磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

妖怪学校

2005年09月04日 | 短編など


   妖怪学校


   一、美術の時間

 ドラキュラの先生はハートが凍えてしまいそうな冷たい目をしている。

「えっ、今日は人物のデッサンだ。それも!何とヌードだ!」

 いつまでたっても、それ以上は先生は言わない。そこで、海坊主の子どものコブちゃんが質問するため手を上げた。

 ドラキュラ先生は白い牙を光らせ、コブちゃんを指名した。

「はい。先生、何をかいたらいいの?」

「ああ、そうか。言うの忘れていた。ええっと、今日のモデルは透明人間さんだ。まだ、二〇歳のうら若き女性だぞ」

 みんなどっちらけになっていた。目の前のタオルが動いた。



   二、算数の時間

 クラス委員のコブちゃんは先生に注文をつける。

「今日はお皿数えないでください」

 お菊先生は恨めしそうな表情をしている。

「魂のこもった算数こそ、心の豊かさよ」

 番長皿屋敷のころの栄光を背負ってお菊先生は高らかに歌うように数える。

「一枚、二枚、三枚……」



   三、体育の時間

 フランケンシュタイン先生は準備体操を始める。

「一、二、三。一、二、三」

 それ以上、数えられないのだった。

 グランドを通りかかったお菊先生は愛情深かげな眼差しをむけている。
「だから、わたしの授業をきちんと受けておくべきよ」

 フランケン先生、さっそうとバスケットをする。

「やったね! フランケン先生、ダンク・シュート決めた!」

 異常に背が高いだけのことだった。



   四、保健の時間

 教壇の机の上に立つ目玉先生は、性教育を教える。

 妖怪仲間でも、目玉先生がどうして、鬼太郎の父親なのか興味津々!

 新聞部の三つ目小僧は三つの目でみつめた。

 コブちゃんは、なかなか先生が話さないので、
「人間の赤ちゃんはコウノトリが運んでくるそうですが、
妖怪はカラスですか」
 と質問した。

 授業終了のチャイムが鳴って、目玉先生は甲高い声でいう。

「これでお終いじゃ……、なあ鬼太郎!」

 鬼太郎はいなかったが、ネコ娘が用意したお碗のお風呂に入った。



   五、理科の時間

 コブちゃんはロクロ首先生に質問。

「キリンは首が長いから、熱い物を飲んだら、ずっと熱いって感じるって本当ですか」

「はい、そうですわ。実に、わたしも同じ悩みをもっていますのよ」

「そうなんですか」

「ビールを飲んだとき、喉がヒリヒリしましたのよ。その後は首が徐々にピンク色になっていくのが面白いと評判をとりましたのよ」

「先生、喉が弱いんですか」

「コブちゃん、あなたは本当に良い質問をします。そのとおりです」

「だから、油なめるんですね」

「そうね、昔はトローチがなかったからのよね。科学の進歩は役に立つものです。よい子の皆さん、科学の勉強をしましょうね!」

「ハーイ」



   六、化学の時間

 魔女のジライザ先生は化け学を教える。

「このように、人間は見た目だけで人を決めつけますので、チョロイものです」

 コブちゃんは、ネズミの尻尾をくわえていた。それは狸のマツワくんだった。

「キャー!」

 ジライザ先生はネズミが大の苦手だった。

「先生もチョロイな」

 このようにして妖怪学校の一日は終了する。



 妖怪学校の校長先生はいつも生徒の相談をしんみにきく。
 いつも生徒がいくと、
「なにか、ようか~い♪」
 と、ギャグをかます。
 それで、深刻な話は誰もできない……。





 

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84.子どもの家

2005年09月04日 | 【作成中】小説・メリー!地蔵盆



七、学園紛争と秘密基地

84.子どもの家





 雄二はジョンさんのまねをして吉田山の頂上で読書していた。

 池山たちが坂道をのぼって来た。

「香取ちゃん、子どもの家をつくっているねん。手伝ってくれへんか?」
「子どもの家」
 雄二は首をかしげる。

「そうや、子どもだけの家や。ぼくらだけでつくっているのや」
「子どもだけでか」

「そうや、ぼくらだけの家や」
 雄二は夢のような話だと思えた。

「家賃も払わんでええんや」
 恭子がうれしそうだ。

「家の母ちゃんにそう言ってやろうか」
「あかん、あかん、子どもの家で、大人の家やないねんで」
「そうか、残念やねえー」

 坂道の途中で、道のないところに入る。
「すごいやん」
「つぶれた家から材料を運んだ」

 雨戸を利用して作られた家である。木の枝が柱の役目をしている。
「こんな坂道の途中のちょっと入った山の斜面につくったら大人に見つかったら、怒られるで。こうやって、木の枝や葉っぱをおくと見つかりにくいよね。カムフラージュや」

「わしも、手伝う。香取ちゃんがいたら、こんな板を重ねただけの家はすぐにできたやろうにな」

「大人みたいだな、大家さん」
 雄二は池山をからかった。

「これでも、三時間くらい、手こずったよ」
 池山は雄二をにらんだ。

「入口はどないすんねん」
「そうやな。枝を組んで、蔦で結わえて、入口の戸を作ろうよ」

 入口の戸ができた。組んだ枝を蔦で結んだ扉を作ったのだが、枝に葉が残っているので戸らしく見えた。

「なかに入ろうよ」
 小屋のなかは暗い。

「お化けの寝床」
 恭子がうれしそうに笑った。

「ロウソク、つけよ」
 ロウソクをともした。小さくってやっと五人が入れるものだった。

 翌日は幸江も誘って、子どもの家で遊ぼうとした。
「この子どもの家、とても窮屈だね」
 雄二はいやで外に出た。かわりに吉坊が入った。

「ぼく、アパートに帰る」
「わたしも」
 幸江も同じく帰りたがった。

 他の子ども、どうしようかと迷っていた。
「おまえら、待っとれ、餅もってくる」
 池山はほかの子どもたちにいって子どもの家から飛び出した。

 雄二は、また元のところで本を読んでいた。青空を見ながら、ジョンさんがいたときの地蔵盆のほうが楽しかったなあーと思う。万国旗がひらひらと風で揺らいでいたのを思いだした。ジョンさんの国は星条旗。いろんな国がこの世界にはあるんや。

 ジョンさん何をしているやろうなあー。アメリカは遠くて、とても大きい国だ。ジョンさんのことだから、熱心に勉強していることだろうなあー。目をつぶると大文字の送り火を思いだした。

「想い出、心の中に残る」
 とかジョンさは話していたなあ……と思い出した。




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