VI.青の部屋(虹の世界) D073.クジラ 「大きかったなぁ」 小さなカールはずいぶん驚いていた。 「本当ねえ」 ユリカも目を白黒させていた。 「人間は何でも人間が一番だと思っているが、クジラも素晴らしい生き物だよ。クジラは地球上で最大の動物なんだよ。どおりで大きいはずだ。しかし、クジラの生活は謎に包まれているんだ。いまだにわかっていないことも多い」 カールはクジラについて説明しはじめる。クジラという名前を知っていたとしても、それでクジラの全てを知ったわけではないのである。 海の平均の深さ、平均三千八百メートルと言われている。超高層ビルどころではない非常に深いのである。暗闇の世界では、頼れるのは音である。クジラはさまざまな音をだしている。音の伝わる速度は空気中では一秒間に340メートル、海中では1秒間に1500メートル伝わるという、地上の5倍近く早いのである。 海の中はクジラの音で満たされているという。低い音から高い音まで変化に富んでいる。驚くことにシロナガスクジラは1000キロも離れたところにいる仲間の音を聴いている。およそ二万キロ、地球の反対側まで聞こえるという。 海中には特殊な層がある。それはサウンド・チャンネルと呼ばれており、水温と水圧によって生まれていることがわかってきた。深いところ千メートル、浅いところ百メートルにサウンド・チャンネルはある。クジラはこのサウンド・チャンネルを利用している。 そのサウンド・チャンネルによって遠距離の通信をクジラたちはしている。クジラたちは大昔からしていたという。人間は言葉があるから、人類は他の動物とは違うという。そして、インターネットで世界の人たちと通信ができるようになったという。しかし、それ以前から地球規模の通信をしていたのがクジラたちである。 人間だけが優れているのではない。クジラの通信では環境破壊などということは、起こらないのだから、クジラの方が優れていると言えるのではなかろうとカールは皮肉なことを話す。ユリカは耳が痛くなる。でも、私だけが悪いんじゃないもんと思う。 「あっ、熱帯魚」 「エンゼル・フィシュだ」 「わぁー、きれい、サンゴ礁よ」 ユリカたちは楽しい海中の見物をした。 遠くで大きなタコが水晶の剣をふりまわして、 「サンゴよ、いろいろな色になれ!」 と叫んでいる。
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今日、知人から フロレス原人 のことを聞きました。 鱧男宗匠なら、ご存じでしょうが、私は、これから調べるつもりです。
これは僕にはあてはまりませんね。
ほんま甘党キングさまは、
僕にもアマアマですね。(^^)
フロレス原人、もれとりました……。