※サキ(Saki)、本名ヘクター・ヒュー・マンロー(Hector Hugh Munro)(1870-1916)。『サキ短編集』新潮文庫、1958年。
(1)「二十日鼠」
若いセオドリック・ヴォラアが列車に乗った。列車のコンパートメントの相客は、彼と同じ年頃の女性一人だけだった。列車は1時間ほどの行程だ。列車が出発し途中で、彼は、服と肌の間に二十日鼠が入り込んでいることに気付いた。むずむずするものが動き回る。女性は寝ている。彼は我慢ならなくなって、コンパートメントの真ん中に毛布を垂らし、服を脱いで二十日鼠を追い出した。するとその時、女性が目を覚ました。彼は恥ずかしく、あわてて裸の身体に毛布を巻いた。彼は「マラリアにかかったみたいです」と嘘をつき、毛布にくるまり震える真似までした。女性は心配してくれた。だが列車は駅に到着しようとしている。彼は裸だ。「もうどうにも仕方ない」と彼は毛布を跳ねのけ、やみくもに服を着た。なんという恥ずかしさ!その時、女性が言った。「私は目が悪くて全然、見えません。降りるとき、車掌さんを呼んでいただけますか?」
《感想》読者はびっくり!セオドリック・ヴォラアも、驚いたことだろう。どんでん返しだ。
(2)「平和的玩具」
伯父(ハアヴィ)が、妹のエリアナから、「戦争の玩具を与えず、子供に『平和的玩具』を与えるべきだ」という記事を見せられる。エリアナの10歳と9歳の息子たちは、スウザン伯母がくれた「アドリアノプル攻撃」の玩具が大のお気に入りだった。復活祭の土曜日に伯父(ハアヴィ)は、甥二人のため「平和的玩具」を買ってきた。「町の塵箱の模型」、「経済学者ジョン・ステュワアト・ミルの鉛の人形」、「基督教婦人協会のマンチェスター支部の模型」、「日曜学校を創った人の鉛の人形」等々。二人の甥は、「平和的玩具」を持って子供部屋に戻った。しばらくして、伯父(ハアヴィ)が二人の部屋をのぞいた。すると「町の塵箱の模型」は架空の大砲の砲口が沢山開けられ要塞になっていた。「ジョン・ステュワアト・ミル」は赤インクを塗られて元帥だった。「基督教婦人協会」は城で、包囲され百人の女が殺され、赤インクがぶちまけられた。「日曜学校を創った人」はルイ14世役!伯父(ハアヴィ)が子供部屋をはなれ、妹のエリアナに報告した。「『平和的玩具』を与える実験は失敗したよ。はじめるのが遅かったよ。」
《感想》男の子2人はすでに10歳と9歳だ。「戦争の玩具」を「平和的玩具」に変える実験がうまくいくには、確かに「はじめるのが遅かった」!
(1)「二十日鼠」
若いセオドリック・ヴォラアが列車に乗った。列車のコンパートメントの相客は、彼と同じ年頃の女性一人だけだった。列車は1時間ほどの行程だ。列車が出発し途中で、彼は、服と肌の間に二十日鼠が入り込んでいることに気付いた。むずむずするものが動き回る。女性は寝ている。彼は我慢ならなくなって、コンパートメントの真ん中に毛布を垂らし、服を脱いで二十日鼠を追い出した。するとその時、女性が目を覚ました。彼は恥ずかしく、あわてて裸の身体に毛布を巻いた。彼は「マラリアにかかったみたいです」と嘘をつき、毛布にくるまり震える真似までした。女性は心配してくれた。だが列車は駅に到着しようとしている。彼は裸だ。「もうどうにも仕方ない」と彼は毛布を跳ねのけ、やみくもに服を着た。なんという恥ずかしさ!その時、女性が言った。「私は目が悪くて全然、見えません。降りるとき、車掌さんを呼んでいただけますか?」
《感想》読者はびっくり!セオドリック・ヴォラアも、驚いたことだろう。どんでん返しだ。
(2)「平和的玩具」
伯父(ハアヴィ)が、妹のエリアナから、「戦争の玩具を与えず、子供に『平和的玩具』を与えるべきだ」という記事を見せられる。エリアナの10歳と9歳の息子たちは、スウザン伯母がくれた「アドリアノプル攻撃」の玩具が大のお気に入りだった。復活祭の土曜日に伯父(ハアヴィ)は、甥二人のため「平和的玩具」を買ってきた。「町の塵箱の模型」、「経済学者ジョン・ステュワアト・ミルの鉛の人形」、「基督教婦人協会のマンチェスター支部の模型」、「日曜学校を創った人の鉛の人形」等々。二人の甥は、「平和的玩具」を持って子供部屋に戻った。しばらくして、伯父(ハアヴィ)が二人の部屋をのぞいた。すると「町の塵箱の模型」は架空の大砲の砲口が沢山開けられ要塞になっていた。「ジョン・ステュワアト・ミル」は赤インクを塗られて元帥だった。「基督教婦人協会」は城で、包囲され百人の女が殺され、赤インクがぶちまけられた。「日曜学校を創った人」はルイ14世役!伯父(ハアヴィ)が子供部屋をはなれ、妹のエリアナに報告した。「『平和的玩具』を与える実験は失敗したよ。はじめるのが遅かったよ。」
《感想》男の子2人はすでに10歳と9歳だ。「戦争の玩具」を「平和的玩具」に変える実験がうまくいくには、確かに「はじめるのが遅かった」!