海外ミステリ専門書店。特に、イヌ、ネコ、その他の動物が活躍するのが好き。グルメも紹介。
ミステリ専門書店(翻訳もの限定)
ワニと読むミステリ(サンタクロースは雪のなか )
![]() | サンタクロースは雪のなか (創元推理文庫) |
アラン・ブラッドリー | |
東京創元社 |
![]() | I Am Half-Sick of Shadows |
Alan Bradley | |
Anchor Canada |
読むと、近いからといって油断は禁物。
(アラン・ブラッドリー著)
もうすぐクリスマス。フレーヴィア・ド・ルース(11歳の化学大好き少女)は研究室にこもって熱心に薬を調合しています。サンタクロースを捕まえるという計画で。しかしバックショー荘に映画撮影隊がやってくると、すっかりそちらに心を奪われてしまいます。有名なフィリス・ワイヴァーンが主演する映画をバックショー荘で撮ろうというのです。フィリスが司祭の求めに応じてチャリティのために「ロミオとジュリエット」の一幕を演じてくれることになり、ビショップス・レーシーの人たちはバックショー荘に集まってきますが、外はブリザードが荒れ狂って閉じ込められてしまいます。その夜、恐ろしいことが起こり、フィルムでの絞殺死体が発見されます。バックショー荘にはたくさんの人が滞在していたので容疑者リストは長く、フレーヴィアは犯人を狩りだそうとさまざまに工夫します。
もうフレーヴィアのシリーズ4巻目になるのですね。相変わらずフレーヴィアは化学大好きでいろんなものを調合しています。今回は強力とりもち。さて何に使うのか。
大雪が降ってバックショー荘は雪に閉ざされるという孤立ものかと思いましたが、不便ながらも交通は遮断されているわけではありませんでした。ただ容疑者が足止めされるので孤立に近いですが。
設定が1950年なのでまだ戦争の後遺症が色濃く残っていて、それが事件の背景を複雑にしています。スパイ活動をしていた人は意外と身近にいるのかもしれません。
今回は大雪の中の事件なので、フレーヴィアの愛車(自転車)グラディスの活躍はなしです。
■既刊
すでに3巻あります。
人形遣いと絞首台 ← 人形遣いの上演中に事件
パイは小さな秘密を運ぶ ← キュウリ畑で死体発見
水晶玉は嘘をつく? ← ジプシーの占い師に不幸が
本の解説によると、当初6作の予定だったのが人気シリーズになったので10作までに変更になったそうです。これからフレーヴィアがどう成長するのか、それも楽しみに1つです。
主人公: フレーヴィア・ド・ルース(11歳の化学大好き少女)
場所: イギリス、イングランド
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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ワニと読むミステリ(暗くなるまで贋作を)
![]() | 暗くなるまで贋作を (創元推理文庫) |
ヘイリー・リンド | |
東京創元社 |
![]() | Brush With Death: An Art Lover's Mystery |
Hailey Lind | |
Signet |
読むと、お墓にいても永遠じゃないかも。
(ヘイリー・リンド著)
サンフランシスコのアーティスト、アニー・キンケイドは霊廟の壁画を修復中です。夜中に火葬された遺骨でいっぱいの建物の中で働くのはちょっと不気味ですが、それ以上にぞっとするのは墓荒らしを墓場中追跡すること。墓場泥棒を追跡していた大学院生は納骨堂にラファエロの真作があるかもしれないとアニーに告げますが、アニーはそれは贋作師の祖父の作品のはず、と思います。まさか真作がここにあるはずがない。不安になったアニーは少々調査を始めてみると、死体に行きあたり、また贋作師の祖父を追い詰める贋作撲滅師(フェイクバスター)の存在も気になり、壁画修復に調査と忙しいことになります。
画家兼疑似塗装師(フォーフィニッシャー)のアニー・キンケイドのシリーズ第3弾。今回はラファエロの「若い婦人の肖像―ラ・フォルナリーナ」が事件に巻き込まれます。この作品はイタリアの国立古典絵画館(ローマ)に収蔵されているそうです。実際に見てみたいですね。
夜中に広い墓場の納骨堂の壁画の修復をするというのは聞いただけでどうもうれしくない作業のような気がします。おまけにハロウィーンの変装をした墓場泥棒に遭遇したらもうそれ以上作業をつづけるなんて恐ろしい。
アニーが修復を請け負うのは「チャペル・オブ・ザ・チャイムズ」というオークランドのある大きな、納骨堂、火葬場、遺体安置所、というように総合的なサービスを提供しているところのようです。これは実際に存在します。ここの詳しい説明は巻末にあります。アメリカのお墓事情がわかって、その点は大変興味深いところがあります。このあたりは火葬が普通のようです。地域によって異なるのでしょうか。
巻末に「アニーのマーブリングガイド」で大理石模様の着色の仕方の解説があります。自宅でやってみたい方には参考になりそうです。
ヘイリー・リンドは、2人の姉妹の共著。Julie Goodson-Lawesはサンフランシスコに住み、壁画家・肖像画家で、Carolyn J. Lawesは歴史学者で、ヴァージニア州ノーフォークにイヌ・ネコとともに住んでいるそうです。
すでに4巻目が出版されており、これではゴーギャンの作品が目玉らしいです。シリーズ中一番面白いとの評価もあるそうですので、みなさん、第4巻目の翻訳も期待しましょう。
■既刊
アニー・キンケイドのシリーズはすでに2冊出ています。毎回有名な芸術家の贋作が問題になりますが、それはアニーの祖父である高名な贋作師の偉大な作品です。
贋作と共に去りぬ ← カラヴァッジョの作品が事件に関係します。
贋作に明日はない ← シャガールの作品が盗まれます。
主人公: アニー・キンケイド(画家兼疑似塗装師(フォーフィニッシャー))
場所: USA、カリフォルニア州オークランド
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 中
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