天狗

2010年11月28日 | 日記・エッセイ・コラム

 先々週参加したある大会でのことです。

 休憩時間にロビーにいたら、久しぶりに会ったある施設職員に「園長、お久しぶりです!」と、いきなり笑顔とともに話しかけられました。

 話が進むと、その人は「あの頃、私は天狗になっていました」と、真剣なまなざしで語り始めます。

 「でも今は、毎日を利用者さんと一緒に楽しく過ごしています。同じ施設の中にいても、以前はちっとも気がつかなかったけど、利用者さんの支援をさせていただくことがこんなにも楽しく、自分を充実させてくれるなんてありがたいです!!」

 数年前のあの頃、その人は自身で語るように『天狗』になっていたのでしょう。そのことは、その人のその頃の言動を思い出すと、私にも思い当たる節があります。しかしそんな自分を何かのきっかけでか深く反省しただろうその人は、私に向かって、まさに瞳を輝かせて生き生きと今の自分を語ります。

 いったいその人に何があったのか。何がきっかけで『天狗』になっていることに気がついたのか。その人に、自らが『天狗』になっていることを気づかせてくれたものは何だったのか。

残念ながらそれらを話題にするには、ロビーでの立ち話ではあまりに周りはざわついているし、時間も限られていました。

 「じゃあ、また。何かあったらいつでもさつき園に電話ちょうだい」と、握手をして別れました。

 果たして、人の転機は、いつ、どのようにしてその人に訪れるのか。思いがけない、うれしい出会いの中で考えます。

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タワーリング インフェルノ

2010年11月11日 | 日記・エッセイ・コラム

 BS放送で、スティーブ・マックイーンとポール・ニューマンが主演する映画「タワーリング インフェルノ」を久しぶりに観ました。豊富な知識と卓越した技術、冷静な判断と的確な指示、そして使命感に支えられた勇気。それらを2人の主人公は、映画の全編でいかんなく発揮します。

 今年は、マックイーン生誕80年、没後30年に当たるそうです。

 もちろん、現実の世界は映画のようにはいかないけれど、小説や映画などで描かれる物語をはるかに超える、私たちの想像も及ばない事件や事象が起こるのも、またこの目の前の現実世界です。人間の頭で考え創りあげる虚構の世界など、現実の人間どうしが起こす事件や事故に比べれば他愛もないものかもしれません。

 久しぶりにマックイーンの映画を観て、しばし時の経つのを忘れていました。

 みなさん、手抜き仕事はいけません。それは、例えばビル火災の原因にもなるものです。仕事と人生には真面目に取り組みましょう。私たちの現実世界ではそうそうはマックイーンやポール・ニューマンは現れないのですから。

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ある思い込み

2010年11月04日 | 日記・エッセイ・コラム

 「分かった。わしが迎えに行っちゃろうー」

 さつき園ふれあい祭り(10月30日・土・開催)の朝の岩国便(岩国市方面の利用者の送迎便で、毎日岩国医療センターまでを往復しています)を利用する利用者3人と保護者1人の送迎について、担当職員から相談を受けた時のことです。園祭り当日は職員は朝から準備が大変なことはよく分かっていますので、一番暇な(?)私が岩国便の送迎を買って出たのです。

 いつもなら10数人の利用者がさつき園の送迎便(マイクロバス)を利用するのですが、園祭りの日は、園祭りをお手伝いくださるお母さんと一緒に自家用車で通所する利用者が多いのです。

 当日の朝、私は自宅から車で待ち合わせ場所である岩国医療センターに出向き、○○さんを待っていました。ところが、事前に知らせているという待ち合わせ時刻の7時23分になっても岩国市営バスが到着しません。驚いて、バス停の時刻表を確認すると7時23分ではなくて7時37分と書いてあります。

 私は「あっ、担当職員が時刻を間違えたのかな?」と、ちょっとホッとして37分まで待つことにしました。

 ところがところが、岩国市営バスは時刻表通り37分に到着したものの、バスから○○さんは降りて来ないのです。

 どういうこと?と少し心配になり、○○さんの自宅へ電話をしました。すると、お母さん曰く、

「もうとっくに家を出ましたけど、車で…」

 「あーそうですか。えっ、車で!?」「はい、軽(自動車)で行きましたが……」

 「えっ?あっ、今日は車ですか!?」

 私は、待ち合わせ時刻が「7時23分」と細かく指示してあったので、てっきり○○さんはいつものように岩国市営バスに乗ってくるものと思い込んでいたのです。ところが、園祭りなので通常より早い送迎時刻になっていたために、○○さんは自家用車で医療センターまで来ていたのです。

 そして後で分かったのですが、○○さんを軽で送ってきた義理のお兄さん はお兄さんで、さつき園はいつものマイクロバスで迎えに来るものとばかり思っ ておられたようなのです。

 その結果、お互い疑いもせずに、乗ってもいない岩国市営バスと来るはずのないさつき園のマイクロバスを「まだか、まだか」と待っていたのでした。しかも7時15分くらいからずっと。それもお互いが14、5メートルも離れていない場所で。

 事情が分かった○○さんのお兄さんと私は、お互いに謝りながらも大笑いをしたことでした。

 園に戻って事情を話すと、担当職員は、

 「自家用車で来られると言っておけばよかったですねぇ」と恐縮しています。

 いやいや、たいへん貴重な経験をさせてもらいました。そう、『思い込みは禁物』なのです。そして、『あらゆる可能性を探ること』が大事なのです。

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