「人間は自分をスゴいと勘違いしたい生き物だ。
自分がスゴいと勘違いする為であれば、どんな汚い思考的な手段でも臆面もなく平気で使う。ちゅーか、自分がスゴいと勘違いする為なら人間は手段を選ばない。
いわく、日本国民は優れている。
なら、俺は日本国民だから優秀だ。
いわく、他民族は劣っている。
なら、俺は他民族でないから優秀だ。
いわく、うちの家系は由緒正しい。
なら、俺の血も由緒正しい。
いわく、あなたはやれば出来る子なのよ。
なら、俺はまだ何もやってない。可能性だけありゃ十分だ。
自分をすごいと勘違いするための方法だけは山ほどある。
でも、勘違いだらけの人生って悲しくないか?
自分を正当に評価してみたくはないか?」
ぼっーと自転車をこいでいるうちに駅に着いていた。空を見るのを忘れたので晴れてんのか曇っているのか分からない。車窓からは暗い中を街あかりが流れていくのが見えるだけだ。風は弱くそれほど寒くない。