住職の独り言

~ご縁に触れて~

『ご恩』

2021年02月08日 | 独り言

【メッセージ文について】

 テレビドラマのセリフがきっかけとなって、いま「恩」という言葉が注目されています。

「恩情」という語に表されるように、「恩」とは、恵みや情けのことで、他の人から恵みや情けを受けることをいいますが、仏教では、より深い意味があります。

 漢字の「恩」は「因」と「心」からなります。

因を尋ねる心です。私たちが今こうあるのは、突然の出来事ではなく、さまざまな原因が重なり合い、あらゆるものに支えられて、生きている結果です。

このことを心に深く考えることを「恩」といいます。

 私という存在は一人で生きていくことはできません。

一滴の水も、一吸いの空気も、すべてはいただきものです。

いのちもそうです。

決して自分だけでつくったものではありません。

そのような、私を支える大いなる恵みに「心」をかけ、感動している姿を、「恩」という一字のなかに味わうことができます。

 連綿とつらなるいのちの関係性に想いを馳せ、大きな恵みや支えに対して「有り難いこと」、「お蔭さま」と受けとめていく時、私たちは決して返しきることのできない、深い「ご恩」の世界に気づかせていただくのです。

如来大悲の恩徳は 身を粉にしても報ずべし
師主知識の恩徳も ほねをくだきても謝すべし

 (親鸞聖人「恩徳讃」、『浄土真宗聖典(註釈版第二版)』1181頁)

 親鸞聖人は、仏さまの「ご恩」、そしてみ教えをお伝えくださった多くの方の「ご恩」を讃えられるとともに、その「ご恩」に応えていく生き方をすすめられました。

 この度のお彼岸は、コロナ禍の中で、不安を感じながら迎えることとなりましたが、それぞれの場で、仏さまの大きな「ご恩」を聞かせていただき、いのちのつながりを知るご縁といたしましょう。

(西本願寺)
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