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桑山紀彦「心のケア、苦手な日本」:傷ついた人が「自分を責める」、そして他人の傷も「その人の問題だから」で片づけてしまう!マジョリティーでないのは、恥ずかしい!

2023-09-05 11:08:31 | 日記
※桑山紀彦(くわやまのりひこ)(1963生、60歳):精神科医。国内外の紛争地・被災地(旧ユーゴ、パレスチナ、南スーダン、東日本大震災)で「トラウマを癒すプログラム」(PSS)を実施して30年。

(1)「心理社会的支援(PSS)」:最終的に「自分らしいトラウマの物語」を作り上げる!
①「心理社会的支援(PSS)」:(a)物理的・精神的に安全な環境の確保、(b)つらい記憶・感情を、絵を描くこと、粘土細工、映画製作などの創作活動で表現、(c)一緒に取り組む仲間・作品を見てくれた人から感想・質問をもらい、また会話し、最終的に「自分らしいトラウマの物語」を作り上げる。

(2)「トラウマ」を抱えた人は「自分だけがこんな目にあっている」と孤立を深めている、だから「社会との再結合」が必要だ!
①-2 PSSの目的「社会との再結合」:トラウマを抱えた人は「自分だけがこんな目にあっている」と孤立を深めている。自分の経験・感情を表現し、それが他者に承認され、社会とつながれたという感触を得ることで、傷ついた心の回復につながる。③「トラウマ」とは「凍りついた記憶と感情」だ。③-2「つらい記憶」をなかったことにしてはいけない。

(3)トラウマの悪化は15%程度、85%は社会の中で、つまり周囲の力を借りることで癒せる!だが日本は世界で最も「心のケア」が難しい!
③-3「トラウマ」は人生を変える起点になりうる。④トラウマの悪化は15%程度、85%は社会の中で、つまり周囲の力を借りることで癒せる。④日本は世界で最も「心のケア」が難しい。④-2 東日本大震災3か月後の被災地の「学校」でPSSプログラムに教員たちから激しい反発。「子どもたちをあんなおそろしい経験と向き合わせるなんて、ありえない」、「子どもが不安定になったらどう責任をとればいいんだ」。④-3 日本社会はずっとトラウマを「触れてはいけないもの」として扱ってきた。

(4)「避難所」で実施したPSSプログラム:苦しみは消えない、でも仲間がいるから、苦しみorトラウマに向き合える、つまりトラウマと共生できるようになる!
⑤結局、PSSプログラムは「避難所」で実施した。⑤-2「写真をたくさん並べ、その中から好きなものを手に取って、自分の思いを話してもらう」というワークをした。⑤-3「富士山や桜など震災には関係のない写真」の中に「津波やがれきの写真」も含めておくと、多くの子どもたちが後者を選び、被災した経験を懸命に語り始めた。Ex. 震災当時、どう逃げたのか。何を見たのか。⑤-4 記憶が混乱している子もいたけれど、みんなで「こういうことだったかもしれない」と語り合い考えた。⑥この作業(ワーク)では苦しみは消えない。でも仲間がいるから、苦しみorトラウマに向き合える。⑥-2 トラウマと共生できるようになる。

(5)日本の社会では「心に傷を負った経験」(トラウマ)がしばしば「恥ずかしいこと」だと捉えられる!
⑥-3 他の国と比較すると、日本はいまだに、この苦しみorトラウマとの向き合いが苦手だという印象だ。⑦日本では「トラウマを癒す」ための「社会との再結合」が難しい。⑦-2 日本の社会では「心に傷を負った経験」(トラウマ)がしばしば「恥ずかしいこと」だと捉えられる。だから本人も表明を避ける。また周囲も「触れてはだめだ」という態度をとる。Cf. 「胃潰瘍」で苦しんでいると言うのと、「トラウマ」で苦しんでいると言うのとでは、社会からの受け止めが全く違う。
(5)-2 日本の社会では、「心に傷(トラウマ)がある」のは「マジョリティ-」でないので「まともじゃない」・「恥ずかしい」と、自分も他人も思う!
⑦-3 トラウマは本来的に「マイノリティ-」の体験だ。(Cf. ただしどんな人でもトラウマを抱える可能性はある。)そして日本の社会では「マジョリティーでないのは、まともじゃない、恥ずかしい」という意識を自分も他人も持つ。⑦-4 日本の社会では、「心に傷(トラウマ)がないのが良いこと」だとされると同時に、他方で「みんな心に傷(トラウマ)がない状態であるべきだ」とされる。かくて「心に傷(トラウマ)がある」のは「あるべきでない」状態、つまり「マジョリティ-でなく、まともじゃない、恥ずかしい」状態だと、自分も他人も思う。⑧傷ついた人(トラウマのある人)が(マイノリティーの)「自分を責める」、そして他人の傷(トラウマ)についても(マイノリティーの)「その人の問題だから」と片づけてしまうのが日本の社会だ。

(6)トラウマから回復した心は苦しみや悲しみを含む心で、それが心の「自分らしさ」だ!
桑山紀彦氏が言う。⑨「私の経験からも断言しますが、心は傷ついても必ず回復します。回復した心は傷つく前の心と同じではありません。皮膚の傷が再生する過程でデコボコやシミやシワができます。だからトラウマから回復した心は苦しみや悲しみ、言わばデコボコやシミやシワを、含む心です。それが心の『自分らしさ』なのです。」(『朝日』2023/8/8朝刊)

《感想》「心は傷ついても必ず回復します」という桑山紀彦氏の経験上の確信が、唯一の救いだ。
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