どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム352『半世紀ごしの思い』

2023-04-23 00:14:25 | ポエム

おいしい味を消したくないから

ぼくはお茶を飲まない

 

初めて就職した会社の社員食堂で

同期入社のその男はそう言った

 

意想外の独白を聞いて頭の中が混乱した

え? そんなこと考える人いるの?

 

緑茶の旨味に慣れ親しんできた身には

とても耐えられない発言だった

 

その人のせいとは言わないが

入社して一か月で退職した

 

紆余曲折のあった人生だが

昨夜ふとあの時の感覚を思い出した

 

半世紀ごしの感覚が

まだ納得のいかないまま残っていた

 

人間っておかしな生き物だね

こんな些細なことを引きずってきて

 

あと何年あるかわからない余生を

かさぶたを抱えたまま生きるのだろうか

 

 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 紙上『大喜利』(18) | トップ | 新作短編小説『指』 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感覚の違いは埋めようがない (tadaox)
2023-05-02 19:19:52
(知恵熱おやじ)様、こんばんは。
とげが刺さったまま半世紀・・・・ふだんは忘れているのに時たま疼く・・・・ちょっと違うかな。
何とも言いようのない感覚です。
返信する
その感覚・・・ (知恵熱おやじ)
2023-05-02 01:01:15
わかりますねー、、、その感覚
返信する

コメントを投稿

ポエム」カテゴリの最新記事