磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

ママの卵

2005年12月01日 | 短編など
ママの卵

1.

外は晴れてはいるのだけれど、
真っ黒な大きな雲たちが
雲の布団のように風に押し流されていました。

「アラー」
カジ君のママは布団をあわてて家の中に取り込みました。

「一雨きそうね。いやなお天気」
ママはテレビ欄を見て、
ちょうど天気予報の時間なので、
テレビのスイッチをつけました。

「気象通信衛星ひまわりからの天気図です。
広く日本は低気圧に覆われ、
各地に大雨警報ならびに、
長雨により各地に土砂くずれの注意がうながされています」
テレビの天気予報は告げました。

カジ君が帰ってきました。
「ただいま、今、帰りましたよ」
パパの口まねごっこをしました。

「お帰り、カジ」
ママは顔を真っ赤にさせていました。

「人の真似をするのはやめなさいと言っているでしょうに……」
ママはカジ君を叱りました。

カジ君はママが笑ってくれると思ったのに、
反対にしかられておもしろくありません。

「本当にもう、言うことをきかないからもう~」
ママは洗濯物をきれいに畳んでいました。

「本当にもう、言うことをきかないからもう~」
カジ君はむくれて物まねをしました。

「こらー!」
ママは手を伸ばして、
カジ君を叩こうとしました。

「違うよ。ママ。あられのカンカンがあかないんだったら~。ほら」
カジ君があられのカンカンをさしだしたら、
ママか手をパシンと叩こうとしました。

さっとカジ君は手をよけると、
ママはカンカンを叩きました。

「痛い! 本当にカジは悪戯坊主なんだからあー」
ママは手をぶるぶる震わせました。

「ママ、ママはどこから来たの?」
カジ君は質問しました。

「どうして?」
ママは急にどうしてそんなことを聞くのか、
わかりませんでした。

「何でもないよ。ただ聞きたかったんだよ」
カジ君は言いました。

でも、本当はママがいつもカジ君をしかるから、
カジ君は辛くつて、ママはパパとカジ君とは
違う宇宙から来たのでは? まさか?

「ママ、宇宙人?」
カジ君は真剣な顔をして聞きました。

ママはふきだしそうになりながら、
「そうよ」
仕事をしながこたえました。

カジ君は真っ青になりました。
まさか、まさかと思っていたことが、
本当だったなんて。

これはどえらいことになりました。

「え……、どこの星。何って星から来たの」
カジ君はつばをごくんと飲んで聞きました。

「地球よ」
ママは目をキョロリと動かせて、
カジ君の顔を見て言いました。

「地球」
「そうよ、人間はみんな地球人に決まっているじゃないの」
ママは言いました。

「本当」
「決まっているでしよう。
人は地球に住んでいるから地球人よ」

「違うよ、ママ、本当に地球人」

「そうよ。地球も宇宙にあるから
宇宙人の仲間でもあるけど……」

「ほかの星じゃないの……」
「まあ、この子たら、もう……」
「本当に宇宙人でしょう」
「おばあさんの家へ行ったとがあるでしょう。
おばあさんはママのママなのよ」

「本当?」
カジ君は口をしょぼしょぼさせて言いました。

「当たり前でしょう。おばあちゃんちに
生まれたばかりの写真や服など、
カジ君くらいのころの物もあるわよ。
おばあちゃん、物もちがいいから、たくさんあるわよ」

カジ君はいいことに気がつきました。

「ママ、ママの写真を見せてよ」

「いまないわよ、家には。ほら、
暮れに火事で燃えたじゃないの」
ママは話しました。

それは五つもの家を燃やす火事でした。

カジ君はドラえもんの枕をもって
パジャマ姿であわてて逃げ出したことを思い出しました。
今でもまぶたに赤い炎がチラチラします。

「カジ」
「うん」
「おばあちゃんちの写真を今、
焼き増し頼んであるからね。
今度見せてあげるからね。
とても美人よ、美人なのよ」
ママは話しました。美人、
そんなわけがあるはずがないとカジ君は思いました。

カジ君は果たして本当にママがパパと
同じ人間なのか大いなる疑問でした。

やはり宇宙人ではないかのだろうかなどと考えていました。

「よいしょ」
ママは立って、隣の部屋に行きました。

「うん」
カジ君は元気に野球帽をかぶって、
家から飛び出しました。

「カジー」
ママの声も聞かずにカジ君は
あわてて出て行きました。

「大雨が降るというのに……」
ママは困り顔です。

おばあさんの家はカジ君の家から丘を一つ越えました。

1.5kmくらいの所にありました。

「ママが宇宙人であるかないかつきとめてやるんだ」
カジ君は一生懸命走っていました。

ピチャピチャ……。
急に大きな雨粒が音をたてて、
空から落ちて来ました。

ザーと音をたてて降り出しました。
あたりは真っ暗になりました。

「チェッ」
カジ君はぼとぼと。
背中に大きな雨粒が落ちるのを感じました。

「あそこの木で雨宿りしましょう」

カジ君はふさふさ葉をしげらせた
大木のしたに走り寄りました。

「ピカ、ピカ」
むこうの空で稲光が走りました。

カジ君は雷がとってもきらいなので、
いやー気持ちになりました。

ピョンピョン。
「ケケケ……」
おかしな奴がカジ君のところに近づいて来ました。

「ケケケ……」
雨蛙は雨が降るのが楽しいらしく、
ダンスを踊っていました。

「でも、何だか、変な雨蛙だなあ」

ピョンピョン
「ケケケ……」


2.

「ケケケ……。おいカジ」
「何だよ、こいつ」
カジ君は雨蛙を手のひらにのせました。

「ケケケ……。カジ、おまえのママには
ヘソがないだろう、ケケケ……」
雨蛙は話しました。

「何!」
カジ君は雨蛙を見ました。

「それはそのはずさ。ケケケ……」
雨蛙は笑っていました。

「何!」
カジ君は雨蛙をみました。

「それは、そのはずさ。ケケケ……」
雨蛙は不気味な笑みをうかべるのでした。

「当たり前だろう。ケケケ……」
カジ君は蛙の泣き声がなぜか腹が立ち、
頬をふくらませました。

「おこるな、おこるなよ。カジ。俺の腹を見な」
蛙は裏返りました。

「おまえのママにはヘソはないだろう。ケケケ……」
蛙は低い太い声で笑いました。

カジ君は、
「僕、知らない」
と答えました。

蛙は低い太い声をますます低く太い声にして、笑い。
しまいにはひっくりかえりました。

「ケケケ……。
おまえのママには、おへそがないんだぞ。
ケケケ……。なぜなら、ケケケ……。
おまえのママは卵から生まれたからだ。ケケケ……」

「卵から」

「ケケケ……、そうだよ。卵から生まれた生き物には、みんなヘソはないのさ」
雨蛙は真剣な顔をして話しました。

「そういえば、僕、幼稚園の時、蛙の卵を観察したぞ。
鶏も卵から生まれるんだ。
そういえば……ひよこにもヘソがなかったぞ」

「へーそー。ケケケ……」
雨蛙は大笑いしました。

カジ君はだんだん心配になってきました。
ママのおヘソがあるかないか、
たしかめたくって、仕方がありませんでした。

「どこにその卵があるか知っているかい。ケケケ……」
雨蛙は薄気味悪くなりました。

「どこ、どこにあるの」
「それは、この木の後ろの池さ」
雨蛙は目をむいて言いました。

「うひゃー」
カジ君は驚きました。

真っ暗な中におぼろげに赤い煙がたちこめ、
そこに鬼がいるのです。

ポコポコポコと池からあぶくが吹き出て、
それを金網ですくうと丸いものがとれました。

「あれが、ママの卵さ。ケケケ……。
しかし、カジ。鬼に見つかったら、
どんな目にあわされるか、わかねんえぞ……」

「うん」
カジ君は木のかげに潜みました。

「クンクン」
赤鬼はにおいをかぎました。

「うん、人間のにおいだ」
赤鬼はまわりを見まわしました。
そして首をふりました。

また赤鬼は仕事を続けました。
「クンクンクン……」
カジ君は見つからないかと思って、
身をより出して、卵をママの卵を見ました。

「こらー!」
鬼は急に怒りました。

バリバリ……、稲光が暗い中に走ります。


3.

「あー、カジ君。
やっぱりおばあさんの所へ行こうと思ったのね」

「あっ、ママ」
「蛙なんかもって、ママ、蛙きらいよ。だから捨ててよ」
「うん」

「どうしたの? しゃんとして」
「へんなこと考えていたの」
「カジ君は、ここからはおばあちゃんの
家が近いから行きましょう。
どぼどぼに濡れ雑巾みたいだからね」
カジ君は手をひかれました。

「ねえー、ママ。おヘソある?」
「何いうの変な子」


4.

「あははは……」
おばあさんはミルクコーヒーを飲みました。

カジ君は夢のなかであったことを話しました。

「ママにだって、ママがいるのよ。
それがおばあちゃんよ。
ほら、おヘソだってもちろんあるわよ」
おばあちゃんは笑いました。

そして、おばあちゃんはママに
あまり叱りすぎるのはよくないと教えました。
カジ君はママも子どもなんだなあーと思いました。





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もくじ[メルへん]



検証IH調理器電磁波被害 そして、オール電化と環境・未来・経済性について

2005年12月01日 | 読書日記など
『検証IH調理器電磁波被害
 そして、オール電化と環境・未来・経済性について』
  懸樋(かけひ)哲夫+ガウスネット・著/株式会社三五館2005年

電磁波のことが、ここで話題になりました。
雨漏りはんや、みっちゃんが教えてくれたことも、
書かれてありました。




オール電化って、テレビのコマーシャルでみる
憧れの生活のようでした。
でも、そこでも問題があったようです。

やはり電磁波の問題だそうです。
電流の流れるところ、必ず電磁波あり。

IH調理器はとくに危険なようです。

「IH調理器の特異なところ さてIH調理器の場合、20 キロ~30キロヘルツ程度の、低周波の磁場の中でも高い周波数を使用して鍋を熱するものです。つまりIH調理器は電磁場をわざわざ強く作り出しているということなのです。つまりIH調理器は電磁場をわざわざ強く作り出しているということなのです。そのためIH調理器からは50~60ヘルツという数十キロヘルツ(機種によりさまざま)という2種類の電磁場が生じるところが特徴です。他の家電は50~60ヘルツだけであるのと、根本的に違いをみます。ここがIH調理器をとくに問題視する点なのです。」


鍋が二つだと電磁場も倍増すると検証されたそうです。
メーカーの説明では二つでも変わらないと書かれてあるそうです。


IH調理機でも発火することがあるそうです。

東京電力のパンフレットでの基準はおかしいそうです。


電化(火力発電)かガスか、どちらが環境にいいか?
ガスのようですね。火力発電では、
ガスの約2.8倍も二酸化炭素を排出しているそうです。

テレビでコマーシャルしているお得というのは、
価格がお得というだけであるらしい。

原子力発電所はスイッチオンしたり、
オフしたり気楽にできないから、
夜間も動かしています。
しかし、夜間の電気は使われませんから、
その電気を使ってもらうために、
電気料金を下げているのです。

家電は電磁波を発生させるけれど、
離れるとよいそうですが、
IH調理器は離れると、調理できないという
条件があるので、危険性があるそうです。

IH調理器をご使用の方はせび手にとって欲しい本です。



もくじ[環境問題]

D074.大ダコ

2005年12月01日 | 【小説】 レインボー...
VI.青の部屋(虹の世界)

D074.大ダコ




「ちぇ、なんや、こんなんがっかりや。いろんな色がないとおもろうないやん! そうだ、魔法の水晶の剣があったんだ。こんなサンゴ礁じゃ、つまらないからね」

 大ダコはまた、水晶の剣をふりまわしている。大ダコが諦めたとき、少しずつ、サンゴは赤や黄色、いろいろな色になってきた。

「やったぜ!」
 大ダコはガッツ・ポーズをきめている。まるで、映画で見た怪傑ゾロのようである。
 その大ダコの遠くにいるユリカたちのいるサンゴ礁も色づきはじめた。

「うわー、きれい、すごいわ」
「ほんとうじゃ」

「どこかに魔法使いがいるのかしら」
 カールはびっくりした。もし、ばれたら魔法使いの刑務所で一年間、月見草の刑にされるのである。しかし、カールのことではないと安心した。人間の前では決して、魔法なんて使わないと心に決めるカールであった。

 このユリカという女の子も、今は心は清いが大人になればどうかわかったものじゃないからなあー。やはり法というものは大切なものだろう。

「ユリカ、知っているかい。サンゴ礁は植物か動物か」
「植物でしょう」

「ちがうね。動物なんじゃ、虫だよ。虫がこんなに美しいものを作っているんじゃよ。虫は何て素晴らしい芸術家だろうか」
 ユリカは、今までサンゴ礁が植物と思っていたので、すぐには信じられなかった。

「そうね。でも、どこから見ても植物よ」
「学者も昔は植物と間違っていたほどじゃ、そう思うのも仕方があるまい」
「学者も、専門家でも……」

「そうじゃよ。しかし、専門家であろうと同じ人間じゃよ。サンゴは夜中に元気になるんじゃよ。それに、星砂って知っているかい。星の砂ともいわれておる」

「星の砂って何よ」
「星の形になっている砂だよ。それも有孔虫という虫が作ったんじゃよ。虫は芸術家でもあり、蝶々のように見事なお洒落を楽しんでいるものもいる。人間のダンサーでも、あれほど華麗に舞うことはできまい」
「何よ、カールの言い方じゃ、虫だけが素晴らしいみたいじゃないの」

「まあ、そんなことは言ってはいまい。人間じゃあるまいし……。サンゴは、二酸化炭素とカルシウムで、あのような美しいサンゴを作るんじゃよ」

「二酸化炭素?」
「海水に溶け込んでいる二酸化炭素を使うんじゃよ」

「そうなの……」
「サンゴ礁は生命豊かなところ。ほら、小さな魚を守っているじゃろう。サンゴと共生している藻があり、その藻はたくさんの酸素を作り出しているんだよ。もし、サンゴ礁がなくなれば、その酸素もなくなり、二酸化炭素は増えるばかりなんじゃよ」
「サンゴってすごいのね」

 ユリカは地球の温暖化の原因は二酸化炭素だと聞いたことを思い出していた。
「それだけじゃない。サンゴはいろいろなことを教えてくれる。あるサンゴを削れば木のように年輪があるんだよ」

「木の年輪は知っているわよ。冬と夏じゃ成長が違うから、年輪ができるのよね」




閑話休題

自然のことを調べることは、
無意味なことではありません。
タコの吸盤からのヒントも、
生活に便利な品が開発されましたね。

人間が電球などをつくりましたが、
エネルギー効率はよいとはいえない商品で、
改善が必要です。

それよりもホタルの光のほうが、
エネルギー効率がいいといわれています。

自然からいろいろなアイデアをえた
発明家は意外に多い気もします。






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