正午過ぎにI老健から電話が入りました。
一瞬いやな予感が。
さっちゃんの具合が悪くて「今日の介護トレーニングは中止です」と言われるかもしれないと思ったのです。
でも、違いました。
「開始時間をいつもより30分遅くします」との連絡でした。
今日の介護トレーニングでは栄養補給と薬の投与を実践する予定です。
可能な限り自分一人で行なおうと、僕自身も心に決めていました。
面談室には必要なものはすでにだいたい揃っています。
しばらくすると、さっちゃんがエレベーターで降りて来ました。
「さっちゃん、お風呂入ったの? これから夕食だよ」と話しかけます。
手を握ります。
さっちゃんが目を見開いて、何やら声を発しました。
僕の姿を見て、何かしら感じたような様子でした。
そうは思うのですが、確信は持てませんし、証明も出来ません。
簡単な確認を看護師さんと交わして、さっそく栄養補給をスタートさせます。
時々、看護師さんがアドバイスしてくれますが、ほとんど自分の考えで実践することが出来ます。
2本の管と栄養容器を繋ぎます。
ひとつは押し込むだけで、もうひとつはねじ込みます。
2つの管についている2つのストッパーを閉じます。
栄養容器についているフックに管を止めておきます。
紙パックの口をハサミで切って、栄養容器に100cc注ぎます。
続いて、微温水を200cc、栄養容器に注ぎます。
栄養容器に繋がっている管にある膨らんだ箇所を2、3回押すと栄養容器からその管に流れ込んで来ます。
栄養容器に繋いだ管のストッパー(ローラークランプ)を開けてさらに下に栄養を流します。
その先の管のストッパーを開放するのですが、そのままにすると先端から栄養が流れ出してしまいます。
ですから、先端付近の管を手に持ちながら、ストッパーを開放するんです。
栄養の流れる先端を見ながら、管の先から流れ出そうになる直前で管を折り曲げて流れを止めるんです。
管を曲げている間に、ストッパーを閉めます。
(2つともだったか、胃瘻側のストッパーだけだったか、確信がありません)
さっちゃんの手をお腹の近くから優しく移動させます。
さっちゃんの胃瘻を見えるようにして、ボタンのキャップを外します。
胃瘻カテーテルの口に管の先端をカチッと嵌めます。
(この作業がけっこう細かな作業となり、まだ僕は苦手ですね)
ローラークランプを調節して、適量が流れ落ちるようにします。
これで、さっちゃんの胃の中に栄養が流れ込むようになりますけれど、胃瘻カテーテルと完全に接続できていないと、漏れ出してしまいます。
漏れ出ていないかどうか確認します。
(もし、漏れ出ていたら、すぐにストッパーを閉めて、やり直します)
栄養が全量流れ落ちるまで待ちます。
栄養容器から全量流れ落ちたなら、管を持ち上げながら、管の中に残っている栄養液を残さずに胃の中に流し込みます。
管と管の接続を外します。
(外す前に、2つのストッパーを閉めたと思います)
そして、ここからは薬の投与です。
夕方は液体の便秘の薬だけでした。
看護師さんが何滴かシリンジ(太い注射のようなもの)の中に薬を垂らし、微温水を吸い取りました。
それを受け取った僕が胃瘻側に残された管の口にシリンジの先端をねじ込みます。
シリンジから薬の溶液を押し入れます。
続いて、最後のフラッシュ(洗浄)です。
シリンジに微温水を30cc吸い込んで、それを管から流し込みます。
それで、管の中が洗浄されるんです。
さらに、シリンジを1回外して、空気だけを吸い込ませ、再度管に繋いで、空気だけを管に注ぎ込みます。
これで管の中に付着した水滴なども流されるという訳です。
(微温水や空気を流し込むたびに、ストッパーを閉めたり開放したりしたと思います)
全ての最後に、胃瘻カテーテルに接続された管を抜きます。
ボタンの土台をしっかり持って、管を引き抜かなければなりません。
(細かな作業なので、僕は苦手です)
そして、ボタンのキャップを閉じます。
(これも細かな作業で、僕は苦手です)
看護師さんは「何度もやって、ちゃんと出来るようになるしかない」と厳しく言ってくれました。
これで全て終了。
ほとんどを自分で実践することが出来ました。
次回は栄養補給をする直前に行なう口腔ケアと吸引も実践することになりそうです。
「鼻からの吸引もやるんですか?」と聞くと、「今はやっていません」との答え。
I老健に入所し始めたころに比べると、痰の出方は相当に収まって来ているそうです。
弱いとは言え、さっちゃんは咳をして痰を上げるようなこともするみたいですね。
来週の火曜日は1月3日でまだ三が日ですから、この日は介護トレーニングは出来ないみたいです。
火曜日はいつも入浴直後になってしまうので、曜日も変えた方がいいのではとの考えもあるようですね。
すぐには決まることでもありませんから、電話で相談することになりました。
今日はどうした訳だか、カメラを持って行くのを忘れてしまいました。
スマホで写し慣れていないので、シャッターは押してみたのですが、保存されていないみたいでした。
ですから、今日のさっちゃんの姿はありません。