金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

35:村上春樹 『風の歌を聴け』

2005-06-18 22:55:24 | 05 本の感想
村上春樹『風の歌を聴け』(講談社文庫)
★★★★☆

知らずに借りたのだけど、デビュー作なのですね。
無駄のない、洗練された文章に、ユーモアのあふれた会話。
舞台は日本なのだけど、外国の物語のような雰囲気。
あとがきの日付を見たら、なんと書かれたのは
わたしが生まれた年の、わたしが生まれた月。
なので、わたしにとっては経験したことのない時代、
おそらくは永遠に接することのない風潮を描いた物語なのだけど、
なぜだかなつかしい。
たぶん、「夏」を描いた物語は、誰に対しても
ノスタルジーを喚起するのだと思う。

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34:安野モヨコ 『美人画報』

2005-06-17 22:54:03 | 05 本の感想
安野モヨコ『美人画報』(講談社)
★★★★☆

何度も読み返しているバイブル。
今日もお風呂で読みました。
「最近のわたし、女としてどうなの?」
というときに読むと喝を入れてもらえる気がする。
このシリーズでいいと思うのは、
徹底して「モテ」を念頭においているところ。
「女の子はみんな、それだけで可愛いんだ!」
と言っている本って結構あると思うし、
それはそれで読む人に救いを与えているのかもしれないけど、
そういう考え方はそこで終わっちゃう。
世の中には需要のある可愛さと、そうでない可愛さがあるので、
「求められる美人」を目指しているところがいいなと思うのです。
絵も可愛いし、文章も楽しませることをしっかり意識している。
個人的には『美人画報 ワンダー』が好き。


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33:乃南アサ 『5年目の魔女』

2005-06-15 22:52:25 | 05 本の感想
乃南アサ『5年目の魔女』(幻冬舎文庫)
★★★★★

怖すぎる!!

今まで読んだこの人の本の中で、いちばん怖かった。
仕事帰りの地下鉄で読み終わって、背筋が寒くなり、
しばらくぼうっとしてしまった。
ここまで女のいやな部分を見せつけられると、女として、
もう「申し開きできませぬ」と頭を下げたくなる。
電話の犯人については、異なる人物を予想していたのだけど、
そんな予想をはるかに上回る衝撃のオチ。
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32:大崎善生 『アジアンタムブルー』

2005-06-14 22:50:59 | 05 本の感想
大崎善生『アジアンタムブルー』(角川書店)
★★★★★

まず、装丁が素敵。
半透明の紙におおわれていて、植物の緑が霞んで見える。
愛する人の死と、喪失の苦しみ、
そこから立ち上がっていくまでの軌跡の物語。
『パイロットフィッシュ』と内容がリンクしていて、
それゆえ故意になのか、似たモチーフがいくつか。
余分なものをそぎ落とした末に残った、愛の物語です。
葉子よりも、美津子先輩の言葉、
「これから先、どんなことがあっても頑張るのよ。
 女の子を大切にする優しくて格好いい男になるのよ」
に心が揺れた。
はっきり言って、女性に対する願望というか、
妄想めいた部分にはうんざりするのだけど、
(美術室できれいな先輩がパンツ脱ぐとか……)
それでもやっぱりこの人の書く恋愛小説は好きです。
諦観の先にきれいな夢を見させる。

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31:山田宗樹 『嫌われ松子の一生 (下)』

2005-06-13 22:49:21 | 05 本の感想
山田宗樹『嫌われ松子の一生 (下)』(幻冬舎文庫)
★★★★★

ずいぶん間があいてしまったけれど、佳境です。
松子の知り合いだった人々の話がパズルのように組み合わされて、
彼女が死に至るまでの過程が明らかにされます。
男性に対して真剣に向き合いすぎて、身を滅ぼし、
覚せい剤打ったり、殺人を犯したり、服役したり。
壮絶な、悲しい人生。
心に神さまを持つのは難しい。

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30:山田詠美 『ご新規熱血ポンちゃん』

2005-06-12 22:47:08 | 05 本の感想
山田詠美『ご新規熱血ポンちゃん』(新潮社)
★★★★☆

出ている本は必ず読む、という作家さんのひとり。
エッセイを読むと、特に感じるのだけど、
ものすごく、エンターテイメントということを意識して
書かれているなと思う。
酔っ払っていたせいか、読んでいる途中、何度も笑う。
そして読者に全然媚びていない。
誰にも真似できない、素敵な生き方をしている人だと思う。
実生活ではきっと、せせこましいトラブルやつまらないできごとだって
あるのだろうけど、
それをねじ伏せるだけのパワーがある人だという気がする。

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29:乙一 『暗黒童話』

2005-06-11 22:45:10 | 05 本の感想
乙一『暗黒童話』(集英社)

70ページまで読んで、読むのをやめた。
だって気持ち悪いんだもん!
眼球をえぐるとか、ガラス片が目に突き刺さるとか!
勘弁してください。
その気持ち悪さに耐えて読む価値があるかどうか、
わからないのでとりあえずやめてみました。
この人の『暗いところで待ち合わせ』はとても好きなんだけど。
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28:横森理香 『EAT&LOVE』

2005-06-10 22:43:47 | 05 本の感想
横森理香『EAT&LOVE』(イースト・プレス)
★★★☆☆

それぞれの年代の男女の、食と恋愛をテーマにした連作。
食べ物はたくさん出てくるけど、あまり「おいしそう」と
思えなかったのは残念。
数人の女性と関係を持つ野崎だけど、彼とつきあっている
女性がみんな彼をバカにしてるのがおかしい。
そのひとりであるきれいな人妻が、ほほえみながら、
『あんたの話、つまんないんだからさぁ』
と心の中で言っているの、けっこうなリアリティ。
女はこわいのです。

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映画:『17歳のカルテ』

2005-06-09 22:42:09 | 映画の感想
『17歳のカルテ』(ジェームズ・マンゴールド 監督)
★★★★☆

自殺を図り、境界性人格障害と診断された少女スザンナが
精神病棟へ入ってから出るまでの物語。
死に惹かれ、自分が何者であるかに悩む繊細で不安定な
ウィノナの演技もよかったのだけど、
アンジェリーナ・ジョリーがすばらしい。
なにもかもが過剰で、圧倒的なリサのキャラクターの
魅力がフルに表現されている。
リサの攻撃性、残酷さに反発しながらも、
スザンナが彼女にどうしようもなく惹かれてしまうのがわかる。
リサにキスするシーンがキュートでした。
みんなで夜中に抜け出してボーリングするのも可愛かった。

きっと、ここに描かれた精神病棟は軽度の患者のための
ものなのだろうけど、
スザンナやリサが抱えているものは誰の中にもあるもので、
その揺れ幅が大きいか小さいかの問題に過ぎないのだということ。
最後のモノローグはなかったほうがよかったかも。

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27:村上春樹 『ノルウェイの森(下)』

2005-06-08 22:40:32 | 05 本の感想
村上春樹『ノルウェイの森 下』(講談社文庫)
★★★★★

読み終わったのは昨日だったのだけど、
すばらしいと思える本に出会ったときの常で、
読後、ぼーっとしてしまって今でも感想がまとまらない。
青春というとなんだか最近では滑稽な響きを持ってしまいますが、
本当に上質の、青春、恋愛の物語。
生と死の物語、他者との関係性の物語でもあります。
久々に衝撃を受けました。
個人的には、最後のレイコさんとのエピソードは、
ないほうがよかったんじゃないかな、と思いますが。

それと多少は時代背景を理解していたつもりだったのだけど、
みんなあんなふうに「ピース」「ピース」言ってたの?

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