“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

世界の億万長者 前年比7%増加 

2014年09月18日 12時53分55秒 | 臼蔵の呟き

貧富の格差が、許容できないくらいの規模になりつつあることを示しています。富めるものはますます富み栄える。貧しさは貧しさを再生産しその貧困家庭、生きることが精一杯の人々を増やし続けています。

このような格差が、社会の安定性を脅かし、秩序を破壊する働きを行っています。テロ行為は貧しさを温床として拡大、増殖しています。イラク、アフガニスタンにおけるアメリカを中心とする戦争、破壊行為がテロリストを生み出し、次々とテロリストを再生産しています。イスラム国もその1つです。皮肉なことです。

日本においても分厚い中間層、中産階級が存在した時期がありますが、自民党型政治、経済政策の結果、一部の富裕層、巨大企業、金融資本が生まれる一方で、90%の普通の勤労者、貧困層が形成されるに至っています。年収300万に満たない世帯が大半になるような政治経済が、長期化し、固定化することは許されるものではありません。国民の生きる権利、平等公正な社会、基本的人権とは何かが問われているのだと思います。政治がその問いに答える義務があります。

<wsj>世界の億万長者 前年比7%増加 資産10億ドル超は2325人

 世界の億万長者クラブは拡大し続けている。

 シンガポールに本拠を置く富裕層向けコンサルティング会社ウエルスXとスイスの金融大手UBSがまとめた「ビリオネア・センサス2014」によると、少なくとも10億ドル(約1070億円)の純資産を保有する億万長者の数は昨年より7%(155人)増え、6月時点で2325人になった。このリポートは17日に公表される。 

 億万長者の平均像は――男性、63歳、純資産31億ドル。男性が全体の88%占めている。また過半数(54%)は一代で財産を築いた。残りは相続か、もしくは相続と合わせて自ら財産を築いた人たちだ。

 彼ら全体の資産は6月までの1年間で4.4%増えた。堅調な株式相場もその一因だ。ちなみに、同じ期間のS&P500指数のリターンは20%だった。

 億万長者たちは多額の現金も保有している。平均で資産の19%にあたる6億2000万ドル相当は流動性資産だ。UBSウェルス・マネジメントで超富裕層を担当するサイモン・スマイルズ最高投資責任者(CIO)は、富裕層による投資行動の傾向のひとつとして、中国のような急速に成長している新興国におけるタンパク質の消費量の伸びに着眼し、関連分野に資金を投じていることを挙げた。スマイルズ氏によると、富裕層はこうした分野に株式市場を通してではなく、プライベートエクイティ(未公開株投資会社、PE)や直接投資などで投資している。


廃炉 抗うのが不自然だ

2014年09月18日 10時58分08秒 | 臼蔵の呟き

<福井地裁判決>

 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。

 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

9 被告のその余の主張について

 他方、被告(関西電力)は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。

 また、被告は、原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。

 

<東京新聞社説>廃炉の時代 抗うのが不自然だ

 関西電力美浜原発1、2号機など、稼働四十年前後の老朽原発が廃炉に向かう。寿命に従い、廃炉事業で地元の雇用を確保しつつ、自然エネルギーへの転換を図る-。それが自然な成り行きだ。

 万物には寿命がある。当たり前のことではないか。

 傷をふさぎ、部品を取り換え、無理に使い続ければ、不都合が噴出するのは、当然だ。ましてや、強大な核エネルギーを内部にはらむ原子炉のことである。“健康で長寿”を保つ困難は、想像に難くない。原発の寿命はかねて、三十年とも四十年とも言われてきた。ところが一九七〇年代初めに稼働した福島や美浜、敦賀など、第一世代の原発がそれに近づくと、事業者は老朽化を経年変化と呼び変えて、延命を模索し始めた。

 関西電力は3・11以前の二〇一〇年、美浜1号機は最長五十年の運転継続、2号機も一一年に、四十年を超えて動かす方針を打ち出した。

 巨額の初期投資が必要な原発は、長く使えば使うほど、利益を上げられるからだ。しかし震災後、風向きが変わり始めた。

 昨年施行の原子炉等規制法は、原発の寿命を原則四十年と規定した。だが、原子力規制委員会の通常より厳しい特別点検に合格すれば、最大二十年の延命が一回限り、許される。地震国日本の実情などとは関係なく、米国の方針転換に追随した結果である。

 廃炉にしても、それに伴って排出される放射性廃棄物の処分にしても、避けては通れない道である。膨大な費用と時間がかかる。先送りすればするほど、電力会社の負担は重くなる。

 福島の事故は、教えている。

 原発は一電力会社の手に負えるものではない。国策の支えがなければ、経済的にも見合わない。傷痕はあまりに深く、新増設が受け入れられる余地はない。

 省エネは社会に定着しつつあり、この夏も原発なしで乗り切った。原発延命のための投資を風力などに振り向けていく方が、電力会社にとっても得であり、合理的なのである。

 九州電力は稼働三十八年の玄海1号機、中国電力は四十年を経た島根1号機の廃炉を検討し始めた。大型原発再稼働への地ならしと見る向きもあるようだが、安全寿命に従うという常識が、常識として定着するよう求めたい。

 四十年。電力会社自身が原発依存を脱する好機である。


スコットランド きょう住民投票

2014年09月18日 09時40分33秒 | 臼蔵の呟き

<報道記事>スコットランド きょう住民投票 独立反対派4ポイントリード

スコットランドの英国からの独立を問う住民投票は18日に行われる。16日夜に発表された三つの世論調査は、いずれも反対が4ポイントリードしている。賛成が過半数になれば、1707年にイングランドに合併されて以来、307年ぶりの独立が決まる。

 英国の分裂は国際的な地位低下にとどまらず、通貨ポンドの急落による経済の混乱も懸念される。世界各地の独立運動にも影響を与えそうだ。

 投票は午前七時~午後十時(日本時間十八日午後三時~十九日午前六時)。開票結果は十九日早朝(同午後)には判明する見通し。スコットランド在住の十六歳以上が投票でき、97%にあたる四百二十八万五千三百二十三人が有権者の登録をした。

 世論調査では反対が大幅リードを保っていたが、八月以降、賛成が急伸。終盤になって大接戦となり、僅差が予想される。

 独立運動を率いるスコットランドのサモンド行政府首相は、今は英国庫に入っている北海油田の税収を元に、社会保障に手厚い「より公正でより豊かな国」づくりを理想に掲げ、実現には独立をと主張する。

 一方、反対の人たちは独立後の通貨や税収の行方を不安視。経済状況が悪化するとの懸念を強めている。

 スコットランドでは、産業の構造改革を進めたサッチャー政権(一九七九~九〇年)時代に中央政府への反発が強まり、九九年に自治議会が復活。二〇一一年には独立を公約にしたスコットランド民族党が議会選で勝利。英政府は翌年に住民投票の実施に合意した。

<毎日新聞>住民投票 社会二分

スコットランド独立を巡る論争

 独立の賛否を巡り揺れる英北部スコットランド。18日の住民投票を直後に控え、中心都市エディンバラでは賛成、反対両派がボランティア運動員を動員し、戸別訪問など徹底した「どぶ板」型運動を展開している。歴史的な投票に向けた過熱ぶりで社会は真っ二つに割れ、いずれが勝利しても深い傷痕を招く恐れを感じた。

 「何で独立に反対するんだ」−−。反対派の戸別訪問に同行中、小学生3人が運動員の周りをぐるぐる回りながらこう叫んだ。訪問先で賛否両派の運動員がかち合うことも多い。双方の訪問攻勢にうんざりし、投票の意思を尋ねる質問に「聞かないで」と突っぱねる人もいた。「独立に反対だが、誰にも言わないで。周りには知られたくない」と声を潜める別の住民のそぶりからは、地域住民を覆う緊張感が伝わる。

 17日は朝から曇り空で、時折雨が降った。独立賛成派の事務所で配布用の冊子を受け取ったグラスゴー生まれの電気技師、フラムさん(58)は「明日は待ちに待った日だ」と意気込む。英政府がイラク戦争に参戦したことで政府への不信を強めた。ニュージーランドから移住した経営コンサルタント、ガバンさん(62)も独立によって反核政策をとることに期待している。

 独立反対派も必死だ。16日夕、住宅街では10人のボランティアが2人1組で各戸をしらみつぶしに訪ねて回った。イングランドから運動に駆けつけたパターソンさん(31)は、グラスゴー出身の父と、ヨークシャー(イングランド)生まれの母を持つ。「私はあくまで英国人。独立はスコットランド、英国双方にリスクが大き過ぎる」と話す。

 スコットランドの独立を巡っては、核保有を中心とする安全保障や英通貨ポンドの扱いなどで、賛否両派の見解は真っ向からぶつかり合う。比較的恵まれた層は変化を嫌って独立に反対し、現状に不満を持つ層が独立を支持する傾向はあるものの、高所得者や高学歴者の中にも環境問題や反核政策への支持から独立を支持する人々がいる。

 さらに、イングランドで最近強まっている反移民、反欧州連合(EU)感情を受け、EU諸国などからスコットランドにやってきた移民の間には、独立を支持する傾向がある。ポーランド国籍で投票権を持つパレスチナ人のタクシー運転手、フセインさん(41)は「地域や民族が自分たちの意見を政策に反映させるには独立が重要だ」と話した。

 17日、幹線道路で「イエス(賛成)」のポスターを掲げていたガーディンスさん(62)は、英国で広がる貧富の格差への反発から運動に参加したという。だが、最近の賛否両派の対立について、「あまりに拮抗(きっこう)しているので双方が激しくののしり合うようになっている。どちらが勝っても、投票後には和解活動が必要になるだろう」と、かみしめるように話した。


スコットランドの住民投票

2014年09月18日 05時59分38秒 | 臼蔵の呟き

独立賛成派が過半数は本当だろうか?

今頃になって泣き言を言っても仕方がないのでしょう。イギリスがスコットランド自治、住民を大切にしてきたら、このような住民投票があったとしても分離独立したいと言わなかったのだと思います。したがって、このFF記事で言うようなスコットランド住民の批判はある意味であたっていないと思います。スコットランド住民から言わせれば、勝手なことを言うなということになるのでしょう。

この記事で民主主義について触れていますが、住民投票で分離独立が決定できると言うことはすごいことです。このことでスペインなど、民族紛争地帯を国内に抱える地域は戦々恐々としているとも言われています。しかも、住民投票の投票率が低くても、一票でも独立賛成が多ければ、独立との協定もすごい政治的な内容です。そのことの持つ重みをイギリス政府(イギリス支配層)は正確に認識せず、住民投票で否決されるだろう事(のみ)を想定してスコットランドの代表者と話し合い、政治的協定を結んだことも漫画のようで面白いことです。

新自由主義の権化、アメリカの言うままの政治軍事、徹底した階級社会、先進工業国、国連常任理事国イギリスがーーー人口減少、油田の権益がほとんど無くなるーーー現代社会では考えられないような出来事にはびっくりです。

どこかの国の政権が集団的自衛権行使容認などと寝ぼけたことを言っています。歴史の改ざんと軍国主義的認識、政治感覚には驚くばかりですが、資本主義の権化、産業革命の発祥の地、イギリスの政治指導者にもびっくりします。でも、イギリスの政治指導者のほうが国民の意思を尊重すると言う点では、はるかに優れています。このFinancial Timesの主張こそ、ご都合主義ではないかと思うのですが。

【報道】英国北部スコットランドの独立の是非を問う住民投票が18日、実施される。世論調査では賛否が割れ、接戦とみられる。賛成が過半数になれば、1707年のイングランドとの統合以来、約300年ぶりの独立が決まる。

 独立なら、英ポンド下落など経済混乱が予想され、英国の国際的影響力が低下、キャメロン首相は辞任圧力にさらされそうだ。世界各地でくすぶる独立運動も勢いづかせ、英国内の北アイルランドやウェールズに波及する可能性も指摘される。

 キャメロン首相は土壇場になって自治権拡大を約束。英政界は与野党挙げて残留の働き掛けを強めている。

< Financial Times>

民主主義の素晴らしいところは、考えを変えられることだ。民主主義は冷静な計算だけでなく、発作的な怒りにも場所を与えてくれる。ひとまず、ならず者を追い出しておいて、もし彼らに代わる新しい人たちが期待を裏切ったら、次に考え直すことができる。

 スコットランドの独立に関する住民投票は違う。高価な買い物をした後に選択を間違ったと後悔する余地はない。ひとたび解体されたら、連合を取り戻すことはできないのだ。

 英国国外へ旅行すると、絶えず耳にする質問は実に単純だ。一体なぜなのか? 世界で最も成功している多民族国家の1つが、どうしてそのような意図的な自傷行為を検討できるのか、という質問だ。

 こうした海外の観察者たち――米国の外交官や欧州の政治家、中国の学者たち――は、古い灰から不死鳥が蘇る姿は想像していない。彼らは、スコットランドが目立たない見当外れの未来に向かおうとしており、バラバラになった英国が衰退を受け入れる方向にまっしぐらに進んでいる姿を想像している。

 筆者は、米国、インド、欧州連合(EU)、中国の政府関係者の中で、誰一人として分離がスコットランドと英国にとって良いことだと言うのを聞いたことがない。困惑したインドのスシュマ・スワラジ外相は9月初旬、スコットランドが実際に分離を選択する可能性があると聞かされた時、「とんでもないことだ!」と言った。

 グローバル化が生み出すナショナリズム

  だが、スコットランドの分離に対する支持の高まりはある意味で、より大きな図式に合致している。グローバル化はナショナリズムを生み出している。自由市場の厳しい風にさらされて、市民は先祖返り的なアイデンティティー――時に民族的、部族的なものであり、時に宗教的なもの――の中に逃げ込んでいる。

  スコットランド民族党(SNP)のアレックス・サモンド党首は、部族への忠誠を呼び覚ましている。スコットランドらしさによって定義付けられる国家は、単独の方がうまくやっていける、とサモンド氏は話している。これは信頼につけ込む詐欺のようなものだ。

 だが、欧州各地のナショナリストたちも――大半はサモンド氏よりもっと明白な外国人嫌いと言っておくべきではあるが――、同じ妄想を売り込んでいる。

  スコットランド人はかつて、世界各地を制覇した大英帝国の冒険家であり、行政官だった。今は帝国がすべてなくなってしまったため、接着剤が弱くなったと言われている。ところが実際は、過去300年間で、英国という連合王国を構成する国々が分離するのが今以上に馬鹿げていた時代を想像するのは難しい。

大国間の競争の時代における繁栄と安全保障は、多様なアイデンティティーを心地良く感じる人々、共通の努力において結束する人々に属している。

世論調査会社は、住民投票の結果は接戦で勝敗の予想がつかないと言っている。連合支持派内ではパニックが起き、保守党、労働党、自由民主党は急遽、9月18日の投票で分離に「ノー」と言った場合、その後すぐにエディンバラの議会に新たな権限を移譲することをスコットランドの有権者に保証する計画を作っている。

 そのため、選挙戦の終盤は、間違いなく勢いと冷静さの間の戦いになるだろう。サモンド氏は、分離賛成派のエネルギーと興奮によって勝利がもたらされることを望んでいる。

 一方の連合支持派は、有権者が真剣に考えてくれることを祈っている――分裂の差し迫ったリスクについてだけでなく(そうしたリスクは確かに重大だが)、連合の枠内にとどまって自治能力を持つスコットランドを作る可能性についても、だ。

 サモンド氏は追い風を受けている。欧州政治の気分を最もうまく表す言葉は、幻滅感と不信感だ。サモンド氏は、支配者層の人間だが、自らを反体制派の指導者として打ち出した。臆面もない冷笑主義はともかく、同氏の政治的な巧さは称賛せざるを得ない。投票が近づくにつれ、SNPは、市民ナショナリズムのベールをはぎ取り、アイデンティティー政治という暗いゲームを展開している。

すでに始まった罪のなすり合い

 ウェストミンスターでは、すでに罪のなすり合いが始まっている。住民投票で独立賛成派が勝てば、大勢の人に行き渡るだけの責任問題が生じる。真っ先に攻撃を受ける立場にいるのはデビッド・キャメロン英首相だ。

 首相の怠惰な無関心がなかったら、スコットランド人は18日、彼らの多くが望んでいると言っていた決着――つまり、連合内での自治――に賛成票を投じることができたかもしれない。

 ところがキャメロン氏は、住民投票は連合か分離かの二者択一だと主張した。今、キャメロン氏は前言を撤回せざるを得なくなっており、当初は投票用紙に記載することを拒否した「最大限の権限移譲」をスコットランドに提案しているが、時すでに遅しかもしれない。

 長期的には、スコットランドは独立国家として繁栄する可能性が高い。だが、サモンド氏は、非現実的な希望的観測を経済的現実から切り離すことを拒んでいる。スコットランドは、経済のみならず、政治、文化の面で英国の残りの地域との継ぎ目のない交流という計り知れない利益を失うことになる。

 ナショナリストたちは、分離後にやって来るであろう深刻な経済的打撃も軽く扱っている。金融市場はすでに、ちょっとした予告をしている。スコットランドは一夜にして、金融サービス業の多くを失い、外国からの投資は干上がるだろう。

「個人的なことは何もない」。南へ向かう計画を立てているスコットランドのある大手金融機関のトップはこう言う。「厳密にビジネスの問題だ。我々はリスクを取ることはできない」

スコットランドが分離・独立したら、イングランドは・・・

 英国の他の地域の連合支持派は、少なからず私利があることを認めるべきだ。スコットランドを失えば、考えられるほぼすべての面で英国は衰えるだろう。不安は、経済的な混乱や国際的影響力の喪失よりもっと深いところにある。分離に賛成票が投じられれば、国境の南でアイデンティティー政治――つまり、イングランドのナショナリズムの台頭――を醸成する可能性が高くなる。

 スコットランドにとってのサモンド氏は、イングランドにとっての英国独立党のナイジェル・ファラージ党首だ。イングランドが単独国家であれば、EUを離脱することが十二分にあり得る。

 連合支持派の現在の望みは、旧体制に石を投げる誘惑に切に駆られているものの、そうした選択がどれほど決定的なのか恐らくまだ確信が持てずにいる人たちにかかっている。そうした人は、海外の友人たちから投げ掛けられた「なぜか」という質問を考えてみるのも悪くない。

 住民投票で独立に「イエス」と言うことは、単にまた投票用紙にチェックマークを入れ、結果次第であとで考え直せばいい話ではない。分離は永遠なのだ。