King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

石を見るについて

2013年10月22日 10時34分42秒 | 日々のこと
昨年訪れた京都の旅では、気が付けば見ているものと言ったら
お寺と石碑と標識だけだったのです。

いつかテレビで見た景色とか、本で読んだ物語の地を見てみたい
という欲求と昔の都の跡とか、家康がいちゃもんをつけた豊国神社の
鐘楼の文字とか利休の腹切りの原因になった大徳寺の三門とか
現物を見たいとどうしても思ってしまいます。

そこで暇と金が有り余っていたら、そう思った瞬間にとりあえず
電車に飛び乗ったり、車を出したりして足を延ばすのでしょうが、
普段の仕事やらこなさねばならない日々の用事は誰でもがあり、
そうそう簡単に行きたいと思ったり見たいと思った地も積み重なるばかり
なのが現実です。

人とそんな話をすると中にはテレビで見たんならそれでもうOKなんじゃないかと
いう人もいます。

考えてみればそうなのかもしれません。

しかし、生の素晴らしさを知る者としては、その現場に触れて何かを
感じたいと思うのです。

本に出てくる音楽の表現と作品のモチーフについて考えるときに、その
音楽を生で聞いたことがある場合とまったく聞いたこともない場合だと
その文学作品もまるで感じることが違うし、もしかしたら主題を読み
違えるかもと感じてしまいます。

そして、クラッシックなどの場合はすぐにCDで曲を確認したりしますが、
この文学上の美術品や音楽をモチーフにするというシークエンスには
実は陥穽というか落とし穴もあり、素直な読者はただ騙されるだけ
ということもあるのです。

よく漱石の本の中には美術品が登場しますが、すべてが現物を漱石が
見て感じたことから発していると思われていますが、小説ですから
作者の創作であることもあるのです。

読者の方で作者の魔法をまざまざと受けてしまう必要もないし、抱一
はそんな絵描いてないよと突っ込みを入れて読むのもまた楽しみ方
なのです。

また騙されてそれを追い続けてやっと探してみたものの偽物だったと
知り、現実にはそんな作品なかったと改めてわかるというのもその作品を
味わったということです。

さらに上級者になると本物の現代の芸術家に作品を抱一風にこの画題で
描いてくれと依頼するということもできるのです。

現実には趣味の世界にそれほどまでにのめり込めず行きたいなあとか
みたいなあくらいで止まっているのが普通なのかもしれませんし、多く
の人は別に本の中のことだからですぐ忘れてしまうのかもしれません。

さて、夢を叶えることができるとしたら何をしたいという子供に向けるような
問に、お金を持った大人は昔のころの夢というのは現実にかなえることが
出来るのですが、お金で簡単に処理できることにろくなことがないのも
世の常で、現物を見るとがっかりとか長年温めたものが実物を目にすると
途端にさめざめしいみじめなものに変わっていくことはよくあることです。

私もそれを魔法がさめる瞬間として何度も体験しています。

そして、教訓としては夢は全てを叶えてはいけないということです。

夢は夢のままにしておく。

それは夢の中でまた育って行ったり、希望として常に自分を幸せの世界の
中で待っていてくれる存在になったりします。

長年の夢も私のようにいくつもあるとやはりそれを少しづつ叶えたり、
現物をそろそろチェックしに行くというのもまあ手であはあるのです。

そんな中でも本当にただの石を見るだけの欲求が一つあります。

それはスキーの時にいつも通る吉井町にあり、本当に見る気になれば
ちょっとスキーを短めにしたり、群馬に豆の仕入れに行ったときに見る
ことができるのです。

あまりに近くでいつでもできるとなるとそれは当然後回しになり、いつも
いつも見れないで現在に至ります。

多胡碑というのがその石ですが、地元の人に愛され祀られて現在に
残っているものですが、戦争の時には田んぼの中に隠して守ったとか
様々な伝説に彩られています。

これは秩父にも関連していて秩父と結びつきを強くする歴史的証拠物
でもあります。

それは和銅遺跡の銅を採掘した渡来人である羊太夫という人物の伝説
です。

秩父にはその伝説のものが数多く残されていますが、その墓であると
してこの田子碑は吉井の人々にずっと祀られ守られてきたのです。

ネットでもこの碑は見ることができるし、現物は決まった御開帳のような
日でないとみられないようで、そして現物を見たからといってそこに書かれた
ことが自分に理解できるはずもないのですが、羊太夫の実在を示す証拠
として目にしたいとずっと思ってきました。

そして、10月28日は群馬の日でその多胡碑の記念館も無料開放される
というので激しく見に行きたい衝動に駆られました。

あちこちの群馬の温泉施設も無料開放されると言いますし、これはいい
機会だと感じたのですが、日曜に休んでまた月曜もというのはあまりに
無理と感じ諦めました。

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