磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

国際紛争--理論と歴史[原書第5版]

2005年12月08日 | 読書日記など
『国際紛争--理論と歴史
     [原書第5版]』
     ジョセフ・S・ナイ・ジュニア・編/
      田中明彦、村田晃嗣・訳/有斐閣2005年


この本はハーヴァード大学での講義のために
執筆された「国際政治」への入門書であるらしい。



ここでも脱国家が書かれています。
アメリカの大学でもそう教えているようです。

教科書ということで、
あまり特質したことは書かれてありません。

そのなかでも、異常なことが書かれてありました。
アメリカらしいことですが……。以下引用します。

「だが、平和主義者にとっては、「暴力はさらなる暴力を生むだけだ」という結果主義的な見解を追加する者もある。しかし、時として、暴力に対抗しないことが、さらなる暴力を生むこともありうる。たとえば、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が9月11日の事件後に反撃していなければオサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)がアメリカにもう手は出さなかったであろうとは、想定しがたい」

聖書の時代から言われていることの方が賢明でしょうね。
最近はテロのない日の方が珍しいのですから……。

第一次世界大戦のドイツは、国内問題から目をそらすために、
戦争を行ったと書いてあります。
何も他国のことを書かなくとも、クリントン大統領のことを
書けばいいのにと思います。

国際紛争をなくそうという努力をしているように
思えないのは教科書でも同様のことみたいです。

学生たちも、やはりアメリカの利権を守るのが、
アメリカのエリートと教育されていくのでしょうね。

日本のことが案外、理解されているようも
思えました。引用します。

「満州での事例を理解するには、日本の状況を理解する必要がある。日本は19世紀の半ばに、あわや帝国主義の侵略の犠牲になるところから、19世紀の末には立派な帝国主義国に変容した。日本は1904-1905年の日露戦争でロシアを破り、1910年には朝鮮半島を植民地化して、第一次世界大戦では戦勝国にら列した。戦後、日本は大国としての認知を求めた。ヨーロッパ諸国とアメリカはこれを躊躇した。パリで、西洋諸国の政府は、国際連盟規約が人種平等の原則すべきであるという日本の提案を拒否した。1920年代に、アメリカは日本からの移民を排斥する人種差別的な法律を可決したし、イギリスは日本との2国間条約〔日英同盟〕を破棄した。多くの日本人は、自分たちが大国クラブの加盟する段になるとルールが変更されてしまった、と感じた」

名言としては、
「邪悪な動機をもつものは容易に
戦争を他国のせいにする。--A.J.P.テイラー」

国内と海外をわけて論じてほしくありません。
これは歴代のアメリカ大統領にもあてはめて欲しいものです。

昔は「銅」のために戦争がおこったと
書く人もいますが、今は光ファイバーのおかげで、
銅の使用は低下しているようです。

エネルギー問題を解決することは平和にもつながります。




もくじ[平和のための読書]

夢のおもちゃ箱 I

2005年12月08日 | 短編など






夢のおもちゃ箱I

1.

公園に通じる並木道があった。
晩秋のことであった。

並木道の入り口には
みすぼらしい小屋があった。

並木道の木々は今、金色になり、
小屋の色も同系色だった。

並木道には枯葉のジュウタンが敷きつめられ、
コートの襟をたてて人々がそこを通った。

少年が一人、公園に遊びに行こうとする。
荒れた砂ぼこりの道を運動靴を白く汚しながら、
「あー、ほこりっぽい道だなあー」
少年は不平をのべた。

大きな声がするので、
少年はみすぼらしい小屋に入った。
そして、すぐに出てきた。
「父さん、ひどいよ」
「何を言ってやがる、この野郎」
青年は家から飛び出した。

青年の父はおっかけてきた。
「この野郎、どうしてやろうか」
青年をなぐろうとした。

青年は涙目で吐き捨てるように話す。
「なぐりたかったらなぐってもいい。
お父さんくらい倒せるさ」
「何を……」
「こんなこと、何度繰り返すんだよ」
「偉そうにいうな!」

「パシー」
父は子をなぐろうとしたが、青年は左手でとめて、
右手でなぐりかえした。
「だから、やめておこうと言ったんだ。
どおして、話し合いができないんだ」

「うるさい」
父はおおげさに道に倒れていた。
「まったく、親をなぐるとはたいした悪だなあー。
おまえには呆れたものだ。
そんなことは犬畜生だってしやしないぞ」

「父さんが殴ろうとしたから、こうなったんだろう。
父さんさえ話しあいをしてくれたら……」

「うるさい、偉そうにいうな。
誰が食わしてやっていると思ってやがるんだ」

「父さん、わかっているよ。
ありがたいと思っているよ。
でも、この話と話がちがうよ」
「何、うるさい。おまえには思いやりと、
親への恩というのがないのか!」

「思いやり? 思いやりのないのは
父さんの方じゃないか」
「何、うるさい。あー、
わしが何でも悪いんだろう。
出て行け!
おまえみたいな奴は出ていけー!」

プイと青年は並木道を走り出した。
涙が光っていた。


2.

少年はその様子を見ていた。
こんな暴力沙汰を見たことがなかったので、
少年は見入ってしまった。

みすぼらしい小屋から、
青年の姉らしき人が恥ずかしそうに
少年の顔を見た。

少年はムッとして、
歩き始めた。

「あー、おもしろくないものを見たなあー」
少年は並木道を歩いていた。

「あー」
少年は息を飲んだ。
印象派のミレーの絵を思い出した。

少年は晩秋の道を歩いていく。
サッサッサッ……と音をたてて枯葉が舞った。
「何だか映画みたいだなあー」
ピエロが古い木の切り株の上で、
ロダンの考える人のような格好をしていた。

「サーカス、このあたりであるのかなあー」
少年はピエロに近づいた。

「ねえ、おじさん。
どこでサーカスやっているのかなあ」
少年は話しかけたが、
ピエロはブロンズ像のように動かなかった。

「ねえ、おじさん」
少年はピエロのささえている腕をひっぱると、
ピエロはがくんとアゴを
おとして、前のめりになった。

ピエロはとっても驚いていて、
目を白黒させていた。

「ふーっ」
ピエロは大きく息をはいた。

「ねえ、おじさん。どこでサーカスやっているの?」
少年は、しっかりした口調できいた。

ピエロは口の前で手を両手の人さし指で×をつくった。
「ううーん」
少年は首を横にした。

ピエロは目をパチパチさせて、
わからないのかあーと首を横にした。
そして、同じことを繰り返した。

「ううーん。おじさん、話せないの?」
ピエロは首を上下にふって、ニコニコ笑った。

「ねえ、おじさん。サーカス、どこでやっているか。
ビラか何か持ってないの」

ピエロは右手を顔の前で左右に振った。
「ないんだね」
ピエロは首を上下させた。

「じゃ、指でどっちの方角でやっているか教えてよ」

ピエロはまた両手の人さし指で×をつくりました。
「サーカスやってないの?」
ピエロは首をまた上下させた。

ピエロはそのとき、涙を一粒、ポローンと流した。
「あれ、おじさん泣いているの」
少年がいうと、ピエロは唇を噛みしめて、
首を左右に強くふりました。

「嘘だよ。涙がこぼれて落ちたよ」
少年が涙の落ちた方をみると、ビー玉が落ちていました。

「おじさん、手品できるんだあー」
ピエロはニコッと笑って首を上下に振った。

ビー玉はガラスの中に絵の具の
やさしい金色を溶かしたようでした。

「きれいなビー玉、僕にちょうだい」
少年がいうと、ピエロは顔の前で手を左右に動かした。

「まー、どっちでもいいや」
少年はいって、帽子をかぶりなおしました。
すると、ピエロは少年の赤いマフラーを頬にあてました。

「こそばいやー」
少年はいうと、ピエロはまた木の切り株に座りました。

「あれ、おじさん。服に血がついているよ」
少年が指さすと、ピエロは立って、
腰のあたりに手をやりました。
「何ー」
少年は興味深げに見た。

ピエロは少年に指さした。
「僕? どういうこと」
少年は少し考えこんでから、
「わかった、僕のような少年でしょう」
ピエロは首を上下に振った。

ピエロはそして石をとって投げる格好をした。
「石を投げる?」

ピエロはそして石を彼の体にあてて、
枯葉のジュータンの上に倒れました。

「わかった。子どもが石を投げたんだ。
それでケガをしたんだ」
ピエロは首を上下して、手をたたいた。

「パン!」
手を叩き、ピエロはパントマイムを本格的にはじめた。
山高帽に鼻の下に三角のおひげをつくり
ステッキを持った。

「大人?」
ピエロは首を上下に振った。
「大人も石を投げたんだね」

ピエロは上下に首を振って、
切り株に座った。

「だから悲しかったんでしょう」
ピエロは首を左右に強く振って、
目を大きく見開いて口を横にした。

「じゃーなぜ?」
少年は考えこみました。

ピエロは首をカクンと前に倒して考えました。

「ねえ、おじさん、どうしちゃったの」
少年はピエロを気遣いました。

ピエロは手のひらを上にあけで、
首をくりくりんと左右に振りました。

「わからないや!」
少年は帽子をかぶりなおすと、
またピエロはマフラーを頬にあてた。

「おじさん、かしてあげるよ」
少年はピエロの首にまいた。

ピエロの頬が赤くなって、にこにこと笑った。
「エヘヘ……、おじさん。楽しそうだね」
コクンコクンとかわいらしく、
ピエロは首を上下に動かした。
「あはは……」
少年はその様子がおかしくって笑いました。

「これ、僕のママが編んだんだ」
ピエロはかみしめるように、首を上下に振った。

二人は何も話すことができなくって間があいた。

「ねえー。おじさんはどうして悲しんでいたの?」
ピエロはまた下向いた。

あまりにピエロがかわいそうに思えて、
少年はこんなことを言ってしまった。
「このマフラーあげようか」

ピエロは目をパチクリさせて驚き
跳び上がって喜んだ。

ピエロのこの寒空なのに、
白い、パントマイムの人がきるような格好をしていた。
黒い小さな三角帽をかぶっていた。

少年はピエロが喜ぶのを見て、鼻をならして笑った。
でも、ピエロは口をとんがらかせて、
マフラーをとり少年の首にかけました。

「どうしたの、おじさん」
ピエロは編み物をする格好をして、じたんだを踏んだ。

「ママが怒るって? 怒らないよ。
いいよ、いいよ。僕がおじさんにあげるんだからね」
少年はピエロの首にまたマフラーをまいた。

ピエロは手の平を見せた。
「だいじょうぶだよ」
少年は照れながら話した。

そして四つ葉のクローバーを手にかくして、
パッとさぎそうを差し出した。

さぎそうの夢の花言は
「夢でもあなたを想う」というものである。


「すごいや、ぜんぜん種が
わからなかったよ。手品上手だね」

そしてマフラーでその花を隠すと、
さあー次は何が出てくるでしょう。

パッ、小さな箱が出てきました。

「わあー、きれいな箱。
なになに、夢のおもちゃ箱。
小さなおもちゃ箱だなあー」

少年がひらきかけると、
あわててピエロをそれを止めました。

「開けちゃいけないの」
ピエロは首をふって両手をあわせて、
それを右頬にあて首をかたむけました。

「眠ったら開けていいの」
ふんふんとピエロは首をふった。

「じゃ、明日の朝だね」

ピエロは腕をくみ、
首を左右にかたむけていました。

夢と箱に書かれてある場所をさししめした。
「夢をみているときに開けるの?
そんなの無理だよ」

ピエロは両手で目をかくして、
それを左右に広げて、
目をパッと開けて箱のところに
手をやっとパーと花火が噴き出すようにした。

「開けると、飛んでいっちゃうの」
ふんふんとピエロは首を振って、
左足をあげてくるくる
まわりながらマフラーを見て喜びました。

「変わった箱だなあー」
少年はそれを見ていると
ピエロはくるくると何処かへ行ってしまった。

「あれ、おじさん」
「どこに行っちゃったの、消えちゃった」
少年はあっけにとられた。

少年は公園の所にきた。
来たが何だか、はれぼったい気持ちがした。
さきほどの青年がいた。

青年の姉といた。
「ねえ、家に帰りなさい」
「いやだ。家を出るんだ」
「家を出るって。それじゃ、無理よ。
何処に泊まるの。どこで働くの?。
帰りましょう。もう少し大人になるまで待ちなさい。
我慢しなくちゃ。私も同じ気持よ」

少年はそんなやりとりが耳に入ってきて、
体も気持も疲れたし、たまらい気持になった。
ピエロのおじさんはマフラーをあげたので、
ママに叱られないかと急に不安になってきました。


3.

少年は家に変えると、机の上にあの箱をのせた。
「不思議だったよなあー。ピエロのおじさん、僕が
この箱を見ていたら、ちょっとした時間だったのに、
消えちゃったし……」

この箱で何か不思議なことが
起こりそうな気分がしてきました。

「おやつありますよーだ!」
妹が教えてくれた。

少年はおやつを食べていたが、
何だか体の具合が悪かった。
いやな気分になったからかなあー。

「私のいうことを聞かない……」
大人の男の声と泣き声が聞こえた。
「そうですか、よくある話ですね」
少年の父はその男を慰めていた。

「ねえー、ママ」
少年がキッチンに入ると、
ちらっと、応接間の男の顔が見えた。
それは、さきぼとの並木道で
ケンカしていた父の方だった。

男は少年を一瞥してから、
さめざめとまた泣いた。

「ママ、ちょっと風邪ひいたみたいなんだあー」
「わかったわ。部屋で寝ていなさい。
すぐ行きますから……」

寝ていると、おかあさんは薬箱を持ってきました。

「ねえー、ママ。今日ね。
しゃべられないピエロにあったんだ」
「そうなの。気の毒な人ね」
「パントマイムででも話をしてきたよ。
こっちのいうことは理解できるみたいだった。
手品も上手な人だったよ」

「手品?」
「そう涙をビー玉にかえたんだよ。
これもらったんだ。夢のおもちゃ箱なんだって」

「夢の」
おかあさんは、箱を開けようとしました。

「ママ、開けちゃダメだよ。今、開けたらね。
パーと夢が消えちゃうんだよ」
「そうなの……」
ママは信じていなかった……。

「夢の中であけるんだって」
「眠っているときなら、
開けることなんてできないわよ」
「そうだよね」
少年は考えこんだ。

「そのピエロはね、この寒空なのに、
上は白いシャツ一枚って感じだったよ。
それで、ぼくのマフラーをあげたんだ」

「マフラーを」
おかあさんは一生懸命編んで
あげたのにと残念に想いました。

「とってもかわいそうに思えたんだ。
子どもや大人に石を投げられたて、
シャツに血がにじんでいたんだよ」
「そうなの……」

「ママ、怒っている?」
「怒っていないけど、知らないおじさんと
話ししてよかったのかしら?」
「ダメだった!」
「そうよね。人さらいだっているし、
危険な大人がいるのよ。
この世は天国じゃないのよ」

お母さんは部屋から出ていこうとしました。
少年は呼び止めました。
「あの下に来ているお客さんね。
僕、公園の並木道の前の家のところで見たよ」
「ええ、そこに住んでおられるのよ」

「あの人どういう人なの?」
「どういう人って、困った人ね。
お昼からお酒のんだりしているし。
すごく威張っているかと想うと、
赤ちゃんみたいに甘えてくるし、
とにかく困った人よね」

「今日はお兄さんとケンカしていたよ」
「あら、それは本当のことだったのね。
私、あの人のいうことが信じられないのよ。
ところで、そのケンカどうだった?」

「なんか……。お兄さんがかわいそうだった。
いいたいのを我慢して、腹が立つのを我慢していたよ。
お兄さん、まるでピエロみたいだった」

「じゃ、マフラー編んであげましょうか?」
おかあさんは冗談を言って部屋を出ていった。

「ごめんよ。せっかく僕のために編んでくれたのに……」
と、心の中で想った。


4.

「ご飯食べた?」
「食べた。おいしかった」
「じゃ、薬を飲んで寝なさいね」
「はい」
ママは部屋から出ていった。

夜九時、なんだか眠ることができない。
夢のおもちゃ箱が気になった。
でも、病気だし寝なくっちゃ。

夜九時半。あれから30分もたったんだ。
あーあ、うつらうつらはするんだけど……、眠れない。

夜十時、鳩時計が時を告げた。
少年は寝返りをした。

ベッドの上にあった夢のおもちゃ箱が落ちた。
夜十一時、カチカチと時計の音がする。
夜十二時、明日が今日になり、今日が昨日になる瞬間。

シー、時計の音が止まった。
「うーん、眠られない」
少年は伸びをしました。

「あっ、熱が下がっている。気分がいいや」
少年は愉快な気分になった。
「今、何時だろう」

ザーザー!
「何の音だろう」
少年は耳をすましました。

「あっ!?」
それは夢のおもちゃ箱からの音でした。

音が大きくなるとともに、
夢の玩具箱も大きくなりました。

少年は夢のおもちゃ箱に耳をあてました。
そのときにも、おもちゃ箱は大きくなりました。
ベッドのように大きくなりました。

「この音、きいたことがあるぞ。
何だっけかなあー。
それは、ジェットコースター」

夢のおもちゃ箱のふたが開いた。
ジェットコースターの先頭車両が、
レールとともに飛び出してきた。

ジェットコースターには昼間のピエロがいた。
昼間のピエロとちがって、明るい表情をしていた。

「坊や、昼間、ありがとう」
「あっ、おじさん。ピエロのおじさん。
しゃべられるんだね」
「ところで、ママは怒らなかったかい?」
「怒らなかったけど、寂しそうだったよ。
ところで、おじさん、話せるんだね」

「あっ、そうさ。夢の中では、
私だって話すことができるんだよ。
早く、このジェットコースターに乗ってくれたまえ!」

少年は言葉とは便利なものだと想った。

「僕、ジェットコースターこわいんだよ」
「だいじょうぶさ。
これは夢の国のジェットコースターだからね」
「本当?」
「本当さ」

少年はおそるおそるジェットコースターに乗り込んだ。
「今度は前が後ろで、
後ろが前になるから、この先に行こう」
箱の中に入っていく二人。

ピエロは
「それじゃ、出発進行!」
といい、笛をふいた。

「ヤッホー!」
赤いマフラーをなびかせていた。

「ヤッホー」
少年も声を出したが、声が震えていた。

「ウワー!」
やはりジェットコースターの速度ははやい。

景色はといったら、今まで闇のなかにあったのに、
広大な土地の上を、広い大地を、賑やかな都会を、
そして遊園地の中についた。

ジェットコースターは止まった。
「どうしたんだ?」

「空が真っ黒って感じがよくないね」
少年は見上げて感想を述べました。

「じゃ、何色がいいかなあー」
「僕は赤が好きなんだ」

ピエロの両手には、ビー玉がいろいろあった。
「赤をとりだして。空に投げてごらん」
空は真っ赤になりました。

ガーガー!
歯車の軋む音をさせて、ロボットが近づいてきました。
「こんなロボット、僕ほしかったんだ」
でも、それは小さなロボットで
少年より大きなロボットでは
ありませんでした。

「ところで、ここどこなのさ」
「夢のおもちゃ箱だから、
夢の世界に決まっているでしょう」
ピエロは笑いました。

メリーゴーランドやシーソー、観覧車など、
遊園地ならではの代物があった。

「ねえ、今度は観覧車にのろうよ。
ここがどういうところか、高いところから
見るっていうのはいいよね」
「そうだね」
ピエロと少年は観覧車にむかった。

遊園地にはたくさんの
小さな子どもたちがいました。
さきほどは気づかなかったけど……。

「みんな夢中になって遊んでいるね」
「そりゃ、夢の中だからね……。
君もしょっちゅう来ているよ」

「あれ、むこうにいるのは妹だあー」
「でも、夢の世界にいるから、きっと
話してもわからないだろう」
少年はすこしがっかりしました。

「せっかく、遊園地に来たのに、
妹と遊べないのか、残念だなあー」
「こないだ来たときには、二人で
手をつないではしゃぎまくっていたよ」
「そうだったの、気がつかなかった」

観覧車がのぼるにつれて、
遠くの景色が見えてきました。

「むこうは暗い世界だね」
「きみたちの住んでいる社会さ」

観覧車から降りました。
「お話の世界に行かないかい?」
「お話の世界……」
「あー、あの人が裸の王様だ。
あっ、マッチ売りの少女。
あれママじゃないかなあ?。
お姫さまみたいな格好をしているよ」
「ふふふ。夢の世界では何でもなれるからね。
君のママは愉快な人だね」

「みんな、いろいろな夢をみているんだね」
「あのお兄さんがいるよ。でも、一人くらい顔をしているね」
「仕方がないのさ。よい話を書こうと想ったら、そうなる。
口先で騙そうとしたら、簡単だけど、
そんな夢は長続きはしないものさ。
したら余計にかわいそうだけどね」

「あの人は……」
「あの人は編み物をしているんだ。
でも、苦しみさえ、喜びにかえる人たちはいるよ。
本当の喜びには苦しみも伴うものさ」


5.

むこうの世界へ行くことになった。
自動車がくるという。
その自動車には運転手もおらず無人だった。

むこうの世界までは遠いそうだ。
そして、だんだん暗くなっていく。
「引き返したいよ~」
「我慢してね」
ピエロは少年をなだめました。

「ちきしょう、俺が悪いんじゃねえー!
世の中が悪いんだ!」
暴れる人がいる。

「ここなんて、とこ」
「ここも世界さ。悪夢を見ている人たち」

「ちきしょう」
酒を飲む男。

「ガシャ!」
ガラスが割れる音。

「悪夢を見ている人たちといったけど。
本当は夢なんて見ていない、
自分におぼれている人たちさ。
夢を見ている人たちの夢を
悪夢にかえてしまう人たちさ」

ピエロは勇気をもって夢をみようと話しかけましたが、
石を投げつけられました。ケリを入られました。

ピエロは赤いマフラーをみて、勇気を持とうとしています。
「どうしたら、彼らに夢をみせることができるのだろう?」
ピエロの苦痛はここから生まれたようだ。

そして、二人は遊園地にもどりました。
「今夜楽しかったよ。今日の日は忘れないよ」

少年はジェットコースターに乗った。
そして部屋に戻った。
ジェットコースターが戻っていく音が
小さくなればなるほど、
夢のおもちゃ箱も小さくなっていった。
そして、元の大きさに戻ったとき、
時計の針が動き始めました。


少年はそれが本当に夢だったのか、
それとも現実だったのか、わかりませんでした。

夢のおもちゃ箱を見つめていました。
すると、自然におもちゃ箱の蓋が開きました。

ガラス玉がいっぱい輝いていました。
その真中にピエロのおじさんが、
赤いマフラーをつけていました。
それはお人形でした。
ねじをまくと、オルゴールとともに、
ピエロのおじさんが踊りはじめました。


--夢のおもちゃ箱IIつづく--




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ありがとうございます。




もくじ「夢のおもちゃ箱」



【本人評】高校生のときに書きました。
若いねっ。




【ジョン・レノン追悼】平和を我らに! 平和版「チームマイナス6%」

2005年12月08日 | 読書日記など
【ジョン・レノン追悼】平和を我らに!
  平和版「チームマイナス6%」を!

本日は、ジョン・レノンが凶弾にたおれた日です。
あの日はとても信じられなかった。
ジョンの歌をきいていた者が、
武器をとって人をあやめるなどとは
考えにも及ばなかった。

未だに僕にはこの犯罪者の気持ちがわからない。
ただ、有名になれたことだけは確実だろう。

ジョン・レノンは「平和を我らに!」と歌った。

今、環境問題を自分なりに勉強しています。
藤村屋八代目さんを通して、
チームマイナス6%というものも知った。


これはなかなかいいのではないかと思った。
平和版の「チームマイナス6%」があればなあーと
思った。

武器をつくっている会社の製品は買わない。
などを決めたらどうだろうか?

ジョン&ヨーコが教えてくれた、
「平和を我らに!」

それを継承して、
平和を我らでつくりだしていけたら
いいなあーと思いました。

ぼくらにも何かきっとできると
思いたいです。

↓クリックすると大きくなります。


ザ・ビードルズ時代のジョン・レノンとヨーコ。
場所は京都
「日本の着物 ボンボリ みんな魅力だ」
アサヒグラフs46.2.12号より


ジョンの曲がJ-WAVEで流れています。


【関連ニュース】
ジョン・レノン没後25年 ファンの追悼、絶えず 埼玉
没後25年前にレノンしのぶ NYでファンら


【追加12月8日(同日)23:43】
トータス松本さんがジョン・レノン・トリビュートで小野洋子さんと話したら、昔の日本語ですごくきれいだったと話しておられました。ジョン・レノンのジェラス・ガイなどを生?で演奏してくれました。よかったです。(^^)






目 次










D081.ホオジロザメ

2005年12月08日 | 【小説】 レインボー...
VI.青の部屋(虹の世界)

D081.ホオジロザメ





「わー、サメだ!」
 とユリカは大声で叫んだ。

「あっちのほうへ逃げよう」
 カールも大変驚いていた。

 カールはタツノオトシゴのようにして、フワフワと、ユリカは平泳ぎで、ホオジロザメのいる反対方向に泳いで行った。

 ユリカの声に気がついたスナメリくんは、急いでユリカたちのほうに向かって来た。スナメリくんは、ホオジロザメに体当たりだ。

 そのあいだに、カールはユリカにむかって
「あの岩場にかくれよう」
 と提案した。

 ホオジロザメがあんなに、大きいとはユリカは思っていなかった。あれじゃ、私なんかひと飲みよとゾーとした。

 ユリカは、心臓がドキドキしているのがわかった。
 でも、ユリカはスナメリくんが心配で、カールをポケットの中にいれて、難破船のなかに入って行った。

「急がなくっちゃ、あの獰猛なホオジロザメにスナメリくんが勝つとは思えないわ」
 ユリカはこんなに早く泳げるとは思えなかったほど、夢中で早く泳いだ。

 二本の銛をひっぱたけれど、鎖につながれてなかなかとれない。ユリカは全体重をかけて、ひっぱった。

 ガブチャとにぶいし音がして壁の板がとれた。
 そこから、骸骨が出てきて、ユリカにおおいかぶさった。

「キャー」
 ユリカは夢中で逃げた。
 船から出ようとしたら、そこにあの巨大なホオジロザメの姿が見えた。

 ユリカは船の中にもどった。

「こわいなんて、言ってられないわ。骸骨なんて、何もできないのよ。本当に恐いのはサメの方よ」

「そのとおりじゃ!」
カールはとてもうれしそうだ。

 二本の銛をもち、ユリカは船体から出た。

 ホオジロザメは、スナメリくんを追いかけていた。ユリカは、ホオジロザメの方へ泳いで行き、銛をホオジロザメめがけて投げた。

 ポケットの中のカールは、
「はずれー!」
 のん気な声を出した。

 ホオジロザメは、泳ぐのをやめて、ユリカをじろりとにらみつけた。

 ユリカは恐くって、体がブルブルと震えていたが、もう一本の銛を右手でしっかりと握りしめ、力いっぱいホオジロザメの方に投げた。

 プシュー! 銛はホオジロザメの体にささった。
「大当たり!」
 カールは喜んだ。

 ユリカも、
「やったわ」
 水中でガッツポーズをとった。

 ホオジロザメはにこりと笑って、体をしならせた。その時、銛はぽろりとぬけた。

 ユリカは真っ青になった。ホオジロザメは大きな口を鋭い歯をみせて、ユリカに襲いかかろうとした。

 また、スナメリくんが、ホオジロザメにぶつかって来た。
 ユリカとカールは岩場にかくれた。




閑話休題

鮫にもいろいろいますね。

鮫といえば凶暴とか思うのですが、

それからずいぶんはずれた鮫もいます。

ジンベエザメという鮫は凶暴とはほど遠い鮫です。

ぼくはこの鮫のファンです。









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[レインボー・ループ]もくじ