磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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100.府営住宅当選

2005年09月20日 | 【作成中】小説・メリー!地蔵盆



九、さよなら、大文字さん

100.府営住宅当選





 雄二はベランダに行った。風景をじっくりながめた。

「雄二!」
 曽我のおばあさんが声をかけた。

「どうしたんや」
 いつになくやさしい話し方であった。

「ぼくも、もうじき、ここからお別れするのかと思うと、心に焼き付けておかななあーと思っているねん。写真で見ても、やっぱり本物とは違うさかいな」

「そうか。寂しいなるね」
「大文字さんも、見られなくなるよ」

「それは残念やね」

「いつも大文字さんはあって、京都を見下ろしいているのに、同じ京都でも、府下では見られないからなー」

「そうやな、ここと違って田舎やってなあー」
「そう、京都府綴喜郡田辺町大字河原小字神谷……」

「田舎は住所が長いな。ところで、今年の盆はどっちで、すごすねん」

「どっちって。ああ、むこうだよ。盆休みを使って引っ越しをするんや」

「そうか。去年は楽しかったね。頑固者の、ほら、何とかいいはったな。外国人の名前は片仮名やし、覚えにくいねん」
「ジョンさんや」

「そうやった犬と一緒の名前やったな。ジョンさん、あの人はええ人やったね」
「うん、まあね」

「わしも、聖書をもらったよ」
「えぇ、曽我のおばあさんが……」

「うん、まあ、そうや。洗脳されたわけやあらへんけどな。それで、聖書に面白いことが書いてあったわ」
「どんなこと」

「それはな。まあ、待ってなさい」
 雄二は曽我のおばあさんについて行った。仏壇の下の引き出しを開ける曽我のおばあさん。そこから聖書が出てきた。

「そんなところに、バテレンの本を入れていて、バチが当らんのかいな!」
 雄二はあきれていた。

「何を非科学的なことをいうんや。今は月に人類が行く時代やで」
「そうかいな」

「ここ、ここにええこと書いてある。『金持が神の国に入いるのは、駱駝(らくだ)が縫針(ぬいばり)のめどを通る方がたやすい』ジョンさんの聖書には、ええことが書いてあるわ」
 曽我のおばあさんはにこにこしていた。

「まあジョンさんのイエズスさんも素晴らしいお人じゃ。しかし、仏さんに比べたら、まだまだ悟りがたらん。まあー、このイエズスという人は三十代という若さやから、そりゃー、仕方がおまへんけどなあー。ほな、夕方のお勤めをするので、雄二、ほんならなあー」
 しわしわの手をふっていた。すぐにお経がはじまった。






閑話休題

このお話から離れますが、
「おばんざい」という言葉は今では、
多くの人が「お惣菜」、「おかず」だと
知っておられると思います。

番茶にもついている番で、
「つまらない」という意味とか、
「日常」とかあるそうです。

この言葉、京都ではあまり昔は
聞かなかった言葉です。

流通も今のようにいい時代ではなかったし、
藤村屋さんのようなWebShopはこの時代には、
あるわけがありません。
PCすらありません。
IBMは今ではPCをつくっていませんが、
この時代はPCではありません。
コンピュータであり、パーソナルはまだまだ
出てくる時代ではありませんでした。

「おばんざい」は一時は死語だったそうです。
昭和39年1月ごろ朝日新聞京都版に「おばざい」を
大村しげさんなどが、掲載したそうです。

昭和41年に『おばんざい京の味ごよみ』(中外書房刊)として、
出版されたそうです。それで死語がよみがえったそうです。

古くてもいいものは、甦るのです。









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【気軽3】

2005年09月20日 | 短編など



【お気軽作品シリーズ】






ひとりぼっちのリス
さみしい さみしい 森のはずれに
小さな 小さな リスの家
家の前の 泉に行き 顔を写すのが
リスの楽しみでした
ところがある日
自分の顔が写っていないんです。
リスは困っていると
横に自分によく似た顔を見つけました。
そして泉に顔を写すと二つの顔が写っていました。


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