朝、通勤のために車で自宅を出て団地内の道路を通るとき、三々五々、集団登校の集合場所に向かう小学生たちに出会います。中には、一年生なのでしょうか、遠目にはまるで黄色いランドセルが歩いているとしか思えないような子どもたちもいます。
今朝のこと。いつものように登校する小学生を追い抜くように車を走らせていると、右前方に一年生かと思われる小さな女の子が小走りに駆けて行くのが見えます。と、そのスカートから何かが落ちたように見えました。近づいて見るとそれはポケットティッシュでした。私は、思わず車をとめて(もちろん後方確認をしてからです)、運転席の窓越しに「おーい、おーい」と、彼女に向かって声をかけました。
すると、その声が聞こえたのでしょう。「わたし!?」とでも言うようにその女の子が振り返ります。
私は、「落ちたよ!」と言いながらその方を指差しました。
「あっ!」と気がついた彼女は、次の瞬間、まるで桜の花びらが風に舞うように、スカートをひらひらさせながら戻ってきます。
そして、それを拾い上げてポケットにしまいながら、ちらっと私のほうを見るような見ないような……。その瞳は「お礼を言ったほうがいいのかなぁ?」と迷っているように見えました。でも女の子は恥ずかしそうな表情のままに、また小走りに駆け出していきました。
一日一善。
相手が小学生だったせいか、彼女の後姿を見やりながら、私は久しぶりにそんな言葉を思い出していました。
一日一善。悪くないですね。『今日も頑張るぞ!!』