「安達朋博 ピアノ・リサイタル」サントリーホール・大ホール（2023/10/14）

安達朋博（あだち ともひろ、1983生）：クロアチア国立ザグレブ音楽大学を卒業（2007）。在学中からザイラー国際音楽コンクール優勝、ブラームス国際音楽コンクール第2位など優秀な成績をおさめる。日本では2007年にデビュー。クロアチア人作曲家の曲、中でも女流作曲家ドラ・ペヤチェヴィチの曲を多く演奏・紹介している。安達朋博氏は発言が率直で好感が持てた。ピアノの演奏はとても素晴しく感動した。

★J. S. バッハ（1685-1750）「パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582」
バッハ一族は音楽家の家系で、ヨハン・ゼバスティアン・バッハは「大バッハ」と呼ばれ、J.S.バッハと略記される。（日本では「音楽の父」と称される。）この作品はパッサカリアとフーガの2部構成である。前半の「パッサカリア」は、8小節の主題と20の変奏で荘厳に力強く奏でられる。続けて感情的に魅力的な「フーガ」が置かれる。
※「パッサカリア」：バロック音楽の器楽形式の一。低声部で同一音形が繰り返され、上声部で変奏が行われる荘重な三拍子の曲。
※「フーガ」：多声音楽（二つ以上の独立した声部からなり、それぞれの声部が対等の立場でからみあう様式の音楽；ポリフォニー）の形式のひとつ。主題が提示され、それに答えるように移調された同形の旋律が現われ、先行主題を追いかける形で反復される楽曲。遁走曲。

★セルゲイ・ラフマニノフ（1873-1943、露）「ショパンの主題による変奏曲 ハ短調 Op. 22」
ショパンの「前奏曲」第20番をテーマにその22の変奏が繰り広げられる。ラフマニノフは、ロマン派音楽の最後の偉大な作曲家の一人とみなされる。（彼は手が極めて大きく、また身長は198cmあった。）

★ドラ・ペヤチェヴィッチ（1885-1923、クロアチア）「ピアノ・ソナタ 変ロ短調 Op. 36」　　　
作品は第1次世界大戦中に完成された。激情と平穏を行き交う第1楽章、望郷の想いを感じさせる第2楽章、兵士の行進を彷彿させる第3楽章。ドラ・ペヤチェヴィッチは後期ロマン主義音楽の様式で58曲を後世に遺した女性作曲家。その大半がピアノ曲や室内オーケストラのための作品である。作品のほとんどが出版も録音もされずに自筆譜のまま遺されていた。ドラは「良いものや素晴らしいものは全て愛から生まれる」と言った。

★フランツ・リスト（1811-1886、ハンガリー）「ベッリーニのオペラ『ノルマ』の回想 S. 394」
オペラ『ノルマ』からのいくつかの美しい主題（旋律）をリストが豪華に装飾し、再解釈して作曲した。技巧の華やかさや装飾の華麗さに重きが置かれている。ピアノ独奏曲の難曲として知られる。ヴィルトゥオーソとしてのリストを披露する為に作られた作品の一つと言われる。