君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 十四話

2014-07-15 02:55:06 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーのクローンではない(タイプイエロー)
ヴィー 大戦後に生まれた若いミュウ キースの作ったミュウ部隊を任されている

   

「じゃあ、僕達は行くね」
「え?」
「タイプイエローでも時にはタイプブルーを凌ぐ事があるんだよ」
 と、シドが言う。
「ヴィー。君の部下の安全は保障する。それと、この船は医療船だ。小さいけど役に立つ」
 そういうとシドと一緒にセイクリッドへと跳んだ。
 ジョミーを拘束していた手錠が音を立てて落ちた。

 惑星ニュクスと旗艦プロメテウスの間でゆらゆらと金色の髪を揺らしながら、黒いガウンのような服を着たジョミーが手を広げて立ちはだかっている。
「旗艦プロメテウス。射程の長さが自慢の最新鋭艦。これ以上先へは行かせない」
 その声が合図だったかのように、プロメテウスから主砲が撃たれる。
 レーザー砲はジョミーの真横を過ぎる。
 彼の後ろのニュクスへ向かった光は何かに当たり反射して艦隊へと向かっていった。
「退避!」
 光の先にあったゼウス級の戦艦は慌てた。
「大丈夫…」
 静かな声と共に、戦艦の前にはジョミーが青く輝いていた。
 まばゆい光だけがそこにあった。音もなく急速に光が収束して終わった。
「ソルジャー・シン」
 解放されたセイクリッドの仲間が声を上げる。
「ジョミー」
 ヴィーの部隊が乗ったベルーガ2がジョミーに向かっていった。
 ベルーガ2に収容されたジョミーはそのまま『ジュピター』のキーコードを打ち込み、通信を送った。
「ジュピターとして命ずる。全艦、破壊行動を停止せよ。これは最優先事項であり、絶対である。逆らう事は許されない」
 ジュピターの白いブレスが光を放っていた。
 絶対命令を出したジョミーはブルーガ2でプロメテウスへ乗り込み。レドニウスではなく、キースとの会談を要求した。
 キースは通信での会談を承諾し、二人は話し合いを持った。
 会談の終了を聞いて、ヴィーはジョミーのいる部屋のドアを開けた。
「ジョミー!?」
 床に倒れこんでいるジョミーを見てヴィーは走り寄る。
「何かあったのですか?」
「いや、大丈夫。キースとの話は無事に済んだ。ちょっと無理をしただけ…」
「大丈夫ですか?」
「肩を貸してもらえるかな…」
「ベルーガへ行きましょう」
「ありがとう」
 ヴィーに支えられてベルーガのミュウの医療ベッドへ横になるジョミー。
「話題になっているのですが…さっきのは…兵器フィズですよね?」
「知ってるの?」
「一応、軍人ですし、僕らはミュウですから…あの時に何があったのかは知らされています」
「そうか」
「惑星ノアを救った英雄はキースだと思っていました。違うとわかっても尊敬する気持ちは変わりませんが、僕は…本当にノアを救ったあなたたちに銃を向けたって事なるんですね…」
「それは君の任務だったのだろう。今の君の立場なら、しょうがない」
「最近…その誇りも自信も無くしそうです」
「ヴィー。休暇が取れたら一度メサイアに来てみるといい」
「メサイアに?
「とても良い星だよ。トォニィが君を気にしている」
「わかりました。考えておきます」
「そうするといい」
「はい」
「それよりヴィー。セドルを追っていったのはどうなった?」
「見失いました。あなたのステルスはミュウにも見つけられない」
「ステルス機能だけじゃないよ。セドルがそういうのが上手いんだ」
「セドルですか…。彼が来てから問題ばかりだ」
 そういってヴィーは治療部屋から出て行った。その手に何かが握られているのをジョミーは見逃さなかった。
「…彼も迷っている…」
 ベルーガのミュウ用の治療ベッドで回復を待ちながら、窓から見える緑の星ニュクスを見つめた。星をバックにしてグランド・マザーが浮かびあがった。
「グランド・マザー。まさか、僕が貴女を守る事になるなんて思いもしませんでしたよ」
(ジョミー・マーキス・シン。お前はまだ欲しくないのか?)
 マザーがジョミーへと手を伸ばした。
「何を?」
(世界を)
 ゆっくりとマザーの幻が消えていった。
「世界か…」

 物語を悲劇的に考えるなら、この世界が僕を必要としなくなってもかまわないと思っていた。
 だけど、それはあっさりと変わった。
 望んで得た世界だ。自分の好き勝手にしてしまいたとも思った。
 でも、望んでも願っても得られない物ばかりを望んだ。
 僕はもう追う事に疲れてしまったんだ。
 そこへ魔女が僕を誘った。
『世界を地球を救って…』それはとても、甘美な囁きだった。
 僕はそこへ逃げ込んだ。
 僕が世界から消えた。
 消えても世界は回り続けた。
 そう、僕が消えても何も起きなかった。
 小さな小さな僕がどこかで泣いていた。
『誰か僕を見つけて。僕を見て』
 そんな世界が永遠に続く…。
 僕はずっとそう叫んでいた。
 誰も僕を見てくれなくなる気がして。
 僕が…言うんだ。
『失いたくない』
 世界で一人は嫌なんだ。

「なんの為に戻ってきたと思っているんだ」

「そうさ。マザー。僕も人間なんだ。貴女を守った礼を望んでいいよね?世界を…僕に…くれないかな」
「守りきれたならな」と言うキースの声が聞こえた気がした。
「!」 
 ジョミーは部屋を出て操縦室へ飛び込んだ。
「ゼウスが動き出しました」
「星へ向かっています」
「プロメテウスから停船要求を無視して進んでいます」
「だけど、星には防御システムがある…降りる前に破壊される…」
「キースが乗っているあの船は攻撃されない」
「それっ…まさか…」
「…実験体が全て殺されている訳じゃないからね…」
 けびすを返して行こうとするジョミーをヴィーは引き留めた。
「…行きますか?」
「何であれ、止めないといけない」
「俺も行きます」
 あきらかに顔色が悪いジョミーを心配してヴィーが言った。
「君の気持ちはありがたいが…僕には」
「何が味方してくれると言うんです?マザーですか?フィズですか?」
「……」
「支えているくらいは出来ます」
「ヴィー…」
「銃を向けてしまったお詫びをさせて下さい」

 運命がそこへ僕を連れてゆくのなら…。
 僕は足掻いてもがいて無様に堕ちよう。




   続く



※今回少し短いです><;