さつき園は毎朝夕、園に通所する利用者のために送迎便を走らせています。大島便、柳井便、岩国便、由宇・日積便・ホーム便の5便です。
今朝もいつものように職員朝礼を終えて、それぞれの便に運転手と添乗職員が乗り込んで、朝の送迎を開始しました。
ところが、途中、岩国便の添乗職員から「大渋滞で由宇から少しも動きません。いつ動くのかまったく分かりません」との電話が入ってきました。大雨警報が出ていた岩国市は昨夜から降り続いている大雨が、夜が明けてもまだしばらくは止んでいなかったのです。
そうこうしているうちに、岩国方面の保護者から電話が入ります。
「待っているけど、さつき園の車がまだ来ません。どうすればいいでしょうか?」
「家の近くの道路はすごい渋滞で、車が全く動いていませんよ」
「道路が冠水しているところがあるようです」
今度は由宇・日積便の添乗職員から電話が入ります。
「さっきから動きません。動いてもノロノロもいいとこです」
園にいて、それらの電話を受けていた職員が逐一報告してきます。そして、
「園長、どうしましょう?」と指示を待っています。
私は、大雨の影響で、山陽自動車道が広島県の五日市インターから山口県の玖珂インターまでの区間が通行止めになったのを通勤途中のカーラジオで聞いていましたので、その影響で車が国道2号線に溢れ、また主要道路が2ヵ所で冠水しているとの情報もあり、岩国市内の各道路で渋滞が発生しているものと予想しました。むー、岩国方面は今日の通所は難しかろう……。
こんな時は決して無理をしません。結果オーライではいけないからです。
「岩国方面の利用者は今日は休園とします。すぐ、関係の送迎便と家庭にその旨を連絡するように!」と指示を出します。
ところが、まだ家にいた利用者にはすぐ連絡がついて良かったのですが、すでにいつもの待ち合わせの場所に向かっている利用者がいました。申し訳ありませんでしたがお母さんにお願いして、迎えに行っていただきました。仕事をされているお母さんも、幸か不幸か、この渋滞で仕事に行けずに家におられたので助かりました。また、中には「それなら、そこまで私が見に行ってあげよう」と、快く、利用者が待っているかもしれない送迎便の待ち合わせ場所まで行って下さったお母さんもおられました。何ともありがたいことです。
そんな中、○○さんは今日は園が休みと聞いて喜んでいたとか……。それを聞かされた園長としてはちょっと複雑な心境になりましたが、『まあ素直でよろしい』としましょう。
岩国では平成17年9月6日の台風14号の襲来による豪雨で錦川の水位が上がり、今にも錦帯橋が流されるのではないかと恐怖した経験があります。今回の大雨もその時を思わせるものがありますが、私はまだ今日の岩国市内の状況は十分に把握出来ておりません。高速道路の通行止めは解除になっただろうか。道路の冠水個所の水は引いただろうか。そして何より、明日の岩国方面からの通所は大丈夫だろうか。
こうした緊急時、今回もまた保護者の方々にさまざまにご協力をいただき、利用者の安全と安心を確保することが出来ました。その時その時のさつき園の状況を理解し、適切に協力、対応していただく保護者の方々の存在に、どんなにさつき園が助けられていることか。利用者と保護者と職員との日頃からのこまめな連携の大切さと、そこから生まれる信頼感の重要性を改めて感じた一日でした。