“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

TPP協定交渉

2014年04月08日 09時13分50秒 | 臼蔵の呟き

TPP交渉を妥結、促進するための露払いとして、オーストラリアとの貿易交渉が進みました。自動車の関税を引き下げさせるために、牛肉の関税を日本側が下げる。との交渉は、トヨタ、ホンダ、日産などの多国籍企業の売り上げ増加、利益貢献のために、日本の畜産農家を生贄として差し出す交渉を意味しています。ここに見えることは、食料自給率をどう改善し、高めるのか。また、食料の安心、安全をどのように確保し高めるのかとの政治的な検討配慮が全く欠如しています。

アメリカは、オーストラリアとの交渉が促進すれば、アメリカの要求が前進するかもしれないとの思惑も働いています。4月24日来るオバマ大統領との会談の手土産としての準備、お膳立てとしたい。これが安倍、自民党政権の思惑です。アメリカのご機嫌をとることが重要なことなのかどうかを考える必要があります。そもそも、昨年12月の安倍が靖国神社参拝をしたことで、アメリカ政府の日本政府への失望(外交用語では他国の行為を強く批判すること)表明、アメリカとの政治的なギクシャクを少しでも緩和させたい。そのこととTPP交渉妥結促進は交換するような政治経済課題ではありません。

北海道の畜産業は、中心的な産業であり、このような交渉内容は1次産業を破壊するような意味を持っています。畜産業の衰退、廃業が進むことはあきらかであり、地域経済の衰退は大きな問題です。国内農業、畜産業などの1次産業の展望を示すことなく、なし崩し的な交渉促進は容認できるものではありません。

<wsj記事>

【東京】日本とオーストラリアは7日、経済連携協定(EPA)交渉で大筋合意した。アジア太平洋地域の他国を含めたより幅広い貿易交渉の布石となる可能性がある。安倍晋三首相は来日したオーストラリアのアボット首相と会談し、7年間の協議を経た基本合意にこぎ着けた。日本はこれまで農産物輸出大国とEPAを結んだことがない。

 両国ともこれにより、米国を含めた12カ国で進める環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が加速すると期待している。TPP交渉は農産物の関税撤廃を求める米国と、関税率の引き下げにとどめたい日本の考えが折り合わず、暗礁に乗り上げている。

 日本とオーストラリアの取り決めでは、主要な農産物に関して関税が残された。オーストラリア産牛肉の輸入関税率は38.5%から20%近くに低下する見通し。その代わりオーストラリア政府は、日本の自動車に適用する5%の輸入関税をEPA発効から3年後に撤廃する意向だ。

 両国はできるだけ早期に交渉を完了し、最終合意を目指す考えを明らかにした。

<毎日新聞社説>

 日本とオーストラリアとの経済連携協定(EPA)が大筋合意した。最大の焦点だった豪州産牛肉の輸入関税引き下げで両国が折り合ったためだ。

 牛肉は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、日本が関税の撤廃から守ろうとしている「聖域」の一つである。豪州はTPP交渉にも参加している。今回の成果を行き詰まっている交渉の打開につなげてほしい。

 安倍晋三首相と豪州のアボット首相が東京都内で会談し、豪州産牛肉の輸入関税を現在の38.5%から段階的に20%前後に引き下げ、豪州側も日本車の輸入関税(5%)をゼロにすることで合意した。詳細な条件を詰めて今夏にも正式に調印する。

 日本にとって豪州は中、米、韓国に次ぐ4番目の貿易相手国だ。垣根が低くなるメリットは大きい。日本からの最大の輸出品目である自動車に関して豪州は既に、韓国からの関税をゼロにすることを決めている。国内メーカーはこれで、対等な条件で競争できることになる。豪州は石炭や鉄鉱石、天然ガスなどの輸出国でもある。今後は一段と安定した資源の調達が期待できるだろう。

 もっとも、日本にとっては農業大国との初めてのEPAである。農家の不安は根強い。政府は豪州に、国内牛肉と競合する冷蔵肉の関税を加工食品用の冷凍肉より高い水準に維持し、それでも輸入が急増した場合には輸入を制限できる「セーフガード」を認めるよう求めた。所得補償などの国内対策と併せて畜産農家への影響緩和に意を尽くし、自由化の成功例にしなければならない。

 2007年に始まった日豪EPA交渉が急加速した背景には、日本のTPP交渉参加がある。そこでの日本の最大の難敵は米国だ。日米交渉では、牛肉を含む主要農産品5項目の関税撤廃を求められている。

 日本の輸入牛肉は半分強が豪州産だが、牛海綿状脳症(BSE)に伴う禁輸措置を解除された米国産が、シェアを伸ばしつつある。豪州とすればTPP交渉が難航している間に、関税を引き下げられれば米国との競争で有利になる。そうした思惑が、大筋合意を急がせたようだ。

 裏返せば今後は、日米交渉が遅れるほど米国の不利益が大きくなるともいえる。日米交渉では現在、牛肉・豚肉が特に大きな争点になっている。TPP交渉に参加している豪州と関税「引き下げ」で合意したことは、米国へのけん制になるはずだ。

 日米交渉の行き詰まりがTPP交渉の最大のネックになっている。それを打開するため、今回の結果をしたたかに利用する交渉戦術を期待したい。


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