ワニと読むミステリ(グルメ探偵、特別料理を盗む)

読むと、それだけで太る。

(ピーター・キング著)
 グルメ探偵は、食材についてが専門。
 タマリンドの代替品を世界中から見つけてくるとか。40年前のヴィンテージもののワインを探し出すとか。
 の、はずが、ある日グルメ探偵を尋ねてきたのは、有名なレストランのオーナー・シェフ。その依頼は、ライバル店の大人気特別メニューのレシピを探ること。てっきりライバル店の従業員を買収するなどするのかと思いきや、そこはさすがグルメ探偵を名乗るほどのことはあり、まず店で、その料理を堪能し、ちらと厨房をのぞき、そして、ゴミを探る、など、さまざまな方法で材料や作り方を見つけ出します。
 調査結果は、依頼人を満足させ、グルメ探偵のお財布も満足します。
 悦にいっているところへ現れたのは、ライバル店のオーナー・シェフ!
 ばれたか!と思いきや、実は、依頼で、どうも店の営業妨害があるらしいから、調べてくれとのこと。グルメ探偵は、食材などの探偵であって、普通の探偵の調査はしないと断るのですが、たっての頼みで、しぶしぶ引き受けます。
 なにしろ、銃など持つようなそんな仕事はしたことない。
 食に関する「カレームの会」で、殺人が起こるなんて、どうして予想できましょう!
 ずーと、おいしそうな料理の話がつづられて、それに合うワインやらなんやら、つきることなく語られます。絶対に食べたくなりますよ。作り方も簡単だけど出てくるので、料理の得意な人は作れてしまいそう。
 それに、メニューにあう音楽も、吟味され、これを再現したら、素敵なパーティができちゃいそう。
 むむむむ。
 食いしん坊のワニにとっては、最高!
ミステリについてのウンチクも半端じゃない。
みなさん、作品中にでてくるミステリの探偵役は、どのくらいわかりますか?
ワニも知らない作品がありました。
反省。
紙数がつきてしまうのが残念なくらい、もっとおいしいものを語ってほしいと思います。
次の作品が翻訳されるのが、待ちきれないです。
ワニは、こういうのが好きだなぁ。

質問: グルメ探偵が、ウィニーをもてなすときに食前酒にだしたのは、何?

主人公: グルメ探偵 
Male
場所:  イギリス、ロンドン
グルメ: 満載!
動物:  なし
ユーモア: 中


グルメ探偵、特別料理を盗む

早川書房

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ワニと読むミステリ(クリスマスに死体がふたつ)

読むと、友達や家族を大事に思う心を忘れてはいけないと思う。

(ジェイニー・ボライソー著)
 ローズ・トレヴェリアンのシリーズ3作目。
 まだ3作目なんですね。もっとずっと多いような気がしてました。
 ローズの芸術家仲間もだんだん広がってきました。逆に、恋人だったジャックとの仲がぎくしゃくとして、けんかばかりになるのが、ちょっと哀しいかも。
 ローズに恋人候補が出てきますが、進展やいかに。
 最初は、ローズがジャックから怒られているところから始まり。
 廃鉱で写生中に女性の悲鳴を聞いて驚いたローズが警察に通報するのですが、何も見つからず、空耳だったのではないかと、ジャックにお小言をくらったのでした。パトカーやら救急車やらたくさん出動して、捜索したのですが、廃鉱に落ちた人もなく、事件性なし。
 いったい誰が悲鳴をあげたんでしょうね。
 ローズは、芸術家仲間の画家であるニックとお付き合いが始まりそうになりますが、そうこうしているうちに、ニックの元恋人だったジェニーが殺されているのが発見されます。
 となると、ローズも容疑者です。若くて美人でスタイルの良いジェニーと、ニックを争ったあげくの殺人ではないかと。
 でもねぇ、ローズがそんなことするはずないですよね。
 と、今度は、廃鉱から白骨死体が発見されます。ずいぶん古いらしい。
この2つの殺人は関係があるのか!
ローズの芸術家仲間たちは、それぞれが少しずつウソをついているらしい。ジェニーを最後に見たのは誰?
才能に嫉妬したり、気まぐれだったり、芸術家って、付き合いづらいかも。
でも、作品は素晴らしい。
ローズの油絵もだんだん世に認められるようになってきたし。
作品中に、イギリスの家庭料理がでてきたり、カクテルやワインをたしなむ場面が多く、ワニはそれにつられて、ジン・トニックが飲みたくなりました。ドライ・ジンとトニック・ウォーターを買ってきて、次のミステリを読みながら味見です。
おいしかった。。。。
コーンウォールも、一度は行ってみないといけません。

質問: 12月26日にマディはパーティを開きますが、この日はなんというでしょう?

主人公: ローズ・トレヴェリアン(画家) 
     Female
場所:  イギリス、コーンウォール
グルメ: コーンウォール地方の家庭料理、飲み物
動物:  なし
ユーモア: 中
 

クリスマスに死体がふたつ

東京創元社

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ワニと読むミステリ(毒入りチョコはキスの味)

読むと、しっかり目をあけて、人物評価しないといけません。

(ジェニファー・アポダカ著)
 Tバック探偵サマンサ・シリーズの第1弾。
 どうしてTバックなのか? その由来が面白いですね。
 サマンサは元はごく普通の主婦。パンツは、白のデカパン。夫のトレントを愛し、2人のやんちゃだけど、とっても気立ての良い息子をしっかり育て、家事をこなし、学校の行事もいやいやだけど真面目に努め、実に毎日がシアワセなのでした。そしてこのシアワセを疑ったことは一度もありません。
 が、夫のトレントがピーナッツ・アレルギーなのに、手作りチョコを食べてアレルギーの発作で亡くなってみると、サマンサの知らなかった夫の正体は、あ然とするものだったのです。
 夫が大事にしていたムスタングから見つかったのは、関係があった女性たちのパンティの山。しかも1つ1つに名前と評価までついている!
 それを町中の人が知っていて、気づかなかったのは、サマンサだけ!
 もう夫は亡くなっているから、この悔しさをぶつける先がない!
 サマンサは、夫の最も大事にしていたムスタングを売り払い、サマンサには決して運転させなかったTバードを乗り回し、豊胸手術で豊満になり、ミニスカートにTバックと、大変身。
 セクシー。。。。
 今では、「ハート・メイツ」恋人紹介所の経営者です。でもちっともはやってないけど。
 と、そこへやってきたのが、「金を払え!」と、事務所へやってきて脅す男。
 どうやら夫トレントの悪行は、女漁りにとどまらなかったらしい。 
 麻薬もからむ匂いに、サマンサはがっくり。いったい夫の正体は何!?
 脅した男が殺されて、ほっとしたのもつかの間、また別口から脅されて、他にも脅迫者がいるらしい。セクシー・サマンサにひかれる男たちのうち、誰が味方で誰が敵なのか、サマンサにはさっぱりわかりません。
  サマンサのおじいちゃんが良いですね。引退したマジシャンです。孫たち(サマンサの2人の息子)にも大人気。
  そして、ジャーマンシェパードのアリー。警察犬の訓練を受けていますよ。とっても大事なところで活躍します。
  サマンサの周りの人たちも、個性豊かで、魅力的な人が多く、このシリーズの続きが待ち遠しいです。

 質問: アリーの大好物の飲み物は何?

主人公: サマンサ(サム)・ショー(恋人紹介所<ハート・メイツ>の経営者) 
      Female
場所:  USA、カリフォルニア州レイク・エルシノア
グルメ: なし
動物:  イヌ:ジャーマンシェパード(アリー)
ユーモア: 中


毒入りチョコはキスの味

ソニー・マガジンズ

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ワニと読むミステリ(鉄槌)

読むと、人の長所短所の判断は、とても難しいと思う。

(ポール・リンゼイ著)
 最初、あまり読む気になれなくて、しばらくほおっておきました。
 裏表紙の筋書きを読むと、「自らも犯罪に手を染めるFBI捜査官」とあり、ワニはこれを読んで勝手に想像してしまいました。
暗くて、どろどろしてそうで、暴力的。
と思ったのは間違いで、主人公のジャック(窃盗を働いているFBI捜査官、そしてギャンブル好き)は、破綻した生活をおくりながらも、飄々とした感じで、物事に動じず、出世を考えないから目の前の凶悪犯罪に集中でき、同僚の良いところを素直に認め、なおかつ(ここが大事なんですが)、ボーダーコリーのB・Cをかわいがるという、矛盾したようでいてなんとも魅力的な男なのでした。ふと、映画にするとしたら、誰が演じたらぴったりかな?と、思いをめぐらせてしまいます。
事件は、シカゴの刑務所に、大型爆弾が仕掛けられるところから始まりです。この爆弾を取りのぞくには、仕掛けた犯人を見つけるしかない。この大捜査会議をすっぽかしたジャックと、会議に遅刻した癌のため片足切断したオールトン(これがまた、ジャックと正反対に正義感が強くて上昇志向)が、コンビを組んで、とっぴな想像から犯人を見つけだします。犯人が簡単に見つかったのは、犯人は見つけてほしかったから。ということは、FBIに対して要求があるということ。
爆弾犯人は、数年前に起きた誘拐事件をなんとしても解決してほしかったのです(こんなに筋をばらしてよいものか!)。
ジャックとオールトンは、この誘拐事件の解決に尽力しますが、見かけより、実はずっと奥の深い事件であることがだんだんとわかってきます。
オールトンの身辺が危うくなったり、ジャックも自分の犯罪で身分が危うくなりそうで、あちこちハラハラしどうしですよ。でもなんとなくほほえましい。
それに、ボーダーコリーのB・Cがとってもかわいい。。。。。
でも、チーズバーガーなんて、ジャンクフードを食事にしてはいけないと思います。
 次の展開が待ちきれなくて、速いスピードで読んでしまいました。
 それにしても、日本語の題がなぜ「鉄槌」なのかわからない。

主人公: ジャック・キンケイド(FBI捜査官) 
Male
場所:  USA、シカゴ
グルメ: なし
動物:  イヌ:ボーダーコリーのB・Cのちアイアス
ユーモア: 中


鉄槌

講談社

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ワニと読むミステリ(人にはススメられない仕事)

読むと、自分の平穏な生活が、特殊なものに思える。

(ジョー・R・ランズデール著)
またハップとレナードです。
もう、あきた!と読む前は思ったのですが、ついついハップとレナードにつきあってしまいました。
今回は、ゲイの黒人レナードに恋人がいません。代わりにというわけでもないでしょうが、レナードの家に、ハップが居候しています。前作「バッド・チリ」の最後で、ハップの家が竜巻に襲われて破壊されたため、ハップはやむなくレナードと一緒に住むことになったのでした。
「おかしな二人」でしたっけ? ジャック・レモン主演の男が2人で共同生活するおかしさを描いた映画。
そんな感じです。
きれい好きのレナードに、ハップは、パンツをちゃんと洗濯しないし、そのあたりにけりこんでいるからと怒られ、トイレット・ペーパーをきちんとセットしないからと非難され、この共同生活により二人の友情にひびが入りそうな気配です。
でもハップの恋人ブレットの娘を、想像もできない売春宿から救い出すという計画がもちあがり、また彼らの冒険の始まり、始まり。
テキサスって、すごい!
ウソツキで、おしゃべりで、売り上げをちょろまかしてマフィアに追われたり、とんでもない食わせものの小男や、その兄の以前殺し屋で今は牧師という大男やら、相変わらず基準から外れた人物の宝庫です。どこからこういう登場人物を探してくるのでしょうね。それもみんな個性的ですごく生き生きしてる。
ワニとしては、プレイリードッグを捕まえる機械がでてきたのが、すごくうれしかったです。何かのTV番組で見たことがあるのですが、畑を荒らすプレイリードッグを穴から吸い出して、傷つけないように捕獲する機械があります。それを、昔殺し屋今牧師の大男が生活のタネに使っています。日本人にペットして高値で売れるらしいです。
ほんとかな?
なぜアルマジロがレナードにペットになったのか、ここで理由がわかります。
アルマジロ、かわいい。。。。。

質問: 映画で、ジャック・レモンと共同生活した俳優は誰?

主人公: ハップ・コリンズ(ラボード在住の白人) 
     Male
場所:  USA、東テキサス・メキシコ
グルメ: なし
動物:  アルマジロ
ユーモア: 中
   

人にはススメられない仕事

角川書店

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ワニと読むミステリ(20年目のクラスメート)

読むと、過去と向き合って折り合いをつけようと思う。

(メアリ・H・クラーク著)
 ワニは、メアリ・H・クラークは、「子供たちはどこにいる」からずっと読んでいます。一度読んだら、もう次回作を待ちきれないですよ。いつもやめられなくなって、夜更かしをしてしまいます。ワニ肌に悪いです。
 今回は、20年目の同窓会が不気味な連続殺人の最後の仕上げの場として選ばれます。20年間も殺意を抱き続けるっていうのは、どういう記憶力の持ち主なんでしょうか。揮発性の記憶力のワニには、とうてい真似できないことです。ひなたぼっこをしたら、すぐに忘れてしまいます。
 ジーンは、歴史学の教授でベストセラー作家。年をとるにしたがって、美しくなるタイプの素敵な女性です。20年ぶりにクラス会に出席するために、故郷を訪れるのですが、そこは不仲だった両親からかえりみられなかった少女時代のつらい思い出の場所でもあります。
 しかし、いつもランチを一緒にした7人の友達のうち5人までが、なんらかの事故でなくなっているのを知ったときは衝撃でした。
 そのクラス会が終わろうというときに、仲良しだったローラ(女優)が行方不明になってしまいます。これで、6人目?
 いやでもそう考えてしまいますね。
 残ったのはジーンだけ。でもそのジーンには、不気味で不可解な脅迫状が届いていたのでした。
 あのころはちっとも冴えなくて、クラスの笑いものになっていた、いじめられっ子たちが、それぞれの分野で成功し、かつて自分を笑いものにしたクラスメートに対して優越感にひたっているようですが、それが殺意にまで発展するのでしょうか?
 元はといえばかなわないと思っても、あきらめきれない恋心からきてるのかも。
 魅力的なんだけど、なんだか疑わしい男性に囲まれて、ジーンの運命やいかに! (活劇みたい)
 本当にジーンのことを気遣ってくれているのか、あるいは傷つけようとしているのか、いつものように、とても事情が複雑で、もうどっちなのよ!っと叫びたくなりますよ。
 場面転換が、とても早く、方向転換の苦手なワニは、翻弄されました。
 とっても満足。
 もう次が読みたい気分です。 まだ出てないのかな。

主人公: ジーン・シェリダン(歴史学教授、ベストセラー作家) 
Female
場所:  USA、コネティカット州コーンウォール
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小


20年目のクラスメート

新潮社

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ワニと読むミステリ(南海の金鈴)

読むと、人生の移り変わりに思いをはせる。

(ロバート・ファン・ヒューリック著)
いきなりですが、ディー判事 最後の事件です。
でも、まだシリーズは終りではないので、ほっとしました。
今回は、とてもとても手ごわい相手です。ディー判事も、相手に不足はないですね、なにしろ出し抜かれそうになりますから。
行方不明になった中央政府の高官の探索のため、ディー判事と副官たち(陶、喬)は、広州に入ります。
副官たちがおのおの探索する途中で、まさに副官のすぐそばで殺人事件が起きます。そして探していた高官も他殺体で発見されます。
中央政府の政争がここ広州で、このような殺人というかたちであらわれたのか?
または、広州の権益争いに巻き込まれたのか?
ディー判事も、なかなかもつれた糸をときほぐすのが難しい。
 広州は、西方との交易の町です。
 異国情緒あふれる描写が随所にあらわれていますよ、イスラム教徒って、こんな暮らしをしていたのでしょうか。
 このころは、コオロギをめでるという風流があったのですね。盲目のコオロギを飼う美女が、事件のあちこちに関係し、ますます混迷を深めます。
 生意気な双子の少女たちが、かわいいです。
 副官にも不幸が降りかかり、ディー判事の心も深く悲しみに沈みますよ。ワニは、最後のところで涙してしまいました。出会いと別れが呼応します。
 みんなそれぞれ大事に思う人がいて、それでも運命は皮肉を紡いで、でも幸せの芽は枯れることはないですね。

質問: こおろぎは、平安時代になんとよばれていたでしょう?

主人公: ディー判事(大理寺卿<検察と裁判をつかさどる中央官庁の最高責任者>)  Male
場所:  中国、広州
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小



南海の金鈴

早川書房

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ワニと読む啓発本(金持ち父さんの学校では教えてくれないお金の秘密)

(ロバート・キヨサキ著)
ワニも、いろいろと大変なので、お金のことを考えようと思います。
でも、どうして良いかわからなくて。
金持ち父さんのシリーズは全部読んで、一生懸命に勉強中です。
この「金持ち父さんの学校では教えてくれないお金の秘密」は、子供と一緒に読むのに適していると思います。早くから、お金対策をしていると将来困らないと思いますから。
ワニの財務諸表を書いてみようと思うのですが、まだ実行していません。
でも、がんばる!
  

金持ち父さんの学校では教えてくれないお金の秘密

筑摩書房

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ワニと読むミステリ(白薔薇と鎖)

読むと、現代に生まれてよかったぁと思う。

(ポール・ドハティ著)
ヘンリー八世の時代のお話です。
のんきなワニとしては、このあたりの時代は苦手です。やたらと王侯・貴族の婚姻関係やらが複雑で、夫婦といえどもみんな憎みあっていて、少しも油断ができませんからね。この時代に生まれていたら、ワニは、きっと陰謀の餌食になっていたと恐ろしい思いがします。
ま、それとミステリの面白さは別の話。←ちょっとマネしてみました。(読んだ人はわかるかな)
 語り手は、ロジャー・シャロット。盗みやら悪いことばっかりやっているようで、ちょっとは正義感もありそうな、食えない御仁といったところですが、絞首刑になりかけたところを人の良い幼馴染に助けられ、以来主従関係になって、隠密行動を共にするようになります。このあたりの経緯は、結構面白いです。
 事件の始まりは、ロンドン塔。
 いいですねぇ、いかにも怪しげで、何が起こっても少しも不思議でない雰囲気です。
 ワニは、ロンドン塔に一度だけ行ったことがあります。アン・ブリーンが処刑されたという芝生も見てきました。このお話のときは、ヘンリー八世の姉、マーガレット・テューダーが滞在していたのですね。ワニは、マーガレット(花)は、大好きなんですが、このスコットランド王妃の名前と同じかと思うと、ちょっとがっかりです。こんなこと言っちゃいけませんね。
 ロンドン塔に拘束されているちょっと狂った元侍医が、他殺体で発見されます。毒殺されているのは確かなのですが、いったいどのような方法で毒殺したのかわかりません。おまけに、部屋には、白薔薇が置かれていて、王に敵対する勢力の陰謀もうかがわせます。
 うーむ、ロジャーとその主ベンジャミン(枢機卿の甥)の冒険の始まりです。このベンジャミンが良いですね。なんだか穢れをしらないお坊ちゃまのようでもあり、心に傷を秘めてるようでもあり、下世話なことには無縁のようでもあり、でも洞察力は鋭い。
 疫病がはやったり、陰惨な殺しがあったり悲惨なことが多いです。
王の棺を暴くところなど、とても現代では考えられない気味悪さです。
かと思うと、苦行用の鎖がでてきたり、このころの良い・悪いの基準がわからなくなります。
 それにしても、ワインを飲んでばっかりですね。水で薄めたりしてね。
 ドハティの著作はたくさんあるのに、まだ翻訳は1作目。続きをどんどん出してほしいです。
 ジョセフィン・ティの「時の娘」も一緒に読むと面白いと思います。

質問: クラレットとは、何?

主人公: ロジャー・シャロット(密偵) 
Male
場所:  イギリス
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中


白薔薇と鎖

早川書房

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ワニと読むミステリ(レディ・モリーの事件簿)

読むと、ミステリ好きには時代は関係なし。

(バロネス・オルツィ著)
短編集です。
ワニは、大昔に「隅の老人の事件簿」を読みましたが、それ以来のバロネス・オルツィです。ワニの小学生時代(Wetlands Elementary School)に、「紅はこべ」は読みましたが、これがバロネス・オルツィとは結びつきませんでした。
もっと翻訳してほしいです。
ミステリ史上初の女性警察官探偵だそうです。この前、レックス・スタウトの「手袋の中の手」を読んだばかりですが、主人公は、女性探偵の走りのドル・ボナーで、1937年刊行です。でもこのレディ・モリーは、1910年に上梓したというので、もっとずっと早いですね。日露戦争が、1904年ですからね、どんな時代か、ちょっと想像してみましょう。
語り手は、レディ・モリーの“パートナー”のメアリーで、ワトスン役に近いです。
実に優雅な時代で、捜査のため近郊の村に赴くのですが、美しくドレスアップして行くのです。もちろん素敵な帽子をかぶります。帽子の描写がいろいろあるのですが、ワニには良くわかりません。ワニは、カンカン帽くらいしか被りませんから。ドレスと帽子には、やっぱり馬車が似合いますね。
帽子が、事件の鍵になる話があるので、注意しましょう。
没落貴族がだんだん増える時代だったのでしょうか、財産をめぐる争いや、財産目当てや階級目当ての結婚やら、女性もしたたかになっていく様子がこれらの短編からもうかがわれます。それとも、女性の強さは、時代と関係ないのかも。
それぞれのお話が、ぴりりとした推理によって解決され、ワニは、満足です。
さて、レディ・モリーの素性は?
どうして、スコットランド・ヤードの女性警察官になったのか?
最初と最後にそのお話があるので、ゆっくり味わいましょう。
読み終わってしまうのが、とても残念な一冊です。

主人公:レディ・モリー(スコットランド・ヤード女性警察官探偵)
     (Female)
場所:  イギリス 
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小


レディ・モリーの事件簿―ホームズのライヴァルたち

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ワニと読むミステリ(ブルー・ブラッド)

読むと、女性はそんなに弱くないぞ、と反論したくなる。

(ディヴィッド・ハンドラー著)
おもしろい。
それにネコがたくさんでてくるのが、また良い。別に数がたくさんいるだけで、事件に関与はしませんが、たくさんいるというだけで良いですね。
主人公のミッチは、32歳でちょっと太め。映画が大好きで、だから暗闇が落ち着くというオタクに近い存在です。全編映画のウンチクがいっぱいなので、映画好きの人は、ワンシーンと重ね合わせたり、役柄に当てはめたり、ミステリ+映画で、2倍の楽しさがあると思う。ワニも、少しわかるところがあって、おもしろかったです。
事件は、最初ある酒場のウェイトレスのトリーが酒場の客としてきた男と付き合っていて、ある日殺されてしまうところから始まります。さてと、この出だしの話とその後の話とどうつながるのか、ずーと気になりますね。
ミッチは、癌でなくした妻の面影から抜け出ることができずにいるところでしたが、編集者レイシーに勧められて(半ば強制的に)、コネティカット州にしばらく移り住みことになります。ここがビッグシスター島。ドリー・セイモアの持つ馬車小屋を借りて住むことになります。灯台があったりして、実に牧歌的。こころなごむような風景が広がるところです。で、ミッチは菜園を作ろうかという気になり、ドリーの許可を得て、ドリーの兄の妻ビッツィと庭の菜園をやり直そうと始めます。土を耕しているうちに発見したのが、死体。ドリーを置いて、愛人と失踪したと思われていた(2番目の)夫のナイルス・セイモアだったのでした。
愛人と逃げたはずでは?
だんだんこのあたりから縁戚関係やら、人間関係やら、金銭関係やら、ややこしくなってくるので、よーく注意していないと、見逃してしまいます。それに人物の性格の見極めも大事です。
それぞれが個性的ですが、特に、色情狂で凶暴、でも大金持ちっていう女性の存在がすごいです。ミッチが散々な目にあいますよ。このごろは、男性も油断している場合じゃないです。
もうひとりの主人公デズは、警部補。警察内部の勢力争いに翻弄されて、実にご苦労様です。ネコの保護活動を友人のベラと行っており、保護したネコを自分の魅力を振りまいて押し付けるという、これも大変な仕事をしています。ミッチも、クレミーを飼うことになりますが、「クレミー」の名も、映画からきていますよ。映画好きの人は、わかるかな。
幾人も殺人がありながら、なんだかなごむ感じです。
これからのシリーズに期待。
タルの料理がおいしそうだったのに、これでおしまいかと思うと、それが残念!

質問: ブルー・ブラッドの意味はなんでしょう?

主人公:ミッチ・バーガー(映画評論家) Male
    デジリー(デズ)・ミトリー(コネティカット州警察凶悪犯罪班の警部補)Female
場所:  USA、コネティカット州ドーセット
グルメ: なし
動物:  ネコ多数
ユーモア: 中
 

ブルー・ブラッド

講談社

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ワニと読むミステリ(雷鳴の夜)


読むと、世間の評判や敬虔な宗教家であるとか、どういう意味があるのか、考える。

(ロバート・ファン・ヒューリック著)
ディー判事シリーズです。2冊目の刊行ですが、ワニは順番をめちゃくちゃに読んでいるので、これはずいぶん後に読んだことになります。でも、作品の面白さは順番には関係ないですね。ちょっと登場人部にずれがあるくらいですが、それは気になりません。
ディー判事の一行は嵐の中で、立ち往生し山中の寺に助けを求め、そこに3人の夫人や副官の陶ともども滞在することになります。嵐の中、部屋に案内される途中に突風にあおられて開いた窓からディー判事がかいま見たのは、反対側の翼で展開される奇妙な光景です。昔の兜をかぶった男と片腕のない娘が抱き合っているのかなんなのか。一瞬のできごとで、窓にとりついたところではもう見えなくなっていました。
でも、人がいたはずのその場所は、窓もなく無人の物置。
このあたり、クリスティの「パディントン発4時50分」みたいです。ワニは、クリスティは読破してます。
嵐に閉じ込められた寺で起こる事件は、ずっと前の3人の女性の変死と関係があるとにらんだディー判事の推理は、判事の風邪にはばまれて、いつものような冴えが発揮されにくくなってます。熱があって、頭痛がしますからね。でも、この頭痛こそが、ディー判事を救うことにもなるのですが。
尼になろうとする娘さんに、なにやら警告めいたことをする旅芸人は、凶暴なクマを自在にあやつる特異な技術の持ち主です。ディー判事も、このクマには肝をつぶされるような羽目に陥ります。
古い寺は、複雑な構造で、いくつもの回廊や階段でつながっており、迷路のようです。
ほんの1日2日の出来事ですが、嵐といい、不気味な寺の地獄絵といい、ミステリの舞台は最高ですね。
生意気な若い詩人の本当の狙いはなんなのでしょうか?
ディー判事は、2組の仲人役みたいになってしまいますが、事件が解決した今は、シアワセなことですね。
もっとシリーズが続かないのが、実におしいです。

質問: この作品の訳者は誰でしょう?

主人公: ディー判事(漢陽県知事、この時代知事は判事を兼ねる) 
Male
場所:  中国、漢陽
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小


雷鳴の夜

早川書房

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