金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

49:山田詠美・ピーコ 『ファッション ファッショ』

2009-11-05 11:30:28 | 09 本の感想
山田詠美・ピーコ『ファッション ファッショ』(講談社文庫)
★★★☆☆

短い電車移動に読むとき用。
軽く楽しく読めてよい。

さきにあっちを読んでいたけど、
こっちが一冊め。
ブランド品の購買意欲をあおるファッション誌に
「ブランド品あんなに集めてへんなの!」
「ブランドならなんでもいいってもんじゃない」
という対談が載っているおかしさよ。
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48:村松友視 『百合子さんは何色―武田百合子への旅』

2009-11-03 14:34:38 | 09 本の感想
村松友視『百合子さんは何色―武田百合子への旅』(筑摩書房)
★★★☆☆

編集者として武田泰淳・百合子夫妻と交流してきた著者が、
本人との思い出や関係者の証言、同人誌に残された作品をもとに
武田百合子の生涯を追ったもの。
著者が本人と交流のあった関係者の一人だったことも
関係していると思うのだけど、客観性に欠け、
なんだかドリーム入りすぎなんじゃないだろうか。

死後も過去やプライベートを探られ、暴かれちゃうのだから
作家というのは大変な仕事であるなあ。
百合子さんが、自分が死んだら焼く様にと
娘さんに言い残しておいたというトランク、
焼却処分されて本当に良かったと思う。

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47:尾崎翠 『尾崎翠 (ちくま日本文学 4)』

2009-11-01 15:27:59 | 09 本の感想
尾崎翠『尾崎翠 (ちくま日本文学 4)』』(ちくま文庫)
★★☆☆☆

【収録作品】
「こおろぎ嬢」
「地下室アントンの一夜」
「歩行」
「第七官界彷徨」ほか

***********************************

初・尾崎翠。
なんとなく、自分が好きそうな……というイメージがあったのだけど、
ダメだった。
一度中断するとなかなか読む気になれず、
「第七官界彷徨」まで読んで挫折。
ふわふわと浮世離れした日常の世界と
ユーモラスでかつ物悲しい感じは嫌いじゃないんだけど、
わたしにとってはあまりにもつかみどころがなさすぎた。

読了できないのはくやしいが、降参!
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46:万城目学 『鴨川ホルモー』

2009-10-28 10:16:35 | 09 本の感想
万城目学『鴨川ホルモー』(角川文庫)
★★★☆☆

京大生の阿部は、葵祭のエキストラのアルバイトの帰りに
「京大青竜会」という名のサークルに勧誘される。
何を目的に活動しているのかわからない
あやしいサークルではあったが、
おごりを期待して参加した新歓コンパで阿部は、
美しい「鼻」を持つ早良京子に一目ぼれをして
サークルから抜け出せなくなり、
謎の競技「ホルモー」に参加することになる。

*********************************************

万城目学のデビュー作。
この人って、ボイルドエッグズ出身だったのか。知らなんだ。

「ホルモー」にまつわる部分は味付け程度の印象で、
中心となるのはサークル内の恋愛や軋轢といった
大学生活。
おもしろかったことはおもしろかったのだけど、
数人をのぞき登場人物の描写が薄っぺらで、
文章も読みづらく、後半は流し読み。
デビュー作対決では圧倒的に
森見登美彦のほうが読ませるなあという印象だけれど、
こなれてきたらずいぶんおもしろくなるんじゃないかしら、
と既刊の作品に期待。
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45:デュマ・フィス 『椿姫』

2009-10-23 11:56:59 | 09 本の感想
デュマ・フィス『椿姫』(光文社古典新訳文庫)
★★★★★

社交界の花・高級娼婦のマルグリットは椿の花を好み、
「椿姫」と呼ばれていた。
彼女に出会い、一目で恋に落ちてしまった青年アルマンは、
彼女の恋人となるが、
パトロンからの援助で豪奢な生活を送り、奔放に振舞う彼女と
つきあうことは、嫉妬に悩まされ続けることでもあり、
彼女との時間のために財産を失ってゆくことでもあった。
マルグリットはアルマンの純粋さに惹かれ、
彼を本当に愛するようになる。
マルグリットはパトロンを遠ざけて贅沢な暮らしを捨て、
アルマンとの質素な暮らしを選ぼうとするが、
二人の噂を聞きつけたアルマンの父が、アルマンを尋ねて
パリへやってくる。

*************************************************

訳は西永良成。

マルグリットとアルマンの父とのやり取りに涙が……
泣かせどころのこのセリフ、

「それでは、一度だけでいいですから、
 お嬢様になさるような口づけをあたしにしていただけませんか。
 そうしていただけるなら、その口づけ、
 あたしが受ける本当に清純な唯一の口づけのおかげで、
 じぶんの愛にさからう力があたえられることでしょう」

↑この訳は、ちょっと……。
新潮文庫の訳のほうが自然な口語で好きだなあ。

しかしアルマンは泣き虫すぎるし、幼稚すぎて、
失笑するしかない。
それだからこそ、世間というものをよくわかって
先を見通しているマルグリットが痛々しい。
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44:村上龍 『半島を出よ<上>』

2009-10-20 05:13:57 | 09 本の感想
村上龍『半島を出よ〈上〉』 (幻冬舎文庫)
★★★★★

経済危機を発端に、疲弊し、国際社会で孤立を深める
近未来の日本。
あるとき、北朝鮮から日本へ潜入した9人の武装コマンドが、
福岡ドームを占拠した。
北朝鮮の「反乱軍」を名乗る彼らは、福岡の封鎖を要求し、
二時間後に到着した約五百名の特殊部隊とともに、
福岡市中心部を制圧し、福岡の独立を要求する。
日本政府はなすすべもなく、福岡を切り捨てにかかるが……

**************************************************

下巻で肩透かしを食らわされる可能性もあるのだけど、
先へ先へと読み進めたくて気がせいた。
はやく下巻が読みた~い!

これが現実に起こったら、本当に日本は
こういう対応をしちゃうんじゃないか……と思わせる。
「こうなっても不思議ではない」と思わせる日本社会の
閉塞感とか倦怠感をうまくとらえている。
村上龍、あちこちで日本を憂いているだけのことはある。

しかし、これを読むとおそろしくて投資ができないよ

そしていつものことながら、カタカナで表記されている
北朝鮮の登場人物はだれがだれだかさっぱり覚えられない。
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43:浜田広介 『泣いた赤おに』

2009-10-18 20:59:05 | 09 本の感想
浜田広介『泣いた赤おに』 (偕成社)
★★★☆☆

江國香織がこの本について同名のエッセイを書いており
(『都の子』所収)、その関係で再読の必要が出てきたため、
図書館で借りてきた。
再読と書いたが、実はこの話、こどものころに
きちんと本で読んだのか、
それともダイジェスト的なあらすじだけを聞いたのか、
記憶がはっきりしないのであった。
で、再読してもそれははっきりしないのだけど、
思いのほか、ストーリーはあっさりしている。
(逆にどうでもいいと思える部分が丁寧)
初読だったらもっとインパクトがあったかもしれないけれど。

子どもむけにしては残酷な、途方もなく悲しい結末。
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42:ルイス・セプルベダ 『ラブ・ストーリーを読む老人』

2009-10-17 23:14:56 | 09 本の感想
ルイス・セプルベダ『ラブ・ストーリーを読む老人』(新潮社)
★★★★★

エクアドルのアマゾン上流にある村・エル・イディリオ。
かつて入植者として妻とともにこの村へやってきた
アントニオ・ホセ・ボリーバルは、妻を失い、
密林に住むシュアル族とともにすごす中で
森で生き抜くすべを身につけた。
老人となったアントニオ・ホセ・ボリーバルは
自分が字を読めることに気づき、愛の物語を欲する。
本を読める幸福を手に入れた老人だが、
外国人の惨殺死体が見つかり、彼の幸せな時間は
奪われることになる。

**************************************

ルイス・セプルベダはチリ出身、ドイツ在住の作家。
密林で暮らす人々の生活の描写に目新しさもあるけれど、
とにかく力強い、圧倒的な印象の物語。
開発のため、先住民や動物たちは生活を脅かされて
奥地へ逃れざるを得なくなり、
人間の心無い仕業によって、家族を奪われた野生の動物は
人間を憎む。
自然保護問題、自然と人間の関係について考えさせる内容に
なってはいるものの、テーマとして全面的に
押し出されてはいないので説教くささはなし。

屈強で知恵を持つ老人が、甘美な恋の物語を好み、
たどたどしく本を読むのがほほえましい。
ヴェネチアをうまく想像できずに苛立ち、
自分のカヌーを「ゴンドラ」と呼ぼうかなどと考えているのが
とてもかわいい。

絶版だなんて残念。
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41:森見登美彦 『太陽の塔』

2009-10-17 16:07:32 | 09 本の感想
森見登美彦『太陽の塔 』(新潮文庫)
★★★★☆

日本ファンタジーノベル大賞受賞のデビュー作。
「研究」と称し、自分を振った元彼女・水尾さんを
ストーキングする京大生・「私」の手記の体裁をとった
青春小説。
ファンタジーの要素もちょっと入ってるけど、
やっぱり青春小説だなあ。
自己正当化と虚勢と妄想がいりまじる、
饒舌な語り口がユーモラス。
クリスマスイブを憎み、カップルたちに嫌がらせする
モテない男たちが愛しく切ない。
いいなあ、青春。
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40:菅野仁 『友だち幻想―人と人の“つながり”を考える』

2009-10-16 12:14:32 | 09 本の感想
菅野仁『友だち幻想―人と人の“つながり”を考える』 (ちくまプリマー新書)
★★★★☆

本来なら幸せになるための「友だち」や「親しさ」が、
逆に互いを息苦しくさせたりする「同調圧力」、
現代における新たな共同性「ネオ共同性」、
「ルール関係」と「フィーリング共有性」……等々、
そういうものの存在を新しく知るというよりは、
人と付き合っていく中でなんとなく感じ取っていたことに
名前がつけられているのを知って、腑に落ちたという感じ。

「過剰な期待を持つのはやめて、人はどんなに親しくなっても
 他者なんだということを意識した上での信頼感のようなものを
 作っていかなければならない」

というのが、本書を通して筆者が主張していること。
中学生のころにこれを読んでいたら、
もうちょっと楽になったかもな~。

第7章「『傷つきやすい私』と友だち幻想」は
2009年度N中学で出題。
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