風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

御柱祭期の諏訪・松山‐1

2016-09-14 | 中部(甲信越)
[2016.4.30]
○ prologue

GWに入り、天気がいい日が続いています。
陽気に誘われて、友人ミシェルとドライブに出かけることにしました。
「どこに行こうか?」
「松本城がちょっと気になるんだけど」
ひと月前に起こった熊本大地震で、難攻不落の熊本城の石垣が崩れて落ちた光景に、熊本県民ならずとも日本人はみな衝撃を受けました。
ミシェルは(ほかのお城もいつ崩れるかわからない)という危機感を感じ、熊本城同様に立派な城郭として知られる松本城を思い浮かべたそうです。

「たしかに」と私。
被害は甚大で、崩れた石垣の修復に長い時間がかかるのだそう。
去年の夏に初めて熊本城を訪れて、立派な石垣を間近で眺めてきましたが、この時見ていなければ(なぜもっと早くに訪れておかなかったんだろう)と悔やんだことでしょう。

私も松本城に行ったことがありません。その途中で、諏訪大社4社もお参りしたいものです。
そんなわけで、行き先は諏訪湖と松山城に決まりました。

どちらも、これまで訪れる機会のなかった場所です。
前に友人とのドライブで新潟から東京に戻る時「一つくらいなら途中の町に寄れるけれど、どうする?」と聞かれて、私は「上田!」とリクエストしました。
「真田幸村のゆかりの地だから」
サマーウォーズの舞台なので、友人も興味を持ち、上田城を訪れました。
「あと松本城にも行きたいな~」
そう言ってみましたが、「二つは無理」と却下されたのです。

○ 諏訪大社との距離

諏訪大社にもなかなか御縁がありませんでした。
鹿の首がずらりと並べられる御頭祭(おんとうさい)は、かなりショッキング。
謎めいた諏訪の神様に、怖さと近寄りがたさを感じていました。

でも関東に諏訪神社はとても多く、我が家の地区の氏神様も諏訪の神様。
実は普段からお世話になっているのです。
諏訪という地名の響きも好きだし、これを機に諏訪の神様への苦手意識を克服したいため、行ってみることにしました。

改めて調べてみると、諏訪大社はひとつではありませんでした。
2つでもありません。その数なんと4つ!
4社が総合して諏訪大社となっているんですね。すごいパワーになるはずです。
そういう神社って、他にあるかしら。
独特だなあと思います。諏訪の神様は、古代より相当力があったのでしょう。

しかもこの4つのお宮、上社と下社は湖を挟んで向き合うような位置にあり、ちょっと離れています。
お参りする以上は、全てを巡りたいもの。となると、きちんと時間を見なくてはなりません。

○ 御柱祭の年

今年は7年に一度の御柱祭の開催年。
長野の友人に「お祭りだから来るの?」と聞かれて知りました。
たまたま偶然ですが、これもまたご縁でしょう。

御柱祭はひと月かけて行われる長いお祭りで、直近のお祭りは5月3日~5日の上社里曳き。
「祭礼期間は車両規制がかかっている道も多いので気を付けて」と言われて、道路情報をチェックしました。

○ 出発

当日は早朝にミシェルに家の前で拾ってもらい、ドライブスタート。
前日のプラネタリウムで、日の出の時間は6時台だと聞いていましたが、5時にはもう外は明るくなっていました。
あれ?ああそうか、どうやら日の出と日の入りの時間を間違えたようです。

連休中の高速は渋滞にならないかと心配していましたが、まだ朝早いのでスイスイと快適。
天気も一日よさそうです。

○ 海老名インター

ここで軽く朝食を取ることにしました。
「ここに来ると、どうしても名前につられて、海老のなんとかっていうのを食べちゃう」
「桜海老のラーメンとかね」
「海老名はエビの産地じゃないのにね」
吉野家のブースに行列ができていて、(みんな朝からガッツリ食べるなあ)と思ったら、ほかのお店がまだほとんど開いていないからでした。
しかも朝食メニューがあって、別にみんな牛丼をモリモリ食べているわけではありませんでした。



パンにします。ミシェルは湘南豚シューマイパン。
「これ、ネタになるでしょう!」
私のブログに協力的で、ありがとう~(笑)
ちょっと分けてもらいました。湯気が立ったホカホカです。
「あたたかくておいしーい」
「あ、そばにレンジがあったから、チンしたんだ」
気がつかなかった。そつがない人です。
パンを割ると、中から大きなシューマイが顔を見せました。



私が選んだのは、ボンレスハムとチーズのパンとクロワッサン。
「ボンレスって、Bone Less、つまり骨なし肉のこと?」
「そうそう」
小学生の時、太った子にボンレスというあだ名がついていましたが、英語圏の人には意味が通じなかったでしょうね。
子供の時に覚えたカタカナって、意味なんておかまいなしに丸ごと覚えちゃいますからね。
アートネイチャーとか。

○ ハイウェイドライブ

休憩を終えて、ふたたび走り出します。
日が昇るにつれて、少しずつ高速を走る車も増えてきました。



目の前に白く富士山が見えます。わあ、近づいてくる~。



この辺りまで来るとすっかり緑の色も深くなり、気持ちも旅モードに入ります。



富士山を撮影したいのですが、高速移動中だしフェンスがあらわれたり背の高い茂みがあらわれたりして、なかなかいいシャッターチャンスがありません。
ちょうど山の間に見えた時に、なんとか拾えました。



「わあ、きれい」
美しい連峰が見えてきて、思わず声が上がります。南アルプスの山々です。



電車と併走しました。中央線特急かしら。



快晴のツーリング日和。荷物を積んだバイクをたくさん見かけます。
仲間10数名で走っていくグループも見かけます。
お先にどうぞ~。何台ものバイクを見送ります。



高速道路上で見るバイクは、後ろからバリバリ音を立ててやってくるので、かなり迫力があります。
間を詰めながら追いかけてくるように見えるから。
またもやバイクが迫ってきました。ひー、後ろを振り返るとこわいよう。



山また山。しかも高山ばかり。信濃の国に近づいているなあと感じます。
山間へとまっすぐ向かっていきます。



○ 諏訪大社・上社本宮

諏訪の町に入ると、カラフルな飾りが張り巡らされていることに気づきました。
神社の参道だけでなく、一般道路にも注連縄のようなものがずっーと飾られています。
見たことがない光景。注連縄は聖なる結界のようなものなので、町全体が神域だということでしょうか。



あとで調べたところ、里曳きの際に御柱が通るすべての道に飾られているとのことでした。

御柱祭の里曳きに向けての最終準備で、町全体が盛り上がっています。
駐車場もいっぱいで、たまたま車が一台出たので、そこに入りました。



境内に入ったすぐのところに、長い柱が立てられていました。
御柱の位置を確認しているのかな?



柱は、何本もの太い縄で支えられており、鳥居の横のいかつい狛犬の台座にもそのうちの一本がくくりつけられています。
わー、ほかでは見ない光景。台座は動いたりしないのかなとひやひやしながら見守ります。
ここの狛犬さんは、足場が悪くて大変ね。



古代信仰がそのまま続いているかのような、自然と一体化した神殿。
苔が生き生きとして美しかったです。



参拝しようとしたところに、ちょうどまぶしい陽が射してきました。
わあ、畏れ多い~。パワーを感じます。



境内のあちこちで、大勢の氏子さんたちが作業をしており、御柱祭の準備が着々とおこなわれていました。
小屋根に座布団を引いて乗って作業をしている人がいるとは、これまた、ほかでは見ない光景。



拝殿内には、とぐろを巻いた大蛇のようなものがいくつもあります。
一つ一つに「本宮二之柱五番女綱」などと書かれています。
御柱を曳く縄でしょう。



今回の旅に合わせて御朱印のことを学んできたというミシェル。
晴れて、ここ諏訪大社で御朱印デビューをはたしました。パチパチ、おめでとう~!
諏訪大社の御朱印帳は黒地に金のアクセントの入ったシックなもの。
私も自分の御朱印帳を持ってきています。



御柱祭の時には、御柱と同じ樅の板に書かれた御朱印も配布されます。
木の御朱印帳は持っていますが、木の御朱印そのものがあるとは思いませんでした。
巨大な将棋の駒のようにも見えました。天童にありそう。

○ 諏訪大社・上社前宮

本宮から前宮へ。本宮よりも駐車場のスペースが少なくて満車状態でしたが、ちょうど観光タクシーのお客さんが車に戻ってきて、ここでも入れ違いに入れました。



拝殿へ至るまでの参道の石段が、木の板で覆われています。
御柱が通るために作られたよう。
人も登っていいとのことで、ワクワクしながら踏みしめました。
まだ作りたての、新しい木の香りがして、爽やか~。



地図がないのでよくわかりませんが、おそらくは坂の上に拝殿があるだろうという推理のもと、どんどん上っていくと、ここでも大勢の氏子さんたちが設定の準備をしていました。



クレーンを動かして、細かく調整をしているところ。
この辺りにも、もう一本の御柱が立つのでしょう。



御柱祭を一望できる、会場内の観覧席。
一席1万円くらいするプレミアムシートだそうです。



今日び、建築業界で活躍する女性は増えていますが、ここは女性の姿を一人も見かけない、昔ながらの男の世界。
まだ女人禁制なのでしょうか。ワイルドです。



さまざまな組のハッピを着た人々が集まっており、江戸時代のよう。
いなせで格好良かったです。
目を引く黒地に白の「斧」の文字。「よき」と読んで、祭りの係の一つだそうです。



作業場の一番奥に、目指す拝殿がありました。
古代祭祀の雰囲気の残るつくり。凛とした空気と静かな迫力を感じます。



参道の途中には、山吹の花がこぼれんばかりに咲いていました。



参拝を済ませて今来た坂を下ります。
先ほど登った、石段にかぶさった特設の板を、そろそろと降りました。
つるつるの板の上を下る時に、滑っては大変と、上る時よりも慎重になります。
なんだか自分が御柱になった気分~。(どんな?)



○ マンホール

諏訪市は市花、アヤメがモチーフでした。



その2に続きます。



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