神奈川県の知的障害者入所施設で障害者19人死亡、26人負傷という殺傷事件が起きた。
何ということか。
こんな事件が起こるとは……。
動機や、事件に至るまでの容疑者の精神の経緯、思考の過程を十分検証せねばならない。
恨みによるものか何によるものかはまだ不明だが、惨いことをするものだ。
容疑者の男は、「障害者なんか、いなくなればいい」と言っているとか。
軽々に意見や感想を、ましてや評論などを述べるのは控えねばならないが、これが今の我が国の社会の障害者に対する本音だとしたら……。
あの自由の国アメリカを見よ。アメリカの次期大統領選挙前段の予備選挙はどうだ。何が民主主義だ。何が自由主義だ。独善的な思想が公然と見栄を切っている。拍手喝采を浴びている。
アメリカに呆れていたら、何と、我が国の社会福祉思想の社会への浸透力のなさ、レベルの低さが知れてしまった。それは形だけの中身は貧弱なお粗末極まりないものだった。
「障害者なんか、いなくなればいい」などと、二度と言わせない。
私たちが常に意識し、もの申さねばならないのは、国ではない。国の施策ではない。
私たちが常に意識し、闘わねばならないのは社会だ。私たちが生きる、生活するこの社会だ。
国という幻想などではなく、社会という生身の私たち一人ひとりが生きて、生活して、死んでいく実体としての社会を常に意識し、感じていなくてはならない。
福祉はバーチャルな世界での出来事ではない。指1本でリセットされてたまるか。
「障害者なんか、いなくなればいい」などと、二度と言わせない。
― お知らせ ―
さつき園のホームページを開設しています。アクセス方法は以下の2通りです。皆様、さつき園のホームページにも、ぜひお立ち寄りください。お待ちいたしております。
1)さつき園 障害福祉サービス事業所 周防大島町 山口県 ⇒ 検索
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もうひと月も前のことになるでしょうか。さつき園の正面玄関のすぐ隣にある園長室の窓に、昨年はゴーヤで試みたグリーンカーテンを今年は朝顔でやってみよう、ということになったのか、数人の利用者と2人の職員が園長室の窓に向かって、あれこれ相談しながら広い網を張ったり、プランターに朝顔の種を蒔いたりしていました。
その時は園長室の窓を閉めていましたので、私には話し声しか聞こえません。その話し声を聞いていると、朝顔のつるを巻きつかせるための大きな網のセッティングがなかなか大変そうでした。そして、話し声からは、どうも利用者は遊び半分でその場にいるようです。職員が何とか作業をしてもらおうと、時々「○○さん、ちょっとここを持っちょいてください」とか「□□さん、朝顔の種に水を撒くけえ、手つどうてや」などと苦心しながら声掛けをしているのが聞こえます。
利用者の中にはその声掛けに積極的に応じる人もいれば、のらりくらりと上手にかわす人もいます。利用者の方が一枚上手と思われます。
と、「そんなところに腹ばいになったらいけんようー」と利用者に注意をする職員の声がしました。
その声を耳にして、私は腹ばいはまずかろう、と思って、園長室の窓をちょっとだけ開けて、様子を見てみました。すると、△△さんが止めてあった軽トラックの荷台の上で腹ばいになっていたのです。日ごろから、どちらかというと作業に集中するのがあまり得意ではない△△さん。職員に言われてついてきたけれども、期待外れだったのでしょうか。職員が注意してくれるのを待っているかのような雰囲気をさせて腹ばいになっていました。
そんなこんなで利用者と職員とで工夫して取り付けた今年のグリーンカーテンの朝顔。今日は花を8つほど見事に咲かせていました。赤4つ、白1つ、薄紫2つ、そしてピンク1つ。最近の朝顔の花にはこんな色もあるんだ、と花を見ながら私はひとり驚いていました。その昔、小学生の頃、夏休みの宿題だったでしょうか、朝顔の観察をしたことを思い出します。あの頃の花の色は赤か青(藍色?)しかなっかったように記憶していますが……。
この夏の園長室の窓のグリーンカーテンとして期待されている朝顔。まだ、日に8つの花しかつけません。毎年の夏の園長室の窓の西日は厳しいものがあります。今年の夏、果たして朝顔の葉やつるや花は西日を遮ることが出来るでしょうか。せっかくの思いやりと努力の賜物ですが、網の目はまだどこも隙間だらけです。このままではちょっと間に合いそうにありません。
けれど、何十年か振りで図らずも朝顔の花を愛でる機会を得て、少しうれしい気持ちにさせてもらいました。
利用者がうれしそうに教えてくれます。
「園長さん、来てみんさい。朝顔がきれいに咲いちょるよー」
もう、それだけで十分です。
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あの人たちがそう言うから自分もそう思う……。
どうしてあなたは自分自身の実感を大事にしないのですか。どうして、自分の実感よりも他人の意見や感想を大事にするのですか。
あの人たちが彼や彼女や彼らのことをそう言うから、あなたも何の疑問もなく、彼はすることが稚拙な障害者だ。彼女は反応が鈍い障害者だ。そして彼らは支離滅裂なことを言う障害者だ、と思うのですか。
こうして、いつの時代になっても、どんな社会にあっても障害者差別の連鎖は止まらず、己を健常者と呼ぶ人たちによって彼らは差別され、あたかもそれが実像であるかのように作り上げられていく障害者像。
そんな時代と社会にあって、私の障害者との、あるいは障害者福祉との関わりは、学生時代からの関わりを勘定に入れると43年になります。
重症心身障害児(者)と言われている人たちとその親御さんたち。また知的障害者と言われている人たちとその親御さんたち。43年の間にそうした多くの人たちにお会いし、いろんなお話しをお聞かせいただき、また私もあれこれお話しをさせていただきました。そこで私はたくさんのことを学び、たくさんのことを教えていただいたのです。
そんな長いとも短いとも思える時の中で私が学び取ったことは、例え、その身にどんな障害があろうと、また、いかに重い障害があろうと、彼らの感性に障害はないということです。ましてや彼らの命に障害はないということです。
障害は、自らを健常者と呼んではばからない私たちの心の中に巣くっている幻想なのです。
私は自分自身の実感を大事にして生きたいと思います。
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