設に入所され、長く自宅で一人暮らしをしながらさつき園に通って来てくれていた○○さんでした。地域でのお付き合いも当たり前のようにして、皆さんとも仲良く暮らしていました。おしゃべり好きの○○さんはお節介すぎるところがあって、さつき園ではときに他の利用者とトラブルになることもありましたが……。
 外の作業に出るときには、必ずと言っていいほど園長室に顔を出して、
「園長、□□に行ってきます」と告げて行き、作業が終わって園に戻って来たら「園長、ただいま」と報告に来てくれていました。

 亡くなる二日前までは元気にさつき園に通って来ていたのです。とてもじゃないが、その死が信じられません。あまりの突然の死に、一昨日のご葬儀に参列した利用者も職員も、気持ちの整理がつかない面持ちでした。
 もう○○さんとあんな減らず口がたたけないのが、私はさみしい。
 ○○さん、ありがとう。
 ○○さん、さようなら。


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悩ましい休園の判断

2017年08月07日 | 日記・エッセイ・コラム

 先週後半、台風5号が停滞し、奄美地方からなかなか離れない時。さつき園では週明けの通園をどうするか、で悩んでいました。週明けには山口県が進路範囲に入っている予報が出ていたのです。
 あまり早くに休園するかしないかの結論を出すのも、と思い、4日の金曜日に「あさっての日曜日のお昼までに休園するか、しないかを連絡します」と、利用者への連絡帳と利用者終礼の時の連絡事項で伝えました。
 毎年の夏の台風時季と、冬の雪の時季の悩ましい判断事です。
 夏の台風には結構悩ませられます。それは「だれか、『いつ頃こっちに来ますか』っちゅうて、台風に電話して聞いてくれんかい」と、思わず利用者に言ってしまうほどです。
 冬は冬で、滅多に雪は降らないここ周防大島ですが、それでも何度か雪の予報が出るので、そのたびに慣れない雪対応に苦慮しています。
 今回も悩んだ結果、いつものように慎重になって休園として、昨日、連絡網でそれぞれ職員、利用者・保護者へ担当職員が連絡しました。
 こんなとき、「大丈夫、台風はこっちには来んよ。逸れるじゃろう」と自己判断するのは危ない。1日休園すると数十万円の減収になるから、何とか……、と半ば強引に開園の結論を出すのが危ない。何はさておき、利用者、職員の安全が第一なのです。
 責任のない者は、結果が出た後で「判断が早かったんじゃないんかね」とか「利用者も家におったんじゃ、退屈じゃったろう」とか、「保護者も仕事しとれば、本人の世話に困ったじゃろうに」などと言っています。
 責任はそんなところで果たすものではありません。そんな次元で責任を考えていてはいけないのです。
 現在、台風は当初の予報よりやや南下して四国沖を通過しています。
 さつき園周辺の空模様は梅雨を思わせるような静かな雨と風の天候です。その中で、休園のさつき園はどことなく寂しそうです。


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