海外ミステリ専門書店。特に、イヌ、ネコ、その他の動物が活躍するのが好き。グルメも紹介。
ミステリ専門書店(翻訳もの限定)
ワニと読むミステリ(エジンバラの古い柩)
![]() | エジンバラの古い柩 (創元推理文庫) |
アランナ・ナイト | |
東京創元社 |
![]() | Blood Line: An Inspector Faro Mystery |
Alanna Knight | |
St Martins Pr |
読むと、真実と認められないものもある。
(アランナ・ナイト著)
ファロ警部補のシリーズ2作目です。
身元不明の男の死体がエジンバラ城の崖下で発見されます。城に泥棒に入ろうとして城壁から落ちたと思われます。ファロは事件現場を捜査しているうちに古い宝飾品のカメオを発見します。それと対になったとおぼしきカメオには、スコットランド女王メアリーとその夫ダーンリー卿の肖像が刻まれていますが、それはファロの亡き父マグナス・ファロの持ち物から見つかったものです。ファロにとっては、30年前の暗く悲しい父のいまだ解明されない事件の思い出を呼び起こすものです。16世紀に、エジンバラ城の修復のときにミイラ化した死骸が発見されています。メアリー女王の居室とされていた部屋の壁からみつかり、豪華な布地にくるまれていました。ジェームズ六世の出生に疑いがもたれるようなことがあれば、王朝をゆるがす深刻な事態になりそうです。壁から発見された遺骸の謎を探ろうとするものには死が待ちかまえているようです。おりしも、ファロの2人の娘と母がオークニーからファロのもとを訪れていますが、ファロの生活は危険に満ちて、2人の娘は誘拐されてしまいます。
1870年8月が事件の舞台です。ヴィクトリア女王の時代です。
ファロは亡き妻の連れ子ヴィンスと二人暮らしですが、そこへファロの母とファロの二人の娘が訪ねてきますが、しばらく娘たちと離れていたヴィンスが、父親役を果たそうとおたおたするのがおもしろいですね。また母のメアリー・ファロが、ファロの後ろ盾のサー・エリックと親密な関係であるようで母が再婚してしまうかもしれないと、うれしいような心配もあります。いつも捜査では頼りになるヴィンスが、サー・エリックの姪のルシールにのぼせあがって、すっかり事件のことが頭から抜け落ちてしまうのは若者らしいところです。
城の壁の中から幼児の遺骸が発見されると言うのはなかなか興味深いですね。お城は謎とロマンに満ちていて、古いものが発見されるといろいろな憶測をよびます。
最後はファロにとってはつらい結末ですね。
■既刊
ファロの事件の最初です。
修道院の第二の殺人 ← 修道院学校の教師が殺されます
■ヴィクトリア朝のミステリ
ヴィクトリア朝が舞台のミステリは、いろいろありますね。魅力的な時代なんでしょうか。
これは、1869年が舞台に設定されています。ロンドンの辻馬車の御者です。
ロンドン幽霊列車の謎
1887年に設定された、ポール・アルテの密室殺人です。
赤い霧
主人公: ジェレミー・ファロ(エジンバラ市警察警部補)
場所: イギリス、エジンバラ
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(スリー・パインズ村と警部の苦い夏)
![]() | スリー・パインズ村と警部の苦い夏 (RHブックス・プラス) |
ルイーズ・ペニー | |
武田ランダムハウスジャパン |
![]() | A Rule Against Murder (Chief Inspector Gamache) |
Louise Penny | |
Minotaur Books |
読むと、親の因果が子に報い、とか、坊主憎けりゃ袈裟まで、とか、普遍かも。
(ルイーズ・ペニー著)
ガマシュ警部のシリーズ第3弾。
裕福で教養があって立派なフィニー家は上流階級そのもの。アイリーン・フィニーとその4人の成人した子どもたちが夏の真っ盛りにマノワール・ベルシャスに到着すると、ホテルの従業員たちは即座にもてなしにかかります。彼らがこの牧歌的な避難所というべきホテルに来たのは、亡父に敬意を表するため彼の銅像を建てるという特別な日だったからです。暑さはますます激しくなり、ベールを脱ぎ去るのはこの銅像だけではありません。一家の古い秘密や苦いライバル意識が表に出始め、セレモニーの翌日に銅像に押しつぶされた死体が発見されます。
休暇でこのホテルに来ていたガマシュ警部は突然この殺人事件の真っただ中に立たされます。容疑者にはことかかず、ホテルの従業員まで何かを隠しているらしい。そして被害者には敵がたくさんいたのは確かなようです。この人里離れたところは人が過去から逃れるところだった。しかし、過去のほうが追い付いてくるとそこには事件が。
今回はスリー・パインズ村から少し離れたマサウィッピ湖の湖畔に建つロッジ、マノワール・ベルシャスが事件の舞台です。スリー・パインズ村で起こる事件でないのでおなじみの村の住人たちには今回は会えないのかなと最初がっかりしたのですが、ちゃんといました。ピーター&クララ・モロー夫妻がこの銅像を建てるという儀式に参加していました。
フィニー一家の家族間の確執がすごいですね。母、その再婚相手の夫、長男夫婦、長女、次男夫婦、次女、、次女の子ども、と9人が集うのですが、その傷つけあいが実にここまでよくやるもんだと感心してしまうくらいです。子どもの時の出来事などがいまだに尾を引いて、なにかというと遠まわしに持ち出して相手を傷つけるというのはどういう情熱なんでしょうね。上流気取りの一家が事件の犯人としてガマシュを名指しするのがちょっと笑えます。
ホテルの従業員も人里離れたこのロッジで静かに働きたいというちょっと秘密めいたところもあり、事件につれてそれが暴かれていくのでページを次々にめくってしまいます。
解説もいれて587ページで長いですがついついやめられなくて夜更かししてしまいそうです。
■既刊
いままでに2作品翻訳されています。
スリー・パインズ村と運命の女神 ← カーリングの試合の最中に殺人が起きます。
スリー・パインズ村の無慈悲な春 ← 降霊会で事件が起きます。 作者のWebsiteを見ると、これの方が後のようです。どれから読んでも良いようですが。
■探偵が休暇中
解説は、ミステリー評論家の村上貴史さんです。そのなかで休暇中の探偵が事件に遭遇するミステリーが紹介されています。
アガサ・クリシティーのポアロものから2作品。 両方読みましたがはるか昔のことなので記憶があいまいです。また読む必要がありそうですね。
ナイルに死す
ポアロのクリスマス
これはエラリー・クイーンのシリーズです。これも読みましたがはるか昔のできごと。
シャム双子の謎
クリスチアナ・ブランドのコックリル警部もの。これもずいぶん以前に読みました。
はなれわざ
ジョルジュ・シムノンのメグレ・シリーズ。これもいつ読んだか思い出せない。
メグレの休暇
フィリップ・マクドナルドのゲスリン大佐はスペイン旅行中。
迷路
主人公: アルマン・ガマシュ(ケベック州警察殺人課課長。警部)
場所: カナダ、ケベック州
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(はた迷惑なウェディング)
![]() | はた迷惑なウェディング (創元推理文庫) |
レスリー・メイヤー | |
東京創元社 |
![]() | Wedding Day Murder (Lucy Stone Mysteries) |
Leslie Meier | |
Kensington Pub Corp (Mm) |
読むと、結婚も隠れみの?
(レスリー・メイヤー著)
主婦探偵ルーシー・ストーンのシリーズ第8弾。
今回は結婚式を巡っての大騒動です。
夏休みに入り、4人の子供がサマースクールに行ったりアルバイトに精をだしたりで、その世話に大忙しのルーシーです。前作からストーン家で飼われることになったイヌのクードーからは目が離せないし、夫のビルはなにやら不満がありそうで、さらにフルタイムで新聞記者の仕事もしているとなると、ルーシーの1日はてんやわんや。友人のスーが娘のシドラがインターネット大富豪のロンと結婚することになったのでその結婚式の準備を手伝ってくれてと頼まれたとき、ルーシーはことわることなどできるはずもなく、喜んで手伝うことにします。ストーン家の新しく建てたあずまやはまさに完璧な結婚式場でしょう。
ところが、花婿の母がはでな宝石をじゃらじゃらつけて現れたところから、事態はおかしな方向に流れ始め、ついに花婿が豪華なヨットのそばで遺体で発見されるにおよんでは、ルーシーは殺人と断定しみずから捜査に乗り出します。犯人に殺されそうになるルーシーですが、無事に事件解決できるでしょうか。
8作目ともなると、子供たちも大きく成長し、長男は大学に通い夏休みはロブスター調査を手伝っています。このあたりのロブスター漁が、以前ほどは漁獲量がなく、ロブスターの病気の原因などを調べようというのです。この作品中では調査途中ですが、次の作品で研究成果は出るのでしょうか。ちょっと気になります。
結婚式の計画も大変な作業ですね。ウェディングシャワーをどうするかで花嫁の母スーと花婿の母テルマの争いが起こるのですが、通常は花嫁の側が取り仕切るものらしいです。
花婿はセキュリティソフトの開発で第二のビル・ゲイツともてはやされる大富豪の若者ですが、いまどきのありそうな話ですね。
新しく家族に加わったイヌのクードーがこっそりピザをたいらげてしまったり、とてもかわいいです。もっと捜査にかかわってほしいですね。
■既刊
いつの間にかこんなにたくさんになっていました。
メールオーダーはできません
トウシューズはピンクだけ
ハロウィーンに完璧なカボチャ
授業の開始に爆弾予告
バレンタインは雪あそび
史上最悪のクリスマスクッキー交換会
感謝祭の勇敢な七面鳥
主婦探偵といえば、ジル・チャーチルのジェーン・ジェフリーのシリーズがありますね。
飛ぶのがフライ
カオスの商人
眺めのいいヘマ
このあとも数冊出版されているようで、早い翻訳を望みます。
主人公: ルーシー・ストーン(ミステリ好きの主婦)
場所: USA、メイン州ティンカーズコーヴ
グルメ: なし
動物: イヌ:クードー
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(この声が届く先)
![]() | この声が届く先 (創元推理文庫) |
S・J・ローザン | |
東京創元社 |
![]() | On the Line (Bill Smith/Lydia Chin) |
S.J. Rozan | |
Minotaur Books |
読むと、人は変わるし、変わらない。
(S・J・ローザン著)
ビル・スミスにリディアからかかってきた電話、妙な雰囲気とともに発せられた言葉は、「最悪よ」。それに続いたのは電子的に変えられた声で、リディアを誘拐したというものでした。それが最悪の追いかけゲームの始まりでした。ビルがリディアを生かしておきたいと思うなら、誘拐犯のしかけた手の込んだゲームに乗らなければならない。期限は12時間。最初の手掛かりからビルがたどりついたのは廃墟となった建物で、そこで小柄な中国人女性の死体を発見します。すぐにその建物は警察に包囲されてビルは警察に追われる身となります。さらに中国人売春組織からも彼らの商売を脅かすものとして狙われることとなり、ビルのトラブルの多い人生でも最悪の事態となります。ビルを助けるのは、リディアのコンピューターおたくのいとこライナスとそのガールフレンドのトレラ、そしてリディアの親友メアリー刑事です。警察に先んじてリディアを見つけ、誘拐犯の正体とその目的を暴くことができるのか、ニューヨークを駆けめぐる追跡劇です。
誘拐犯の仕掛けたゲームを追い、さらにリディアが電話のたびにしのばせた監禁場所の情報をひもとき、ビル、ライナス、トレラたちはニューヨーク中を駆けまわるので、地図を片手に読むとおもしろいかもしれません。
今回の見どころは何と言ってもリディアの親戚のライナスとそのガールフレンドのトレラでしょう。ライナスはコンピューターおたくですが、それ以外のことは不器用で、トレラは車の運転も上手で度胸があって機転がきいてなんでも上手にこなし今回の追跡劇で重大な役割を果たします。これからもこのシリーズに登場してほしいし、できればこの二人が活躍するシリーズが生まれたらおもしろいだろうなぁと思わせます。
イヌのウーフがいい味だしてます。もっと捜査にからんでほしいですね。これからも活躍してほしいです。
■既刊
ビルとリディアが毎回主役の座を交代して捜査をしています。
春を待つ谷間で
冬そして夜
夜の試写会
ピアノ・ソナタ
新生の街
天を映す早瀬
シャンハイ・ムーン
主人公: リディア・チン(私立探偵)
ビル・スミス(私立探偵)
場所: USA、ニューヨーク
グルメ: なし
動物: イヌ:ウーフ(大型犬)
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(ミントの香りは危険がいっぱい)
![]() | ミントの香りは危険がいっぱい (お茶と探偵11) |
ローラ・チャイルズ | |
武田ランダムハウスジャパン |
![]() | The Teaberry Strangler (A Tea Shop Mystery) |
Laura Childs | |
Berkley |
読むと、近いほど恨みは深いかも。
(ローラ・チャイルズ著)
サウスカロライナ州チャールストンでインディゴ・ティーショップを経営する、セオドシア・ブラウニングのシリーズ、第11弾です。
3月初め、チャールストンでは裏通りの散策フェアが行われており、店主たちは時代がかった衣装を着てお客様を迎え、多くの観光客たちは路地の店を見て回っています。
雨の降る晩にセオドシアが友人の古地図屋ダリアに食べ物を届けようと通りを歩いていると、路地で激しくもみあう人影を見ます。セオドシアが近づくと襲撃者は逃げ去り、ダリアは通りで死んで横たわっています。そこでセオドシアはミントの香りが漂っているのに気付きますが、これは犯人追跡のヒントになるのでしょうか。ティドウェル刑事は、セオドシアとダリアの背格好が似ているところから、ダリアは間違って殺されたのではないかとの推測もありうるとセオドシアに警告します。しかし、セオドシアは友人ダリアの殺人事件を解こうとまた捜査活動を始めます。
チャールストンの街は常に何かの催しが行われているようです。次々に新しい趣向を考えて、地元の人たちと観光客とともに楽しませているようです。今回の催しは、「路地裏散策」。商店主たちは古いコスチュームに身を包んで雰囲気作りをしています。
ダリアは古地図を売っている店を経営しているのですが、ずいぶんと高額な古地図もあるのですね。それでも経営が成り立つのかと心配になりますが、結構そういう流通経路もあるのかもしれません。ダリアの店の近くには新たにオープンした香水の店があり、オリジナルでブレンドした香りやその人にあった香りを作って売っています。ダリアの死後、ダリアの店を狙っているのは、商魂たくましい商人というところでしょうか。香水店のシナモンから誘われて、セオドシアも店を訪問し、かぐわしい香水に魅了されます。実にいろいろな店があり、路地裏散策は楽しそうですね。
今回は、セオドシアの恋人パーカー・スカリーは出張中で出番はなし。ラスヴェガスで開催中のレストラン・コンヴェンションに参加中です。その代わりというわけでもないでしょうが、元恋人のジョリー・デイヴィス(弁護士)がセオドシアとよりをもどそうと何かとセオドシアに迫ってきます。またジョリーが付き合っていた女性がセオドシアに嫉妬して襲いかかってくるというおまけがついて災難です。
ヘイリーは、”ショコラティエ・フェスタ”にエントリーしますが、結果は読んでのお楽しみ。
今回も、ドレイトンによる紅茶のウンチクあり。巻末にはレシピもついています。
■既刊
シリーズは、すでに10巻出ています。
ホワイト・ティーは映画のあとで ← 9巻目。大物監督が殺されます。
ウーロンと仮面舞踏会の夜 ← 10巻目。別れた恋人のいとこが殺されます。
その他、カックルベリー・クラブの経営者、スザンヌ・デイツのシリーズもあります。こちらは、アイリッシュ・セッターのバクスターがいます。
あつあつ卵の不吉な火曜日
チェリーパイの困った届け先
ほかほかパンプキンとあぶない読書会
主人公: セオドシア・ブラウニング(インディゴ・ティーショップのオーナー)
場所: USA、サウスカロライナ州チャールストン
グルメ: ティとお菓子
動物: イヌ:アールグレイ(セオドシアの愛犬、セラピー犬)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(ピグマリオンの冷笑)
![]() | ピグマリオンの冷笑 (ハヤカワ・ミステリ文庫) |
ステファニー・ピントフ | |
早川書房 |
![]() | A Curtain Falls |
Stefanie Pintoff | |
Minotaur Books |
読むと、深い恨みは人を変えます。
(ステファニー・ピントフ著)
1906年のニューヨークが舞台に設定されています。
サイモン・ジールはドブソン警察の刑事ですが、元同僚で現在はニューヨークの一九分署署長マルヴェイニーに依頼され驚愕の事件を追うことになります。美しいコーラス・ガール、アニー・ジャーメインがマンハッタンの舞台上で主演女優の衣装を身につけて死んでいるのが発見されます。そこには暴力の兆候は見られません。切り傷もなく、あざもないのです。検察医は自殺と断定しておかしくありません。ブロードウェイの興行主チャールズ・フローマンはこの事件をできるだけ穏便にすまそうと手をうち、切符の売れ行きに影響がでないようにします。アニーの死体のかたわらには不可解なメモが置かれていましたが、3週間前にも同じように女優が舞台上で美しい衣裳を着て死んでいるのが見つかって自殺と処理されていましたが、その死体のそばにも同じような不可解なメモが置かれていたのがわかると、これはにわかに連続殺人の様相を帯びてきます。ジールは、以前にも事件解決のため助力を得た犯罪学者のアリステア・シンクレアに協力を求めます。容疑者は多く、事件はますます謎めいてきます。
1906年ごろは、近代的な捜査方法が取り入れられていく時期なのですね。指紋の重要性が論じられ、故意に置かれた指紋が容疑者を絞り込むことになり、事件を混迷させることになるのですが、これにはジールの父親が重要な役割を果たすようです。ジールの父親は長い間行方不明でしたが、突然ジールの前に姿を現し、しかも肺病を患って余命いくばくもない有様です。ジールと父親の親子関係もこの作品に深みを与えていますね。
犯罪学者のシンクレアとその義理の娘イザベラが捜査に加わるのですが、だんだんと事件の捜査の方法が科学的になっていく過程が見られてこのあたりは興味深いです。 筆跡鑑定もようやく認められるようになってきた時期ですが、まだあまり信頼はされていないようです。
ブロードウェイがだんだんと演劇としての地位を固めつつある様子がよくわかりますね。
ワニはこの作品を初めて読みましたが、1作目(邪悪)があるのですね。
主人公: サイモン・ジール(ドブスン警察の刑事)
場所: USA、ニューヨーク
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(邪悪なグリーン )
![]() | 邪悪なグリーン プロゴルファー リーの事件スコア 3 (プロゴルファー リーの事件スコア) (集英社文庫) |
アーロン&シャーロット・エルキンズ | |
集英社 |
![]() | Nasty Breaks |
Aaron&Charlotte Elkins | |
Mysterious Pr |
読むと、昔から忘れることはできません。
(アーロン&シャーロット・エルキンズ著)
女子プロゴルファー、リー・オフステッドのシリーズ第3弾です。
今回はゴルフ・トーナメントに参加ではなく、友人のペグから持ちかけられて、研修旅行のゴルフ・レッスンをすることになります。
ブロックアイランドのゴルフ・コースは9ホールしかなくフェアウェイは海風が強く、グリーンは固まった砂、のようなところです。リーはここで海難救助サービス仲介会社の役員研修でゴルフを教えるのです。素朴な宿は素敵だし、1日千ドルの報酬はこれからしばらくは生活を支えてくれそうです。
しかし、会社CEOのセクシーな妻が下手な誘拐事件に巻き込まれ、CEO自身は海岸で死亡しているのが発見されます。遺体の喉には古い釘が刺さっていました。リーはいろいろな人に話を聞いて回りますが、どの役員も動機があるようです。 リーは恋人のグレアムに助言を求めますが、事件は200年ほど前にお宝を積んで沈没したグッドホープ号にさかのぼるようです。
沈没船の宝探しから話は始まります。これだけでワクワクするような始まりですね。この昔の宝探しが今の事件とどう関係してくるのか、それを考えながら読むのが面白いです。
このゴルフ・レッスンを企画してインストラクターもしているジャッキーは、ゴルフ上達のためのいろいろなグッズを開発して売っているのですが、これがすごいですね。よく考えつくものだと思いますが、またそれがどんどん売れているというのでそっちも驚きです。途中で試作品をみんなで試すようなところがあるのですが、あえなく失敗で使っていた人たちがバタバタと倒れてしまうところはその情景を想像するだけで笑いそうになります。
リーの恋人グレアムはカーメル市警察を辞めて警備コンサルタントの会社を設立したのですが、これが人気となりあちこち仕事で飛びまわることになって、リーと会う時間が少なくなってしまいますね。もともとは市警にいたのではリーのそばにいられないからというので独立したのですが。最後はちょっとハッピーな二人です。離れている時間も必要なのかもしれません。
次の作品ではリーはゴルフ・トーナメントに参加していて、そこである選手のキャディが殺されるという事件に巻き込まれるそうです。またトーナメントの裏話がたくさん聞けそうですね。
■既刊
これまでにリーのシリーズは、2巻出ています。
怪しいスライス ← リーはプロ1年目。有名ゴルファーが殺されます。
悪夢の優勝カップ ← リー、あわやツアー優勝か! というところで殺人が起こります。ゴルフ中継の裏事情も垣間見えます。
アーロン・エルキンズ作で最近読んだのは、これ。 スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーのシリーズ日本語版15作目。
騙す骨 ← ギデオン夫妻はメキシコの田舎に滞在します
主人公: リー・オフステッド(女子プロゴルファー)
場所: USA、ロードアイランド州ブロックアイランド
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(フラワークッキーと春の秘密)
![]() | フラワークッキーと春の秘密 (コージーブックス) |
ヴァージニア・ローウェル | |
原書房 |
![]() | Cookie Dough or Die (A Cookie Cutter Shop Mystery) |
Virginia Lowell | |
Berkley |
読むと、兄弟の性格は大変違います。
(ヴァージニア・ローウェル著)
クッキーのシリーズ第1弾です。
オリヴィア・グレイソンはクッキーに関連するものを集めた店〈ジンジャーブレッドハウス〉のオーナーです。オリヴィアの親友で共同経営者のマディーはとてもおいしいクッキーを焼きます。 しかし問題が起きてクッキーを焼くどころの騒ぎではなくなります。オリヴィアに〈ジンジャーブレッドハウス〉を開店するように励ましてくれたクラリス・チェンバレンが死体で発見されたのです。クラリス自身も優れた会社経営者で、店のお得意様のひとりでもあります。オリヴィアはひどいショックを受けます。しかし保安官は自殺と断定し、オリヴィアはそれに納得がいきません。そしてクラリスがオリヴィアに多額の遺産と貴重なアンティークのクッキー型コレクションを遺したというので、オリヴィアは容疑者にされてしまいます。さらにクッキーを食べた郵便配達人が具合が悪くなり、このままでは店の評判にもかかわります。オリヴィアとマディーのクッキーを愛するコンビは事件解決へと乗り出します。
このシリーズは2作目まで出版されていて、3作目のthe Cookie Crumbles は2012年の8月7日に出版予定で、すでにAMAZONなどで予約ができるようです。
クッキー関連の店がミステリの舞台です。ドーナツの店だったりハチミツだったり、食べ物関連の店にからんだミステリが多いですね。いずれもとてもおいしそうですが。
クッキーの抜き型にアンティークものや大変価値の高いものがあるというのは初めて知りました。ワニはワニ型のクッキー抜き型を持っています。
オリヴィアは事件現場に残されていたクッキー抜き型から事件を解明していくのですが、この抜き型の種類の多さに圧倒されました。まだまだ日本にはこれだけの種類の抜き型はないですね。
チャタレーハイツは小さな町で人間関係が濃厚です。
レシピはなし。
オリヴィアの飼い犬スパンキーと大型犬バディの活躍も今後期待したいです。
チャタレーハイツはどこにあるのかわからなかったので著者のヴァージニア・ローウェルに問い合わせたところ、メリーランド州の架空の町とわかりました。
■その他
クッキーといえば、“クッキー・ジャー”のオーナー、ハンナ・スウェンセン(ジョアン・フルーク著)のシリーズがあります。
ファッジ・カップケーキは怒っている
こちらはレシピ付き。
バツイチになったばかりの事件といえば、ハンナ・リード著の
ミツバチたちのとんだ災難
これはハチミツがメインです。
主人公: オリヴィア(リヴィー)・グレイソン(〈ジンジャーブレッドハウス〉オーナー)
場所: USA、チャタレーハイツ
グルメ: なし
動物: イヌ:スパンキー(ヨークシャーテリア。オリヴィアの飼い犬)
バディ(ラブラドールレトリーバー)
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(迷走パズル )
![]() | 迷走パズル (創元推理文庫) |
パトリック・クェンティン | |
東京創元社 |
![]() | A Puzzle for Fools (Classic Crime) |
Patrick Quentin | |
Penguin Books |
読むと、奇妙に見えてもわかれば納得します。
(パトリック・クェンティン著)
ピーター・ダルースは演劇プロデューサー。2年前に妻を亡くしてからアルコール中毒になり、いろいろな人の勧めがあってついに入院することになります。最新の治療の効果があって、だんだん治ってきたかと思われたある晩、ピーターは奇妙な声、「ここから逃げろ。殺人が起こる」を聞いて恐慌をきたし、療養所内を駆け回ります。それはピーター自身の声のようだったのでピーターは幻聴を聞いたとパニック状態になったのです。療養所の所長レンツと話をしたピーターは、レンツから意外なことを聞きます。しばらく前からこの療養所内でおかしなことが起こっていると。レンツ所長からリハビリを兼ねてこのことを調べるように依頼されたピーターは、患者たちや看護士たちとも話をし、この奇妙な出来事を追求していきます。そして殺人が起き、その殺人事件を調べているうちに美しい女性に出会って恋におちます。ピーターはこの病院内で起きている奇妙な殺人事件を解決することができるのでしょうか。
ピーターとアイリスが出会うパズル・シリーズの第1作目です。アルコール中毒になって療養所に入り、そこでの殺人事件を解決するという閉ざされた場所でのミステリです。いいですね、こういう状況。
登場人物はいずれも少々常軌を逸した人たちで、言動はとっぴですから、そこから殺人事件の犯人を捜し出すというのはなかなか骨の折れることです。何しろみんなの言っていることが、ほんとうに起こったことなのか、想像の産物なのか、見分けるのが困難ですからね。
これは1936年刊で、このころの精神を病んだ人たちの療養所や治療法がどういうものだったのかがわかります。
たくみに隠された動機や、犯人への手掛かりはミステリファンとしてはぞくぞくするくらいうれしいものです。
まだパズル・シリーズはありますし、パトリック・クェンティンのその他の作品もたくさんあるので、これから翻訳がでるのを大いに期待しています。
■その他
これはパズル・シリーズの4作目にあたります。
悪女パズル
大富豪ロレーヌの邸宅に招待された客たちの間で連続殺人が起こります。
“パズル”つながりで探してみると、
数独パズル殺人事件
それにパズルレディのシリーズもありました。
![]() | パズルレディの名推理 (ハヤカワ・ミステリ文庫) |
パーネル・ホール | |
早川書房 |
主人公: ピーター・ダルース(演劇プロデューサー)
場所: USA
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(午前二時のグレーズドーナツ)
![]() | 午前二時のグレーズドーナツ (コージーブックス) |
ジェシカ・ベック | |
原書房 |
![]() | Glazed Murder (Donut Shop Mysteries) |
Jessica Beck | |
Minotaur Books |
読むと、いけないものを見てしまうこともある。
(ジェシカ・ベック著)
スザンヌ・ハートは〈ドーナツ・ハート〉コーヒー・ショップのオーナー経営者です。ノースカロライナ州エイプリル・スプリングズという小さな町にあります。スザンヌは失業中の俳優である夫マックスと離婚後、ドーナツに情熱を傾けることにします。そこでスザンヌは愛すべきホームタウンの中心街にお店をオープンしました。毎日午前2時からドーナツ作りは始まります。深夜からの作業はつらいですが、スザンヌはこの居心地の良いドーナツの店を楽しんでいました。が、ある日、スザンヌの店のドアの前に死体がまるで小麦の袋かなにかのように投げ出されたときから、店は犯罪の現場と化してしまいます。誰もかれもグレーズドドーナツのために店に立ち寄りますが、みんな恐ろしい犯罪の詳細について知りたがります。元警官のジョージはスザンヌに気をつけるように言います、みんな容疑者かもしれないと。スザンヌはいろいろと聞いて回り、容疑者のアリバイを調べ始めます。
これはドーナツの店のオーナーが主人公のミステリです。いろいろな食べ物の店が舞台になっているミステリがありますが、ドーナツの店は初めてです。ドーナツが捜査にからんでくるのもなかった気がします。ワニが読んでいないだけかもしれませんが。
これまた小さな町の出来事なので人間関係が濃厚です。みんな知り合いです。
元夫のマックスがストーカーまがいにスザンヌにつきまといますが、ちょっと滑稽で不気味さはないです。
ドーナツの作り方がでてきますが、機械を駆使していて、これもとても興味深いです。
巻末にレシピがあります。
まだまだこのシリーズは続きがあるので、しばらくはおいしいドーナツにありつけそうです。
■おいしいショップつながり
調べてみるとおいしい料理の店のミステリはたくさんありますね。
ジョアン・フルーク作のクッキーの店です。
ファッジ・カップケーキは怒っている
ローラ・チャイルズ作のティー・ショップです。
ダージリンは死を招く
ダイアン・デヴィッドソン作のケータリングです。
クッキング・ママの鎮魂歌
クレオ・コイル作のコーヒー・ショップです。
名探偵のコーヒーのいれ方
ローラ・チャイルズ作のタマゴ料理の店です。
あつあつ卵の不吉な火曜日
ジェン・マッキンリー作のカップケーキの店です。
ウェディングケーキにご用心
エイヴリー・エイムズ作のチーズとワインの店です。
名探偵のキッシュをひとつ
ハンナ・リード作のハチミツのミステリです。
ミツバチたちのとんだ災難
主人公: スザンヌ・ハート(〈ドーナツ・ハート〉のオーナー)
場所: USA、ノースカロライナ州エイプリル・スプリングズ
グルメ: ドーナツ
動物: なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(アガサ・レーズンの困った料理)
![]() | アガサ・レーズンの困った料理 (コージーブックス) |
M・C・ビートン | |
原書房 |
(価格は変わる場合があります)
![]() | Agatha Raisin and the Quiche of Death |
M. C. Beaton | |
Robinson Publishing |
読むと、キッシュは本物?
(M・C・ビートン著)
アガサ・レーズンのシリーズ第1弾。
アガサはPR会社を経営していましたが、早期に引退することにしました。長い間あこがれていた絵のように美しいコッツウォルズの村にコテージを買い、新しい生活を始めようというのです。しかし、なかなか村の人たちが打ち解けてくれないので、アガサは友達を作ろうと、地域のキッシュ作りコンテストに応募することにします。ここで問題が一つ、アガサは料理ができません。そこで必ず一等賞を取ろうと考えて、アガサはこっそりロンドンのデリカテッセンに行き、評判のキッシュを購入してコンテストに出すことにします。それなのにアガサは優勝を逃し、そればかりか、審査員がアガサのキッシュを食べて死んでしまいます。アガサはずるをしたのがばれて、さらに毒殺魔の疑いまでかけられます。これでは幸先のよりスタートとは言えません。アガサは、疑いを晴らすべく独自の調査を始めます。
このアガサのシリーズは、すでに22冊まで出版されているようです。日本での翻訳はこれが最初です。どうしてもっと早くから翻訳本がでていないのか、不思議です。
アガサはやり手の元PR会社経営者で、タクシーに乗るのに先にタクシーを止めて乗り込もうとした男の人を肘で押しのけて自分が先にこのタクシーを止めたのだとばかりにさっさと乗りこんでしまうような強引な凄腕の持ち主です。というといやなヤツの感じですが、新しいコテージに越して誰も知っている人がいないのがとても寂しくて、なんとか友達を作ろうと奮闘するような憎めないところもあります。コッツウォルズの住人はみんなにこやかで良い人そうなのに、気がついたら「こんにちは」「良いお天気ですね」の会話以上には決して進まないというちょっと閉鎖的なところもあります。親切そうな牧師でさえ実はアガサを避けています。これからアガサがどう地域に溶け込んでいくのか楽しみですね。
2作目では獣医さんが重要人物のようです。
■キッシュつながり
キッシュがミステリの題材になっているのは意外に少なかったです。発見したのはこれだけ。
エイヴリー・エイムズ著のチーズ&ワイン専門店のお話です。
名探偵のキッシュをひとつ
キッシュについてはいろんなところで食べ物としてはたくさんでてきます。
主人公: アガサ(アギー)・レーズン(元PR会社経営者)
場所: イギリス、コッツウォルズ
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(殺す鳥)
![]() | 殺す鳥 (創元推理文庫) |
ジョアンナ・ハインズ | |
東京創元社 |
![]() | The Murder Bird |
Joanna Hines | |
Simon & Schuster Ltd |
読むと、心の奥にしまってもきっと顔を出すでしょう。
(ジョアンナ・ハインズ著)
高名な詩人のキルスティン・ウォラーがバスタブの中で死んでいるのがみつかります。そこはコーンウォールの人里離れたコテージでキルスティンはひとりで住んでいました。検死審問では自殺ということになります。が、娘のサムは自殺説を受け入れることができません。そもそもキルスティンは自殺するような人でないし、彼女がいつもつけていた日記が見つからない、それに死ぬ前に書きかけの詩、「殺す鳥」の原稿がどこを探してもないのです。「殺す鳥」は彼女の死の予兆なのか、はたまた誰かを糾弾しようとしていたのか。サムはこの謎の答えを絶対に見つけ出そうと決心します。サムの継父ラフはそれに強く反対し、阻止しようとします。サムが真相を突き止めるのが先か、それとも真犯人がサムを追い詰めるのが先か。
最初の始まりがすごいです。「昼食のあと片付けをし、子供たちが庭の奥のジャングルジムで遊んでいることを確かめたあと、夫を殺すために家の中に入った」というどうも夫殺しの現場のようで、さらにその後犯人は子供たちを連れて海岸に行きずっと楽しく遊んだのちに警察に電話します。衝撃的でなんなのだこれはとつい引き込まれてしまいます。
主人公のサムはチェロの奏者です。素晴らしい芸術的才能に恵まれて、いきいきとしとても魅力的な女性です。その音楽家の彼女が母の書きかけの原稿と日記を探そうと継父の家に3階の窓から忍び込もうというのですからその執念はすごいですね。彼女は高所恐怖症なのに、です。
事件の根っこははるか昔の出来事にまでさかのぼりますが、あちこちに推理の手がかりが隠されているので見逃さないようにしっかり目を開けて読みましょう。
■コーンウォール
コーンウォールで見てみるといくつかのミステリがありました。風光明媚なところなので事件の舞台にうってつけなのかもしれません。
ジェイニー・ボライソーのローズ・トレヴェリアン(画家)のシリーズ。
しっかりものの老女の死
クリスマスに死体がふたつ
待ちに待った個展の夜に
ムーアに住む姉妹
夏の夜のわるい夢
アーロン・エルキンズのスケルトン探偵ギデオン・オリヴァーも一度訪れていますね。古城近くで古い骨が発見されます。
骨の城
アガサ・クリスティのエルキュール・ポワロもここで事件解決しています。
エンド・ハウスの怪事件
主人公: サム・ボズウィン(キルスティン(詩人)の娘)
場所: イギリス、コーンウォール
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(フランクを始末するには)
![]() | フランクを始末するには (創元推理文庫) |
アントニー・マン | |
東京創元社 |
読むと、なにごとも表面通りではありえません。
(アントニー・マン著)
12話の短篇集です。
おもしろいんだけど、とっても怖い。ちょっとぞくっとして振り返ってしまうかもしれません、別に怪談話ではありませんが。
「豚」。子豚を飼っているお金持ちのご夫婦なんですが、この子豚をとてもかわいがっていて専用の部屋に豪華な身の回り品をそろえています。でも心臓が悪いらしい。さらに愛玩用の男の子がいて、ぼんやりした感じです。この夫婦が彼らの豚とこの男の子のことを話すのですが、それは彼らの冗談なのか、はたまたホントのことなのか、判断に苦しむところですが、しかし真相は知りたくないという気もします。
「買い物」。これは怖いです。何も語られていません。ただ日々の買い物リストがメモ用に書かれているだけです。でも確実に何かが行われています。そして想像したくない。一番怖かったのは日常の買い物リストに戻ったところです。
「フランクを始末するには」。フランクは大スターでした。ずいぶん年をとってきたのでこのごろは特に大きな話題になるようなことがありません。そこでショウビジネスの世界の人たちが考えたのは、彼が亡くなったら大変なビジネスになるのではないかということです。伝記映画、追悼特別番組、ショウを記録したCDなど、もうすでに企画しかなりのところまでできているのに、それを使うことができない、なぜならまだ生きているから。そこでフランクに死んでももらうことを計画するのですが、死の実況中継をしようとしたところで計画外のことが起こり、急きょ筋書きを変えることになります。
その他、有名なミステリ作家が亡くなった後に、ゴーストライターを立てようかという話が持ち込まれますが、実はこのミステリ作家には思いもよらぬ秘密があったりします。
どれもそんなバカなと思いつつも実際にありそうでもあり、あったら怖いなと想像してますます怖くなるような、そんな話がいっぱいです。
次の話はどんなに怖いのかなと、つい期待して読み進んでしまいます。
こんな短編集、なかなかないです。
主人公:
場所:
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(名探偵のキッシュをひとつ)
![]() | 名探偵のキッシュをひとつ (コージーブックス) |
エイヴリー・エイムズ | |
原書房 |
![]() | The Long Quiche Goodbye (CHEESE SHOP MYSTERY) |
Avery Aames | |
Berkley |
読むと、アリバイは作れるかも。
(エイヴリー・エイムズ著)
チーズ専門店のミステリ、第1弾です。
オハイオ州の小さな町プロヴィデンスでチーズ専門店を経営するシャーロットは、新装開店の準備をしています。町の人たちを招待してチーズのサンプルを味わってもらおうというのです。いとこのマシューは元ソムリエで、双子を連れて帰ってきましたが、チーズの店の別棟でワインを販売することになりました。オープニング・パーティではワインのテイスティングもあります。パーティは大盛況で終わりますが、店の前に倒れている人影があり、そばにはシャーロットの祖母がいます。倒れているのは店の地主のエドで、オリーブ材のナイフがその胸から突き出ています。祖母は第一容疑者にされ、シャーロットはその祖母の無実を証明するために事件の捜査に乗り出します。アガサ賞受賞作。
チーズの店の話なので、当然チーズのウンチク満載です。おいしいキッシュも出てきますので、読んでいるとお腹が空いてくるかも。シャーロットの家族関係を説明すると、シャーロットの両親は事故で亡くなったので、シャーロットは祖父母に育てられました。彼らはチーズの店を経営していて、今回シャーロットが改装して新しい店にしたのです。祖母は町長です。今回は容疑者にされてしまい、行動を制限されたので本来活動的な祖母としてはとてもつらい日々を送ることになります。いとこのマシューは高級レストランのソムリエでしたが、妻が突然イギリスの両親のもとに帰ってしまったので、双子を連れて帰ってきて、シャーロットの共同経営者になりました。
町はいろんな店があり、個性的な経営者が楽しさを盛り上げてくれます。そのあたりも面白いですね。
巻末にレシピがあります。“ハムとパイナップルのキッシュ”、“スモークサーモンとマスカルポーネのリゾット”など。
すでに第3巻まででているようなので、これからもチーズを楽しめそうです。
主人公: シャーロット・ベセット(チーズ&ワイン専門店店主)
場所: USA、オハイオ州プロヴィデンス
グルメ: チーズ関連(レシピあり)
動物: ネコ:ラグズ(シャーロットの飼い猫)
ユーモア: 中
オリーブ柄のチーズナイフもいろんな種類があるようです。どれが犯行に使われたのでしょうね。
![]() | ROBERT HERDER オリーブウッド チーズナイフ 1701.400.050004 |
クリエーター情報なし | |
ROBERT HERDER |
![]() | ロベルト・ヘアダー ミニオールドジャーマン チーズ&トラベルナイフ オリーブウッド 9725,0202,05 |
クリエーター情報なし | |
ROBERT HERDER |
![]() | ROBERT HERDER オリーブウッド トマト&チーズナイフ 1690.425.05 |
クリエーター情報なし | |
ROBERT HERDER |
![]() | ROBERT HERDER オリーブウッド パームラン・フロマージュシンプル チーズナイフ 9731.1971.05 |
クリエーター情報なし | |
ROBERT HERDER |
![]() | ロベルト・ヘアダー パームラン・フロマージュ チーズナイフ、オリーブウッド 9219,1971,050000 |
クリエーター情報なし | |
ROBERT HERDER |
![]() | ロベルト・ヘアダー パームランパルメザン&チーズナイフ、オリーブウッド 9218,1970,050200 |
クリエーター情報なし | |
ROBERT HERDER |
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ワニと読むミステリ(ミツバチたちのとんだ災難)
![]() | ミツバチたちのとんだ災難 (コージーブックス) |
ハンナ・リード | |
原書房 |
![]() | Buzz Off (A Queen Bee Mystery) |
Hannah Reed | |
Berkley |
読むと、ミツバチを横取りしてはいけません。
(ハンナ・リード著)
ストーリー・フィッシャーはウィスコンシン州モレーンという小さな町で〈ワイルド・クローバー〉という雑貨店を経営する34歳バツイチの女性です。元夫クレイとのごたごた離婚も解決し、町で唯一の、古い教会を改装した食品雑貨店〈ワイルド・クローバー〉は好調です。養蜂に興味をもったストーリーがマニーを師として飼っているミツバチも元気に育っています。万事強調と思えたときに、養蜂業の師匠マニーが。全身をハチに刺されて死んでいるのが発見されます。ミツバチは危険だと町の人々はミツバチを一掃しようとしますが、ストーリーは刺したのはミツバチではなくスズメバチだとみんなわかってもらおうとします。しかしみんなパニックになっていてストーリーのいうことを聞いてくれません。さらに元夫とつきあっていた女性が殺されて、元夫が容疑者にされてしまいます。 ある人々はストーリーのミツバチを撤去するように要求しそれを阻止しようとストーリーは懸命になります。ストーリーは事件を解決し、ミツバチたちも救うことができるでしょうか。
ミツバチのシリ-ズ第1弾です。
モレーンは小さな町で、食品雑貨店はストーリーが経営する〈ワイルド・クローバー〉1軒だけ、噂話のためにみんなが集まってくるようなところです。そこに別れた夫クレイと隣同士に住んでいるというのは奇妙なものでしょうね。ストーリーの家族構成はというと、ストーリーの妹ホリーは大金持ちと結婚し何不自由ない生活をおくっています。それでストーリーの捜査を積極的に手伝っています。母と祖母は一緒に暮らしていて、祖母は車(キャデラック・フリートウッド)の運転が好きでいつでもストーリーを励ましてくれますが、母はいつでも文句ばかりです。いとこのキャリーはアル中。ストーリーの反対隣の女性は双眼鏡でよその家を覗いていてあることないこと町中に言いふらすので、ストーリーはあらぬ疑いをかけられて大いに迷惑します。市長の妻はクレイと浮気をしていてミツバチ撲滅の急先鋒です。なんだか困った人ばかりの町のように思えますが、心優しい人たちも多く、小さな町の人間関係は濃厚です。
警察犬のベンがかわいいですね。これからも活躍してくれるとよいですが。
この作品はシリーズになっているので、これからミツバチがどうなっていくのか楽しみです。
はちみつを使った料理のレシピも巻末にあります。
主人公: ストーリー・フィッシャー(〈ワイルド・クローバー〉の店主)
場所: USA、ウィスコンシン州モレーン
グルメ: ハチミツ関連(レシピあり)
動物: イヌ:ベン(ベルジアン・マリノア。警察犬)
ユーモア: 中
これはなかなかミツバチですね。
![]() | モップスリッパ ミツバチ ILF-3621 |
クリエーター情報なし | |
INTERIOR COMPANY (インテリア カンパニー) |
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