風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

雪国ふれあいウェルネス体験 1-3

2017-07-06 | 中部(甲信越)
その2からの続きです。

● 立ちはだかる雪壁

新雪に覆われた山でのトレッキングを終えて下山し、車道に戻りました。



かんじきを外してから、ガイドさんはおもむろに、目の前の雪の壁によじのぼりました。
あっという間のことで、みんなビックリ。
だって雪は3mほどもあるんです。どうしてそんなところ、登れるの?
でもそれを見て、みんなもガイドさんのあとに続き、雪の壁をよじ登りはじめました。
「皆さんは車道を通っていいですよ」と言っていたガイドさんの方が、今度はビックリしています。


雪壁の上に登ったガイドさんと、後に続くメンバー



両手を広げて・・・



そのまま雪の上にドサリ! 気持ちよさそう!


そんなみんなの写真をコマ撮りしてから、みんなに続いて登ろうと私も雪壁に飛びつきましたが、なぜかズブズブと雪に埋もれてしまい、上れません。
わー、無理~。足腰が疲れ切って、力が入らず、よじ登れないのです。
みんな上から手を伸ばしてくれますが、届きません。
ハリウッド映画なら、ここで落ちて最初に脱落する役だわ。

雪の中でバタバタもがく私を見かねたガイドさんが、いったん下に降りて、足場をしっかり作ってくれたので、ようやく上れました。
お騒がせしました。踏ん張りが足りなかったようです。本来の意味で。
そんなこんなで、雪壁の上に立てたはいいものの、全身雪まみれになりました。

● なぞの縄文人

雪もけっこう降ってきたし、雪まみれで身体は冷え切っているし、このままでは凍えてしまいます。
そんな濡れ鼠状態で、背後の緑の建物のところへと向かいました。
そこは復元した縄文時代の竪穴式住居。雪の時期には、すっぽり緑のカバーを掛けて護っているそうで、一見それとは分かりませんでした。



古代風の服装をした人が「ようこそ」とニコニコ迎えてくれました。
「ここの方ですか?」と聞くと、
「はい、縄文人です」と名乗ってくれました。
雪の中で縄文人と遭遇なんて! RPGの世界に入っちゃったのかしら?



「縄文人さん、いつもどうやって過ごしているんですか?」と聞くと、
「晴れの日には農耕作業をし、雨の日には新聞を読んで...あ、いかん」
自爆して慌てている様子が、微笑ましいです。
縄文時代には、人々はまだ畑も耕していなかったんじゃないかしら?



住居の奥には、大きな石が二つ。
縄文の神さまが祀られていました。



● いろり火で焼き魚

真ん中にはパチパチと音を立ててもえるいろり。
「火を囲んでリラックスし、太古の昔に思いを馳せる」ということも、きちんとウェルネス講座に含まれています。

でも、全身雪まみれで震えながらやってきた状態では、なかなかリラックスできません。
竪穴式住居の中は暖かく、自分たちの濡れた服から、白い湯気がでているのがわかります。
自分が亡霊になっていくような気分です。



あかあかと熾火が焚かれたいろりには、串刺しの魚が焼かれていました。
なんてステキなおもてなしなんでしょう。



焼きあがったのは、やまめ。ごちそうですね。
きちんと塩をまぶしてあります。



いただきまーす!おいしい!!



● 笹山縄文の里

縄文人はお酒もついでくれました。
十日町の地酒「天神囃子」です。
「黄ラベルの上等のものを用意してもらえるなんて」とタダさんは感激しています。
さらにはるか昔のご先祖様にお酌をしていただけるとは、なんという僥倖!



この親切な縄文人は、NPO笹山縄文の里の代表の方。
すてきなおもてなしで私たちを太古のロマンへといざなってくれました。
でも電話が鳴るとスマホを取り出して、竪穴式住居の片隅で応対していました。
サイバーな古代人だわ!

● 竪穴住居と古墳マスター



竪穴式住居内には、この住居を造った藤木さんというガイドさんもいました。
彼の話がとてもおもしろくて、ぐいぐい引き込まれます。
みんなで、いつしか前のめりになって、耳を傾けていました。
藤木さんは古墳全般的に詳しく、国内の別の地域の古墳についても、詳しく説明してくれます。
生きる古墳データベースのよう。

もうすっかり雪は蒸発し、身体は温まっています。
いろりを囲み、パチパチと音を立てる炎を眺めながら、お酒と魚を味わって、語り部の話に耳を傾ける。
これぞ、リラクゼーションの極みですね。

● 五右衛門風呂

すてきな時間を提供してくれた縄文人と藤木さんに感謝をして、竪穴住居を後にします。
縄文ロマンから現代に戻ると、外では雪は大粒の大雨に変わっていました。

宿に戻って、さっそくお風呂タイム。
ここのお宿は、五右衛門風呂。一番風呂に入れてもらいました。



まだ暖まっていない寒い浴室ですが。蓋を取ると、一気に湯気がもうもう。
浴室から、ガラス越しに雪の山々が見えました。

● こたつのパイプ

入浴後は、集落の人たちも交えての懇親会。
宿の大部屋に集まります。
こたつを見るのも久しぶりですが、中から何なんだか太いパイプが出ているのに気づいて、しげしげと観察しました。
これはなんでしょう?
ヒーターの暖気を、こたつの中に取り込んでいるのだそう。
驚いている私に「こっちではよく見ますよ」とモリさんが言いますが、横浜辺りではまず見かけません。
寒冷地仕様のものなんでしょう。



モリさんは三河出身。岡崎の近くというので、オカザえもんと石工の話になりました。
先ほど、集落に三河ナンバーの車が停めてあったことを思い出して、聞くと、モリさんの車だそう。
「つまり、愛知からここまで乗ってきたんですね」
「8時間掛かりましたよ」うわー、すごい!

● 限界集落の活性化

タダさんファミリー4人も勢揃い。息子さんの通う小学校は4人クラスで、全学年の生徒をあわせても16名しかいないのだそう。
息子さんのためだけに山を登ってきてくれるスクールバスに乗って、通学しているそうです。
つまり、小学校は山を下りたところにあるんですね。バスがないと大変でしょう。

ここの集落で会った人々は、未来を見据えた若い世代が多いものの、元からの住民ではなく、村起こしのためにUターンや移住してきた人ばかり。
実際はまだ限界集落なんだなと感じます。
タダさんも、その移住組のひとり。泣きべそをかきはじめた小さい息子に「静かにしなさい」と彼が注意すると、80歳の集落の人が「いいよ、いいよ」と止めました。
「この30年、この集落では赤ん坊の鳴き声を聞いていなかったから、いいんだよ」
・・・うう、涙。



みなさん、大集合!どなたが撮影NGかわからないため、全員ぼやかしちゃいました。
もうお酒も進み、かなり出来上がっている頃です。

● 女性ハンターのジビエ

驚きのメニューが出てきました。
こちらは、狩猟の有資格者の地域協力隊の女性、タカハシさんがしとめた鴨。
女性ハンター、カッコイイ!



イノシシ肉も出ました。ジビエだわ~。
これは彼女が柏崎で獲ったものだそう。
足が短いイノシシは、雪が深いところでは暮らせないため、十日町では見ないんだとか。
雪に埋もれちゃうのね...。


ぼたんカツ


● 埋立島から自然の山へ

興味津々で、タカハシさんにお話を伺いました。
もともと新潟出身で、前は川崎の東扇島で働いていたそうです。
東扇島の川崎マリエン、行ったことありますよ。

ただ、その時に東関東大震災が起こり、東扇島が孤立してしまったそう(知りませんでした)
それで(こんなところにいてはいけない、親も心配するし)と思い、Uターンしたそうです。
そんなドラマがあったなんて。
工場だらけの人口の島で暮らすよりは、山を駆け巡って獣を仕留める方が、人間らしく過ごせると思います。


具だくさんの山菜鍋


下は切り干し大根かと思ったら、瓜を細く切ったサラダだそう。
映画『青いパパイヤの香り』に出てきたサラダを思い出しました。

● 越後のいちご



千手地域辺りで採れたというイチゴ「越後姫」。
実が柔らかくて痛みやすく、足がつきやすいので、新潟県外には出回らないそうです。
地元民だけが味わえる貴重ないちご。甘くておいしかった~。
越後のいちご。「えちご」と「いちご」って似てますね。



乾杯をし、鍋を囲んで、いろいろな話が出ました。
若社長は、ラジオ番組を持っているそうです。
すごい!新潟のジャガーさん!?

集落の方々はみんな町起こしに熱心。
先程の縄文体験がとてもよかったことを告げると、笹山縄文館ではそうした体験型企画として、縄文ウエディングを行ったことがあるそうです。
ギャビィさんの旦那さんのイナイズミさんが、ふるさと納税返礼品のすてきなアイデアをひらめいて、相乗効果が生まれそうな予感がしました。

● 天神囃子とお囃子

地酒「天神囃子」や泡盛、ビールがずらりと並びます。



天神囃子を飲んだギャビーさんが「沖縄には、こんなおいしいお酒はないわ!」と、感激していました。



「で、天神囃子ってどんなもの?」ということになり、タダさんが、この辺りのお囃子を歌ってくれました。
天神囃子はこの辺りで唄い継がれている祝い唄だそうです。
お囃子自体、聴き慣れないものだったので、不思議な気持ちで耳を傾けました。



先ほどの笹山縄文館からもらって帰ってきたやまめを切ってお酒を注ぎ、骨酒にします。
よく物語に登場するので、どんなものだろうと、飲んでみました。



これが骨酒かあ~。塩味たっぷり。野性的です。



言葉のイメージから「骨にしみるほど強いお酒」なのかと思っていましたが、ちょっと違いました。

● 越冬カメムシ

テーブルの上のティッシュに何か黒いものがついていました。
汚れかな、と思ったら、もぞもぞ動いたので、(うわっ、なに?)と警戒します。
隣にいたタダさんの長男くんに「これなあに?」と聞くと「カメムシだよ」と教えてくれました。
な、なんと、カメムシですとー?
私の天敵ではないですか!私、Gは平気ですが、Kはダメなんです~!

冬にはいなくなると思っていたのに、こんな真冬にこんな雪国で生息しているなんて、かなりタフ!
知らないうちに天敵がパワーアップしていたことに、動揺します。
でもこれは、私が知っている緑色ではなく、真っ黒なんです。
越冬カメムシだから?



どうしようと思いますが、子供がまったく騒がないのに私がギャーギャーいうのも大人げないし、下手に刺激して異臭騒ぎになったら大変と思って、そのままにしておきました。
Kも、身動きはするものの、活発には動かず、ティッシュにくっついたまま。

すると、空いたお皿を片づけにきた宿の人が見つけて「えいっ」と指でどこかにはじきました。
(えーっ?)と叫びたいところを、ぐっと飲み込みます。
そういう仕打ち?

いつもは取扱注意のカメムシですが、今回は全く怒ってブンブン暴れず、はじかれたままに消えていきました。
でも、どこかにはまだ生息し続けています。
こうして人とカメムシとの攻防は続くのであった・・・。

● 湯たんぽの夜

夜が更けるにつれ、お酒もどんどん入り、やんややんやと宴たけなわになっていきます。
地方の方は、びっくりするくらいお酒に強くて、とても太刀打ちできません。
この日は朝から一日動いていたため、エネルギー切れしてしまい、私は一足先に部屋にあがりました。

部屋にも黒いカメムシを何匹も発見。息を殺してこわごわとティッシュにとって、外に払い落としました。
自然や野生は好きですが、Kのいるところは苦手だわー。

階下はまだ大盛り上がりの様子。
部屋は冷え切っており、暖房をつけて毛布を取りだしてくるまっても温まりません。
最高値の30度に設定しても全く暖まらないため、エアコンが壊れているのかもしれないと重い、早々に布団に入りました。
お布団の中には湯たんぽが入っていて、じんわりと暖かく、すーっと眠りにつきました。

2日目に続きます。



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