海外ミステリ専門書店。特に、イヌ、ネコ、その他の動物が活躍するのが好き。グルメも紹介。
ミステリ専門書店(翻訳もの限定)
ワニと読むミステリ(家出ミツバチと森の魔女)
![]() | 家出ミツバチと森の魔女 (コージーブックス) |
ハンナ・リード | |
原書房 |
![]() | Mind Your Own Beeswax (A Queen Bee Mystery) |
Hannah Reed | |
Berkley |
読むと、盗ってはいけません、人のものはよく見えるけど。
(ハンナ・リード著)
ストーリー・フィッシャーは食品雑貨店〈ワイルド・クローバー〉の店主として忙しい日々をおくっています。それに新米の養蜂家としてミツバチを貸し出したり、巣箱が荒らされたりしないようにせっせと世話をし、だんだんとミツバチも増えてきました。しかし気が付いたらミツバチは巣分かれを起こし、女王蜂は群れをひきつれて飛んでいってしまうところです。ストーリーは必死で跡を追いますが、ミツバチたちは森の方へ消えてしまいます。
ストーリーが蜜蝋を使った手作りキャンドル教室を開いていると、そこへ16年前に罪を犯し服役していたローレンが保釈になって戻ってきます。16年前の事件を思い出し、町は噂話がうるさくとびかっています。
ストーリーが逃げたミツバチを取り返そうとしていると、近くに横たわる死体を見つけてしまいます。魔女と呼ばれ、恐れられていた女性です。
ストーリーの隣人で詮索好きで記者志望のパティたちにそそのかされ、ストーリーは事件の調査にかかわっていくことになります。
今回は16年前の事件が現在によみがえり、新たな事件のきっかけとなります。学生時代に起こった事件が新たな展開を見せるというのは、よくあるパターンですが、興味をそそりますね。
またミツバチのウンチクがたくさんあります。ミツバチにはいろんな敵がいるのですね。巣箱をそれらの敵から守るため、ストーリーは様々な工夫をしています。だんだんとストーリーが養蜂家として成長していくのを見るのもおもしろいです。
ストーリーの周りの人たちも個性が光ってきました。今回は隣人のパティが何かとお騒がせです。記者になろうともくろんで、何にでも首を突っ込んで取材しまくるのは困りますね。家宅侵入を図ったり、これからもストーリーたちを困らせそうです。
恋人未満のハンターとの仲はなかなか進展しませんが、イヌのベン(ハンターのパートナーの警察犬)とは良き関係を築きつつあるのがうれしいです。ストーリーのイヌ恐怖症がだんだん薄れていくのはほんとによいことです。それに今回はチワワの雑種ディンキーがストーリーの家に居候します。
すでに2冊がでているようなので、翻訳本が早く出てほしいです。
■既刊
1作目は、ミツバチたちが濡れ衣をきせられます。
ミツバチたちのとんだ災難
これもレシピ付きです。
主人公: ストーリー・フィッシャー(〈ワイルド・クローバー〉の店主)
場所: USA、ウィスコンシン州モレーン
グルメ: なし
動物: イヌ:ベン(ベルジアン・マリノア。警察犬)
ディンキー(チワワの雑種)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(彼の個人的な運命)
![]() | 彼の個人的な運命 (創元推理文庫) |
フレッド・ヴァルガス | |
東京創元社 |
![]() | Sans Feu Ni Lieu (Nouveau Policier) |
Fred Vargas | |
J'Ai Lu |
読むと、恨みはずっと以前から。
(フレッド・ヴァルガス著)
元内務省調査員ルイ・ケルヴェレールが探偵役のシリーズです。
ルイを信頼して元売春婦のマルトが連れて来たのは連続殺人事件の容疑者として手配されている青年でした。ルイはボロ館に彼を預け、かくまってくれるように頼みます。ボロ館に住むのは、三聖人と呼ばれる歴史学者の若者3人、マルク、マティアス、リュシアンとマルクの伯父で元刑事アルマンです。マルトは無実を信じていますが、状況証拠は圧倒的に不利です。本当に無実なのが、ルイは疑いながらも調査を進め、三聖人たちは容疑者の面倒を見ながらルイの調査にも協力します。本当に無実なのか?
ルイは相変わらずヒキガエルのビュフォを飼っています。時々は一緒に調査にも行きますが、その時はたびたび湿らせてやらないといけません。ルイはポケットに入れたりしているのですが、よくおとなしくしているものですね。
三聖人がそれぞれの個性に応じて容疑者を見張り、面倒をみるのが面白いです。マティアスは先史時代専門で、土器の修復をやっているのですが、容疑者がそれを手伝うのがとても気にいって熱心にやっているのがちょっとほほえましいです。それもとても上手に。
前作よりも三聖人の活躍の場が増えてよかったです。
■既刊
三聖人のシリーズと、アダムスベルグのシリーズの2つが出ています。
三聖人のシリーズは、2つ。
死者を起こせ
論理は右手に
アダムスベルグのシリーズは、
青チョークの男
裏返しの男
の2つです。
主人公: ルイ・ケルヴェレール(元内務省調査員)
場所: フランス、パリ、ヌヴェール
グルメ: なし
動物: ヒキガエル:ビュフォ(ルイの飼いカエル)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(雨の浜辺で見たものは)
![]() | 雨の浜辺で見たものは (創元推理文庫) |
ジェイニー・ボライソー | |
東京創元社 |
![]() | Caught Out in Cornwall |
Janie Bolitho | |
Allison & Busby |
読むと、愛情が憎しみ変わるのは一瞬です。
(ジェイニー・ボライソー著)
ローズが浜にきていると、セント・マイケルズ・マウント近くの湾でヨットから救難信号が打ち上げられるのが見え、ローズ・トレヴェリアン(画家)はすぐに沿岸警備隊に連絡します。浜辺にいた人たちは集まってきて救助の様子をみまもっています。この騒ぎの中で、ローズは小さな女の子が浜辺をさまよい歩いているのを見かけ、そして誰かに抱きあげられていくのを目撃します。幼い少女が連れ去られたことは、ローズをさいなみ、できることならなんでもしようという気持ちになります。しかし日は過ぎて、無事に少女を取り戻す可能性はだんだんと遠のくようです。
ローズ・トレヴェリアンのシリーズ、最終巻です。「コーンウォール・ミステリ最終巻」というので、いろんな問題、たとえばローズとジャックとの仲とか、おさまりがつくのかと思ったのですが、実はそうではなく、作者のジェイニー・ボライソーが2002年に癌で亡くなったそうで、もう続きは書かれないのでした。ローズの周りがどうなるのか、もうわからないのです。とても残念ですね。
今回はローズは子供の誘拐を目撃するということで、キャンボーン署の警部でローズの恋人のジャックも、ローズが事件に首をつっこみたがると文句をいうわけにはいきません。そして誰もかれもなぜかローズには胸の内を打ち明けたくなるのです。
消えた少女の母はシングルマザーで、その姉は浮気をしているらしい。ローズの目撃した誘拐犯らしき人物はおそらく少女の近くにいる人ではないかと思われますが、人相は多くの人にあてはまるようで誰と断定することができません。
ローズは事件の関係者の多くと話をするうちに、だんだんと事件の核心に近づいていきますが、またもやあわやという危険な目にもあいます。
コーンウォールの自然やそこに住む人たちの生活がそこにあるようで、そこに住んだらどこに家を持つだろうと地図をみながら考えてしまいます。新鮮な魚には不自由しないようですし、ロブスターもあり、食事はおいしそうです。
これでシリーズが終わりというのは実に残念です。
■既刊
これまでに6冊出版されています。
容疑者たちの事情 ← パーティに呼ばれたローズは女主人の墜落しに遭遇します
しっかりものの老女の死 ← 知り合いの老女が亡くなります
クリスマスに死体がふたつ ← 廃坑で悲鳴
待ちに待った個展の夜に ← ローズの初めての個展
ムーアに住む姉妹 ← ローズに肖像画の依頼がきます
夏の夜のわるい夢 ← ローズは絵画教室の先生をします
■コーンウォールつながり
アーロン・エルキンズのスケルトン探偵シリーズです。
骨の城 ← 遺体探知犬がでます
アガサ・クリスティのポアロも休養にきています。
エンド・ハウスの怪事件
ジョアンナ・ハインズのミステリ。
殺す鳥
風光明媚なところということで、みんな行きたがりますね。
主人公: ローズ・トレヴェリアン(画家)
場所: イギリス、コーンウォール
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(三十三本の歯 (老検死官シリ先生))
![]() | 三十三本の歯 (老検死官シリ先生) |
コリン・コッタリル | |
ヴィレッジブックス |
![]() | Thirty-Three Teeth |
Colin Cotterill | |
Soho Crime |
読むと、霊的に逃れるのは難しい。
(コリン・コッタリル著)
シリ先生のシリーズ第2弾です。1作目が2008年8月に出版されていますから、2作目が出るまでにずいぶん時間が過ぎていますね。
1977年のラオスです。
シリ先生はラオスで唯一の検死官です。シリ先生はヘリコプターの事故で黒焦げになった死体の検死で国籍を見つけることを依頼されますが、2人がアジア人であることがわかるくらいです。しかしシリ先生はそれが退位させられた国王に関係することを見つけ出します。さらに残忍な殺人が続き、ホテルに飼われていたクマの仕業かと思われますが、傷跡からもっと大きなウェアタイガーかと疑われます。
シリ先生は、公共物を損壊したとして逮捕されてしまいますが、証人の供述に疑いがあると法廷でみずから弁護します。
いろんな事件が盛りだくさんに起こります。
シリ先生は72歳ですがあちこち飛び回って大忙しです。
ラオスにはまだ多くの呪術師がいるのですね。シリ先生自身もいろんな霊的存在に出くわします。不思議な夢もみたりしますが、ワニが気に入ったのは、シリ先生の家にいついていたイヌのサループの霊が見えるところです。みごとにサループは復讐しますね。
今回は看護婦のドゥーイが大活躍です。シリ先生の不在中に凶暴な獣に殺されたらしい事件の解決に一生懸命です。そのため襲撃にあい命が危なくなってしまいますが。
ワニは、シリ先生が果樹園で国王と遭遇するところが好きです。時間が止まったような、外から隔絶したような不思議で宙に浮いたような感覚を覚えます。
現実なのか夢なのか、くらくらするような感覚にも襲われますが、それがなんだかラオスの暑ーい夏にいるようでぼわーんとしてそんなことどうでもよいような気持ちになります。
まだ2作しか翻訳されていませんが、まだたくさんの未訳があります。これから翻訳がでるようにみなさん応援してください。
■既刊
1作目です。シリ先生はラオスで唯一の検死官に任命されます。
老検死官シリ先生がゆく
主人公: シリ・パイブーン(ラオスで唯一の検死官)
場所: ラオス
グルメ: なし
動物: イヌ:サループ
ユーモア: 中
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