■欧州問題の流れがギリシャからイタリアへ
これまで具体的な懸念としてはギリシャ一本だけであり、イタリアやスペインなどは金利が上昇しているという程度の材料しか出ておりませんでした。それが今回のG20でイタリア首相がIMFに「監視を依頼する」ということが報道されました。
つまり、イタリアに具体的なアクションが起こりました。ベルルスコーニ首相の支持率は酷く、ベルルスコーニ政権は末期症状になっているので、IMFの監視という外からの力を借りて国内政治を何とかしようとしていると思います。
いずれにしても、イタリアの財政再建の監視をIMFという外部が行わなければならないところまで、イタリアの財政再建問題が暗礁に乗り上げているというシグナルでもありますので、年末から来年は「いよいよ、イタリア、スペイン、アイルランド、ポルトガル」というところに財政再建問題が膨れ上がってくるのではないかと思われます。
そして、欧州問題は南欧問題だけでなく、中央ヨーロッパや東欧問題も含まれていると、今年の前半にECB委員長が発言しましたが、中央ヨーロッパや東欧は南欧の経済で生きている国々が多いことから、南欧が崩壊すれば当然中央ヨーロッパや東欧に波及するというのが自然な考え方だと言えます。
■米国事情が変わってきました
これまでQE3は資源インフレを引き起こし、金融バブルを引き起こすので行われないだろうという見方が多かったのですが、ここにきまして「欧州問題」と米国の「雇用問題」「建設業の不況問題」からQE3が春までに行われると見ている専門家が60%近くになりました。
雇用問題や住宅問題を放置し、景気の停滞を放置すると、来年の11月に行われる大統領選挙でオバマ大統領の再選は不可能になります。つまり、オバマ大統領の問題からもQE3の実現性が高くなってきました。
■菅前総理は世界中にいるのか?
ギリシャの首相が「野党との連立政権を提案」する条件として、自分の辞任を武器にしましたが、具体的な辞任時期を表明しないことから、ここにも「菅前総理がいた」と思いましたが、信任投票の後、すぐに辞任時期を明確にしました。
やはり、菅前総理は歴史的な最悪の総理だったのだと改めて認識しました。
■政治は全てに優先する
経済は常に好不況を繰り返しますが、政治家は落選したり辞職しますと、それで個人の人生が終わるかもしれないというリスクがあります。つまり、経済はいつから対策をしても、対策を行えば「評価される」のですが、個人は落選したら終わり、党も第一党から転落したら終わりですから、常に政治は経済を含めた全てに優先します。
今回、オバマ大統領がQE3を行うかもしれないと想定するのも、資源インフレよりも自分の再選を優先するかもしれないという「政治は全てに優先する」という経験則からの推測です。
日本の株式市場は「カウントダウン」に入っているかもしれません。日本の株式市場のシナリオは2つです。これについては明日レポートします。
レポート担当:ケンミレ株式情報 森田 謙一