君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編 二話

2014-01-15 02:50:25 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属

   『君がいる幸せ』 限りある永遠編 「暮れゆく宇宙」二話

  その二日前
  惑星ノア 上空衛星ステーション
「ジョミーはペセトラだったっけ?」
 セドルが聞いた。
「ええ、大事な会議に出ています」
 とシドはそっけなく答えた。
「ふーん。会議か。そんなの誰か他のに行かせればいいのに。俺を優先してくれないなんて冷たいねぇ」
 と見下したようにシドを一瞥するセドル。
「セドルさん。これはノアに住むのに必要な書類です。目を通して頂いて。ここにサインするだけにしてあります」
 と、セドルにデータを送る。
 ざっとデータを見てからサインをしたものを何も言わずに転送してセドルが言った。
「教えてくれないか。ジョミーは本当はどこにいるんだ?」
「ペセトラですよ」
 シドは確認をしながらそっけなく答えた。
「そうか…まあいい。ところで、お前はこの薬に興味はあるか?」
「僕は興味などありません」
 セドルが持つカプセルを見てから彼の顔を見て、そのしたり顔を睨んだ。
 シドはこの横柄な礼儀知らずが嫌いだった。一秒でも早くここから出たかった。
 二人の身長はそう変わりはなかったが、セドルは身体が良く鍛え上げられていて大きかった。その大きな身体にドアを塞がれた形になっている今、彼をただ睨み返すしかなかった。
「そうか。でも俺は、この申請が思ったよりずっと早く通ったのと、無事にラインを超えさせてくれたのはジョミーだからお礼がしたいと思ってね」
 無事になんかじゃない。彼にはずっと待ってもノアに入る許可なんか下りる筈もないと思いながらシドは答えた。
「それが礼になるとでも?」
「ミュウの力で簡単に手に入るとでも?」
 自分の言葉尻をそのまま返されたシドはむっとした。そして、セドルを見返し言った。
「それを僕が力を使って盗むとでもいうのですか?そんな事はしません。もう、どいて下さい」
「この薬の価値を知ったら興味が出るんじゃないかな?」
「とにかく!ここはもう首都星ノアの圏内なんですよ。非合法の薬なんか持ち込まないで下さい」
 彼の商売は貿易商だ。
 交易は政府が管理していたが大戦後は商売として一般が請け負う事も多くなっていた。それで貧富の差が出始めているのも問題視されていた。
 そんな中、非合法の薬や、武器などを人知れず運搬するのが彼の裏の商売だった。
「わかっているよ。まぁ、いいさ。何にしても、俺がここに入れるのはジョミーのおかげだ。こうして来てくれた礼だ。お前にやるよ。お前たちで調べればいい」
 と小さなカプセルをシドの顔の前に三個ぶら下げた。
「……」
「いいか」
 セドルが顔を寄せてひそひそと言う。
「…?」
「いいか。これはな、あの時、ジョミーを自由に操った薬だ」
「え?」
 あの時とは、アルテメシアでの事だ。
 昏睡状態のセドルを救いに深層まで潜ったジョミーが戻れなくなった。あの時の…。
 アルテメシアでの一件はシドは詳しくは知らなかった。意識の中で自分の理想の女性へと変化したジョミーに心奪われた。とセドルは言ったが、ジョミーは「彼にはそう見えたのだろう」と否定をしなかった。
 だから、あの時のシドの疑問はアルテメシアに居合わせたキースが二人を起こした。という事だった。
 キースが何故あんなにも早く動いたのか…。だが、確かに、ジョミーにあの時、何かがあったのは事実だ。今の言葉はジョミーに飲ませる為に作られた薬ような響きがあった。もしそうなら、ジョミーが戻れなくなったのはその薬の所為になる。
 この薬があるからジョミーは彼に興味を持ったのか? 
「気になるか?」
 じっと見下すような目でシドに聞くセドナ。
「…いいえ」
 薬を調べれば、何かわかるかもしれない。そう思ったシドだったが、この薬には手を出してはいけないような気がした。
「俺はミュウじゃないから操れたのは、お前たちの言う思念体だけだったが、お前なら何でも出来ると思うぜ」
「……」
「三個やるから、全部分析してもいいし、一つくらい使ってみるのもいいんじゃないか?全てお前の自由だ…」
「…どういう意味ですか?三つ共分析するにきまっているじゃないですか!」
「そのままさ。これはな、前のは研究途中の物だった。あの時は、実験のつもりだったが、あんな風になるとは予想していなかった」
「ジョミーは、人類の薬には過剰な反応をしてしまう体質で、彼が特別なんです」
「あれからもっとずっと改良もされているがな。ジョミーがそんな体質なら、今使えばもっと面白い物が見れそうだな」
「ジョミーに何かする気ですか?」
「俺が?あいつに?」
 とセドルが笑いだす。
「俺じゃない。どうするかはお前次第。意地を張らないで、ジョミーに使っちまえって…薬の所為だったって言えばなんだって許されるさ。無味無臭で全く気付かれないぞ」
 シドの目の前でカプセルをひらひらと揺らせるセドル。
「何故…そんな事を言うのですか…」
「俺とお前は似てると俺は思ったが、違うか?」
「似ていません」
「お前、追っても手に入らないものを追ってるだろ。けど、俺の方がお前より勝ってるぜ。あの時、ジョミーは俺に何でもしてくれた。それこそ、なんでもな…」
 その下卑た意味合いを含んだ言葉に嫌悪感を露わにしながらもシドはセドルの手からカプセルをひったくると、何も言わずにセドルを押しのけ部屋を出た。

 今、自分の手の中にある小さなカプセル。
 これで、ジョミーに…。自由に操れる。そんな事が可能だろうか?タイプブルーであるあのソルジャーズのブルーになら出来そうだが、それほどの力(効果)がこの薬にはあるのだろうか?



  続く