君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十四話

2013-04-08 03:01:17 | 『君がいる幸せ』 Missing-link編
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー ノア副首相に就任 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
      ジョミー 本当はジョミーはクローンではない(タイプイエロー)

   『君がいる幸せ』 Missing-link編 「伝えたい言葉」 十四話 

「君と僕との間で決着を着けなくてはならない事は二つあるね」

 ジョミーは空港にやって来たソルジャーズのブルーに聞いた。
 ブルーは淡い水色に黄色のラインのミュウの幹部服だった。
 ジョミーは昔のソルジャー服を着ていた。
 近づいてくるジョミーをまっすぐに見つめブルーは答えた。
「一つは記憶の事、もう一つはタイプブルーの力の事ですか?」
「いや、僕の記憶がなかなか戻ってこないのは…多分、僕の所為で君の所為じゃない。だから、気にしなくていいよ。それに、もうほとんど戻っているから心配はいらない…」
 と、ジョミーは笑った。
 あの時、僕らソルジャーの力を増幅出来るフィシスの力を借りてまで奪った記憶だ。そう簡単には戻らない。彼女が大丈夫と言った言葉を疑う気は無いが、またここでジョミーは心配はいらないと言うんだなとブルーは思った。
 それは、本当に大丈夫なのか?と聞いてみたい気持ちを抑えてブルーは答える。 
「…それでは、二つとは…何なんですか?」
「一つは力の事。ストッパーを誰にするのか?だ。それと…」
 ジョミーは言葉を切り、真剣な眼差しで告げた。
「ねぇ、ブルー。君は僕が憎いだろう…」
「ジョミー」
 ブルーが困惑したような顔をしてジョミーの視線から目をそらした。
「ソルジャーズのジョミーを危険にさらし、死んでしまうような目に遭わせた。だから、あんな風に記憶を奪ったり、全力で戦いたいと言ったのだろう?だけれど、僕たちは力ではない方法で決着を着けなくてはならない」
「……」
「僕は…君に何をすればいいんだろうか?どうすれば、許してもらえるのだろうか…二人に償える余地はある?僕はどこまでも卑怯で汚い事をした…それで…」
「…それで、僕が何かを望んだら、叶えてくれるんですか?」
「何でもしよう…」
「最強のタイプブルーでも出来ない事を要求するかも…それでも?…」
「それでも、必ず」
「わかりました。僕の願いは…今は言わないでいいですか?貸しにして下さい」
「貸しに?」
「はい」
「わかったよ。後にしよう」
「……」
 ブルーはホッとしたように小さく笑った。
「ですが、ジョミー。償う事より、あなたは何故彼があんな事をしたのかがわかっていますか?」
「彼は僕たちが彼に二重スパイになる事を強要した。だから、純粋な彼にはそれが耐えられなかった。それと、僕とキースが殺しあうという状況にさせたくなかったんだろう?」
「…そうです。ですが、それだけでは無いですよ」
「これ以外に何が…」
「あなたは自分の命を、命の重みがわかってないんです」
「…僕の命の重み…?」
「僕はクローンとして育ちました。目の前で自分が殺されてゆくのを見てきました。僕はその事に何も感じてなかった…。感じる事なんて何も無かった」
「わかる気がする…僕も僕のクローンを作った。彼は死を恐れる心が無かった…運命のように淡々とそれを受け入れて死んでいった。僕はそれを哀れに思う事しか出来なかった」
「僕も何も感じなかったけど…だけど、僕は悲しみではなくて人に対する憎しみで暴走した。それを抱きしめておさめてくれたのが彼。まだ小さかった頃の…」
「……」
「ジョミーは悲しみを知っている。命を粗末にするあなたに怒りを感じているんです」
「…粗末になんてしいない」
「これは、彼が言ったけど、何故、何も言わずに消えるなんて事になったんです?僕らには何も出来ないかもしれないけれど、せめて、言って欲しかった。短い時間しか一緒にいなかった僕たちでもこう思っているんです、トォニィはもっとそう思っていますよ」
「彼は僕の選択を支持してくれる」
「意見に賛同する事と、何も言われなかったのは違います」
「言えなかったんだ…」
「言わなくてもわかってくれると思っていただけでしょ?」
「ああ…そうかもしれない」
「考えが甘いです。それでは、言われなかった僕らには、辛過ぎです。選ぶ余地すらない…でも、だけど、何も出来なかったのは事実です…が。僕らは…ただ待つしか出来なかった。ただ信じて…」
「……」
「僕らはトォニィを見ていました。彼はとても何かが失われるのを嫌っている。だけど、あなたがする事に関しては、見逃してしまっていて…それが、タイプブルーの運命だなんて言葉になって現れているんです。運命に流されているのは誰より、ソルジャー・シン。あなたなんです」
「そう…かもしれないね…」
「だから、あいつはその運命がキースと殺しあう事を呼ぶのなら、そこを変えようとして…でも、それが、自分が彼を庇うなんて行動になってしまって…自分も誰かを置いてゆく道を選んだと、あの場に一番必要が無いのは自分だと、自分が死んでも良いと思ってしまったのは、やはり、タイプブルーでは無いけど…それが、自分のタイプブルーの運命なんだと言っていました」
「すまない…」
 ジョミーはそう答えるしか出来なかった。『地球再生』と言う言葉に酔い。タイプブルーの運命なんてものに翻弄されたのは、自分自身だったのだ。
 ここまで、非難し責めているのに、ジョミーは優しそうな顔のままで自分を見ている。
 ブルーは自分が感情に流されてトォニィやシド、フィシスまで巻き込んでしまったのは事実だけど、それは全てもう一人のジョミーの為。、
 こうしてちゃんと言いたい事を伝えれたので気分はすっきりしていた。
「これは、きっと僕がジョミーだから仕方がないと笑っていましたよ」
 と、フォローにもならないな。そう思いつつブルーが言った。
「…僕が僕の命を軽んじているのは、認めているよ。何をしても死なないとは思ってはいないけど、他の誰かが死ぬのなら僕はそれに替わりたいと思っている。多分、それは自分の命が先が無いと知っていたから、僕はミュウを何をしても地球へ送り届ける事だけで生きてきた。その日までは死ねないと…。それが成し終えて、次は『地球再生』までの命だと知ってしまったから、もう僕は全てに満足して、僕を生かそうとしなかった。ただ、息をしているだけの物体だったんだ。それでも、何もかも僕の全てをかけて、人類とミュウの共存を願った。「生きろ生きろ」と皆に言いながら、僕は何も見ないで皆から離れてゆくようにしていた。だって…そうだろう…死にゆく者と、今さら何を望んでどうするんだ?悲しみが増すだけじゃないのか?」
 黙って聞いていたブルーが苦々しく叫んだ。
「なら、何もしなければ良いんです!」
「……」
「何も見えないような、聴こえないような身体なら、その通りに何も感じず、何もしないで、ただじっとしていれば良いんですよ」
 その言葉はまるで、ソルジャーズのジョミーのようだった。
 僕は彼に責められている。
「…そう思っていたのなら、人との関係を完全に切っていれば良かったと…そうかもしれないね。いつか居なくなるからって、相手が悲しむからと僕は逃げていたんだ…」
「相手が、残した者が悲しむのはその人の物です。それまで…あなたが背負う事はないです。それは僕らが背負う僕らの物です。誰にも替われません」
「…僕は、僕が怖かったのかもしれない…誰かを悲しませるんじゃなくて、僕が彼らと別れる時に悲しいから…。だけど…今はわかっている。ブルー。僕は君に命を要求され殺されても償えるならと思った事もあった。でも、今は殺される気はない。何があっても僕は殺されない」
「今はミュウの長じゃなくても?守るものが無くても?僕らより弱くても?」
「ああ、ミュウの長でなくても、出来る事はある。守るものは無くなっていない。人がそこにいる限り僕は守り続ける。君たちより弱くても僕は君たちに負けると思っていない」
「一度、全てを無くすと強くなるのかな?」
「僕は何かを無くしたなんて思っていないよ」
「死んだののに?」
「ああ,、そうだったね」
「僕に壊されそうになったのに?」
「ああ、そんな事もあったね」
「…壊してみたくなってきた…」
 と、ブルーが笑った。
「やってみればいい」
 ジョミーがそう返事をした。

「しかし、君たちは僕の大切な子供だ。親が子供にここまで言われるとは本当に情けないな」
「見た目は僕らより子供だから仕方ないんじゃないか?」
「見た目って、今はそう違いはないだろう」
「でも、追い抜けはしないよ」
「そう…だね」
 二人は声を上げて笑った。



  続く