七、学園紛争と秘密基地
90.戦争ごっこ?
「それにしても、大学生なのに、戦争ごっこかいな!」
池山は思い切ったこと平気で言い放った。そのくらい、暢気(のんき)な感じだったのである。
「あのね。戦争ごっこじゃないよ!」
「じゃ、何?」
「戦争……」
といい、首をかしげる学生。
「これで戦争やったら、負けるに決まっているやろ」
白い目で花田は、案内してくれる大学生を莫迦(バカ)にしていた。
「小学生でもわかるか」
「うん」
三人は声をそろえた。
「どうみても勝てるようには見えない。曽我のおばあさんは、本当の京大生なら、ロケットとかミサイルとかも研究しているから、そんなものも作れるやろうって言うてたでえー。アホみたいに、石、原始人みたいに投げるかいなーって……」
「ミサイルを撃てってか! ごっつう過激なおばあさんだな!」
笑い出していた。それにしても、外では、みんなが大騒ぎしているが、中は静かである。吉田神社の境内にいるくらい静かである。
「わあ、買ってきてくれたの」
嬉しそうな表情の女の人も、ヘルヘットをつけている。
「あれ! 女の人もおるんか!」
「いるわよ、悪い! 男女平等よ」
「そうだよ。いや、いざとなったら、女の方が腰すわっているよ」
「この子たちだれ? 何でいるの?」
「食料調達係の子どもたちだよ、ぼくらの仲間!」
「そう、何を買って来てくれた」
「シャケ缶、コンビーフ、ビスケット……チョコのね」
「花田の好きなものばかりじゃないの」
池山が冗談をいい笑った。花田は頭をかいて笑っていた。
「こんなものばかりね。果物か、生野菜が食べたいわ」
「今度は、そうするよ。買い出し係も増えたしね」
コンビーフを出して、食べる学生。
「ぼくも」
思わず口から漏れた。
「いいよ、仲間だからなあー」
「うん、美味い」
「学生運動って楽しいね。外は楽しくないよ」
「そうなの」
「なんか張りつめた感じだったよ」
「そりゃ、そうだろう。おれたちは反逆者だからなあー」
「そういう言い方はやめてよ」
女の人は嫌そうだった。
「ああ、ごめん、ごめん」
花田が「指笛ふけるか」ときいてきた。
池山も雄二も吹けなかった。正確にいえば、鳴るときとそうでない時があった。
「そんなら、教えてやる」
花田は、指の位置から、舌の使い方まで丁寧に教えてくれた。
雄二も池山も指笛が吹けるようになった。
閑話休題 京都大学の学園紛争では、 小学生だけでなく、中学生も 京都大学の学生さんの応援をしていました。 他の地区ではこんなことあったのでしょうか? やはり、こんな時は緊張していたのか、 あまり記憶が鮮明でありません。 特に風景などの記憶が狭い範囲でしかありません。 緊張していると、そうなるらしいです。 小説なので虚構も許されるとも思います。 |
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