けだし、名言

2007年04月27日 | 日記・エッセイ・コラム

園外の事業所に実習として働きに行っている○○さん。そこではたくさん並んだビニールハウスで海外の珍しい花やいちごなどを栽培、育てています。そこでの○○さんの仕事は鉢運びや草引き、水遣りなどです。ズボンのすそについた土から仕事の様子が分かります。

その○○さんが夕方、さつき園に戻って来て書く実習日誌を読むことは私の楽しみの一つになっています。毎日、なかなか味わい深い文章が書かれているのですが、それにしても先日の日誌の感想欄の文章には思わずうなってしまいました。

そこには、『天気が少し悪いですが、雨がふらずにすみました。明日も天気が良くなるといいですが、自然とあわさないと生きていけないと思います』と書いてあったのです。

自然とあわさないと生きていけないと思います……。けだし、名言であります。毎日毎日、大事な花やいちごを育てるために、水遣りや草引きなど自然を相手に仕事をしている○○さんだからこその言葉だと思います。

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園旅行

2007年04月26日 | 日記・エッセイ・コラム

先週、一泊二日の園旅行で松江・出雲方面に行きました。

夜の宴会は恒例のカラオケで盛り上がりました。園長は3人の利用者からのご指名で、それぞれ一緒に歌わせてもらいました。歌った歌は北島三郎『風雪流れ旅』、小柳ルミ子『瀬戸の花嫁』、そして長渕剛『乾杯』の3曲です。中には音程が高すぎて声の出ないところもありましたが、なんとか歌いきりました。歌い終わった後の、利用者のうれしそうな顔が印象的です。

この調子では次回までにレパートリーを広げておかないといけません。

2日間ともいい天気で、楽しい・気分のいい園旅行でした。

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たくさんの思い

2007年04月17日 | 日記・エッセイ・コラム

先日、午前中の作業が始まって30分ほど経った頃、いつものように園内をグルッと見て回る途中に八朔の皮むき作業を作業棟の外から眺めていました。いつもより少し長めに眺めてみました。利用者はこちらを気にするようにチラッと見ては皮むき作業を続けています。

すると、○○さんにいきなりジャンパーの袖を引っ張られました。今日は○○さんは少し離れた駐車場の近くにすわっていて砂と小石の感触を楽しんでいたはずなのに、と私はびっくりしました。気がつかぬ間にやって来て袖を引っ張ったのです。引っ張る時に「うん」と言って、そのあとはまた、先ほどまで自分がいた場所に戻っていきました。

「いつまでも皮むき作業を見てるんじゃない」ということなのでしょうか。それとも「早く来て、自分にあいさつをしろよ」ということなのでしょうか。「そうかもしれない」と、私はひとり納得して、○○さんのところに行きました。「○○さん、お早う!ごめんネ。今日も元気かね?」と声をかけました。すると○○さんは顔を上げて「ああっ!」と返してくれました。

たくさんの思いがあるのになかなか言葉に出来ない○○さん。私たちは○○さんの短い言葉の中にたくさんの思いを感じるように精進します。

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元気の基の保護者会

2007年04月12日 | 日記・エッセイ・コラム

ある日、ひとりの保護者の方が用があってさつき園にみえたとき、「今月は保護者会が待ち遠しいわぁ」と言われるのを耳にしました。いつもさつき園の保護者会はその月の20日前後に開いているのですが、たまたまその月は都合で月末に近い日に予定されていたのです。

さつき園では毎月1回、保護者会が開かれます。

今日、今年度初めての保護者会が開かれました。いつものように母親の出席が大半です。今回もさつき園として私が出席し、時の話題や新しい情報の提供をさせていただきました。しかし、保護者にとってそれはそれ、なのです。

保護者が保護者会に何を期待するのかといえば、月に1度、ほかの保護者とあれやこれやの話を取りとめもなく語り合える場があること、のようです。保護者にとってそれが一番で、気の置けない仲間と過ごすひと時が何よりうれしく、楽しいようです。時々私もその輪に入るように促されることもあります。

 保護者会の日は、日頃でも賑やかなさつき園がもっと賑やかになります。今日もそうでした。朝、少し元気のなかったお母さんも帰る頃にはいつもの元気、いつもの笑顔を見せてくださいました。

 保護者の元気の基の保護者会であり、そしてさつき園の元気の基でもある保護者会です。保護者とさつき園がともども保護者会に支えられています。

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1人の入学式

2007年04月11日 | 日記・エッセイ・コラム

この9日、10日の2日間に3つの学校の入学式に出席させていただきました。

その中で、屋代小学校(周防大島町立)の入学式は女子の新入生が1人だけでした。その1人だけの入学式は、暖かい春の日差しの中、小学校の体育館で午前10時から行われました。

出席者の拍手に迎えられ、真新しい制服を着た新1年生は13人の先輩在校生の間を通って笑顔で入場し、演壇の前の小さな椅子に腰掛けます。式が始まると、立ったり座ったりそしてお辞儀をしたりと、小さな新入生はたいへんです。

校長先生のお祝いの言葉が始まります。「ご入学おめでとうございます。元気に楽しい学校生活を送ってください……」という内容でしたが、新入生が1人ですので、話す方は目線が合って自然に「……してくださいね」というように1対1で話しかける口調になってしまうようです。

すると、なんとその小さな新一年生がそれに返事をしたのです。

「ご入学おめでとうございます」『ありがとうございます』

「元気な声であいさつをしましょう」『はい!』

「自分で出来ることは自分でしましょう」『はい!』

大きな演壇の前に置かれた小さな椅子にひとり座った小さな女の子が、周りを保護者や先生や来賓といった大人や在校生のお兄さんお姉さんに囲まれたその中で、一つひとつていねいに『ありがとうございます』『はい!』と返事をするのです。こんなほほえましい入学式は初めてでした。

全校生徒14名の小学校ですが、地域にとっては大事な大事な小学校です。さつき園にとっても、自分たちで一生懸命に作ったもち米をさつき園の園祭りを利用して販売し、園祭りを盛り上げてくれる子どもたちは大事な仲間です。これからも14名の子どもたちと心のかよう交流が出来るよう、さつき園の利用者の持ち前の明るさと元気を力に、日々努力を重ねていこうと改めて思ったしだいです。

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野外活動

2007年04月07日 | 日記・エッセイ・コラム

「土曜通所の日までもいつもの作業をしたんでは利用者もたまんないだろう、たまには気分転換も必要だ」ということで、今日の土曜通所ではクラブ活動の中の野外活動として、金魚の形をしたこの周防大島の、島の東部の端に近い、金魚でいえば尾びれの上部にあたる部分に位置する逗子が浜というところまで出かけることにしました。その浜辺で、カキ養殖に使用されたあとに海に捨てられ、流れ着いたパイプ状の資材(産業廃棄物)をみんなで回収するのです。さつき園も授産作業で島の浜辺の自然環境の保全に一役買っています。

通常は日常的にさつき園の近くの浜辺で回収作業を行っているのですが、今日はマイクロバス2台に分乗しての小一時間のドライブで、しかも昼食は弁当ということで利用者は朝からピクニック気分です。気温も天候も申し分ありません。暖かい春の日です。「園長さんは行かんのかね。留守番じゃね」利用者がお義理で聞いてきます。その通り、園長は留守番です。

途中、「順調です」の職員からの報告。お昼も過ぎて、午後3時前に予定通り、利用者38名、トラックいっぱいのパイプとともに、みんな元気に戻ってきました。ニコニコ顔の利用者はみんな少し日焼けしており、「たまにはこんな日もいいね」といっているようでした。また機会をみて行いたいと思います。そのときも、私はまた留守番役でしょう。 

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園旅行

2007年04月06日 | 日記・エッセイ・コラム

今月の19日(木)から20日(金)にさつき園の園旅行を予定しています。

「旅行のしおりは?」「部屋割りは?」「班は?」「お小遣いは?」……と、利用者からの質問が飛び交います。もう2週間後に迫ってきているので、気になって仕方がないのでしょう。聞かれた園長は、のらりくらりの返事を繰り返します。あまり早くから知らせると、利用者の中には自分本位の意見や好みを言い出す人もいるので、知らせるタイミングは意外に難しいのです。

職員は職員でこれまでの園旅行の反省を確認しながら、楽しい旅行にするためにいろいろ検討、研究しています。利用者・保護者・職員、総勢75人の旅行です。参加者全員が100%満足する旅行を実現するのはなかなか難しいのですが、みんなが少しずつ譲り合うことで楽しい旅行にしたいと思います。

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昼食

2007年04月04日 | 日記・エッセイ・コラム

この4月からさつき園に通所し始めた○○さん。昼食のテーブルに着くことは着くのですが、なかなか食べようとはしません。体をゆすったり、宙を眺めてはニコッと笑ったりしています。

今日のお昼は肉うどんとお稲荷さんと和え物です。食堂の窓から見える屋代川の土手の満開の桜を眺めながら、利用者と職員のいつもの食事風景が広がっていきます。

徐々に食べ終わった人たちが退室していき、食堂に残った人数も少なくなりました。でも、○○さんは相変わらず体をゆすったり、チラッと食事に目を向けたりはするのですが、手を付けようとはしません。

すると、通路を挟んだ先のテーブルで食べていた△△さんが、「○○さん、はよぉ食べようやあー」と声をかけました。△△さんも私たちと同じように、○○さんのことが気になっていたようです。自分が食べ終わると、おもむろに○○さんに近づき、箸を持つように促します。促されて箸を持った○○さん、うどんを一本挟んで食べました。安心した△△さんは、満足そうな笑顔で下げ膳して出て行きました。

後で聞くと、○○さんは昼食をみんな食べたそうです。音がざわつく所が苦手な○○さんは、みんなが食事を済ませた後に、自分の時間と空間の中でゆっくり食事をしたのです。

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社会福祉法人の使命とは何か

2007年04月04日 | 日記・エッセイ・コラム

新年度を迎えて改めて考えてみる。社会福祉法人の使命とは何か、と大上段に構えてみる。

今、社会福祉法人はその存在価値、あるいはその存在理由が危うい。その役割が福祉分野に参入してくる企業やNPO法人なるものに取って代わられるのではないかと思われるほどに、存在が揺らいでいる。

しかし、たじろぐことはない。福祉施設の運営と社会福祉運動とはまったく別次元のものだ。これまで社会福祉運動を展開しているという思いも志向性も問題意識も持たず、ただただ経営する施設や事業の継続、発展だけを追求してきた者はいざ知らず、そうではなく、社会における福祉の思想の浸透、定着に地道に努力してきた者はたじろぐことはない。

施設や事業はいずれはなくなるものだ。望むところは人々の心の中に、今、福祉の対象とされている「困っている人たち」、そういう人たちを「助けるのは人として当たり前だ」とする感性や能力が宿ることだ。そのときは、福祉施設や福祉事業などはなくなってもいい。

例えば、五十年、百年という長い時間軸すら設定することもせず、事業としてのみ福祉施設を経営する者などに福祉を語らせてはならない。将来を託してはならない。

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