臨機応変

2013年06月29日 | 日記・エッセイ・コラム

 

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昨日、27名の見学者があった。予想とは違って、車が何と大型観光バスだったので、急きょ、お隣の大島中学校に駐車場をお借りした。<o:p></o:p>

 

少し離れているグループホームも見学の予定だった。が、道路幅を考えると、乗って来られたバスで行くのは難しいと判断し、作業中ではあったが何とかさつき園の10人乗りを2台出して、見学希望者を賄った。<o:p></o:p>

 

予想とは違う展開、しかもすぐに対応が要求される状況の時に、私たちはどうするか。何とかしようと知恵を絞って対応するか。「急に言われても出来ない」と断るか。こんなときに、図らずも私たちの日頃の姿勢が出る。<o:p></o:p>

 

昨日は見事に対応した。見学者も満足の様子で、私もほっとした。<o:p></o:p>

 

しかし、利用者は私たちの上をいっていた。<o:p></o:p>

 

まだ作業時間中にもかかわらず、見学者が帰る頃になると多くの利用者が玄関先に出てきたのだ。<o:p></o:p>

 

「○○さん、まだ休憩時間じゃないでー」「□□さん、今日は月末の大掃除の日じゃろう。戻って掃除をせんにゃー」と私。でも、誰も聞いてない。みんなニコニコして、うれしそうに見学者と話をしている。<o:p></o:p>

 

見学者の見送りですので、私もそれ以上の注意はしません。<o:p></o:p>

 

「もう帰るんかね」「大島に泊りゃーええのに」「また来てね」<o:p></o:p>

 

「今日はありがとね。じゃーね。みんな元気でね。さようなら!」<o:p></o:p>

 

「さようなら!」<o:p></o:p>

 

あとで職員のぼやくこと。「大掃除なのに、私のところには4人しか残っとらんのじゃけ―!」<o:p></o:p>

 

何とか理屈をつけて作業や掃除を回避しようとする、私たちの上をいく、利用者の見事な臨機応変(?)ぶりでした。<o:p></o:p>

 

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ほめられる人生

2013年06月15日 | 日記・エッセイ・コラム

 

今、さつき園では生活介護事業班の利用者にミシンの使い方を教えています。畳んだ白い布を赤い糸で縫って雑巾を作るのです。<o:p></o:p>

 

 利用者の何人かが、その出来上がった雑巾を持って園長室にやってきます。私は差し出された幾枚もの白い布を見てびっくりです。利用者の呑み込みがいいのか、ミシンの性能がいいのか、はたまた職員の教え方がいいのか、まあどれも立派に縫えているのです。「上手に縫えたねー」と言うと、みんな嬉しそうに笑顔になります。心が熱くなる瞬間です。<o:p></o:p>

 

と同時に、この人たちは幼い頃から今日まで、誰に、どんなことで、何回ほめられたことだろうかと思います。どんな小さなことでもいい、人からほめられる人生と、何をやっても人から厄介者扱いされる人生と、どちらを生きたいですかなんて、野暮な質問です。<o:p></o:p>

 

人が人を育てるといいますが、それは裏を返せば人が人をダメにする、ということです。利用者と職員がお互いを大切にし合いながら、周防大島のこの地で、遠くを見つめて心が熱くなる充実の時間を追求します。<o:p></o:p>

 

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「今」も大事だけれど……

2013年06月06日 | インポート

  

1泊2日で、全国規模の知的障害福祉関係の研修会に参加してきました。<o:p></o:p>

 

厚生労働省からの行政説明や福祉関係者による現時点での知的障害福祉の状況報告、知的障害福祉施策の今後の展望と課題に関するフォーラム、そして4つのテーマに分かれての分科会などが日程の主なものでした。<o:p></o:p>

 

2日間参加した感想、あるいは学んだこと。<o:p></o:p>

 

一つは、やはり先行きは知的障害福祉が介護保険に統合されるのではないか、という漠然とした不安があること。<o:p></o:p>

 

一つは、4月から施行された障害者総合支援法をどこまで知的障害者福祉の現場で使い勝手のいい中身にすることができるか、ということ。例えば、障害程度区分を見直して障害支援区分を新たに設定するようだが、果たして、利用者の実態をどこまで的確にすくい取れるか、という懸念があること。<o:p></o:p>

 

 一つは、社会福祉法人でなくとも民間企業でも障害者支援事業は可能である、という考えに対して、私たちは反論出来るだけの支援現場の質と量を有しているか、という反省を強いられていること。<o:p></o:p>

 

 規制緩和の大きな波を蒙りながらも、私たちはこれまで積み上げてきた福祉サービスの質と量をしっかりと社会に還元することができているか。地域社会への福祉サービスの還元を怠ると、地域社会での存在価値を失う、ということ。などなどを学び、また感じて帰ってきました。<o:p></o:p>

 

 知的障害者の個としての生活や生きる様は未だに、まだまだ世間からは遠いところにあります。そして、厚生労働省の行政説明もカネ目が先に立つようで隔靴掻痒の感があるのも否めません。<o:p></o:p>

 

利用者一人ひとりへの福祉サービスの提供の結果は、ただそれだけでは終わらず、その利用者を通じてそこから地域へと広がっていくものです。一人を大事にすることは、みんなを大事にすることです。一人という個を大事にすることから福祉は始まる、と思います。<o:p></o:p>

 

 知的障害者の「今」を大事にしよう、「今」を何とかしようとするのはいいが、戦後70年近くも経つというのに、何故、未だに世間の知的障害者理解は進まないのかをじっくり考えねば、いつまでも彼らの「今」をよくしようと思っているだけでは、社会の意識は変わらず、真の意味で知的障害者が解放される日は来ないものと思う。<o:p></o:p>

 

 私たちはもちろん福祉事業を実践する事業体ですが、社会の意識や価値観を変える運動体でもあることを手放してはならない、と改めて胸に刻み込みました。<o:p></o:p>

 

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