ベニサンゴバナ
(季節の花300)より
この世には不思議がいっぱい
ベニサンゴバナもその一つ
海のものとも山のものともわからない
忘れかけた格言の出どころは
もしかしてあなたじゃありませんか
どこかから熱帯魚が寄ってくる
いやいや蝶々のはずでしょう
わかっていても混乱する観察日記
ちょうちょやハチをさておいて
エンゼルフィッシュなど来たら大ご . . . 本文を読む
シャボン玉で遊ぶネズミ
(画像は「カナダ・モントリオール出身の写真家ダイアナ・オズダマーさん」)
疎開して住まわせてもらった家には
天井がなかった
藁屋根を支える竹と縄ひもが
眠りにつく前のぼくの風景だった
安心して夢を見ることができる
焼夷弾の恐怖から逃れられる
機銃掃射で死にかけた兄の話も遠くなる
「そろそろ寝るぞ」父の声とともに灯りが消え . . . 本文を読む
蛇の目エリカ
(季節の花300)12月の花より
この寒い季節にコートもなしで
よくもまあ咲く気になったねえ
誰もかれもが寒風にさらされて
頬っぺたがピンクに染まっているよ
蛇の目のエリカさん
みんな一斉に何を見てるの?
恋の季節の集会に加わった家猫が
野良どもの威嚇に怯えているのかい
それとも女 . . . 本文を読む
白蝶草
(ウェブ植物図鑑)より
ああ 君はここにいたのか
ぼくとは小学五年生のとき別れたきりだが
きみの面影をずっと探していたんだ
五月の風が君のもとへ案内してくれたというわけさ
お父さんは中央省庁の偉い役人とかで
転校生の君はクライスラーで送られてきたね
後部ドアが開いて最初に赤い革靴が現れた
あの日以来ぼくの胸は高鳴ったままなんだ
& . . . 本文を読む
なんじゃもんじゃの木
「城跡ほっつき歩記)より
雲か霞か深山の寺を
ぼんやり覆ってひろがる静寂[(しじま〉
のったり陽を浴び無風のはずが
意表をついて風を呼ぶ
背中を押され体を揺らし
風に応える白い花
見たこともないとっぴな花に
なんじゃもんじゃと和尚が悩む
老僧の目にもめずらしい
誰の寄進か裏山に
こっそり育った巨木の覇 . . . 本文を読む
リアトリスが暑い熱い盛りに咲きました
長い首を伸べて野原を見まわしています
北米生まれの野草ですが
帰化してもう100年ほどになるでしょうか
長い首をもたげて野原に群れるものだから
麒麟菊とも呼ばれるようです
花や葉っぱを何かに見立てて
名前を付ける名付け親がいるんですね
そうそうリアトリスにはもう一つ別の名が
百合 . . . 本文を読む
風を受けてのサマードライブ
オープンカーでぶっ飛ばす
なつ・なつ・なつ・なつ ココナッツ
「ふたりの愛ランド」が風になびく
歌うよ歌うよ 路傍の花が
アイ・アイ・アイ・アイ 愛ランド
湘南ブルーの若者たちも
のりのり波乗り ナツスミレ
気だるい午後を引き裂いて
海岸道路をポルシェが駆ける
夏・夏・ナツ・夏 ココ 夏
見せるよ見せるよ . . . 本文を読む
ぼくには何かがタランチュラ
毒蜘蛛というイメージが定着して
必要以上に恐れられているが
セアカコケグモほどの破壊力もない
たしかに図体はでかいです
メスの大きさは30センチほどにも
小鳥をつかまえて食べたとか
噂がひとり歩きして悪魔扱いまでされる
ジャングルに生息するイメージが強いが
もともとはイタリアの港町タラントが発祥地
タランチュラコモリグ . . . 本文を読む
世界中の光を一手に集めて
幸福のセールスマンがやってくる
希望を手放した人はいませんか
夢をあきらめた人はいませんか
この世は住みづらいと聞きましたが
畑には一面に菜の花が咲き
楽しげに身をゆらしている
これならどんな種でも育ちそうですね
セールスマンは背中の籠に光を詰め
虐げられた国々をまわることにする
辛すぎる人の前ではわざと躓いて籠を傾け
. . . 本文を読む
シャクトリムシは夢を見た
陽気がいい日に葉っぱの家を出て
広い世界をのんびり歩いてみたい
シャクトリムシは夢心地のまま
葉っぱの縁からポトンと地面に落ちた
ひゃーなんだなんだ土の匂いがする
おまけに危険な蟻がウロウロしてる
大急ぎで逃げ出さなくっちゃ
さすがに寝ぼけ気分も吹っ飛びそう
おやおや僕にはこんな能力があったのか
1メート . . . 本文を読む
〇 文在寅の牙城は マンションから崩れ(政権内の不動産疑惑でソウル市長選惨敗)
〇 日本叩きで 脱してきたが運の尽き〈国民騙しの二枚舌)
〇 中国にすり寄り 日本叩きと合わせ技〈二枚腰で不人気跳ね返すか)
〇 米韓は知り過ぎた仲 「文」より「軍」〈よもや・・・・〉
〇 トリチウム 漁業者の命をトリチウム(海洋放出の風評被害)
〇 汚染水問題は 思考停止のままタイムオーバー(ス . . . 本文を読む
青年が山中で予定にないキャンプをした
迫ってくる夕闇に包まれて
パチパチと弾ける焚火を一人みつめる
その瞳に映るのはどんな色の炎だろうか
記録のために焚火の映像を撮る
燃え始めの火から崩れ落ちる火まで
カメラは固定された一点から炎を追い
火は止まることなく揺れ続けた
赤々と燃える焔などと表現するのはいい
見ている限りでは明々とのほうがぴったりだが
. . . 本文を読む
まさかあの温泉宿がモデルの一つだなんて
噂を聞くまで知らなかったよ
そう「千と千尋の神隠し」のことさ
ぼくが泊まったのはずっと前のことだが
長編アニメが公開されたときも
全然気が付かなかったもんな
とにかく積善館は古めかしかった
四万温泉の駐車場にクルマを停めて
橋を渡りながらほんとに古いと思った
積善館本館はもう建て直されていたが . . . 本文を読む
雷電為衛門の生家に行って
しつらえられた土俵に立ってみた
おお あの歴史上最強の大関は
この東御市(大石村)で生まれたのだ
近くには先祖代々の立派な墓もあり
身長6尺7寸にも成長する少年は
肥沃な土地の作物と親の愛を受け
自由に育てられたことが実感された
とにかく並外れて大きな体格の少年だ
友だちと遊ぶにも怪我をさせない用心を
親の苦労は隠れたと . . . 本文を読む
うろうろしているうちに
めがねを失くした
あちこち探したが
ついに出てこなかった
どこで失くしたのか
思い出せればいいのだが
困ったことに
あやふやなのだ
めがねを失くしただけでなく
なにか大事なものを失くした
つなみの映像を見ていても
辺見庸をさがし出せないのだ
3.11から1 . . . 本文を読む