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ワニと読むミステリ(スイート・ホーム殺人事件)

スイート・ホーム殺人事件〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
クレイグ・ライス
早川書房
945円(価格は変わる場合があります)

Home Sweet Homicide (Rue Morgue Vintage Mysteries)
Craig Rice
Rue Morgue
1,340円(価格は変わる場合があります)

読むと、どうしても許せないこともあります。
 
(クレイグ・ライス著)
 最初に読んだのはいつなのか、もはや記憶にないくらい前です。新訳というのでもう一度。
 こんなにおもしろかったのか!と再確認しました。
 カーステアズ家は、マリアン(母)、ダイナ(長女)、エイプリル(二女)、アーチー(長男)の4人家族です。母はミステリ作家で毎日朝から晩までタイプライターの音を響かせています。ミステリを書き出すと熱中するあまりターキーを砂糖入れにしまってしまったりもしますが、そんな母を守るように3人の子どもたちは家事をしっかりこなしています。ある日、3人が玄関ポーチでおしゃべりしていると、銃声が2発聞こえ、3人は大急ぎでお隣に駆け付けると、お隣の人が殺されています。そこから3人の殺人事件の捜査が始まります。母マリアンのミステリをよく読んでいる3人には殺人事件の捜査なんてお手のもの。
ダイナ、エイプリル、アーチーに加え、ギャング団(10-12人の男の子)たちが縦横無尽に走り回り、犯人を追い詰めていきますが、子どもたちがそれぞれの役割を真剣に果たすのがなんともいえずかわいいですね。
そして、殺人事件に加え、3人は母マリアンに最高の伴侶を見つけようといろいろと画策しますが、そのたくらみは成功するのでしょうか。
 巻末の解説をみると、未訳の作品がたくさんあるようです。全部翻訳して、さらに旧訳は新訳にして、ぜひ出版してもらいたい。
 そのためには、みなさん、クレイグ・ライスを読みましょう。
 こんなにおもしろく、夢中で読んでしまうミステリにはなかなかお目にかかるものではありません。クレイグ・ライスに会えたのは幸せです。

 ■その他の作品
 終わりのページ近くで、母マリアンと友人が共通の友人について話していますが、その時にでてきたのが、ジェイク・ジャスタス。ジェイクはヘレンと結婚したばかりのようです。
クレイグ・ライスのJ・J・マローン弁護士のシリーズです。
  素晴らしき犯罪
 ちょっとこうやって別のシリーズについての記述がでてくるのはうれしいですね。

■ビル・スミス
 事件を担当するのは、ビル・スミス警部補です。なんだか聞いたような気のする名前だなあと思ったら、S・J・ローザンのリディア・チンとビル・スミスの私立探偵コンビでした。
 冬そして夜

主人公: ダイナ(カーステアズ家の長女 14歳)
エイプリル(二女 12歳)
アーチー(長男 10歳)
場所:  USA
グルメ: なし
動物:  ネコ:インキー、スティンキー、ジェンキンズ
カメ:ヘンダーソン
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(チューダー王朝弁護士シャードレイク )

チューダー王朝弁護士シャードレイク (集英社文庫)
C・J・サンソム
集英社
1,103円(価格は変わる場合があります)

Dissolution (Shardlake)
C.J.Sansom
Pan Books
1,155円(価格は変わる場合があります)
読むと、不当な仕打ちは返ってきます。
 
(C・J・サンソム著)
 ヘンリー8世は自ら英国国教会の長であると宣言します。新しい法律が作られ、不正な審理がまかり通り、網の目のように密告者が暗躍して、国中が不穏な空気です。トーマス・クロムウェル卿の指揮のもとに、修道院を調査するとして監督官たちが国中に派遣されます。その目的は1つ、修道院の解散です。
サセックス、スカーンシアの聖ドナトゥス修道院ではさまざまな問題があり、正常な運営とは言えない状態が続いています。クロムウェル卿から派遣された監督官ロビン・シングルトンが死体で発見されますが、首が切り離されているという痛ましい殺人です。恐ろしい殺人者は、祭壇に黒いオンドリの血を流すという冒涜を働き、修道院で大切にされていた聖遺物が消えてしまいます。殺人の調査に派遣されたのは、改革支持者でありクロムウェル卿の信頼を得ているマシュー・シャードレイク弁護士です。修道院は背信と死の匂いに満ちて、シャードレイクは調査するにしたがって、すべてに疑惑を持つようになります。

弁護士シャードレイクのシリーズ第1弾です。ミステリの舞台は、1537-8年にかけてのヘンリー8世の時代で、ちょうどアン・ブーリンがロンドン塔で処刑されたころです。このあたりの時代は血なまぐさいですね。
このころの修道院がどういう風に運営されて、どんな風に腐敗していたのか、が詳しく語られていてこちらのほうも興味深いです。修道院が解散させられていくのですが、ずいぶんと乱暴なやり方で、改革とはこのように急激なものかと時代の変わる時のエネルギーを感じますね。それにしても冤罪を作り出すのも目的のためなら当然というのは恐ろしいですが、現代でもこれほどあからさまではなくてもあることなのでしょうか。
シャードレイクは、脊柱後湾症でそれがコンプレックスになって好きな女性がいてもなかなか踏み込めないのですが、「がんばれ!」と言いたくなりますね。
シリーズは続くようなので、この時代の理解が深まるかもしれません。

 ■ヘンリー8世時代のミステリ
 ポール・ドハティのロジャー・シャロット(密偵)の作品があります。
    白薔薇と鎖
 ヘンリー8世の時代は、題材として魅力的なのかもしれません。

主人公: マシュー・シャードレイク(チューダー王朝弁護士)
場所:  イギリス、スカーンシアの聖ドナトゥス修道院
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(モカマジックの誘惑)

モカマジックの誘惑 (RHブックス・プラス)
クレオ・コイル
武田ランダムハウスジャパン
998円(価格は変わる場合があります)

Murder by Mocha (Coffee House Mystery)
Cleo Coyle
Berkley
765円(価格は変わる場合があります)

読むと、近くにいても意図は見抜けません。
 
(クレオ・コイル著)
 クレア・コージーは40代の離婚独身女性で、ニューヨークのビレッジブレンド・コーヒーハウスのマネージャーです。何にでも興味を持ち、おかしなことが起こるとそれを正すのは自分の使命だと思っています。
コーヒーは恋愛生活を高めるのに役立つのでしょうか。ビレッジブレンドは、媚薬入りコーヒードリンクと提携することになり、ビレッジブレンドのコーヒー豆を提供することになりました。新製品のモカマジック・コーヒーには、ハーブの媚薬が加えられています。これには巨額の売り上げが期待されていて、アフロディテの有名な女性向けのオンライン・ショップで独占販売されることになっています。しかし製品発表パーティで、販売担当者の一人が殺されてしまい、クレアは誰かがコーヒーの極秘調合をあやつろうとしているのではないかと疑惑を持ちます。そしてそのためには殺人も犯すかも。クレアは冷酷な殺人者を見つけることができるのか、それとも次の襲撃リストに載ってしまうのか?

クレア・コージーのコーヒーハウス・ミステリももう10作目です。すでに12作まで出版されているようですので、まだ翻訳が楽しめますね。
媚薬入りのコーヒードリンクなるものが販売されることになるのですが、発売前に試したクレアたちには絶大な効果があるようで、こんなものが出たら大成功間違いなし、と思われますが、実はとんでもない秘密があります。これに似たような話をどこかの国のレストランで起こったのをTVで見たような気がします。発想はどこでも一緒かもしれませんね。
クレアの恋愛生活はどうかというと、マイクとの関係は相変わらずですが、いろいろな人から結婚を考えたらどうかと迫られ、二人の関係も発展するのかと思いきや、なかなかジャンプまでは踏み切れないという40代の恋愛は難しそうです。
犯人の独白が途中途中に挟まれて、不気味さを盛りたてます。が、それほど緻密な推理というわけではありません。ま、コーヒーの豊潤な香りに免じて許しますか! モカマジックは遠慮したいですが。
ネコのジャヴァはまったく登場しなくなりました。
クッキー、ラテ、料理のレシピが巻末にあります。

 ■既刊
 コーヒーのうんちくがいっぱいです。

   名探偵のコーヒーのいれ方
   事件のあとはカプチーノ
   秋のカフェ・ラテ事件
   危ない夏のコーヒー・カクテル
   秘密の多いコーヒー豆
   コーヒーのない四つ星レストラン
   エスプレッソと不機嫌な花嫁
   クリスマス・ラテのお別れ
   深煎りローストはやけどのもと

 ■紅茶党ならば

  ローラ・チャイルズのインディゴ・ティーショップのシリーズがあります。すでに翻訳は11冊まで出ています。最新刊はこちら。
  ミントの香りは危険がいっぱい

主人公: クレア・コージー(ビレッジブレンドのマネージャー)
場所:  USA、ニューヨーク
グルメ: コーヒーとお菓子
動物:  なし
ユーモア: 中

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ワニと読むミステリ(動かぬ証拠はレモンクリーム )

動かぬ証拠はレモンクリーム (ドーナツ事件簿)
ジェシカ・ベック
原書房
880円(価格は変わる場合があります)

Fatally Frosted: A Donut Shop Mystery (Donut Shop Mysteries)
Jessica Beck
Minotaur Books
566円(価格は変わる場合があります)

読むと、財産の築き方はいろいろ。
 
(ジェシカ・ベック著)
 エイプリル・スプリングズでは、“すてきなキッチン拝見ツアー”なるものが開催されようとしています。そこで、忙しく会場を見まわっている委員が、スザンヌの店のレモンクリームドーナツを握りしめて死んでいるのが発見されます。警察はすぐにスザンヌの店に急行し、キッチンを徹底捜査し、手掛かりを見つけようとします。スザンヌにとっては店の存続が危ぶまれる最悪の事態です。スザンヌを心配する州警察捜査官ジェイクや友人たちの力を借りて、事件解決に乗り出しますが、町の人たちにはいろいろな秘密があり、聞き込みは難航します。

 今回は町のイベントが事件の現場です。
 豪邸の自慢のキッチンをツアーしてまわるというイベントですが、こんな催しが実際にあるのでしょうか。実際にキッチンで実演をするというので、スザンヌはマージに頼まれて、マージの新品・豪華なキッチンで特製ベニエを作ることになります。ベニエって何?と思ったのですが、巻末にレシピが載っています。少々時間がかかるようですが。
 この作品でもいろんなドーナツを作るところが出てきて、おなかが“ぐー”といいそうです。ジョアン・フルーク作のクッキー・ジャーのオーナー、ハンナ・スウェンセンのシリーズもそうですが、やたらとおいしそうなので読んでいるうちに何か食べたくなりますね。
スザンヌのまわりでは相変わらずスザンヌの元夫は、スザンヌとよりを戻したいといいながらも、離婚の原因となった女性と一緒に食事をしているところをスザンヌに見られたりして、少しもこりていないようです。
 恋人のジェイクは仕事が忙しすぎてなかなかデートの時間がとれません。これからの二人の仲が心配になりますね。新たな展開があるのかな、と思わせるようなところもあり、次の作品に興味をつなぎますね。
 ミステリとしてはそれほどの推理はなく、まぁこんなもんでしょうという感じです。
 楽に読めるというのが良いところでしょうか。
今回も巻末にレシピがあります。

  ■既刊
  1作目では、スザンヌの店の前に死体が投げ出されます。
 午前二時のグレーズドーナツ
   おいしい店がでてくるミステリについて、並べてみました。
  
主人公: スザンヌ・ハート(〈ドーナツ・ハート〉のオーナー)
場所:  USA、ノースカロライナ州エイプリル・スプリングズ
グルメ: ドーナツ
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(俳優パズル)

俳優パズル (創元推理文庫)
パトリック・クェンティン
東京創元社
1,050円(価格は変わる場合があります)

読むと、作者は知っている。
 
(パトリック・クェンティン著)
 ピーター・ダルースは名プロデューサーとして知られていましたが、アルコール依存症で入院していました。それもようやく治療ができ、ピーターは今回またプロデューサーとしての仕事を復活することになります。すばらしい脚本を得ることができたピーターは成功を確信していましたが、いざリハーサルが始まってみると誤算続きで、劇の行方が怪しくなってきます。最初に予定していた劇場が急に変更になり、幽霊話のあるような過去のいわくつきでかなり傷んだ劇場があてがわれ、ネズミが走り回っています。俳優たちはそれぞれに問題をかかえ、それだけでも頭が痛いのに、離婚された夫が劇場に入り込んできたりでリハーサルは散々です。そして幽霊を見たといいながら舞台によろけてきた俳優は死亡し、リハーサル中にまた死者がでます。この劇場はうわさ通りに呪われているのか? もう初日の幕開けまでにあと数日しかないのに殺人事件まで起こり、なんとしても劇を成功させたいピーターは婚約者のアイリスとともに真相解明に奔走します。

 パズル・シリーズの2作目にあたります。1939年に出版されているようです。
 前作のアルコール依存症治療で療養所に入院していたピーターはそこでアイリスを出会うのですが、この作品中では婚約しています。無事に結婚にこぎつけることができるのか、そのあたりも見所です。
 実際になぞ解きの探偵役は、1作目の療養所の所長であるレンツ博士が中心ですね。ピーターの復活をかけたこの劇に多大な出資もしています。
 女優の離婚がとても大変なことで精神にダメージを受けるくらいの出来事になっていますが、この1939年くらいは離婚の扱いは大事件と言えるくらいだったのでしょうね。今との時代背景の違いも読んでいて面白いです。しかしなぞ解きというミステリの醍醐味はしっかりと味わうことができ、とても楽しめます。
 どんどん翻訳をだしてほしいですね。

 ■既刊
 パズル・シリーズは2作品。このほかにもパズル・シリーズは続きますので、これからの翻訳が楽しみです。
迷走パズル ←アルコール依存症を治療するべく入院した療養所で事件が起こります。パズル・シリーズ第1作。
悪女パズル ← 大富豪に招かれたピーター夫妻はそこで殺人事件にまきこまれます。パズル・シリーズ第4作。


主人公: ピーター・ダルース(演劇プロデューサー)
場所:  USA、ニューヨーク
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小

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ワニと読むミステリ(疑惑のスウィング )

疑惑のスウィング プロゴルファー リーの事件スコア 4 (プロゴルファー リーの事件スコア) (集英社文庫)
アーロン&シャーロット・エルキンズ
集英社
651円(価格は変わる場合があります)

Where Have All The Birdies Gone?
Aaron & Charlotte Elkins
Severn House Pub Ltd


読むと、フォームは大事です。
 
(アーロン&シャーロット・エルキンズ著)
 リー・オフステッドは24歳の若いプロゴルファーです。リーがあこがれても決して出場することができないと思っているのは、スチュワートカップです。一流のアメリカのゴルファーたちの男女混合チームとイギリスのゴルファーたちが戦う対抗戦です。リーはまだ一流ゴルファーとしてリストされていないので、アメリカチームのキャプテンであるロジャー・フィンリーからの電話で、アメリカチームの一員に加えられたと伝えられた時は驚きでした。リーはチームに入りましたが、最初の高揚感はすぐに心配にとってかわります。リーはりっぱにやれるでしょうか? しかしプレーが始まり、ロジャーの専任キャディーが殺されているのが発見されてからは、リーの恥をかくかもしれないという心配はそっちのけになり、リー自身も危険な目にあいます。リーは犯人を特定することができるのか?

リー・オフステッドが主人公のゴルフ・ミステリ、第4弾です。もう4冊目なんですね。
前作ではリーはトーナメント参加ではなくゴルフ・レッスンのコーチをしていましたが(その前にヒジを痛めたので)、今回は大きな大会に抽選枠で参加できることになり、最初のティー・ショットはリーが打つというドキドキもののプレーです。
スチュワートカップというのは本当にあるのかと思ったら、これは架空のゴルフ大会でした。
前作で、リーとグレアム(警備コンサルタント)は婚約しましたが、そこからなかなか進まず、なんとかなりそうですが、次回に持ち越しになりました。
リーの友人ペグは、リーの晴れ舞台とあって、このゴルフ大会の応援にかけつけ、一緒に推理します。このペグの存在が良いですね。

 ■既刊
 リー・オフステッドのシリーズはすでに3冊あります。
怪しいスライス  ← スター選手が殺されます
悪夢の優勝カップ ← ツアー初優勝が見えた!が。
邪悪なグリーン ← ゴルフ・レッスンのアシスタントです

 ■ゴルフつながり
  ゴルフ場の殺人というとポアロを思い出してしまいました。
  富豪がゴルフ場で殺されているのが発見されます。
ゴルフ場殺人事件

主人公: リー・オフステッド(女子プロゴルファー)
場所:  USA、ノースカロライナ州パインハースト
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中


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ワニと読むミステリ(予約の消えた三つ星レストラン)

予約の消えた三つ星レストラン (コージーブックス)
アレクサンダー・キャンピオン
原書房
930円(価格は変わる場合があります)
The Grave Gourmet (Capucine Culinary Mysteries)
Alexander Campion
Kensington Pub Corp (T)
1,331円(価格は変わる場合があります)

読むと、情報収集には手段を選ばないかも
 
(アレクサンダー・キャンピオン著)
 カプシーヌ・ル・テリエは、ホワイトカラー犯罪専門のパリ警視庁警部です。しかしもっと生々しい犯罪に取り組みたいと思っています。ある自動車会社の社長が有名レストランの厨房で殺されているのが発見されるという重要事件を担当することになり、望みがかないそうです。カプシーヌは変わり者の3人組と一緒に働くことになります。カプシーヌの夫でレストラン評論家のアレクサンドルからも協力を得ています。いとこで対外治安総局勤務のジャックもやたらカプシーヌの気を引こうとしながらこの事件に関係しているようです。怪しげな役員は不正取引に関係しているような気配があり、CIAも関心をもっているようで、なかなか事件の真相に近づけないカプシーヌはしだいに落ち込んでいきます。

 パリ警視庁警部 カプシーヌ・ル・テリエのシリーズ 1作目です。カプシーヌはホワイトカラー犯罪で優秀な成績を収めているのですが、なんとか殺人事件を扱いたいものだと常々切望しています。で、この事件がチャンスなわけです。高名なレストランで死体が発見されるので、当然レストランの従業員も疑われ、レストランの裏事情のようなものもいろいろと出てきます。ソムリエって、こんなことしてるのか、とか。カプシーヌの夫がレストラン評論家なので、パリのいろんなグルメも多数登場します。作者のWebsiteをみると本人もレストラン評論家だそうで、レシピもいくつか掲載されています。
事件は、殺された社長の交友関係がもとなのか、会社を巡る犯罪なのか、はたまた事件現場のレストランが関係しているのか、いろんな要素があるので、捜査もいろんな角度から行われます。グルメ探訪もあり、パリ市内の警察とのカーチェイスもあり、いろんな方面で楽しめます。
2作目のすでに出版されているようなので、また翻訳が楽しみです。

 ■フランスのグルメつながり
 フランスが舞台のミステリでグルメに関するものを見てみましたが、あまりありませんでした。
 知っているのはこの2つくらいです。

マイケル・ボンドのグルメ誌の覆面調査員のパンプルムース氏のシリーズで、パリに出張します。
     パンプルムース氏の晩餐会

ピエール・シニアックのちょっと不思議な事件です。
ウサギ料理は殺しの味
町のレストランで狩人風ウサギ料理が出された木曜日の晩には若い女性が絞殺され、その遺体のそばに扇がおかれています。

主人公: カプシーヌ・ル・テリエ(パリ警視庁の警部。28歳)
場所:  フランス、パリ
グルメ: フランス料理
動物:  なし
ユーモア: 小


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ワニと読むミステリ(家出ミツバチと森の魔女)

家出ミツバチと森の魔女 (コージーブックス)
ハンナ・リード
原書房
920円(価格は変わる場合があります)

Mind Your Own Beeswax (A Queen Bee Mystery)
Hannah Reed
Berkley
763円(価格は変わる場合があります)

読むと、盗ってはいけません、人のものはよく見えるけど。
 
(ハンナ・リード著)
 ストーリー・フィッシャーは食品雑貨店〈ワイルド・クローバー〉の店主として忙しい日々をおくっています。それに新米の養蜂家としてミツバチを貸し出したり、巣箱が荒らされたりしないようにせっせと世話をし、だんだんとミツバチも増えてきました。しかし気が付いたらミツバチは巣分かれを起こし、女王蜂は群れをひきつれて飛んでいってしまうところです。ストーリーは必死で跡を追いますが、ミツバチたちは森の方へ消えてしまいます。
ストーリーが蜜蝋を使った手作りキャンドル教室を開いていると、そこへ16年前に罪を犯し服役していたローレンが保釈になって戻ってきます。16年前の事件を思い出し、町は噂話がうるさくとびかっています。
ストーリーが逃げたミツバチを取り返そうとしていると、近くに横たわる死体を見つけてしまいます。魔女と呼ばれ、恐れられていた女性です。
ストーリーの隣人で詮索好きで記者志望のパティたちにそそのかされ、ストーリーは事件の調査にかかわっていくことになります。

今回は16年前の事件が現在によみがえり、新たな事件のきっかけとなります。学生時代に起こった事件が新たな展開を見せるというのは、よくあるパターンですが、興味をそそりますね。
またミツバチのウンチクがたくさんあります。ミツバチにはいろんな敵がいるのですね。巣箱をそれらの敵から守るため、ストーリーは様々な工夫をしています。だんだんとストーリーが養蜂家として成長していくのを見るのもおもしろいです。
ストーリーの周りの人たちも個性が光ってきました。今回は隣人のパティが何かとお騒がせです。記者になろうともくろんで、何にでも首を突っ込んで取材しまくるのは困りますね。家宅侵入を図ったり、これからもストーリーたちを困らせそうです。
恋人未満のハンターとの仲はなかなか進展しませんが、イヌのベン(ハンターのパートナーの警察犬)とは良き関係を築きつつあるのがうれしいです。ストーリーのイヌ恐怖症がだんだん薄れていくのはほんとによいことです。それに今回はチワワの雑種ディンキーがストーリーの家に居候します。
すでに2冊がでているようなので、翻訳本が早く出てほしいです。

 ■既刊
 1作目は、ミツバチたちが濡れ衣をきせられます。
ミツバチたちのとんだ災難
 これもレシピ付きです。

主人公: ストーリー・フィッシャー(〈ワイルド・クローバー〉の店主)
場所: USA、ウィスコンシン州モレーン
グルメ: なし
動物:  イヌ:ベン(ベルジアン・マリノア。警察犬)
        ディンキー(チワワの雑種)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(彼の個人的な運命)

彼の個人的な運命 (創元推理文庫)
フレッド・ヴァルガス
東京創元社
1,029円(価格は変わる場合があります)

Sans Feu Ni Lieu (Nouveau Policier)
Fred Vargas
J'Ai Lu
1,158円(価格は変わる場合があります)

読むと、恨みはずっと以前から。
 
(フレッド・ヴァルガス著)
 元内務省調査員ルイ・ケルヴェレールが探偵役のシリーズです。
 ルイを信頼して元売春婦のマルトが連れて来たのは連続殺人事件の容疑者として手配されている青年でした。ルイはボロ館に彼を預け、かくまってくれるように頼みます。ボロ館に住むのは、三聖人と呼ばれる歴史学者の若者3人、マルク、マティアス、リュシアンとマルクの伯父で元刑事アルマンです。マルトは無実を信じていますが、状況証拠は圧倒的に不利です。本当に無実なのが、ルイは疑いながらも調査を進め、三聖人たちは容疑者の面倒を見ながらルイの調査にも協力します。本当に無実なのか?

 ルイは相変わらずヒキガエルのビュフォを飼っています。時々は一緒に調査にも行きますが、その時はたびたび湿らせてやらないといけません。ルイはポケットに入れたりしているのですが、よくおとなしくしているものですね。
 三聖人がそれぞれの個性に応じて容疑者を見張り、面倒をみるのが面白いです。マティアスは先史時代専門で、土器の修復をやっているのですが、容疑者がそれを手伝うのがとても気にいって熱心にやっているのがちょっとほほえましいです。それもとても上手に。
 前作よりも三聖人の活躍の場が増えてよかったです。

 ■既刊
 三聖人のシリーズと、アダムスベルグのシリーズの2つが出ています。
 三聖人のシリーズは、2つ。
   死者を起こせ 
   論理は右手に
 
 アダムスベルグのシリーズは、
   青チョークの男
   裏返しの男
 の2つです。 

主人公: ルイ・ケルヴェレール(元内務省調査員)
場所:  フランス、パリ、ヌヴェール
グルメ: なし
動物:  ヒキガエル:ビュフォ(ルイの飼いカエル)
ユーモア: 中

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ワニと読むミステリ(雨の浜辺で見たものは)

雨の浜辺で見たものは (創元推理文庫)
ジェイニー・ボライソー
東京創元社
1,029円(価格は変わる場合があります)

Caught Out in Cornwall
Janie Bolitho
Allison & Busby
1,149円(価格は変わる場合があります)

読むと、愛情が憎しみ変わるのは一瞬です。
 
(ジェイニー・ボライソー著)
 ローズが浜にきていると、セント・マイケルズ・マウント近くの湾でヨットから救難信号が打ち上げられるのが見え、ローズ・トレヴェリアン(画家)はすぐに沿岸警備隊に連絡します。浜辺にいた人たちは集まってきて救助の様子をみまもっています。この騒ぎの中で、ローズは小さな女の子が浜辺をさまよい歩いているのを見かけ、そして誰かに抱きあげられていくのを目撃します。幼い少女が連れ去られたことは、ローズをさいなみ、できることならなんでもしようという気持ちになります。しかし日は過ぎて、無事に少女を取り戻す可能性はだんだんと遠のくようです。

 ローズ・トレヴェリアンのシリーズ、最終巻です。「コーンウォール・ミステリ最終巻」というので、いろんな問題、たとえばローズとジャックとの仲とか、おさまりがつくのかと思ったのですが、実はそうではなく、作者のジェイニー・ボライソーが2002年に癌で亡くなったそうで、もう続きは書かれないのでした。ローズの周りがどうなるのか、もうわからないのです。とても残念ですね。
 今回はローズは子供の誘拐を目撃するということで、キャンボーン署の警部でローズの恋人のジャックも、ローズが事件に首をつっこみたがると文句をいうわけにはいきません。そして誰もかれもなぜかローズには胸の内を打ち明けたくなるのです。
 消えた少女の母はシングルマザーで、その姉は浮気をしているらしい。ローズの目撃した誘拐犯らしき人物はおそらく少女の近くにいる人ではないかと思われますが、人相は多くの人にあてはまるようで誰と断定することができません。
ローズは事件の関係者の多くと話をするうちに、だんだんと事件の核心に近づいていきますが、またもやあわやという危険な目にもあいます。
コーンウォールの自然やそこに住む人たちの生活がそこにあるようで、そこに住んだらどこに家を持つだろうと地図をみながら考えてしまいます。新鮮な魚には不自由しないようですし、ロブスターもあり、食事はおいしそうです。
これでシリーズが終わりというのは実に残念です。

 ■既刊
 これまでに6冊出版されています。
    容疑者たちの事情  ← パーティに呼ばれたローズは女主人の墜落しに遭遇します
    しっかりものの老女の死  ← 知り合いの老女が亡くなります
クリスマスに死体がふたつ  ← 廃坑で悲鳴
待ちに待った個展の夜に  ← ローズの初めての個展
ムーアに住む姉妹  ← ローズに肖像画の依頼がきます
夏の夜のわるい夢  ← ローズは絵画教室の先生をします

■コーンウォールつながり
  アーロン・エルキンズのスケルトン探偵シリーズです。
骨の城  ← 遺体探知犬がでます

アガサ・クリスティのポアロも休養にきています。
エンド・ハウスの怪事件

ジョアンナ・ハインズのミステリ。
殺す鳥

  風光明媚なところということで、みんな行きたがりますね。

主人公: ローズ・トレヴェリアン(画家)
場所:  イギリス、コーンウォール
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(三十三本の歯 (老検死官シリ先生))

三十三本の歯 (老検死官シリ先生)
コリン・コッタリル
ヴィレッジブックス
924円(価格は変わる場合があります)

Thirty-Three Teeth
Colin Cotterill
Soho Crime
1,278円(価格は変わる場合があります)

読むと、霊的に逃れるのは難しい。
 
(コリン・コッタリル著)
シリ先生のシリーズ第2弾です。1作目が2008年8月に出版されていますから、2作目が出るまでにずいぶん時間が過ぎていますね。
1977年のラオスです。
シリ先生はラオスで唯一の検死官です。シリ先生はヘリコプターの事故で黒焦げになった死体の検死で国籍を見つけることを依頼されますが、2人がアジア人であることがわかるくらいです。しかしシリ先生はそれが退位させられた国王に関係することを見つけ出します。さらに残忍な殺人が続き、ホテルに飼われていたクマの仕業かと思われますが、傷跡からもっと大きなウェアタイガーかと疑われます。
シリ先生は、公共物を損壊したとして逮捕されてしまいますが、証人の供述に疑いがあると法廷でみずから弁護します。

いろんな事件が盛りだくさんに起こります。
シリ先生は72歳ですがあちこち飛び回って大忙しです。
ラオスにはまだ多くの呪術師がいるのですね。シリ先生自身もいろんな霊的存在に出くわします。不思議な夢もみたりしますが、ワニが気に入ったのは、シリ先生の家にいついていたイヌのサループの霊が見えるところです。みごとにサループは復讐しますね。
今回は看護婦のドゥーイが大活躍です。シリ先生の不在中に凶暴な獣に殺されたらしい事件の解決に一生懸命です。そのため襲撃にあい命が危なくなってしまいますが。
ワニは、シリ先生が果樹園で国王と遭遇するところが好きです。時間が止まったような、外から隔絶したような不思議で宙に浮いたような感覚を覚えます。
現実なのか夢なのか、くらくらするような感覚にも襲われますが、それがなんだかラオスの暑ーい夏にいるようでぼわーんとしてそんなことどうでもよいような気持ちになります。
まだ2作しか翻訳されていませんが、まだたくさんの未訳があります。これから翻訳がでるようにみなさん応援してください。

 ■既刊
1作目です。シリ先生はラオスで唯一の検死官に任命されます。
 老検死官シリ先生がゆく


主人公: シリ・パイブーン(ラオスで唯一の検死官)
場所:  ラオス
グルメ:  なし
動物:  イヌ:サループ
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(恋するベーカリーで謎解きを)

恋するベーカリーで謎解きを (カップケーキ探偵2)
ジェン・マッキンリー
武田ランダムハウスジャパン
861円(価格は変わる場合があります)

Buttercream Bump Off (Cupcake Bakery Mystery)
Jenn McKinlay
Berkley
681円(価格は変わる場合があります)

読むと、類は友を呼ぶ。
 
(ジェン・マッキンリー著)
 カップケーキ探偵の第2弾です。
 メルとアンジーが経営する<フェアリーテイル・カップケーキ>は繁盛し、バレンタインデーに向けての準備も開始しています。カップケーキ教室の最中に喜び勇んでやってきたメルの母ジョイスはバクスターとデートするのだと有頂天です。バクスターは投資会社代表です。ところが、ジョイスの最初のデートでバクスターが殺されてしまいます。ジョイスは容疑者にされ、メグとアンジーはジョイスの疑いを晴らすべく、殺されたバクスターの周辺を探り始めます。調べるうちに怪しげなバクスターの正体がだんだんと明らかになり、容疑者に事欠きません。

 <フェアリーテイル・カップケーキ>ではカップケーキ教室を始めました。カップルで参加するのですが、それぞれいろんな形の夫婦があって面白いですね。いつもいがみあってばかりいるダン&アイリーン・ベイカーソン(「登場人物」の表では、ダン&ミリアムと間違って表記されています)夫妻が急に仲良くなるのですが、その理由が『他人の不幸は蜜の味』みたいです。
 店に足しげく通って来ていたマーティが店を手伝うようになり、メルとアンジーの捜査のため変装したりするようになるのがとてもおかしいです。今後も話に関わってほしいです。
 アンジーはロックバンドのドラマーと付き合い始めますが、ロサンゼルスに一緒に行かないかと誘われて心が揺れています。メルとアンジーのカップケーキの店はどうなってしまうのか、心配なところでもあります。
 商売敵のオリヴィア・パケットとの対決は、一勝一敗といったところです。
 
 巻末にカップケーキのレシピがあります。

 ■既刊
 1作目では、<フェアリーテイル・カップケーキ>出資者のテイトの婚約者が殺されます。
    ウェディングケーキにご用心

 すでに4冊出版されているようですので、これからの翻訳本が楽しみです。

主人公: メラニー(メル)・クーパー(〈フェアリーテイル・カップケーキ〉の経営者)
場所:  USA、アリゾナ州スコッツデール旧市街
グルメ:  カップケーキ
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(掘り出し物には理由がある)

掘り出し物には理由がある (コージーブックス)
シャロン・フィファー
原書房
930円(価格は変わる場合があります)

Killer Stuff (Jane Wheel Mysteries)
Sharon Fiffer
Minotaur Books


読むと、やっぱり一番アヤシイ。
 
(シャロン・フィファー著)
 ジェーン・ウィールは広告代理店をリストラで辞めたばかりで、さらに夫のチャーリー(地質学者)とは別居中。生活費を稼ごうと、アンティークの拾い屋を始め、“エステ-ト・セール”、“オークション”、“ガレージ・セール”、“フリー・マーケット”にまい進しています。ジェーンはアンティーク集めにすっかりはまってしまい、ガレージ・セールなどの広告を分類し、道順を確かめ、出陣の計画を立てるのに余念がありません。本物のお宝をつかむには、ちょうど良い時にちょうど良いところにいるのが肝心です。しかし、ジェーンは極めて悪いタイミングで隣人のサンディの死体にでくわしてしまいます。サンディの夫とディナー・パーティの時にキスしているのを見られて近所の噂になっているところからジェーンは容疑者にされてしまいます。ジェーンは幼なじみのティムとともに事件の真相に迫ります。

アンティークを入手するにはいろいろなセールがあるのですね。どういう種類があるかというのは巻末の訳者あとがきを参照してください。 こういうのは日本ではあまりみかけませんね。ジェーンはベークライトのボタンに魅了されていて、どういうものなのかワニはよくわからなかったのですが、文中にイラストがあるので理解の助けになりました。もしかしたらどこかにあるかもしれませんよ。
ジェーンの幼なじみのティムが好きです。花屋さんで骨董商でジェーンの先生でゲイです。ジェーンとともに事件の謎解きに参加しますが、ジェーンが襲われてケガをしたときなど、ジェーンのそばにいて世話をしてくされます。ティムは、恋人だったフィリップが失踪して行方がわからず、つらい思いをしていますが、最後の方で失踪の理由がわかります。ちょっと悲しい。
迷い犬がジェーンになついてきますが、ジェーンはリタとなづけて飼い主がわかるまで飼うことにするのですが、リタは虐待をうけていたらしいです。かわいそうですね。リタは、ちょっとだけ事件解決に貢献します。
別居中の夫チャーリーとの仲が今後どうなるのか、気になるところです。すでにこのシリーズは7巻まで出版され、8巻目のこの9月にでるようです。まだしばらくは楽しめそうです。

 ■アンティークつながり
 アンティークで思い出すのは、エミール・ジェンキンスのアンティーク鑑定士のシリーズです。
作者のエミール・ジェンキンスは2010年4月に亡くなったそうなので、それが残念です。

アンティーク鑑定士は見やぶる
アンティーク鑑定士は疑う

主人公: ジェーン(ジェイニー)・ウィール(ジャンクのコレクター。フリーランスの拾い屋)
場所:  USA、イリノイ州エヴァンストン
グルメ:  なし
動物:  イヌ:リタ(雑種)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(アルカード城の殺人)

アルカード城の殺人 (扶桑社ミステりー)
ドナルド&アビー・ウェストレイク
扶桑社
860円(価格は変わる場合があります)

Transylvania Station
Donald & Abby Westlake
Dennis Mcmillan Pubns


読むと、みんな何かしらのつながりがあります。
 
(ドナルド&アビー・ウェストレイク著)
 189x年、ルーマニアのトランシルヴァニアの森にあるアルカード城で事件は起こります。
 アルカード伯爵に依頼されて膨大な蔵書の整理のために図書館司書のジョゼフが城を訪れますが、到着早々に殺されてしまいます。容疑者は城に住む人々ですが、いずれもいわくありげな極めて怪しげな人物ばかりです。アルカード伯爵とその娘は遺伝的皮膚病に冒されているとかで、夜にしか活動しない。城に滞在する女性は、奇病で動くのもつらそう。怪しげな医師は怪しげな研究に没頭し、これまた怪しげな助手はしじゅうぶつぶつと突飛な計画をつぶやいています。医師の婚約者という触れ込みの女性は、どうも素性が怪しい。アメリカからきたという家政婦は、家事にあまり関心がなく、ロマの占い師は夫を探して城を徘徊し、その夫の鉄道技師は城に隠れている。途中で馬車が壊れたので城に助けを求めてきた夫婦は、まんざらこの城と関係がなくはないらしい。
 しかし、城に着いたばかりの司書を殺す動機をもっているのは誰なのか?

 これはミステリー・ウィークエンドに設定された殺人事件です。この謎を解くのはイベントに参加した人たちです。それとこのミステリを読んでいるあなたやワニ。
 序文はスティーブン・キングによるもので、このミステリー・ウィークエンドについて説明していますので詳しく知りたい方はこちらを参照してください。
 そのイベントの時の写真も掲載されています。みんな役になりきっていますし、探偵役の参加者はそれぞれの役者の話を熱心に聞いてメモをとっています。
 最後にクイズがあって、誰がどういう発言をしたか、など記憶を試されますので、しっかり覚えておきましょう。
 文句なしに楽しめるミステリです。

 ■D・E・ウェストレイクの既刊
  ドートマンダーのシリーズはどれも面白いですね。その他多数。
バッド・ニュース

  リチャード・スターク、タッカー・コウの別名での作品もあります。

主人公: アルカード伯爵(城の主人)
場所:  ルーマニア、トランシルヴァニア
グルメ:  なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(枯れ騒ぎ)

枯れ騒ぎ (創元推理文庫)
ジル・チャーチル
東京創元社
840円(価格は変わる場合があります)

Mulch Ado About Nothing: A Jane Jeffry Mystery (Jane Jeffry Mysteries)
Jill Churchill
Avon


読むと、美しい花にも陰謀あり。
 
(ジル・チャーチル著)
 ジェーン・ジェフリイのシリーズ第12弾です。
 ジェーンとシェリイはガーデニングの講習会に参加することにします。が、最初のクラスが始まる前に講師が何者かに襲われて負傷してしまいます。代役の講師は、新種の植物の特許に関する話を始め、クラスのみんなはさっぱりわからずあっけにとられてしまいます。ジェインはちょっとした不注意で足を骨折してしまい思うように動けず、ギプスと松葉杖はどこへ行くか独自の考えがあるらしく勝手な行動をしてジェインを悩ませます。講習会では、クラスを盛り上げようと、クラス参加者の庭を順に訪問することになるのですが、ジェインはちっともうれしくありません。参加者たちの行動は奇妙で、いろんな秘密があるらしい様子がうかがえます。やがて殺人が起き、ジェインは最初の襲撃と殺人の手掛かりはガーデニングにあることに気づきます。

 今回ジェーンとシェリイは自分たちの庭をなんとかしようとしてガーデニング講習会に参加しますが、講習会の参加者たちが順繰りにみんなの庭を見学して回ることになり、焦った2人は庭のレンタルをするのですが、まるごと庭のレンタルがあるというのが驚きです。花壇を作って、噴水まで用意されるのですから至れり尽くせりですね。でも、見学に来た講習会参加者たちにはすぐにレンタルだとばれてしまいますが。
 講習会で、植物の新種を作って、それの特許を取るという説明があるのですが、新種の固定やその種の特性を調べるのに、新種の栽培や調査を請け負う人たちがちゃんといるというのがこれまた驚きでした。まぁ、いて当然ですが。
 代役の講師は、ピンクのマリーゴールドという新種を完成させようとしているのですが、マリーゴールドにピンクがないというのを初めて知りました。
 ジェーンは足を骨折し、松葉杖のお世話になるのですが、この松葉杖の使い方を会得するのが難しいみたいで、通る道筋のものをなぎ倒したり、運悪く近くにいる人を叩いてしまったり、寄ってきたイヌ・ネコたちをこづいてしまったり、散々です。決してジェーンはそんなことをするつもりはないのですが。
 ジェーンのシリーズはまだ翻訳されていない作品が3つあるようです。早く読みたいですね。

 ■既刊
  主婦探偵ジェーンのシリーズはすでに11冊あります。
飛ぶのがフライ ← 大慌てのクリスマス
眺めのいいヘマ ← ジェーンは結婚式のプランニングをします

グレイス&フェイヴァーのシリーズもあります。
今をたよりに

   その他の主婦探偵といえば、レスリー・メイヤーのルーシー・ストーン(ミステリ好きの主婦)シリーズがありますね。
      はた迷惑なウェディング

アイアレット・ウォルドマンのジュリエット・アップルバームは元官選弁護人でただいま第二子妊娠中も。
マタニティ・ママは名探偵

クリスティン・マシューズ編の
主婦に捧げる犯罪
もあります。

主人公: ジェーン・ジェフリイ(専業主婦)
場所:  USA、ウィスコンシン州
グルメ:  なし
動物:  イヌ: ウィラード
ネコ: マックス、ミャーオ
ユーモア: 中


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