goo blog サービス終了のお知らせ 

“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

川内原発再稼動 なし崩し的に進めるな

2014年09月16日 12時56分03秒 | 臼蔵の呟き

福島第一原発事故の巨大地震、津波による電源喪失、装置の破壊などの真の要因は依然として闇の中にあります。原子力発電所は核兵器開発と一体の科学技術であり、もともと人間生活を豊かに、安全に行うことを前提とした科学技術ではありません。そのことが、今回の原子力事故でも証明されています。民主党政権、自民党政権は事故調査資料の開示すら満足に行っていません。さらに、調査過程で関係者からの聞き取り内容は開示されていません。そのことが朝日新聞社の報道になり、間違いも含めて話題となりました。

政府、原子力規制委員会が審査し、安全性が担保されるような原子力発電所がありうるのかどうかです。福島第一原子力発電所事故はそのことが問われる事故でした。

福井地裁判決は、経済効果と人間の人格権とを天秤にかける政治判断を断罪した点に特徴がありました。安部、自民党政権、電力会社、原子力産業はそれらのことを意図的に無視して、原子力発電所の再稼動を押し進めようとしている点で犯罪的であり、司法の判断を無視している点でも、許せるものではありません。

<毎日新聞社説>川内原発再稼動 なし崩し的に進めるな

 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の安全審査で、原子力規制委員会は新規制基準への合格証となる審査書を決定した。全国の原発で初めてだ。九電は再稼働に向け、地元への同意手続きを本格化させる。しかし、多くの課題が残されたままで、なし崩し的に再稼働を進めることは認められない。

 私たちは審査書案がまとまった2カ月前に、次の二つを再稼働の最低条件として挙げた。福島第1原発事故を教訓に、住民の被害を食い止める手立てを整えておくこと。政府が脱原発依存の道筋を描いた上で、エネルギー政策全体の中に再稼働をどう位置付けるか明示することだ。

 政府は今月に入り、鹿児島県などに職員を派遣し、事故に備えた避難計画の策定支援に乗り出した。電力会社に老朽化した原発の整備計画を提出させ、稼働延長か廃炉かの決断を促すことも検討している。だが、これらの対応は遅すぎたほどで、避難計画の実効性確保も、脱原発依存の道筋を描くこともできていない。

 政府は、規制委の審査に合格した原発の再稼働を進める方針を掲げるが、そのために必要な地元同意を得る手順も示さないままだ。

 現行ルールでは、電力会社が原発立地県や立地市町村の同意を得れば再稼働できる。しかし、それでは、再稼働の判断を電力会社と地元自治体に丸投げすることになる。

 鹿児島県の伊藤祐一郎知事は政府に、再稼働の必要性を文書で示すよう要請した。再稼働を判断する責任は国にあるという態度表明だ。政府も応じる考えだが、単なるセレモニーに終わらせてはならない。

 原発が稼働しなければ化石燃料の輸入増加が続き、経済への影響が懸念される。だが、原発稼働に伴う事故のリスクは残ったままだ。そうした中で再稼働をなぜ決断するのか。事故が起きた時の態勢は万全か。政府は国民に説明を重ね、議論を深め、政策に反映する責務がある。

 再稼働の同意手続きに際しては、立地市町村に加え、避難計画の策定を義務付けられた原発30キロ圏の市町村の意見を最大限尊重すべきだ。

 川内原発から30キロ圏の姶良(あいら)市議会は7月、「住民は避難計画に不安を持っている」として川内原発の再稼働に反対し、廃炉を求める意見書を可決した。いちき串木野市では住民の半数を上回る再稼働反対署名が集まった。しかし、川内をはじめ多くの原発では、こうした近隣市町村の意見を再稼働の判断に反映する仕組みがない。

 経済面で原発との結びつきが強い立地市町村は再稼働を望みがちだ。同意の範囲をなるべく狭く抑えたいと政府や電力会社が考えているとしたら、大きな間違いだ。


吉田調書公開 脱原発こそが最大の教訓

2014年09月16日 10時56分59秒 | 臼蔵の呟き

その通りです。

吉田調書の誤報が朝日を追い込み、読売、政権が鬼の首をとったかのような報道です。しかし、問題なのは調査内容を開示せずに隠してきた民主党、自民党政権の政治姿勢こそが批判されてしかるべきです。その上で、3年半も経ってもまともな事故調査内容の開示、分析が政治の場で行われていないことにこそ、最大の問題があるのだと思います。

<琉球新報社説>吉田調書公開 脱原発こそが最大の教訓

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が吉田昌郎元所長から聞き取りした調書が公開された。
 調書からは、死を覚悟して現場指揮を執った吉田氏の肉声を通して過酷事故の恐ろしさが伝わる。同時に「われわれのイメージは東日本壊滅」と吉田氏が振り返るように、制御不能に陥った原発が国全体を危うくする瀬戸際だった現実が分かる。
 公開された調書は吉田氏、菅直人元首相ら計19人分。一部の新聞が吉田調書を掲載したため公開したのだろうが、逆になぜこれまで非公開だったのか。未曾有の災害にどう対応したのか。いまも避難生活を強いられる人たちをはじめ、国民の前にそれを明らかにすることは極めて重要だ。
 事故調査・検証委員会は東電幹部、政治家、官僚など772人から計1479時間にわたり聞き取った。同委員会が言うように「責任追及」ではないが、事故の収束作業に関係した人たちが当時の状況を詳細に語ることは国民に負う義務と言えるだろう。
 政府は速やかに聞き取り対象者の了承を得て、全面公開に踏み切ってもらいたい。
 調書を読むと、災害時の意思疎通の難しさが浮かび上がる。
 その一つが、放射性物質を放出するベントの実施だ。現場はベントの必要性に迫られるが、うまくいかなかった。それが官邸には伝わらず、不信感を募らせた菅氏が現場に乗り込んだ。
 「撤退」についても食い違う。吉田氏は「誰が逃げようとしたのか」と強く否定したが、菅氏は自ら東電に乗り込み、それを食い止めたとの認識だ。
 公開された調書のうち、東電関係者は吉田氏だけだ。他の東電幹部の調書も含めて、突き合わせて読み込む必要がある。証言の食い違い、認識のずれなどからあぶり出され、得られる教訓が必ずある。
 吉田氏は最後まで現場を守り、収束作業に努めた。その一方で津波対策について「根拠のないことで対策はできない」と述べた。しかし、想定外の津波は実際に来た。
 どんなに制度、設備を充実させたところで、それを操るのは結局、人間だ。原発が再び「想定外」に見舞われたとき、同じ過ちを繰り返さぬ保証はない。原発再稼働などもってのほか、この調書から得られる最大の教訓は「脱原発」だ。


朝日新聞の謝罪 言論報道の責任と使命

2014年09月16日 05時25分10秒 | 臼蔵の呟き

新聞社が、事実関係を把握し、道報じるかはそれぞれの組織で内規に基づき、ルールに沿って行えばよいことです。また、マスコミが意図的に、読者に誤解を与えようとしていることはよくないことです。しかし、この原子力発電所事故の本質は、ここで報道されたようなことでは全くありません。

自民党政権が進めてきた原子力発電所を基幹電源として進めてきたことの結果として、原子力発電所事故が発生し、福島県、周辺地域を居住できないような放射能で汚染したことです。その政治的な責任、問題こそが追及されなければなりません。また、東京電力が、巨大地震、津波による電源喪失を指摘されながら、意図的に無視して、対策をとらずに、今回の事故を招いたことです。その点を不問にした上での論議、論争は原子力エネルギー推進派にとっては好都合かもしれませんが、大局的な見地からは小さな問題です。

<北海道新聞社説>吉田長所報道 なぜ誤報 検証が必要だ

 朝日新聞は東京電力福島第1原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏=2013年死去=が政府事故調査・検証委員会に語った、いわゆる「吉田調書」をめぐる命令違反の記事を取り消した。

 木村伊量(ただかず)社長が記者会見し、謝罪した上で誤報を生んだ社内の改革に道筋がつけば速やかに進退を決断すると述べた。

 ことは新聞全体に対する信頼に関わる問題である。記事を撤回し、責任者が進退に言及すれば済むものではあるまい。

 なぜ誤ったのか。朝日新聞は検証し、原因をつまびらかにする。それが報道機関としての自浄能力であり、不信を払拭(ふっしょく)する道だ。

 「吉田調書」報道は今年5月20日、「所長命令に違反、原発撤退」との見出しで紙面化された。

 調書を独自入手してまとめたという記事は、2号機で衝撃音があった11年3月15日早朝の状況を語った内容だ。

 記事の肝はこうだ。

 吉田氏は「高線量の場所から一時退避し、すぐに現場に戻れる第1原発構内での待機」とテレビ会議で命令したが、所員およそ720人の9割が命令に従わず、10キロ南の第2原発に撤退していた―。

 その中には事故対応を指揮するはずだった部課長級の社員も含まれ、記事は東電内規にも違反する可能性があると指摘した。

 事故現場での東電の態勢に重大な疑義を抱かせる内容である。

 ところが政府が公開した調書の中で吉田氏はテレビ会議の詳細に触れず、「第2原発に行ったのは正しかった」とも証言、命令違反がなかったという認識を示した。

 ここが記事内容と大きく食い違う点だ。朝日新聞は会見で問題のテレビ会議での指示について、所員から裏付けがとれていなかったことを認めた。

 一連の経緯について、朝日新聞は引き続き検証するという。取材や執筆の過程のどこで、どう間違えたのか。具体的に把握し、説明してもらいたい。

 一方、政府にも注文したい。

 事故調は700人超の関係者から1500時間にわたって聞き取りを行った。調書は吉田証言に限らず、過酷な原発事故の本質を明らかにする重要な資料である。

 安全対策などに生かせるはずだ。原発の再稼働を急ぐ前に、政府はできるものから公開し、国民の判断を仰ぐのが筋だろう。

 報道機関の使命は言うまでもなく「迅速で正確な報道」である。自戒したい。