君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 Artemisia編 番外 「夢の続き 雪月花」(後編)

2012-09-08 03:10:32 | 『君がいる幸せ』Artemisia編 夢の在り処
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 番外「夢の続き 雪月花」(後編)

「わかっているよ。苦しまないで…」

「わかっています。そのの気持ち」

「わかっている。俺は変わらない」


「ジョミー!止めるんだ!もう…大丈夫だから…」
 僕が目を開けると目の前にはブルーがいた。
 キースに抱き起こされた。
「な…何が?」
「君は力を放出したんだ。あやうくノアが壊れる所だった」
「あんなので…リミッター外しちゃったんだ…情けないな。ブルーが抑えて…?」
「ああ」
「もう一人の僕は?」
「消えたよ」
「そう…。なら…休みたいから…ベルーガに戻っていいかな?」
「お前なら、この部屋からでも跳べるだろう」
「行くね…」
 そのままジョミーは空港のシャトルまで跳んだ。

「お前、酷くてズルイな…」
 部屋を出てゆこうとしたキースがブルーを振り返りそう言った。
「何が?」
「もう一人のを消したのはお前だろう」
「ジョミーの本心は聞けた。もう必要ないじゃないか…」
「あいつばかり…。お前は何も言わないのか?」
「ジョミーがそう思っている(聞こうとしない)なら、何も言えないさ」
「では、俺が言ってやろうか?」
「キース…僕はジョミーじゃなくて、君を怒らせてしまったか…」
「お前は、自分のクローンに嫉妬したんだ。見ていられなくて逃げてきた。そう、そんなズルイやつなんだ」
「ご名答。その通りだ。姿も見せずに何もしない僕が…そんな心を持つなんて思いもしなかった…」
「随分、降りてきたな…」
「ああ、人みたいだろう?」
「幽霊なのにな」
「あはは…」
「嫉妬したくらいなんだ。そう言ってやるんだな。見えてる内に…」
「言うと歯止めが利かなくなる気がするんだ」
「きっと、大丈夫だ。それより何故入れ替わろうとした?」
「あれは、あの時、僕は何も言わずにジョミーの中に戻ろうとしたんだ。だけど、僕を見たいと思うジョミーが僕の侵入を嫌がった。だから、弾き出された…二人になったのはジョミーがした事だ」
「ジョミーが…?」
「そんな力は僕にはない」
「それは、もしかしたら、お前の望みを叶えようとしたんじゃないか?」
「僕の望みを?」
「そういうのを救いたいって思うのがジョミーだって言っただろ。何を願っていた?」
「…だったね…願い?そんなの…決まっている。恐ろしく浅はかで、バカな願い…。もう僕は死んでいるのにね。ああ…長くジョミーと一緒に居すぎた所為なのかな?そうさ、僕は嫉妬した。僕はクローンの身体を得て、ジョミーをもう一度抱きしめたいと思った。僕だけのモノにしたいと思った。そして、二度と側から離れたくないと…」
「お前のその願い。全部じゃないが、叶っただろう…」
「…そう…だな…」
「本当にバカな願いですね…」
 キースの横でジョミーの声がした。。
 部屋の中に、ジョミーが戻ってきていた。
「ジョミー?」
「僕も貴方を抱きしめたいと思い続けているんですよ」
「君は戻ったんじゃ?」
「姿を消すのは貴方の専売特許じゃありませんよ」
「…気が付かなかった…そうか…君達は」
「貴方の言葉が聞きたかったんです。貴方を拒んだのも、二人になったのも僕がした事です。ただ、出て来たのが僕の本心で、まだ言ってはいけない事を、まだ言えない事を言うんじゃないかと…焦って…」
「あれがお前ならそんな事はしない。信頼してやれよ。自分だろう」
「そうだね。キース」
 ジョミーはブルーの側に来て、思念体の彼を優しく抱きしめた。
「貴方が僕に嫉妬するなんて、そんな…嬉しい事を…しないで下さい。こうして会えた事よりもそっちの方が嬉しくて…何も考えられなくなりそうでしたよ」
「ジョミー…」
「でも、消えてしまうんですね」
「…ああ、…またきっと会える…」
「ジョミー。外が見たい」
 僕達はビルの外に出た。
 外は眩しい陽射しとキレイな青空だった。

「ところで、キース。ブルー。あの…もう一人の僕は何を言ったの?」
「それは…」
 と言い出したキースをブルーが止めた。
「?」
「ジョミー。もう一人のを出してくれたら教えるよ」
 にっこりと笑った。
「またそんな意地悪を…。見えなくなっているだけだから出せますけど…」
 ジョミーはもう一人の姿を出した。
 もう一人の僕は優しく笑っていた。

「さぁ、何て言ったのか教えて下さい」
「しかし、君はいったい何人くらいに分かれているんだい?」
「えっと、百人くらい?んー、百三十くらいかな?数えていない…」
「そんなに?」
 ブルーとキースが同時にそう言った。
「いいじゃない。分かれてしまっただけで、全部僕なんだから」
「………」
 そんな簡単な事じゃないだろう?と思う二人は顔を見合わせた。
「さぁ、教えて」

「…それは、君はキースにも僕にも同じ言葉を…君は一人ずつに言ったんだ……」
「…何て?」
「出会えてよかった。と言ったんだよ」
「……」
 ブルーとキースが僕を見ている。
 きっと…。
 それは、多分…違う…。
 でも、それは…もうそのままでいいのかもしれない…。
 それは僕が贈り、彼らが受け取った言葉だ。
 もう、彼らだけの物なんだ…。
「そっか…」
 僕はそう言って二人に笑いかけた。
 二人は優しい顔で僕の笑顔に答えてくれた。
 そう、今はこれでいい。

 それは、きっと、僕が今、二人に言える最高の言葉を言ったのだろう。
 僕はズルイ。
 僕は二人共、愛している。
 僕に必要で、かけがえの無い二人。
 貴方を思い続けても…それが叶わなくても…もう二度と逢えなくても…。
 この想いは永遠に。
 君の夢を叶える為ならこの命を捧げよう。
 それが二人の未来ならば…何一つ後悔などしないだろう。

 この先に、何が待っていようとも僕は、もう、何者にも負けない。


「ちょっと…」
 とブルーがもう一人のジョミーを連れて行き、少し僕から離れた所で、キースを呼んだ。
「僕が願ったから、このジョミーは出てきてくれた訳だから、二人目は僕のだ…な」
「ブルー。俺も二人目が良い」
「はじめて意見が合ったな」
 と二人は笑い合った。

「えーと、ですね。お二人の意見が合って良かったですね。そんなお二人から、僕が何人にも分かれているなら、一人くらい自分にくれ。と聴こえてきていましたけど…」
「……」
 もう一人の僕が呆れていた。
「ブルー。ずーっと、キースといればいいさ!」
 二人を電撃一閃。
 ジョミーは振り返らず歩いて行っていった。もちろん、もう一人も一緒に。


 あちこち、煤で汚れた二人が官邸の前の広い庭に寝転がっていた。
 二人はどちらからともなしに笑い出した。
「ブルー。お前は、クローンのジョミーに入らなかったのを、そこまで悪じゃないって言ったな。あれはどういう意味なんだ?」
「ああ、それは…。僕がクローンのジョミーに入って、クローンの僕の心をを落としたら、もう本物には近づかなくなるだろうって事だ」
「お、お前って…本当にズルイやつなんだな…」
「知らなかったのか…だから…さ…。僕に取り返されないように、ジョミーをしっかり掴んで離すなよ」
「…オイ…、それは…まさか…ジョミーがお前を…」
 見ると、もうブルーは消えかかっていた。
「過去に負けるなよ…」
「負けはしない」
 ブルーは、ゆっくりと微笑んで青空に溶けていった。


「今夜はブルームーンですよ…」
 ジョミーは星空を見上げて嬉しそうに言った。
 僕の上に、ノアでは珍しい白い雪が舞い降りた。








    「夢の続き 雪月花」 終







 ※書いてみて、このまま繋がるかもしれない。と思いました。
  でも、この先、ブルーが出ないのが…寂しいな。出そうかな^^;