ワニと読むミステリ(葬儀屋の未亡人)

葬儀屋の未亡人

早川書房

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読むと、愛情の結末は、予想がつかない

(フィリップ・マーゴリン著)
 やっぱりこれも、途中でやめるのがすごく難しかったです。いったいどうなっていくのか、さっぱり予想がつかなくて、思わぬことの連続で、ワニとしても、わくわくしました。
 何から話したらよいのか、迷ってしまいます。
 これも、法曹界が主な舞台です、フィリップ・マーゴリンですからね。検事も弁護士も判事も、ほんとに大変ですね。決まった仕事時間というものがなく、裁判のためひたすら身を粉にして働いています。体に悪そう。それに虚虚実実の駆け引きが日常で、まったく誰も信じられないし。心に悪そう。
 主に、判事リチャード・クインを中心とした展開が描写されていきます。
 この判事クインは、実に高潔で公平、正義感にあふれ、誰もがその実力と人柄を認めるような、法曹界の理想のような人物です。で、このクインの性格というのが、またこのミステリの鍵のようなものです。良く覚えておきましょう。
 州上院議員エレン・クリースの家に、押し込み強盗が入り、夫である葬儀屋のラマー・ホイトが強盗に殺されてしまいますが、一緒にいた上院議員エレンは、その強盗を撃ち殺してしまいます。
誰もが認める正当防衛?
 に、見えたのですが、どうもこの撃ち殺された強盗は、誰かに雇われてこの屋敷に忍び込んだらしいのです。
狙われたのは、上院議員? それとも夫の葬儀屋の方?
 エレンには、ベンジャミン・ゲイジという強力で狡猾なライバルがあり、また夫のラマーも、やり手であるがゆえに敵も多そう。
 さて、ここから、だんだんと事件は奇妙な展開を見せ始めます。
 判事クインの妻ローラは、優秀な弁護士ですが、すばらしいチャンスと思われる案件のために、出張してみると、どうもガセ。夫クインと楽しい休暇を過ごすはずだったのをキャンセルしてまで、この仕事を取ったというのに。いったい誰が何のためにこんなことをしたのか、まったく見当もつきません。
 その間、判事のクインは、また不思議な女性と出会い、この女性とともに、これも奇妙な事件に巻き込まれていきます。
 いったいこれらの事件は、何を目的としているのでしょうか。
 このあたりで、いったん本を置いて考えた方がいいかも。
 でも、考えてもなかなかわからないけど。
 みんなそれぞれ少しウソをつき、でも、誰かの行動は許せない。
 ワニは、生来ぼんやりしているので、どうもみんなのウソを見抜けませんでした。
 動機って、複雑ですよ。
 やめられなくなったワニは、危うく電車の駅を乗り過ごすところでした。
 でも、ほんとにフィリップ・マーゴリンの作品は、最後まで息が抜けませんね。
 
主人公: エレン・クリース(州上院議員) Female
リチャード・クイン(巡回裁判所判事) Male
場所:  USA、オレゴン州ポートランド
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 小
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ワニと読むミステリ(研修医に死の贈り物を)

研修医に死の贈り物を

東京創元社

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読むと、思い込みは、いつでもあるもの。

(レイア・ルース・ロビンソン著)
 サトクリフの2冊目です。
 今ERものがはやりなんだそうですが、ワニは、ERを題材にしたTVドラマなども見ていないので、さっぱり知りませんでした。
 ま、良いですけど。
 やっぱり今回も、ユニバーシティ病院のERの医師たちは、いったいいつ寝てるのかと疑問に思うくらい忙しいです。次々に事件や事故が起こって、さまざまな状態の患者が、ひっきりなしに運び込まれてきます。救急車も忙しくて、ほとんど負傷者を捨てるような感じで病院の救急口に車をつけると、申し送りも早口に伝達し、あっという間に次の事件現場へと、新たな負傷者の救出に去っていってしまいます。
 ニューヨークだからこんなにあわただしいのでしょうか?
 こんなに忙しくとも、エヴリンとフィル(精神科医)のお付き合いが始まって1年目の祝賀会がとり行われることになりました。こんな日も、お祝いするんでしょうか。
 エヴリンの弟アラン(シェフ志望)とその元恋人ゲーリーが料理担当で、なにやら恐ろしくおいしそうなものを作っていますよ。でも、エヴリンへ届けられたお祝いのバスケット(体に良い野菜やキノコがぎっしり詰まったもの)から今日のご馳走のために使ったキノコは、どうも毒キノコだったらしい。しかも、このバスケットの送り主は、不明。
 不安に思ったエヴリンが帰ってみると、キッチンのゲーリーの様子がおかしく、あきらかになにやらに中毒しているらしい。歌を歌ってみたりはしゃいだり、興奮状態です。料理の味見をして、キノコ中毒になったらしい。
 さっそくERに運び込み、いろいろ処置をするのですが、その甲斐もなく、ゲーリーは亡くなってしまいます。
 でも、この毒キノコで狙われたのは、いったい誰?
 ゲーリーが料理を担当するなんて、誰も知らなかったはず。なぜならそもそもそのような計画ではなかったから。
 では、最初の計画でご馳走を作るはずだったアランが狙われたのか、それとも、お祝いに参加するはずだった全員を狙ったのか?
 うーむ、わからない。
 せっかく1周年記念なのに、エヴリンと恋人フィルの中は、少々問題あり。
 フィルにストーカーする女学生が、不気味ですよー。完璧に変装して、フィルやエヴリン、その友人たちの間にさまよってきます。
 エヴリンも階段から突き落とされたり、散々な目にあいます。
 精神科のお医者さんとつきあうと、こういうデメリットもあるんですね。
 いろんな科のいろんなお医者さんやら、看護士やら、なんやらたくさん出てくるので、ワニは、ちっとも覚えられませんでした。脳細胞の容量が小さいから。
 看護士のストがあるのですが、そのときにリースの看護士が臨時で雇われるのですね。リースなんかあるのかと、おもしろかったです。


主人公: エヴリン・サトクリフ(ERの研修医) Female
場所:  USA、NY
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(グルメ探偵と幻のスパイス)

グルメ探偵と幻のスパイス

早川書房

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読むと、とにかくおなかが空く。

(ピーター・キング著)
 前のグルメ探偵を読んだのは、いつかなと考えてしまいました。あっという間に時間がたってしまいますね。前のは、「グルメ探偵、特別料理を盗む」。
 グルメ探偵は、イギリス在住なんですが、今回はニューヨークに出張。
 500年前に消失したと考えられている幻のスパイス コ=フォンの鑑定人2名のうちの1名に指名されたのでした。つまり今回は、幻のスパイスを巡っての、攻防戦です。
 ホントにこんなスパイスがあったんでしょうか?
 ワニは、知りません。
 グルメ探偵のもとに、ニューヨークに住みスパイス専門店を営む友人から電話が入ります。幻のスパイスが見つかったので、その鑑定人の1人にならないかとの依頼です。
 500年前のスパイスなんて、本物かどうか、どうやって鑑定するんでしょうね。
 JFKに積荷が着いて、そこで鑑定を行うのですが、五感を活用するのと、化学的分析と、なかなか慎重です。
で、本物であると。
で、その幻のスパイスの入った袋が、消えてしまうのですね。
鑑定する間、誰もがずっとスパイスの入ったその袋を見ていたし、箱に入れ、車に積み込むところも見ています。そして、みんなでその車に乗り込んで、購入者のオフィスにも一緒に行ったのですが、箱を開けたら、空っぽ。
 手品のようだなぁと、ワニは思ったのですが、あとで、実際手品師に、どうやって盗むことができたのか、手口を解きほぐすお願いをするのでした。
 スパイスを追うのも良いですが、前と同様に、ずーーとおいしい料理が並べられるので、読んでいるとオナカが空いてきますね。食べ物がでてこないページはないんじゃないかと思うくらい。
 ニューヨーク各所の有名・無名レストラン情報が満載なんですけど、これって実在の店?
 知ってる人がいたら、聞いてみたいです。
 ワニとしては、アフリカ料理をなんとかして広めようと努力している巨大なヤルバ・ダの「アフリカン・ドリーム」の店を応援したい気分です。
 でも、日本のフグについての記述は、ちょっとかも。
 日本では、毎年フグにあたって死ぬ人が絶えないというのは、間違ってますね。だとしたら、その他の部分も間違ってるかも、って、勘ぐるワニ。
 それと、やたら魅力的でセクシーな女性ばかりが事件関係者なのは、どういうことなんでしょうか。 巡査部長(だったかな)も、元女優で、さまざまに変装してくれます。どの変装も、どきどきするほど魅惑的です。 花にむらがるチョウチョのように、男性が集まってきちゃうのですが、捜査に支障がないのか、気になりますね。
 でも、ワニはおいしいものがあれば満足。
 幻のスパイス コ・フォンをまぶしたパスタがあれば、最高!

主人公: (グルメ探偵) Male
場所:  USA、ニューヨーク
グルメ: 盛りだくさん
動物:  なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(傷心)

傷心

講談社

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読むと、恋は盲目って、こういうこと?

(ディヴィッド・ハンドラー著)
 本当にかえすがえすも残念!
 ディヴィッド・ハンドラーに出会うのが遅すぎた。。。
 この本も、もう書店に売ってなくて、ブックオフで探しだしました。ま、安くで買えたので良かったですが。
 で、読む順番がめちゃくちゃ。 
以前に読んだ「殺人小説家」(作家のホーギー・シリーズ)の前に位置づけられる作品です。したがって、愛娘のトレーシーは、まだ赤ちゃんでした。
 ワニは、この前の作品群を読んでいないので(残念! 残念!)、ホーギーとメリリーの関係がどう推移したのか不明ですが、ここでは離婚していて、共同生活してます。なんだかわからなーい。
 場所は、あちこち移動してます。ニューヨークのホーギーたちのアパートだったり、メリリーのカントリー・ハウスだったり。
都会の生活と、田舎の生活。この対比もおもしろいです。
ニューヨークは東京みたいに忙しくて、カントリー・ハウスは、ゆったりと大きな池もある。
で、田舎に滞在中のホーギーたちのもとへ、ホーギーが師と仰ぐソアが若い恋人を連れて、しばらく滞在することになります。ソアは、70代なんですよ、で、新しい恋人は、まだ10代の女の子クレスラ。
年の差53歳。 
この女の子との関係がややこしくて、ソアの結婚相手のルースと前夫のバリーとの間にできた女の子で、ソアの養女。バリーはクレスラと別れたあと、マルコ(男、デザイナー)と住んでます。
ややこしい。
ソアは、71歳。「驚くべき活力、カリスマ性、そしてパワーはいまだに健在だ。」(引用:9ページ)。結婚相手のクレスラは、急進的なフェミニスト。
両方とも超有名人。
ゆえに、これは大変なスキャンダルなわけで、マスコミの攻撃から逃れる意味もあって、ホーギーのもとへやってきたのです。
で、これからどうなるのかなぁとそわそわし始めたころに、みんながそれぞれの用事でいろんなところにでかけて、また少しずつ人に言いたくない事情があって、アリバイがあいまいという状況で、ソアの惨殺死体が発見されます!
ホーギーたちの池で。
このあたりから、次々殺人。
ホーギーたちは、これらの殺人が同一犯による連続殺人と見るのですが、どうにも動機が不明です。難しいですよ、この動機探しが。でも、これがわかると、犯人は容易に特定できますよ。
ワニは、わかりました。(ちょっと自慢)
でも誰にでもわかるかな。(ちょっと弱気)
バセット・ハウンドのルルが、すっごいです!
名探偵。
そして、警察犬に恋をします。実るかな。
ホーギーのへらず口もすばらしく憎たらしくて、こんなに次々と人を煙に巻いたり、愚弄したり、自由にできたら良いだろうなと、のんきなワニは、うらやましいです。

 それにしても、困ったワニ。 
 今後、ディヴィッド・ハンドラーの本をどうやって入手すべきか??
 書店には、売ってないし、ブックオフにも、そんなにないし。。。
 悩む。
 
主人公: スチュアート・ホーグ(作家) Male
場所:  USA、ニューヨークとその近郊
グルメ: なし
動物:  イヌ:バセットハウンド(ルル)
ユーモア: 中

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