■2007年 日本 105分
■2008.1.6 サロンシネマ2
■監督: 近藤明男
■出演
鈴木理子(淡路 ふみ子)
高橋惠子(笹山タカ=師匠)
藤谷美紀(淡路 チヨ=母) 高橋長英(慈光)
中村敦夫(善吉=本家) 平田満(古川)
尾崎千瑛(サダ) 遠野凪子(〆香)
遠藤憲一(上田=軍人)
高松あい(高野りん=先生)
あおい輝彦(高野=父)
《story》
「本当に大切なものは、目に見えない」
「昭和初期の新潟、盲目の少女ふみ子の見た海は
きらきらと輝いて 運命を切り開く勇気をくれた」
貧しさゆえに、盲目の少女と母が海に入ったとき、その少女は、「海ってきれいだね」と言った。その言葉が母子に生きる勇気を与えた。1935年、戦争の足音が聞こえ始めた頃、新潟県頚城群、8才のふみ子は、盲学校の教師りんと出会った。しかし、貧しいため学校に行くことができず、本家からも援助を断られ、すすめられた按摩の師匠に弟子入りすることになった。師匠のタカはふみ子に厳しく指導していくが、ふみ子の努力は確実に技となっていくのだった。弟子仲間のサダのあたたかい心に見守られ、町中に稼ぎに出たふみ子に、おじいさんがパンを分けてくれたり、花街の〆香が客を世話してくれたり、厳しいながらも幸せな日々を送っていた。ある時、再びりんと出会い点字で書かれた書物に触れることができた。それは「ヘレンケラー」の話で、自分もいつかヘレンケラーのように勉強して力強く生きていくことを、ふみ子は夢見るのだった。そんなとき、サダが事故で死に、母親が病気で死んだ。タカは、ふみ子の願いを叶えるべく、盲学校に通わせる決意をする。
一途な心に幸せがやってくる
自分の不幸をただ嘆くばかりなら、きっともっと不幸な出来事とそれに合うような暗くじめじめした気持ちに覆われてしまうだろう。幸せは、偶然を呼び込む一途な心から作られていくのだ。それはふみ子が生まれたときから持っていたものかもしれない。「海ってきれいだね」って、心で感じる感情の豊かさが、彼女を幸せに導いたのだろう。りんとの出会い、サダとの出会い、パン屋のおじいさんとの出会い、〆香との出会い、彼女自身が導いた出会いだと思う。それに、ふみ子自身欲がなく、勉強したいという一途さや、ふみ子自身も人のことを考えて行動する優しさをもっている。私自身、「勉強したい」という気落ちはほとんどわかなかった。楽をしたいという気持ちの方が強かった。そこがまずちがうのだろう。がんばり屋、努力を惜しまない心が、人々を魅了するし、自分を変える出会いを生むのだ。
公式サイト「ふみ子の海」