磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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90.戦争ごっこ?

2005年09月10日 | 【作成中】小説・メリー!地蔵盆



七、学園紛争と秘密基地

90.戦争ごっこ?





「それにしても、大学生なのに、戦争ごっこかいな!」
 池山は思い切ったこと平気で言い放った。そのくらい、暢気(のんき)な感じだったのである。

「あのね。戦争ごっこじゃないよ!」
「じゃ、何?」

「戦争……」
 といい、首をかしげる学生。

「これで戦争やったら、負けるに決まっているやろ」
 白い目で花田は、案内してくれる大学生を莫迦(バカ)にしていた。

「小学生でもわかるか」
「うん」
 三人は声をそろえた。

「どうみても勝てるようには見えない。曽我のおばあさんは、本当の京大生なら、ロケットとかミサイルとかも研究しているから、そんなものも作れるやろうって言うてたでえー。アホみたいに、石、原始人みたいに投げるかいなーって……」

「ミサイルを撃てってか! ごっつう過激なおばあさんだな!」
 笑い出していた。それにしても、外では、みんなが大騒ぎしているが、中は静かである。吉田神社の境内にいるくらい静かである。

「わあ、買ってきてくれたの」
 嬉しそうな表情の女の人も、ヘルヘットをつけている。

「あれ! 女の人もおるんか!」

「いるわよ、悪い! 男女平等よ」

「そうだよ。いや、いざとなったら、女の方が腰すわっているよ」
「この子たちだれ? 何でいるの?」

「食料調達係の子どもたちだよ、ぼくらの仲間!」

「そう、何を買って来てくれた」
「シャケ缶、コンビーフ、ビスケット……チョコのね」

「花田の好きなものばかりじゃないの」
 池山が冗談をいい笑った。花田は頭をかいて笑っていた。

「こんなものばかりね。果物か、生野菜が食べたいわ」
「今度は、そうするよ。買い出し係も増えたしね」
 コンビーフを出して、食べる学生。

「ぼくも」
 思わず口から漏れた。

「いいよ、仲間だからなあー」
「うん、美味い」

「学生運動って楽しいね。外は楽しくないよ」
「そうなの」

「なんか張りつめた感じだったよ」
「そりゃ、そうだろう。おれたちは反逆者だからなあー」

「そういう言い方はやめてよ」
 女の人は嫌そうだった。

「ああ、ごめん、ごめん」

 花田が「指笛ふけるか」ときいてきた。

 池山も雄二も吹けなかった。正確にいえば、鳴るときとそうでない時があった。
「そんなら、教えてやる」

 花田は、指の位置から、舌の使い方まで丁寧に教えてくれた。
 雄二も池山も指笛が吹けるようになった。




閑話休題

京都大学の学園紛争では、
小学生だけでなく、中学生も
京都大学の学生さんの応援をしていました。

他の地区ではこんなことあったのでしょうか?



やはり、こんな時は緊張していたのか、
あまり記憶が鮮明でありません。
特に風景などの記憶が狭い範囲でしかありません。
緊張していると、そうなるらしいです。

小説なので虚構も許されるとも思います。









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もくじ[メリー!地蔵盆]


戦争未亡人 日の当たる田んぼ

2005年09月10日 | 短編など
戦争未亡人 日の当たる田んぼ

私はあのおばあさんを知っています。
ほんの2~3分しか見てないけれど、
あのおばあさんを知っています。

NHKの昭和万葉集で戦争をテーマにした
和歌がとりあげられていた時、
わたしはあのおばあさんを知ったのです。

暑い夏の夜を眠けまなこで、どんな和歌だったのかも
見逃してしまいました。

一人のおばあさんが田んぼのあぜ道に立って、
にこっと笑っておられました。

顔は日に焼け、気持ちよく皺ができていました。
アップされると、歯が幾本か抜けていて、愉快さがくわわりました。

そんなことも気に止めずに、にこっと笑っておらました。
背筋がしゃんとしていて、年よりくさくなく、左手には鍬をもっておられました。

「おばあさんは、戦争でだれをなくされたのですか」
 とアナウンサーが質問しました。

おばあさんは少し気をはりなおして、
「息子です」
と、こたえられました。

青い風が吹きました。
アナウンサーはご主人でしょうと問い直した。

おばあさんは青い風がとおりすぎて驚いておられました。
歯の間から空気がもれる東北弁(秋田)。

3人の子どもを育ててゆかれた。
炎天下、汗が流れ白いタオルでぬぐわれていました。

なんとたくましく大きな人でしようか。
青い風を吹かせることができる人でしょうか。

おばあさんの胸には死なれた夫は、
むかしのまま、ビーズ玉のように輝き、
もう終戦から34年、息子も夫の歳をとうにこえておられます。
夫、おばあさんの息子に変わっていました。




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へんてこな犬

2005年09月10日 | 短編など
私は10年以上前から短篇はひとつも書いていません。
若いときに書いた作品です。
時代もあるんだろうなあーと思います。
メルヘンという分野はあまり書いている人はいないようですね。
アヒルが話したり、ネコが長靴をはいたりしますが、
まあ、それはそれ、お話として楽しんで下さいませ。




へんてこな犬



1

お鼻の長い象をアキラ君はクレヨンでゾウーンと大きくかきました。

「えへへ、ぼく、じょうずだろう」

立ち上がって誰もいないのに、ぶらぶらと見せびらかせて、はしゃぎまわりました。

妹が戸を開けました。

風が吹き込んできて、ヒュールルとその絵は飛んでいきました。

「わあー」

アキラ君はあわてて、団地の階段をおりて行きました。




2

そこに老いた野良犬ポンコツンがいました。

「何だ、ワンダ」
ポンコツンは絵をみました。

「何とぶっかこうな鼻だ。鼻というものは、丸くて小さいのが、よろしいものを。なんと変てこな犬だ」
ポンコツンは、こんな気の毒な犬がいるわけがない、いまいましい絵めと思いました。

そして、ポンコツンはおしっこをその絵にかけました。

3

「こらー! それは、ぼくの絵だぞ。せっかく、うまくかけたのに」
アキラ君は怒りながら走ってきました。

ポンコツンはあわてたもので、いつものゴミ箱あさりとまちがって、絵をくわえて逃げました。

アキラ君はおっかけましたが、追いつけませんでした。とぼとぼと団地の階段をのぼりました。

「臨時ニュースをもうあげます。昨晩、森下サーカスの子象が1頭逃げ出し……」
テレビのアナウンサーが話していました。


4

そのころアキラ君は、
「ママ、僕の象さん、逃げ出したんだよ~」
と、一所懸命に大きな声で話しました。

おかあさんは夕食の用意が忙しくって
「そうぞう」
としか言わないのでアキラ君はふてくれさていました。


5

一方、ポンコツン老犬は老眼鏡をひとさし指でおさえて驚きました。
「なんと大きな犬だなあー。何を食べたらあれだけ大きくなるんだ!」

ポンコツンは小さな犬でしたので、大変驚きました。

ポンコツンは広場の柿ノ木の下に近づいて行きました。

「わん、わん」
ポンコツンはへんてこな犬に愛情をこめた声をかけました。

変てこな犬は、
「おじさん、僕、お腹がペコペコでねぇ、何か食べたいの」
と、悲しいそうな声でした。

ポンコツンはそれでゴミ箱につれていきました。
「さあー、食べよう」

ポンコツンはゴミ箱の中をあさりました。すると、急にへんてこな犬はあたりが真っ暗になったいたのに気がついて、おかあさんが恋しくなって泣き出しそうでした。


6

「ねえーねえ、おじさん、家に帰りたいよお~」
ついには泣き出してしまいました。

魚の骨の尾っぽをかじったポンコツンおじさんは魚の骨を足の上に落としました。

「ぼく、お家がどこかわからないんだよ~」

わんわんと、へんてこな犬は泣きました。

ポンコツンは両前あしをくんで、地べたに寝ころがったり、ひっくりかえたりして考えました。

「そうだワン」
いい考えがうかびました。

そして、のそのそとポンコツン老犬とへんてこな犬は歩いて行きました。


7

アキラ君はおかあさんと妹とおとうさんとで食事をしていました。

「ねえ、おとうさん」
 アキラ君は話しかけました。

「なんだ」
 おとうさんはアキラ君の方を見ました。

「ぼく、今日ね、象さんの絵をかいたんだ」
「象たん、象たん」
 アキラ君の横で妹のアカネちゃんがお茶わんをたたきました。

おかあさんはアカネちゃんに、
「しー」
と言って、ウィンクしました。

するとアカネちゃんはピタッとお茶わんをたたくのをやめました。

「それがね、うまくかけて、喜んでいたら、アカネちゃんが戸を開けて、風がヒューと吹いてきて、その絵は飛んでいったんだ」

アカネちゃんはお皿をスプーンでカンカンたたいて、唇を丸くして、
「ヒュー、ヒュー」
と言いました。

それを見たおあかさんは、人さし指を口もとにもっていき、口を丸くして
「しー」
としました。

アカネちゃんは「シー」と言って静かにしました。

「それがね、へんてこな犬がていてね、その絵をくわえて逃げだしたんだ」
アキラ君は悔しそうにはなしました。


8

一方、ポンコツンたち。
「今日なぁ、おまえさんに似たへんてこな犬を見たんだよ。エヘヘ……。あの、本物じゃなくって、絵だったんだけどもねえ」
ポンコツン老犬は、てれながら象さんに話しました。

「そうだ、アキラ君。今日、サーカスから象が逃げたんだよ。新聞の夕刊にかいてあったよ」
おとうさんが話しました。

「本当ですか。あんなに大きいのに見つからないものですか」

アキラ君は、
「まさかあ、あのへんてこな犬がつれて行ったんじゃないだろうなぁ」
と冗談を言いました。

「あはは、そんなわけがあるわけないわよ」
「そうだとも、あはは……」

アカネちゃんも、コップをスプーンでコンコンとならして、
「あはは……」
とヨダレをたらして笑いました。


9

一方。ポンコツン老犬たち。
「ここが、おまえさんの家だよ」
「ここの階段は、のぼりにくいなあ」
「おまえさんは大きすぎるからなあー」

トントン
「誰かきたみたいね」

「わおーん」
ポンコツンおじさんは、あいさつをしました。

「あれ、誰だろう」
おとうさんが立ち上がりました。


10

アキラ君もつられて、ついて行きました。
それにつられて、アカネちゃんも行きました。
「あっ、象だ」
「わっ、象だ」
コンコン
「うっ、象さんだあ~」
みんな、驚きました。


11

おとうさんはあわてて、警察に110番しました。
アキラ君とアカネちゃんはデザートのバナナを象さんにあげました。











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