● prologue(2017.3)
12年前、フランス一人旅の帰りのフライトで隣り合わせになり、空の上で友達になった、ベルギー人のイゾルダ。
彼女は、それから数回来日しましたが、本国での仕事が忙しくなり、ここの所ぱったり来なくなっていました。
今回は、息子を連れての10年ぶりの来日。ずいぶん久しぶりです。
とてもお世話になっているので、全ての予定をキャンセルしてでもおもてなししたい!と思っていましたが、おりしも時は3月下旬。
年度末の忙しさに加え、自分がロジ責任者となった国際会議、さらに家族の入院時期と、彼女たちの来日期間が重なってしまいました。
キャンセルできない、大人の事情ばかり。
残念ながら、滞在中ずっと一緒にはいられませんでした。
彼女は、かねてより一人息子のダニエルをよく日本に連れてきました。
透き通るような肌をした、陶器の人形のようにかわいらしい少年。
最後に会ったのは14歳でしたが、その後大学を卒業し、ポーランドで就職したとのこと。
つまり、母親はベルギー、息子はポーランドから、日本にやってくるのです。
10年ひとむかしと言いますが、長い年月ですよね。再会までドキドキです。
● 十年ぶりの来日

ドバイ観光をしてから来日した2人。
初日から私は都合が悪く、彼らと会えませんでしたが、2人は渋谷に行ったそうです。

プロのファッションデザイナーの彼女は、日本のモードチェックも欠かしません。
これが今年の流行色なのかしら?

クールな自撮り!カッコイイ親子!
ハー、なんかいろいろ違いすぎて、ため息が出ちゃいます。
● 少年が青年に
イゾルダは芸術家なので、繊細で難しいところもありますが、基本明るく華やかな人。
ほかの日本人にも会わせてあげたいと思って、さっちゃんと一緒に行きました。
私はファッションにからきし疎いですが、さっちゃんは服飾の勉強をした人なので、専門的な話がわかりそう。
十年ぶりの再会、やっぱりドキドキします。
彼女たちの宿泊先は、銀座のホテルソラリア。
ロビーで待っていると、大柄の青年がやってきました。
「ハイ、久しぶりだね!」
「ダニエル!?」
子供の頃と変わらぬキス&ハグの挨拶をしましたが、すっかり大きく成長した姿にめんくらいます。
「身長は180cm。もっと大きい人もいるよ」
男の子だし、背は伸びるだろうと思ってはいましたが、記憶の中の少年は、かわいい14歳のままなので、いきなり時を越えてやってきた実物との差に呆然。
すっかり低くなった声が、頭の上から降ってきます。
「イゾルダはおめかし中だから、待ってて」
「はーい」
いつものことなので、気にしません。
彼とお喋りしながら待つこと数分。彼女がやってきました。
「久しぶり~~!!」
お互い歓声をあげて、キス&ハグ。
彼女は全く変わっていません。でも前まで金髪だったのが黒髪に変わっていたので、すっかり変わったようにも見えます。
ひとしきりハグし終わってから「私の目を見ても、何も言わないで」と言われました。
薄暗がりのラウンジではわかりませんでしたが、明るいところへ出ると、彼女の左目に青あざができていることがわかりました。
えー、どうしたのー?
びっくりしましたが、本人に聞かないでと言われている以上は、何も聞けません。
そのため、彼女は大きな女優メガネをかけていました。
● サプライズ・ミー!
「いろいろ考えたけれど、まず希望を聞くわー。どこに行きたい?」
イゾルダに聞いても「どこでもいいわよ」なので、ダニエルに聞きました。
「じゃあ、僕を驚かせてよ」
10年ぶりの再会にしては、ハードル高いリクエストだわー。
驚かせるといったら、やっぱりアレしかありませんよね。
日本が誇る、グレード・ブッダ、大仏です!
ということで「カマクラに行きまーす」と宣言。
「なにがあるの?」とイゾルダ。
「テンプル(お寺)」
「前に行ったよね」
「え、どこだっけ?」
「とっても混んでて、赤い門があって」
「それはアサクサね!そこよりもっと遠いよ」
● 静かだから眠れる
東銀座から新橋経由で鎌倉へ向かいます。
電車に1時間乗っていくと聞いて、「え・・・?」と若干固まる2人。
普段、そんなに電車に乗ることはないんでしょうね。

辺りを見回して「電車の中、静かだね」とひそひそ話してくる二人。
「ベルギーもポーランドも、みんな大声でしゃべってて、すごくうるさいよ」
「目の前の人が寝てる!」
「日本の治安はすごくいいけど、それより先に、眠れるくらい電車の中が静かだってことよね」
そうかあ、その発想はなかったわ。

揺れる電車の中で、さっちゃんが手早く、これから行く鎌倉の地図を描いて、彼らに見せてあげていました。
やっぱり服飾をやった人は、パターン起こしもお手のものなのね?
(「違うよ!」とさっちゃん。いやいやそんなあ~)
● かつお節はマスト
「今回、ベルへの御土産を忘れないようにしないといけないの」
ベルというのは、彼らの飼いネコです。血統書つきのシャム。
「ベルはすぐに外に出たがるから、散歩させてるんだよ」
ん?散歩させてる?
「ほら」
見せてくれた写真には、猫に紐をつけて散歩中のダニエルの姿が。
「えー、なにやってるのー?」
ウサギのお散歩、うさんぽなら見たことがありますが、ねこのおさんぽは見たことありませんよ!
「前にお土産に持ってきてくれた、あの薄いのなに?ベルが見たこともないほど興奮して」
彼らの家に遊びに行った時、ベルのために、かつお節を持っていったのでした。
もともとは(海外の猫もかつお節が好きか?)を確かめたいと思ったからです。
見慣れぬ物体を前に、はじめは警戒していたベルですが、すぐに匂いに反応して、フガフガ言いながら鼻を突っ込んで、そこから離れなくなりました。
猫の好みって、世界共通なんですね~。
ねこまんまがデフォルトだった日本。
今では、かつお節を与えすぎるのは良くないと言われていますが、遠いヨーロッパではそんなにかつお節も出回っていないでしょうから、あげすぎることはないでしょう。
● 言い負かされる
4か月前にバルト三国を旅行した私。
隣国とは全く思わず(そもそもバルト三国がどこにあるのかよくわかってなかった)、フンフンと旅の写真をSNSにアップしたら、普段は静かなダニエルから「なんで?」と反応がありました。
そして今回、面と向かっても、やっぱり物言いがつきました。
「リカ、この前リトアニアまで来ておいて、ポーランドに来なかったよねー」
ああ、責められる…。
「うちの息子、おかんむりよ」とイゾルダも加勢します。
「そうだよ、なんでリトアニアなんだよ」
なぜと言われても~。
「ポーランドの方が絶対にいい国だよ!」
「あ、はい・・・」
そして再び言われました。
「リカ、君だってわかるだろ、たとえば僕が韓国に遊びに行って、日本を素通りして帰るとわかったら、ムッとするだろ?」
むむ、それは確かに、一言言わねばなりますまい!
「そういうことだよ」
ぐうの音も出ません…10年前はあどけない少年だったのに(もういい)
● 日本料理店の思い出
そんなわけで「ポーランド、興味がないわけじゃないのよ」アピールをしようと、東京でポーランド料理が食べられるお店を探してみました。
世界中の味が集まる東京ですから、お茶の子さいさいでしょう。
ところが、いくら探しても、都内にポーランド料理の専門店は見つけられませんでした。
かつて茅場町に「ポルスカ」というお店があったようですが、閉店したそうです。
ポーランド好きをアピールできなかった・・・。
ちなみに、ベルギー滞在中に、イゾルダに日本料理店に連れて行ってもらったことがあります。
これが、外観も内装も食事も、日本らしさ皆無のお店でした。
入店すると、ピカピカのハッピを着るよう渡されます。
私たちは遠慮しましたが、ほかのお客さんは、みんなブリリアントなお祭り姿になっていました。
カウンターの前のアジアンな料理人は、ストイックに包丁を刻んでいるかと思いきや、突然ソルトやペッパーのジャグリングを始めたりする、超謎の展開。
あまりに理解を越えていて、妙なテンションが上がりました。
そして日本語で話しかけてみても、スタッフのだれ一人、私の言葉がわかる人はいませんでした!
地方だから日本人は来ないかと思ったのかしら~。マルサの女になった気分でしたよ!
イゾルダは、本格的な和風料理店に連れて行ってくれたつもりだったようで、がっかりしていましたが、
私はそんなビックリ体験をさせてくれた彼女に、今でもとっても感謝しています!
● BASF
ITの勉強をしたダニエルは、ポーランドの富士通に就職したと聞きました。
就職したての彼に「おめでとう!じゃあ出張で日本に来られるんじゃない?」と伝えたら、
「うーん、出張はなさそう。年に一度、特別業績を上げた社員をご褒美に日本本社へ連れて行く制度はあるけれど、ほんの数名だし年配の人ばかりだから、自分はまずないなあ」
と言っていました。
今回、「最近転職したんだ」と言われました。
「どこに?」「BASF」
「え?」「BASF」
聞き直しても、よくわかりません。
「ビーエーエスエフ、バスフ。」
こ、これは覚えづらいわ・・・!
世界最大の総合化学メーカーだそうです。
ドイツの企業って詳しくないんですよね。
「ごめんね、Bで始まる会社といったらBMWとboschくらいしか知らないわー」

と言っていたら、車窓の建物に、その文字が見えました!!
「あれ、いまの、そう?」
「うわ、日本にも会社があるんだね!」
まさかの偶然にビックリして、大笑い。
● 鎌倉のティーンズ

鎌倉に着きました。
まずは小町通を通って八幡宮へ向かいます。
すごい人です。平日ですが、ティーンズが多いのは、春休みに入っているからでしょう。

なんだかここのところ、レンタル着物姿で街を歩いている女性が多いなあと思います。
インスタグラム映えするからでしょうか。
● トンビの襲撃
小町通には、食べ歩きをしている人もたくさん。
みんなの歩調に合わせてゆっくり歩いて行くと、クレープを食べながら前を歩いている女の子たちめがけて、背後からトンビが急降下してきました。
バサバサッと耳元で大きな羽音がします。

(ええっ?)と思っている瞬間に、とんびはクレープめがけて突進していきます。
驚いた女の子が、手からクレープを落としたため、奪還は失敗に終わり、トンビはそのままのスピードで空に急上昇していきました。
大きな翼。人をさらっていけそうな、ガニュメデースを誘拐したワシかと思いました。
背後から襲われた女性グループは、立ち尽くして呆然としています。
びっくりしたでしょうね。
湘南や、みなとみらいにも、「とんびに注意」表示は出ていますし、「おにぎりを取られた」系の話は友人などから聞いたりしますが、その瞬間を間近で見たのはこれが初めてでした。

「・・・見た?今の」「こわいね~」
間近で見てしまった私たちもビクビク。
グッと小ぶりなカラスを見ただけでも、4人で「うわっ」とおびえてしまいます。
● ジャパニーズ・カップル
そんなこんなで小町通を抜けて、八幡宮へ。
いつ来ても、ここは混んでいます。
鳥居の前に来て、(あっ)と思いました。
「そういえば2人はクリスチャンだった。そしてここって宗教施設だったわ」

「日本では、宗教というよりはもう文化に根差しているもの」と説明します。
抵抗なさそうだったので、おまいりすることに。
神橋の前で「ここは神様だけが通る橋」と説明します。
「じゃあここで」と、その前で記念撮影。
さっちゃんが「前は通れたんだけどね」と言いますが、そこまで説明するとややこしくなるため、日本語が通じる2人だけの話に。
イゾルダが撮った一枚。
私もこのカップルに目を向けたものの、特にカメラを向けようとは思いませんでした。
でもこのショットを見たら、プレシャス感のある、美しいものに仕上がっていました。
すてき。やっぱり外国の人の感性は違うんですね~。

拝殿へと向かうイゾルダ。

神輿の美しさに心奪われた様子で、見入っていました。
● 海老天そば
そろそろランチを取ることに。
「大通りじゃない店がいい」「海老天を食べたい」「蕎麦でもいい」というイゾルダの希望を叶えるべく、さっちゃんと2人でネットサーチをしたり、キョロキョロ探したりします。
なかなか思うような場所がなくて苦戦していたところ、若宮大路にあった看板に目が留まりました。
「あ、海老天そばだ」
美水(みすい)というお店に行ってみると、10人ほどの行列ができていました。
「もうすぐあきますよ」とおかみさんに言われた通り、10分弱で入れました。

自家製麺と無添加本格京風だしを提供しているお店。
ダニエルは安心御膳、イゾルダはもちろん海老天の絶好調御膳。
さっちゃんはイケてる御膳。

絶好調にイケてる御膳って!
みんなの御膳をチェックしていたら、自分は何を頼んだのか、忘れちゃいました。
● ガラスのブタ
おなかいっぱいになって、小町通に戻ります。
「さっき通りがかりに見たガラス細工店で、お土産を買いたいな」
観光地には、かわいいガラス細工のお店がよくあります。
私たちはけっこう馴染みがありますが、ガラス細工って海外にはないのかしら?

2人が選んだのは、この5円玉を持つブタ。
かわいいけど、なぜこのチョイス(笑)?

その2に続きます。
12年前、フランス一人旅の帰りのフライトで隣り合わせになり、空の上で友達になった、ベルギー人のイゾルダ。
彼女は、それから数回来日しましたが、本国での仕事が忙しくなり、ここの所ぱったり来なくなっていました。
今回は、息子を連れての10年ぶりの来日。ずいぶん久しぶりです。
とてもお世話になっているので、全ての予定をキャンセルしてでもおもてなししたい!と思っていましたが、おりしも時は3月下旬。
年度末の忙しさに加え、自分がロジ責任者となった国際会議、さらに家族の入院時期と、彼女たちの来日期間が重なってしまいました。
キャンセルできない、大人の事情ばかり。
残念ながら、滞在中ずっと一緒にはいられませんでした。
彼女は、かねてより一人息子のダニエルをよく日本に連れてきました。
透き通るような肌をした、陶器の人形のようにかわいらしい少年。
最後に会ったのは14歳でしたが、その後大学を卒業し、ポーランドで就職したとのこと。
つまり、母親はベルギー、息子はポーランドから、日本にやってくるのです。
10年ひとむかしと言いますが、長い年月ですよね。再会までドキドキです。
● 十年ぶりの来日

ドバイ観光をしてから来日した2人。
初日から私は都合が悪く、彼らと会えませんでしたが、2人は渋谷に行ったそうです。

プロのファッションデザイナーの彼女は、日本のモードチェックも欠かしません。
これが今年の流行色なのかしら?

クールな自撮り!カッコイイ親子!
ハー、なんかいろいろ違いすぎて、ため息が出ちゃいます。
● 少年が青年に
イゾルダは芸術家なので、繊細で難しいところもありますが、基本明るく華やかな人。
ほかの日本人にも会わせてあげたいと思って、さっちゃんと一緒に行きました。
私はファッションにからきし疎いですが、さっちゃんは服飾の勉強をした人なので、専門的な話がわかりそう。
十年ぶりの再会、やっぱりドキドキします。
彼女たちの宿泊先は、銀座のホテルソラリア。
ロビーで待っていると、大柄の青年がやってきました。
「ハイ、久しぶりだね!」
「ダニエル!?」
子供の頃と変わらぬキス&ハグの挨拶をしましたが、すっかり大きく成長した姿にめんくらいます。
「身長は180cm。もっと大きい人もいるよ」
男の子だし、背は伸びるだろうと思ってはいましたが、記憶の中の少年は、かわいい14歳のままなので、いきなり時を越えてやってきた実物との差に呆然。
すっかり低くなった声が、頭の上から降ってきます。
「イゾルダはおめかし中だから、待ってて」
「はーい」
いつものことなので、気にしません。
彼とお喋りしながら待つこと数分。彼女がやってきました。
「久しぶり~~!!」
お互い歓声をあげて、キス&ハグ。
彼女は全く変わっていません。でも前まで金髪だったのが黒髪に変わっていたので、すっかり変わったようにも見えます。
ひとしきりハグし終わってから「私の目を見ても、何も言わないで」と言われました。
薄暗がりのラウンジではわかりませんでしたが、明るいところへ出ると、彼女の左目に青あざができていることがわかりました。
えー、どうしたのー?
びっくりしましたが、本人に聞かないでと言われている以上は、何も聞けません。
そのため、彼女は大きな女優メガネをかけていました。
● サプライズ・ミー!
「いろいろ考えたけれど、まず希望を聞くわー。どこに行きたい?」
イゾルダに聞いても「どこでもいいわよ」なので、ダニエルに聞きました。
「じゃあ、僕を驚かせてよ」
10年ぶりの再会にしては、ハードル高いリクエストだわー。
驚かせるといったら、やっぱりアレしかありませんよね。
日本が誇る、グレード・ブッダ、大仏です!
ということで「カマクラに行きまーす」と宣言。
「なにがあるの?」とイゾルダ。
「テンプル(お寺)」
「前に行ったよね」
「え、どこだっけ?」
「とっても混んでて、赤い門があって」
「それはアサクサね!そこよりもっと遠いよ」
● 静かだから眠れる
東銀座から新橋経由で鎌倉へ向かいます。
電車に1時間乗っていくと聞いて、「え・・・?」と若干固まる2人。
普段、そんなに電車に乗ることはないんでしょうね。

辺りを見回して「電車の中、静かだね」とひそひそ話してくる二人。
「ベルギーもポーランドも、みんな大声でしゃべってて、すごくうるさいよ」
「目の前の人が寝てる!」
「日本の治安はすごくいいけど、それより先に、眠れるくらい電車の中が静かだってことよね」
そうかあ、その発想はなかったわ。

揺れる電車の中で、さっちゃんが手早く、これから行く鎌倉の地図を描いて、彼らに見せてあげていました。
やっぱり服飾をやった人は、パターン起こしもお手のものなのね?
(「違うよ!」とさっちゃん。いやいやそんなあ~)
● かつお節はマスト
「今回、ベルへの御土産を忘れないようにしないといけないの」
ベルというのは、彼らの飼いネコです。血統書つきのシャム。
「ベルはすぐに外に出たがるから、散歩させてるんだよ」
ん?散歩させてる?
「ほら」
見せてくれた写真には、猫に紐をつけて散歩中のダニエルの姿が。
「えー、なにやってるのー?」
ウサギのお散歩、うさんぽなら見たことがありますが、ねこのおさんぽは見たことありませんよ!
「前にお土産に持ってきてくれた、あの薄いのなに?ベルが見たこともないほど興奮して」
彼らの家に遊びに行った時、ベルのために、かつお節を持っていったのでした。
もともとは(海外の猫もかつお節が好きか?)を確かめたいと思ったからです。
見慣れぬ物体を前に、はじめは警戒していたベルですが、すぐに匂いに反応して、フガフガ言いながら鼻を突っ込んで、そこから離れなくなりました。
猫の好みって、世界共通なんですね~。
ねこまんまがデフォルトだった日本。
今では、かつお節を与えすぎるのは良くないと言われていますが、遠いヨーロッパではそんなにかつお節も出回っていないでしょうから、あげすぎることはないでしょう。
● 言い負かされる
4か月前にバルト三国を旅行した私。
隣国とは全く思わず(そもそもバルト三国がどこにあるのかよくわかってなかった)、フンフンと旅の写真をSNSにアップしたら、普段は静かなダニエルから「なんで?」と反応がありました。
そして今回、面と向かっても、やっぱり物言いがつきました。
「リカ、この前リトアニアまで来ておいて、ポーランドに来なかったよねー」
ああ、責められる…。
「うちの息子、おかんむりよ」とイゾルダも加勢します。
「そうだよ、なんでリトアニアなんだよ」
なぜと言われても~。
「ポーランドの方が絶対にいい国だよ!」
「あ、はい・・・」
そして再び言われました。
「リカ、君だってわかるだろ、たとえば僕が韓国に遊びに行って、日本を素通りして帰るとわかったら、ムッとするだろ?」
むむ、それは確かに、一言言わねばなりますまい!
「そういうことだよ」
ぐうの音も出ません…10年前はあどけない少年だったのに(もういい)
● 日本料理店の思い出
そんなわけで「ポーランド、興味がないわけじゃないのよ」アピールをしようと、東京でポーランド料理が食べられるお店を探してみました。
世界中の味が集まる東京ですから、お茶の子さいさいでしょう。
ところが、いくら探しても、都内にポーランド料理の専門店は見つけられませんでした。
かつて茅場町に「ポルスカ」というお店があったようですが、閉店したそうです。
ポーランド好きをアピールできなかった・・・。
ちなみに、ベルギー滞在中に、イゾルダに日本料理店に連れて行ってもらったことがあります。
これが、外観も内装も食事も、日本らしさ皆無のお店でした。
入店すると、ピカピカのハッピを着るよう渡されます。
私たちは遠慮しましたが、ほかのお客さんは、みんなブリリアントなお祭り姿になっていました。
カウンターの前のアジアンな料理人は、ストイックに包丁を刻んでいるかと思いきや、突然ソルトやペッパーのジャグリングを始めたりする、超謎の展開。
あまりに理解を越えていて、妙なテンションが上がりました。
そして日本語で話しかけてみても、スタッフのだれ一人、私の言葉がわかる人はいませんでした!
地方だから日本人は来ないかと思ったのかしら~。マルサの女になった気分でしたよ!
イゾルダは、本格的な和風料理店に連れて行ってくれたつもりだったようで、がっかりしていましたが、
私はそんなビックリ体験をさせてくれた彼女に、今でもとっても感謝しています!
● BASF
ITの勉強をしたダニエルは、ポーランドの富士通に就職したと聞きました。
就職したての彼に「おめでとう!じゃあ出張で日本に来られるんじゃない?」と伝えたら、
「うーん、出張はなさそう。年に一度、特別業績を上げた社員をご褒美に日本本社へ連れて行く制度はあるけれど、ほんの数名だし年配の人ばかりだから、自分はまずないなあ」
と言っていました。
今回、「最近転職したんだ」と言われました。
「どこに?」「BASF」
「え?」「BASF」
聞き直しても、よくわかりません。
「ビーエーエスエフ、バスフ。」
こ、これは覚えづらいわ・・・!
世界最大の総合化学メーカーだそうです。
ドイツの企業って詳しくないんですよね。
「ごめんね、Bで始まる会社といったらBMWとboschくらいしか知らないわー」

と言っていたら、車窓の建物に、その文字が見えました!!
「あれ、いまの、そう?」
「うわ、日本にも会社があるんだね!」
まさかの偶然にビックリして、大笑い。
● 鎌倉のティーンズ

鎌倉に着きました。
まずは小町通を通って八幡宮へ向かいます。
すごい人です。平日ですが、ティーンズが多いのは、春休みに入っているからでしょう。

なんだかここのところ、レンタル着物姿で街を歩いている女性が多いなあと思います。
インスタグラム映えするからでしょうか。
● トンビの襲撃
小町通には、食べ歩きをしている人もたくさん。
みんなの歩調に合わせてゆっくり歩いて行くと、クレープを食べながら前を歩いている女の子たちめがけて、背後からトンビが急降下してきました。
バサバサッと耳元で大きな羽音がします。

(ええっ?)と思っている瞬間に、とんびはクレープめがけて突進していきます。
驚いた女の子が、手からクレープを落としたため、奪還は失敗に終わり、トンビはそのままのスピードで空に急上昇していきました。
大きな翼。人をさらっていけそうな、ガニュメデースを誘拐したワシかと思いました。
背後から襲われた女性グループは、立ち尽くして呆然としています。
びっくりしたでしょうね。
湘南や、みなとみらいにも、「とんびに注意」表示は出ていますし、「おにぎりを取られた」系の話は友人などから聞いたりしますが、その瞬間を間近で見たのはこれが初めてでした。

「・・・見た?今の」「こわいね~」
間近で見てしまった私たちもビクビク。
グッと小ぶりなカラスを見ただけでも、4人で「うわっ」とおびえてしまいます。
● ジャパニーズ・カップル
そんなこんなで小町通を抜けて、八幡宮へ。
いつ来ても、ここは混んでいます。
鳥居の前に来て、(あっ)と思いました。
「そういえば2人はクリスチャンだった。そしてここって宗教施設だったわ」

「日本では、宗教というよりはもう文化に根差しているもの」と説明します。
抵抗なさそうだったので、おまいりすることに。
神橋の前で「ここは神様だけが通る橋」と説明します。
「じゃあここで」と、その前で記念撮影。
さっちゃんが「前は通れたんだけどね」と言いますが、そこまで説明するとややこしくなるため、日本語が通じる2人だけの話に。
イゾルダが撮った一枚。
私もこのカップルに目を向けたものの、特にカメラを向けようとは思いませんでした。
でもこのショットを見たら、プレシャス感のある、美しいものに仕上がっていました。
すてき。やっぱり外国の人の感性は違うんですね~。

拝殿へと向かうイゾルダ。

神輿の美しさに心奪われた様子で、見入っていました。
● 海老天そば
そろそろランチを取ることに。
「大通りじゃない店がいい」「海老天を食べたい」「蕎麦でもいい」というイゾルダの希望を叶えるべく、さっちゃんと2人でネットサーチをしたり、キョロキョロ探したりします。
なかなか思うような場所がなくて苦戦していたところ、若宮大路にあった看板に目が留まりました。
「あ、海老天そばだ」
美水(みすい)というお店に行ってみると、10人ほどの行列ができていました。
「もうすぐあきますよ」とおかみさんに言われた通り、10分弱で入れました。

自家製麺と無添加本格京風だしを提供しているお店。
ダニエルは安心御膳、イゾルダはもちろん海老天の絶好調御膳。
さっちゃんはイケてる御膳。

絶好調にイケてる御膳って!
みんなの御膳をチェックしていたら、自分は何を頼んだのか、忘れちゃいました。
● ガラスのブタ
おなかいっぱいになって、小町通に戻ります。
「さっき通りがかりに見たガラス細工店で、お土産を買いたいな」
観光地には、かわいいガラス細工のお店がよくあります。
私たちはけっこう馴染みがありますが、ガラス細工って海外にはないのかしら?

2人が選んだのは、この5円玉を持つブタ。
かわいいけど、なぜこのチョイス(笑)?

その2に続きます。
青あざのことは気になりましたが
どうしたんでしょうね。
日本の電車の中は静かなんですね。
沿線によるかもしれないけど
大阪ではにぎやかですよ。
高校生の通学時や外国人が多いときは。
ダニエル君はイケメンで箸も上手に使えるんですね。
たしかに日本でも、東京と大阪ではまた違う気がしますね。前に大阪環状線の女性専用車両に乗った時、静かで(あれ?ここ大阪よね?)って思ったことを思い出しました!
ダニエルは小さい頃から日本に来ていたので、お箸もばっちり。ラーメン好きだし、日本でも暮らせそうです!