その1「背筋を伸ばして」
先週の土曜日、お隣の大島中学校の第55回目の卒業式(正式には卒業証書授与式)に来賓として出席させていただきました。
来賓の紹介を受けたとき、「おめでとうございます。お世話になりました」とお礼を述べました。
印象的だったのは、卒業生の中の一人の女子生徒が椅子の背もたれに背中をあずけることなく、背筋をぴんと伸ばして腰掛けていたことです。式の中で何度か卒業生の「起立!」「着席!」がありましたが、その生徒の背筋を伸ばして腰掛ける姿勢は少しも変わりません。
その姿を見て、来賓席の私も思わず居住いを正したしだいです。
しかし、その生徒さんもさすがに感極まったのか、卒業生代表の答辞が始まると指で涙をぬぐっていました。
印象に残る卒業式となりました。
その2「教育の中の福祉の出番」
今日、岩国養護学校の卒業式が行われ、来賓として出席してきました。
卒業生は小学部5名、中学部7名、高等部10名の計22名です。
昭和54年に養護学校が義務化されてから、すでに30年近い年月が経ちます。その間、養護学校教育はどのような進歩、発展を遂げてきたのでしょうか。「こんな子に教育なんて!」といわれた時代から、今や養護学校ではマンツーマンに近い教育が実践されているように聞き及びます。
教育はすべての要です。あだやおろそかにその場しのぎの、あるいは独りよがりの指導、訓練をされてはならないのです。小・中・高の12年間のその子への教育をどうするのか。言葉は悪いですが、その子を生かすも殺すも教育のあり方しだいなのです。
教育を軽く考えてはいけない。いつかこの欄でも書き記しましたが、「教育は時間」です。適切な時期に、適切な教育を、適切な期間だけ施すことが肝要です。そして、教育する立場の者は10年後、20年後を見据え、時間をゆっくりと捉えることが望まれます。
岩国養護学校の卒業生22名の中の、特に10名の高等部卒業生のこれからが心配です。
私は、学校教育や家庭教育の中に福祉の出番を求めたいと思います。